1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 22:12:42.09 ID:UHF6wG/i0
榛名「・・・・・・」

榛名「提督、榛名はまた金剛姉様達に冷たくあたってしまいました」

榛名「みんな、榛名を心配して声をかけているのに」

榛名「榛名はダメですね・・・」

榛名「わかってはいるんです。受け入れなければならないことは」

榛名「でも、今の榛名にはこうせずにはいられないんです」

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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 22:19:45.27 ID:UHF6wG/i0
榛名「平凡な生活を送っていた提督が、妖精が見えるというだけで、戦場に行くことになるなんて」

榛名「たった1枚の紙切れが、こんなにも残酷な意味を持っているなんて」

榛名「でも、提督がいてくれたからこそ、榛名と出会うことができたんですよね」

榛名「なんだか、複雑ですね」




3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 22:29:36.36 ID:UHF6wG/i0
榛名「提督が行方不明になってから、もう1月も経ってしまったんですね」

榛名「榛名が戦闘中に、みんなと逸れて途方に暮れてしまった、あの嵐の夜」

榛名「提督は、危険を顧みず、哨戒艇で榛名を助けに来てくれましたね」

榛名「でも、深海棲艦の砲撃に当たって・・・提督の乗っていた哨戒艇が沈んで・・・」

榛名「提督はどうして脱出しなかったんですか?」

榛名「何よりも、提督を助けられなかった榛名が、一番許せないです」




6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 22:37:35.26 ID:UHF6wG/i0
榛名「榛名はもう、全然大丈夫じゃないです」

榛名「提督がいないと、何もできないんです」

榛名「提督との楽しい語らいの日々は」

榛名「もう、一緒に過ごすことはできないんでしょうか」

榛名「悲しくて、涙も枯れてしまいました」




7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 22:41:06.55 ID:UHF6wG/i0
榛名「榛名達に、何の罪があるのでしょうか」

榛名「でも、榛名は信じています。提督はきっと、まだ生きているって」

榛名「提督がいない毎日は、とても長く感じます」

榛名「榛名はもう、耐え切れそうにないです」

榛名「だから、早く帰ってきて下さい、提督」




8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 22:45:17.44 ID:UHF6wG/i0
榛名「提督・・・・・・?」

榛名「本当に・・・本当の本当に提督なんですか?」

榛名「―――っ!」ダキ

榛名「う・・・うぅ・・・!」ポロポロ

榛名「良かった・・・本当に良かった・・・!」ポロポロ

榛名「榛名は信じていました! 提督は絶対に生きているって!」ポロポロ

榛名「あ・・・」

榛名「・・・ふふ、提督に頭を撫でられるのも、久しぶりですね」




9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 22:50:30.06 ID:UHF6wG/i0
榛名「提督、みんなも待っています。早く会ってあげて下さい」

榛名「榛名も金剛姉様も、みんな提督のことを待っていました」

榛名「長く、辛い毎日でしたが、みんな元気ですよ」

榛名「さぁ、早くこちらへ」




11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 23:00:51.93 ID:UHF6wG/i0
榛名「みんな、とても喜んでいましたね」

榛名「金剛姉様も、みんなも涙を流して喜んでいました」

榛名「金剛姉様が泣き止まなくて、困ってしまいました」

榛名「そういえば、まだお風呂に入っていませんでしたね」

榛名「提督、今日は一緒に入りましょう」

榛名「恥ずかしがる必要はありません。榛名達は、契りを交わしている仲ではありませんか」

榛名「さぁ、久しぶりにゆっくり浸かりましょう」




12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 23:09:46.81 ID:UHF6wG/i0
榛名「今夜はゆっくり休んで下さい」

榛名「提督があの後、どう過ごしていたのか気になりますが」

榛名「それはまた、明日にでもお話しましょう」

榛名「何の変哲もない、普通の日々が」

榛名「こんなにもありがたいことだったなんて」




14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 23:14:52.64 ID:UHF6wG/i0
榛名「提督、あの時は榛名を助けてくれて、本当にありがとうございました」

榛名「提督が来てくれなかったら、きっと榛名は深海棲艦に沈められていたでしょう」

榛名「本当に嬉しかったです」

榛名「そして、あの時提督を助けられなかった榛名を、許して下さい」

榛名「榛名が離脱しなければ・・・榛名にもっと力があれば」

榛名「提督を助けられたかもしれなかった」

榛名「ん・・・」ポン

榛名「そんな、気にするなって・・・」

榛名「・・・提督、ありがとうございます」

榛名「ずっと、一緒ですよ?」




15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 23:17:56.86 ID:UHF6wG/i0
榛名「ふふ・・・久しぶりですね。一緒の布団に寝るのは」

榛名「提督の顔・・・冷たい」スッ

榛名「でも、榛名にとっては暖かいです」

榛名「提督がいてくれるだけで、榛名は幸せです」

榛名「提督、その・・・久しぶりに・・・」

榛名「ん・・・」




17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 23:23:33.47 ID:UHF6wG/i0
榛名「提督が帰ってきてから、3月が過ぎましたね」

榛名「提督のいない辛い毎日は、とても長く感じましたが」

榛名「提督と一緒に過ごす毎日は、本当に短く感じます」

榛名「本当に・・・」

榛名「提督が帰ってきてくれて、泣きじゃくる榛名を」

榛名「提督は、優しいその手で頭を撫でてくれました」




19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 23:26:53.64 ID:UHF6wG/i0
榛名「提督の手は、とても冷たく感じましたが」

榛名「とても、とても暖かい手でした」

榛名「そして、疲れているはずなのに」

榛名「無理して微笑んで、榛名を抱いてくれましたね」




20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 23:31:48.85 ID:UHF6wG/i0
榛名「・・・・・・」

榛名「・・・やっぱり・・・そうですか」

榛名「・・・・・・」

榛名「提督は、本当に榛名達のことを大切にしてくれました」

榛名「兵器である榛名達のことを、人間として接してくれました」

榛名「戦争しか知らなかった榛名達に、生きる喜びと楽しみを教えてくれました」




21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 23:37:25.04 ID:UHF6wG/i0
榛名「それなのに、別れを告げるんですね」

榛名「良いんですよ。榛名には、もうわかっています」

榛名「ありがとうございます、榛名の優しい提督」

榛名「書類作成をしている最中、1枚の書類を見た途端、血相を変えていましたね」

榛名「くしゃくしゃにして、机に閉まっていましたが」

榛名「榛名、見ちゃったんです」





22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 23:38:48.77 ID:UHF6wG/i0


榛名「提督の・・・死亡報告書を」





23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 23:49:29.04 ID:UHF6wG/i0
榛名「提督の乗った哨戒艇が沈んだあの海域から、遠く離れた小さな孤島の沖に」

榛名「提督は流されたんですね」

榛名「提督は、あの時脱出していたんですね」

榛名「でも、途中で力尽きて・・・」

榛名「・・・・・・」

榛名「体が沈まず、そのまま海を彷徨っていたなんて、奇跡ですよね」

榛名「まるで、未練があるように・・・沈むわけにはいかないって」




24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 23:52:15.35 ID:UHF6wG/i0
榛名「提督は、やっぱり優しいです」

榛名「榛名だけではなく、みんなにです」

榛名「自分が死んでも、こうして榛名達に会いに来てくれるなんて」

榛名「でも」

榛名「その優しさは、今の榛名達には残酷過ぎるものなんです」




25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 23:55:47.12 ID:UHF6wG/i0
榛名「・・・榛名が、榛名があの時提督を助けていれば」

榛名「提督は死なずに済みました」

榛名「みんなを愛し、みんなから愛された提督は」

榛名「もういない」

榛名「どこにもいないんです」

榛名「あるのは、提督と過ごした日々の記憶だけ」

榛名「・・・・・・」

榛名「あの時、沈むのは榛名だけで良かったんです」ツー

榛名「ゴメンなさい・・・ゴメンなさい・・・!」ポロポロ




26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/09(金) 00:02:38.44 ID:3QAEtmgc0
榛名「・・・提督は、最期まで榛名に優しいのですね」

榛名「榛名の所為なのに、そんな言葉をかけてくれるなんて」

榛名「・・・・・・」

榛名「なんだか、提督らしいですね」

榛名「では、行きましょう」

榛名「途中まで、榛名もご一緒します」




27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/09(金) 00:06:11.88 ID:3QAEtmgc0
榛名「・・・提督は、逝ってしまいましたね」

榛名「みんなには別れを告げず、榛名だけに・・・」

榛名「・・・・・・」

榛名「提督が大好きだった、青い海」

榛名「そんな海が、榛名も大好きです」




28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/09(金) 00:11:37.19 ID:3QAEtmgc0
榛名「今はもう、空は青くありませんが」

榛名「夕波が綺麗ですね」

榛名「提督、見ていますか?」

榛名「こんな綺麗な光景、提督と一緒に眺めたかった」

榛名「・・・・・・」

榛名「提督は、ずっと榛名達の記憶の中で生き続けます」

榛名「ありがとうございます、榛名の優しい提督」

榛名「そして」




榛名「さようなら、榛名の・・・」

榛名「優しい提督」




――― 終 ―――





29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/09(金) 00:28:42.45 ID:o0eO2lVh0




引用元: 榛名「おかえりなさい」





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