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私「死ぬなら凍死がいい」|エレファント速報:SSまとめブログ

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私「死ぬなら凍死がいい」

1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 08:11:19.78 ID:J74Yqias0

私(死ぬなら凍死がいい)

私(車にひかれるのは私を引いた人に迷惑がかかるし)

私(首吊りもだめ)

私(私の死体を処理するお母さんに迷惑がかかる)

私(いろいろ垂れ流しとか聞いたことあるし)

私(雪に埋れて溶けて死ぬなら、まあいいかな)





2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 08:13:44.26 ID:J74Yqias0

路地裏、学校帰り

私(そこそこ積もってるなー)

トサッ

私(冷たっ)

私(ほっぺたいたい)

アハハー、ガヤガヤ

私(うちの小学校の子たちかな)

私(見られたら嫌だな)

私(気付かれませんように)



3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 08:16:11.16 ID:J74Yqias0

私(まあ門限までに死ねたらいいか)

トサトサ

私(足音?)

?「なにしてるの?」

目を開くと、雪に埋れた地面を踏みしめている仮面ライダーの靴が二つ見えた

男の子なのかな

男の子「なにしてるの?」

私(うるさいなあ)



4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 08:19:06.13 ID:J74Yqias0

私「別に」

男の子「寒くないの?」

私「うるさい、どっかいってよ」

そう吐き捨て、土の混じった雪を声の主に投げつけた。

男の子「」トサトサトサ

私「……行ったか」

トサトサトサト

私「またきた」

男の子「ねえねえ!これみて!!」



5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 08:20:18.54 ID:J74Yqias0

私「なによ、しつこい」

男の子「いいからこれみてよ!」

しぶしぶ顔を上げる。

雪は頬に張り付いていて、皮膚がはがれおちるんじゃないかと思った。

そこにあったのは、私の膝にやっと届くくらいの、小さな雪だるまだった。



6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 08:21:54.32 ID:J74Yqias0

男の子「どう?」

歪な二つの白い塊に

ところどころ欠けている枯れ葉の目

今にも折れそうなこげ茶色の枝の腕

パーツの一つ一つがなんだか間抜けで

じっと見ていると頬がゆるんだ。



7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 08:25:33.55 ID:J74Yqias0

男の子「あ! わらった!」

私(あ)

私(そっか、私笑えたんだ)

私(笑うのはいつぶりだろう)

私(お母さんに笑うなって言われてぶたれてからだな)

私「うるさい!」

認めるのは癪だからまた雪を投げつけた



8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 08:27:17.56 ID:J74Yqias0

それからしばらく彼は

学校であった面白い出来事などを一方的にしゃべると帰って行った。

いつの間にかあたりは暗く

電灯に照らされた雪だるまは冷たく光を反射していた。

このままでは門限を過ぎてしまう。

またお母さんに怒られる。

冷えた体に力を入れ、バランスを崩しながらも立ちあがった

私「あ」

私「死ぬの忘れてた」



9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 08:28:53.24 ID:J74Yqias0

 家に帰ると、なぜ死ななかったと言われた。

私はごめんなさいとしか言えなかった。

泣くことは許されなかった。

私は人ではないから。

屑で、お母さんの排泄物だから。

最近お隣さんが引っ越してきたから、大声を出さなくなったのはいいけれど

罵倒の数は変わらなかった。

六年生になっても関係ない。

母の言葉を受けながら、例の崩れ落ちそうな雪だるまを思い浮かべてみた。

不思議と気持ちは落ち着いた。



17:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 22:33:32.35 ID:J74Yqias0

次の日

トサトサ

私「なに、また来たの」

男の子「またきたよ!」



18:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 22:35:07.78 ID:J74Yqias0

私「なんで」

男の子「ゆきだるま、みてほしくて」

私(友達にでもみせればいいのに)

私「別にいいのに」

男の子「今日はね、昨日のより腕が長いんだ!」

私「あ、ほんとだ、枝太い」



19:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 22:36:14.35 ID:J74Yqias0

男の子「ゆきって、なんでこんなにつめたいのかな」

私「知らないわよ、雪だからじゃない」

男の子「へんなの」

私「変じゃない」

男の子「かきごおりのシロップかけたくなるよね」

私「まあ、それはわかる」

私(食べたことないけど)



20:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 22:38:00.97 ID:J74Yqias0

私(お菓子とか、おもちゃとか)

私(私何も知らないんだよね)

私(そういうのが当たり前の子が周りにはいっぱいいて)

私(こんなんだから自分は人間じゃないんだなあとか思いながら)

私(今日も死のうとしてる)

男の子「赤いランドセル、かっこいいね」

私「話変わってるし」



21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 22:39:12.28 ID:J74Yqias0

男の子「せおっても、いい?」

私「……」

私「勝手にすれば?」

男の子「かってに?」

私「別にいいよってこと」

男の子「わーい!」

ごそごそ

私「勝手に中身いじくらないでよ恥ずかしい」



22:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 22:40:50.53 ID:J74Yqias0

男の子「もうすぐふゆやすみだね」

私「そうだね」

私(家に長くいなきゃいけない)

私(最悪のイベント)

男の子「どこかいくの?」

私「どこもいかない」

男の子「なにしてるの?」

私「ずっとここで寝てる」



23:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 22:42:30.01 ID:J74Yqias0

男の子「さむいよ?」

私「関係ないでしょ」

男の子「へんなの」

私「あんたに言われたくないよ」

男の子「……」

男の子「ぼく、へん?」

私「うん、変」



25:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 22:44:27.12 ID:J74Yqias0

男の子「ぼくねー、ふゆやすみねー」

私(きいてねえし)

男の子「スキーするんだ!」

私「へー、いいね」

男の子「まえのふゆやすみもやったんだよ!」

私「そんな簡単なもんなの?」

男の子「いっぱいころんだけどね」

私「だめじゃん」

男の子「でもたのしかった!」

私「そんなもんなんだ」

男の子「うん!」



27:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 22:46:01.33 ID:J74Yqias0

男の子「いっぱいころんだらね」

男の子「いっぱいすべれるようになるって」

男の子「おとうさんがいってたんだ」

私(お父さんか)

私(うらやましい)

私「転び続けて骨折しなくてよかったね」

男の子「こっせつなー」

私「したことあるの」

男の子「ない!」

私「ないんだ」



29:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 22:47:27.19 ID:J74Yqias0

男の子「おねえちゃんは?」

私「え」

私(……お母さんに投げ飛ばされた、時かな)

私(結局病院連れてってくれなかったし)

私(骨折するのは私が貧弱だからだって)

私(排泄物を病院に連れてく必要ないだろって)

私「まあ、ちょっとだけ」

男の子「へー」

私「興味なさそうねあんた」



30:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 22:48:29.87 ID:J74Yqias0

男の子「いたかった?」

私「……」

私「まあ、ちょっと」

私(かなり)

男の子「じゃあぼく気をつけなきゃね」

私「そうだね、なるもんじゃないよ」



31:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/09(月) 22:49:48.47 ID:J74Yqias0

男の子「もうかえるね」

私「あ、もうかえるの」

男の子「おねえちゃんもはやくかえりなよ」

私「はいはい」

男の子「ばいばい!」

とさとさ

私(そういや、名前とかきいてないな)

私(顔すら見てない)

私(そして今日も死ねなかった)



38:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/10(火) 22:34:58.48 ID:kkMeoDl60

次の日

私「今日はなに、雪だるまじゃないの」

男の子「えへへ、ないしょ」

私「あっそ、べつに興味ないし」

男の子「もうちょっとまっててね!」

私「待ってないから」



39:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/10(火) 22:36:21.22 ID:kkMeoDl60

私(饅頭みたいな形)

私(あ、あれか)

私「ゆきうさぎ」ぼそ

男の子「あ! ばれちゃった」

私「え、聞こえたの?」

男の子「うん!」

私「あんなに小声だったのに」



40:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/10(火) 22:38:55.62 ID:kkMeoDl60

男の子「ぼくね、耳いいんだ」

私「へー」

私(いいな、なにか誇れるものがあるって)

私(人より優れている点ってのが、ないんだなあ)

男の子「つぎはねー、もっとおおきなやつつくるんだ!」

私「はいはいがんばってね」

男の子「ありがとうおねえちゃん!」

私(ありがとう、か)

私(言われるとうれしいもんだね)



41:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/10(火) 22:40:54.68 ID:kkMeoDl60

男の子「うさぎできた!」

私「へー、立派なもんね」

私「かわいい」

男の子「ありがとう!」

私(いかん、無意識に)

私(この子といると調子が狂う)



42:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/03/10(火) 22:42:33.93 ID:kkMeoDl60

男の子「おとうさんもね、みみいいんだ!」

私「そうなの?」

男の子「うん! ジャーなんとかにみみはひっすなんだ
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    コメント一覧

      • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年03月12日 22:26
      • いい話だね
      • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年03月12日 22:30
      • 5 いいはなしだなー
      • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年03月12日 22:34
      • ( ;∀;) カンドーシタ
      • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年03月12日 22:39
      • タイトルだけ見て、どっかの提督が「死ぬなら酒飲んで凍死」って言ってた小説を思い出した。
      • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年03月12日 22:40
      • 良かったよぉ…
      • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年03月12日 22:42
      • 私は好きだね、これ
        私も自作小説書いてるけど落選云々の前にもう全然筆が進まなくて…
      • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年03月12日 22:48
      • 面白かった
        途中の喋るバイクで~てセリフあったけど落選した賞てのは電撃大賞か
        このレベルで電撃は狙えないのか
        まあこれに金は払えないな
        プロとアマの壁は厚いなあ
      • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年03月12日 22:50
      • 時期的にゆきのまち幻想かな
      • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年03月12日 23:18
      • 5 SSにしてはレベル高いと思ったらそういうことか。
        俺は好きだ。
      • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年03月12日 23:21
      • 評価するとしたら、佳作って所かな
        ハッピーエンドというわけでもなく、かといってバッドエンドってわけじゃない
        まぁ、この題材で当選は厳しいけど、こういうSSスレとしてはちょうどいいくらい

        何度も凍死しようとしてそこで出会った少年と色々した
        …で? 凍死をどこまでテーマとして引っ張れたかでパンチが違ったと思う
      • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年03月13日 00:01
      • これ、ラノベ向きじゃないと思うけどなあ。
        仮に電撃から出てたとしても違和感あるもの。
        アレンジ前のがわからんが、こういうの好きだわ。
        何だか乙一の箱庭図書館読み返したくなった。

    はじめに

    コメント、はてブなどなど
    ありがとうございます(`・ω・´)

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