一方通行「なンにもねェなァ……」れんげ「……やっぱりここ、田舎なのん?」【後半】
- 2015年03月12日 23:10
- SS、とある魔術の禁書目録
- 2 コメント
- Tweet
一方通行「なンにもねェなァ……」れんげ「……やっぱりここ、田舎なのん?」【後半】
一方通行「……あァ、違ェよ、先にこっちの計算から始めンだ」
夏海「あー、なるなる」カキカキ
れんげ「ウチも絵日記描き終わったし何かしたいのん」
小鞠「れんげはそれ以外もう全部宿題終わってるんだよね?」
れんげ「終わってるん、こまちゃんもほたるんも終わってるん?」
小鞠「当然、大人の女性としては、夏休みギリで宿題終わらせるなんてことしないもんねー」
蛍(あああああ背伸びしてるこまセンパイ可愛い!)
御坂妹(とか思ってるんでしょうね、ほたるん……)
夏海「ど、どう……?」
一方通行「……おゥ、正解だ。なンだ、やれば出来るじゃねェか」
夏海「ふ、ふっふーん! そうだよ、夏海ちゃんはやれば出来る子なんだからね!」
一方通行「じゃ、次はこっち行くぞ」つ国語ドリル
夏海「」
夏海「ちょ、ちょっとあーくん、流石に勘弁……」
御坂妹「ほほぅ、国語ですか、とミサカは興味津々にドリルを覗き込みます」
小鞠「あれ、ミサカさんの所ではこういうの使ってないの?」
御坂妹「いえ、ミサカは正規の生徒では無いため通常の教育は――モガっ」
一方通行「ややこしくなること言うンじゃねェよ!」
小鞠「?」
一方通行「……まァ、ちょっとコイツは身体が弱くてなァ、昔はあンま学校行って無かったンだわ」
一方通行(ってことにしとけ)ヒソヒソ
御坂妹(しょうがないですね、とミサカはしぶしぶ了承します)ヒソヒソ
小鞠「そっかー…だから昨日はあんなに楽しそうにしてくれてたんだね」
御坂妹「ええ、ミサカにとっては全てが新鮮な出来事でしたから」
小鞠「もっと、色々なこと経験させてあげたいね。こんな田舎じゃ、何が出来るかホント分からないけどさ」
夏海「そーだよねー、ここって無駄に広いことと、人口少ないこと暗いしか誇れることないし」
小鞠「むしろそこは誇って良い所じゃないでしょ……」
蛍「で、でも空気とかは美味しいですし、景色もすごく綺麗ですよ!」
小鞠「あはは、フォローありがと、蛍。でも、何かしてあげたいよね、折角来てくれたんだし……」
一方通行「まァ、あンま深く考えなくていい。昨日は散々世話になったし、それだけでも十分なもンだ。それより、オマエはこっちに集中しろ」
夏海「はーい……ってもウチこういうの苦手なんだよねー……」
御坂妹「なるほど、このように教科書に載っている小説や随筆からの出題と言うわけですか」
夏海「主人公の隠された気持ちとか知らないっての! 作者が何を意図していたとかさー! 締め切りやべー! とかそれが一番確率高いでしょ!?」
一方通行「世の物書き全員を敵に回しそうな発言だな」
小鞠「全く……えーとね、こういうのは、まず登場人物を整理するの。どっかに小さくでもいいから登場人物を記して、誰がどんな役割かって言うものを理解しておくんだよ」
夏海「えーと……これは、父、母、姉、主人公の四人……かな?」
小鞠「それに夏海っていつも国語のテストって最後の方まで解答出来てないじゃん? 本分をしっかり読み過ぎなんだよ」
夏海「えー! だって読まないと答え見つけられないじゃん!」
小鞠「あのねぇ……国語の問題はまず問題文を見るの。そうしたらそこにどの部分から~って書いてるのが多いから、その周りから探すのが一番早いの。全部なんか読む必要ないんだよ」
夏海「……おぉ! 確かに書いてある! 姉ちゃんすごい!」
御坂妹「なるほど、そのように解答するのが手っ取り早いのですね、とミサカは感心します」
蛍「センパイ、かっこいいです……!」
れんげ「先生みたいなのん」
小鞠「え、そ、そう? ま、まあ仮にも去年やった問題だし? これぐらい楽勝ってゆーか」
一方通行「ンじゃ、そっちは任せて大丈夫だな」
御坂妹「おや、あーくんどちらへ?」
一方通行「自販機までコーヒー買いに行ってくンだよ。朝はオマエに拷問まがいの飲まされ方したせいで碌に味も分かンなかったしな」
蛍「あ、一方通行さんは杖付いてますし、それぐらいなら私が……」
一方通行「男が年下のガキにパシリさせられる訳ねェだろォが。それぐらい分かれ」
蛍「あっ……えと、すいません」
御坂妹「謝る必要はありませんよ、ほたるん。あーくんはチャチなプライドを守るのに必死なだけです」
一方通行「あァそうですよ。夏海は俺が出かけてる間にもサボるンじゃねェぞ」ガラガラ
夏海「う……はーい……」
御坂妹「なっつん、ファイトです。ミサカたちが全力でフォローしますから」
蛍「――あ!」
小鞠「? どうしたの、蛍」
蛍「あの、これ……」
御坂妹「はぁ……あのもやし、こういう所ドジですね、とミサカは呆れ果てます」
一方通行「いい天気だなァオイ。……まァアスファルトじゃねェ分向こうよりマシか」
一方通行「まだ丸一日以上居る訳だからなァ……買い溜めしておくか……」ゴソゴソ
一方通行「…………」ゴソゴソ
一方通行「…………」バッ
一方通行「……ねェ」
一方通行「オィオィマジかァ……。財布忘れるとか三下じゃねェンだからよォ……」
一方通行「……杖付きの身には地味にキツい距離だよなァ……」
一方通行「…………」
一方通行「………クッ、おっ行ける……かァ?」ゴソゴソ
一方通行「…………お、以外とあるもンだな」
一方通行「まァ、あいつらが居なくて助かったな。まさかこの俺が――」
御坂妹「…………」
一方通行「」
御坂妹「…………」フイッ
一方通行「オイ」
御坂妹「何でしょう、ミサカは何も見ていませんよ、と思わず視線をそらします」
一方通行「待て、いや、マジで」
御坂妹「いえいえ、まさかあの学園都市第一位、世界最強を誇る一方通行が、自販機の下の小銭を探している所なんて――全然見ていませんから、ハイ」
一方通行「しっかり見てンじゃねェかァアアアアア!」
御坂妹「今の光景は白昼夢と思うことにします、とミサカは頑に目を合わせようとしません」
一方通行「待て待て待てェェェェ! 話すまでもねェがな、俺は杖付きだからこの距離を往復するのは――」
御坂妹「それ以上言わないで下さい。ミサカも出来ればあなたのその姿は見たく無かったのです、と思わず本音をぶちまけます」
一方通行「……ッ」
一方通行「……あァ、悪かった」
御坂妹「……一方通行、あなたは最強の能力者です。それはあなたに守られているミサカ達にとっても、誇るべきことなのです。安心すべきことなのです」
一方通行「……そうだな」
御坂妹「だからこそ……そのあなたが……財布を忘れたからと言って……」プルプル
一方通行「…………」
御坂妹「じ、自販機の下漁ってるとかマジ笑えねぇー! とあっもう駄目だミサカは最早限界ですwwwww」プギャー
一方通行「てめェしっかり笑ってンじゃねェかァァアアアアア!」
一方通行「ですよねェ! オマエそう言う風にしんみり見せといてとんだ爆弾最後に投げて来る奴ですもンねェ!? だろうと思ったよォ!」
御坂妹「おやおやいいのですか、あーくん。今のこの映像、ミサカの意思一つで全世界に散らばるミサカ達に同時生中継出来てしまうのですよ?」
一方通行「…………」
御坂妹「あの学園都市第一位が、財布を忘れたからと言って自販機の下を漁る動画をwwww」
一方通行「二度言うンじゃねェよ!」
御坂妹「…………」スッ ←こめかみに指を当てている
一方通行「いや、マジで勘弁してくンない? いや、ホントに」
御坂妹「どーしよっかなー、とミサカはワザとらしく鼻歌をふんふふーん」
一方通行「分かった分かった分かりましたよ! 何が望みだァ!」
御坂妹「えー? ミサカにそれ言わせちゃう? 言わせちゃうんですかぁ? とミサカはこの上なくイラつくであろう仕草でレッツダンス」
一方通行(耐えろ……耐えろ俺……!)プルプル
御坂妹「ま、ここ付いたときからずっと感覚共有オンにしてるんで関係ないですけどね、とミサカはこのタイミングでネタばらし」
一方通行「…………」
一方通行「……え?」
御坂妹「現在生放送中です」
一方通行「…………」
一方通行「ああああああああああァァァァ!?」
御坂妹「嘘ですよ」
一方通行「ああ……あァ!?」
御坂妹「さっきからやかましいですね、発情期かよ、ミサカはドン引きします」
一方通行「うるっせェ! え、何、どっちがホントなンだよ!」
御坂妹「だから流してませんよ、ちょうど今、トイレに言っていたので感覚切っていたんですよ、とミサカは気休めを言います」
一方通行「…………」
御坂妹「ホントにホントですよ。……ま、ミサカだけが弱みを握っている方が旨味がありそうなので、とミサカはぺろりと舌を出します」
一方通行「はァ……。心臓止まりそうになっただろォが……」
御坂妹「大袈裟ですね、ほら、財布です」
一方通行「あァ、ありがとよ……」
御坂妹「ミサカはオレンジジュースを所望します」
一方通行「ホラよ」ポイッ
一方通行「ついでにアイツらのも買っておくか」ガコンガコンガコン
一方通行「おっと、コーヒー買い溜めしとかねェとな」ガコンガコンガコンガコンガコンガコンガコンガコンガコンガコンガコンガコン
御坂妹「……コーヒー何本買う気だよコイツ、とやはりミサカはドン引きします」
御坂妹「ただいま帰りました、とミサカは華麗に帰還スライディング!」
一方通行「最早コイツの頭の中に遠慮の二文字は存在しねェな」
小鞠「お帰りなさーい。財布は無事に届けられたみたいだね」
れんげ「みっちょんが慌てて届けに行ったんなー」
一方通行「あまり思い出さ