バルセロナで開催された
MWC 2015より。クアルコムはLTEの高速化技術「LTE-U」のデモを実施しました。WI-Fiで使う5GHz帯など免許不要の周波数帯域でLTEを使い、既存LTEとのCAで通信を高速化します。担当者は『
5GHz帯はWi-FiよりLTEで使うほうが効率的』と話します。
クアルコム LTE-U
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MWC 2015のクアルコムブースで注目を集めたのが「LTE-U」です。背景にはモバイル機器の普及とともに世界的にモバイル通信用の周波数帯域が不足している現状があります。
このため携帯各社は新しい周波数帯域の獲得を目指していますが、LTE-UはWi-Fiで活用している5GHz帯など免許不要の周波数帯、いわゆる
ノンアライアンスバンドでLTEを吹き、既存のLTEとのキャリアアグリゲーションにより通信の高速・大容量化を実現します。
ノンアライアンスバンドをLTEに使うため、通信キャリアから見れば新しい周波数帯域を確保せずに通信を高速・大容量化できるメリットがあり、クアルコムはこの点をアピールしています。
ただLTE-UはWi-Fiと同じ5GHz帯なども活用するため、既存のWi-Fiのスループットに悪影響を与えるのではないかという懸念があります。
クアルコムのデモ展示はそうした懸念を払拭する目的。米サンディエゴにあるクアルコムの本社キャンパスで実施中の屋外試験の様子をリアルタイムでモニタリングする内容でした。上記画像の広場の中央にWi-Fiホットスポットを備えたカフェがあり、それを囲むように6つの基地局を配置。
その基地局が吹くLTE / Wi-Fiアグリゲーションの電波を順次LTE / LTE-Uアグリゲーションに切り替えていき、中央にあるカフェのWi-Fiホットスポットへの影響およびネットワーク全体におけるスループットを検証します。
結果的には基地局のWi-FiをLTE-Uに吹き替えたことで基地局単体のスループットが向上。またカフェのWI-Fiも悪影響どこかスループットが向上。ネットワーク全体でスループットが向上しました。
(追記:カフェWi-Fiのスループットが向上した理由は、周囲の基地局が吹いていたWi-Fiをより周波数利用効率の高いLTE-Uに置き換えたことにより、帯域が空いたため)
この点についてクアルコムの担当者は『
Wi-Fiに比べてLTEのほうが耐干渉性が高く、利用効率がいい』『
5GHz帯はWi-FiよりLTEで使うほうがいい』と説明しました。
なおLTE-Uは米国では早ければ2016年にも商用化予定。日本や欧州ではリリース13という要件がありこの標準化のため、商用化は2017年以降となる見通しです。
クアルコムブースではこのほか『
Wi-FiとLTEの共存』を掲げ、LTEとWi-Fiをアグリゲーションして通信を高速化する「LTE / Wi-Fi リンクアグリゲーション」のデモや、256QAMを適用して下り600Mbpsを達成する。LTE Cat 11のデモも行わました。
MWC:クアルコムが受信600MbpsのLTE-A Cat.11をデモ。3x CAと256 QAMで通信高速化