提督「艦むすの感情」
<読む前に>
*独自設定の塊です。
*Ep:1~4までの4部構成となっていますが、短編です。
おつきあいいただければ幸いです。
<Ep1:Epilogue>
21世紀、人々は戦争とは無関係な日々を過ごしていた。
戦争経験世代は生きている者も少なくなり、戦争の恐ろしさを伝える者も、減る一方だった。
しかし人類は、人類以外の、新たな敵と遭遇した。
『深海凄艦(シンカイセイカン)』
突如、日本領海の東方に出現し、人間を攻撃し出した謎の生き物。
岩のような体を持ち、火薬で人類を攻撃してくる。
どこで生まれるかも分かっていない。
なぜ、人類を標的とするのかも、分かっていない。
知能、運動能力の高さも、やつらの文明の高さも不明。
全てが謎の生き物だった。
宇宙人という説が、現在最も有力ではある。
日本の自衛隊は、奴らと戦った。
勝つこともあれば、負けることもあった。
意志を持った生き物が、謎の火気を用いて、個人で軍隊に挑む。
そもそも、人類が、人類以外と戦争すること自体が、前代見門だった。
目には目を。歯には歯を。
政府は、対深海凄艦の軍隊を編成することを決めた。
現代の、遺伝子・クローン技術を使い、新たな生物を作りだした。
それは『艦むす』と呼ばれた。
過去の戦争において、活躍した艦をモデルとして、ヒト形生物を作りだした。
それは、『人』を死なせたくないという、人類の思いに沿ったものだった。
艦むすは数週間で、目標の姿にまで成長をする。
日本語を操り、感情を持ち、知性を持ち、相当の運動能力を持つ。
そして艦むすに小型の艤装を取り付ければ、対深海凄艦の『武器』となる。
/////
<Ep2:着任>
私は、艦むすを指導する提督として、今日からこの鎮守府に着任する。
深海凄艦との戦争を、艦むすで行う初めての世代であり、情けなくも、緊張してしまう。
***
話では、この提督室に、艦むすが全員集まっているらしい。
中から何も聞こえない。
ガラッ
ドアを開けると、そこにいたのは、セーラ服を着た少女一人だけだった。
顔を緊張させながら、こちらを見つけてくる。
クローンとは、武器とは思えない、その澄んだ目。
提督「……君が、艦むすかい?」
電「は、はい! 暁型駆逐艦第四番艦電(イナヅマ)です! 司令官さん、今日からお世話になります。」
彼女は脇をしめて手を額に当て、その後、最敬礼する。
艦むす『たち』と聞いていたのだが……
提督「……他に、艦むすはいないのか?」
電「はい! 現在の艦むすは電だけです! 事務仕事をする『任務娘』さんはいらっしゃいます。艦むすの発注は『建造』と言って、使用する資材の量のデータを本部に送ると、派遣される艦むすと艤装が速達で本部からこの鎮守府に届きます」
提督「……建造と任務娘さんに関しては聞いていた」
電「! 申し訳ありません!」
電は深々と頭を下げる。私は彼女の頭に手を置き、話しかける。
提督「そんなに堅くなる必要はない。……そうか、早速建造をしないとならないな……まあ、任務さんに色々聞いてみるか……ん? どうした、電」
電は耳を赤くして、うつむいている。
電「いや! ……司令官さんが頭を撫でてくれたの、嬉しいです。ありがとうございます」
電は満面の笑みで、私を見上げてきた。
私はどきりとした。
見た目こんなに幼い子にありがとうと言われてよろこぶのは、今年25の男として危険だ。
私は無表情を貫き、提督室まで歩いた。
少し歩いて、ふいに後ろを向くと、そこに電がいた。
ずっと、後ろを付いていたらしい。
提督「……君は、どこに行くんだ?」
電「え、えと、提督室ですが……」
提督「……なぜ?」
電「え? ……その、私しか艦むすがいないから、自動的に私がヒショカンになるのでは……」
ヒショカン、ああ、『カン』の字は艦か、ややこしい。
提督「そうか、すまない」
電「いえ、大丈夫です」
私は提督室に入る。あるのはパソコン二台のみ。人の気配もない
とりあえず机に座ると、パソコンの画面に、女性が映っている。急のことに、驚く。
任務娘「初めまして、提督。提督の任務をサポートさせていただきます。よろしくお願いします」
提督「ああ、いえ、こちらこそ、お世話になります」
私は任務さんと、映像で会釈を交わし、定期的に本部から送信される任務について一通りの説明を受けた。
本部からの任務の全て管理をする人らしい。
ちなみに人間だった。
***
提督「じゃあ、まずは建造をしようか。」
電「なのです!」
電から、数十分前の堅さは抜け、まるで、親子のような間柄になっている。
私はPCの建造アプリを起動する。
提督「最初は一番少ないので回してみよう」
電「電一人では、さすがに戦えないのです」
私はとりあえず、最小のオール30での建造依頼を出す。
建造まで、20分。
この時間は、本部にて艤装を作るのにかかる時間らしく、艦むすが来るのは、その数時間後らしい。
ふと横を見ると、電が嬉しそうな顔をしている。
電「もしかしたら、電のお姉ちゃんたちが、ここに来るかも知れないのです」
提督「ほう……姉妹艦のことか」
電「はい! 暁型は建造が20分と決まっているのです!」
私は電の嬉しそうな顔を横に見ながら、別の作業に取り掛かる。
まだやることは山積みだ。
***
任務さんを頼りに、報告書を書いたり、鎮守府を見学したりしていると、新しい艦むすが、『2人』やってきた。
吹雪「特型I型駆逐艦一番艦の吹雪と申します。今後っ……」
私はそこで、自己紹介を止めさせた。
出撃ではないのだから、もう少し、ゆるくいてほしかった。
提督「肩の力を抜いて、もう一度、自己紹介をしなさい」
吹雪「あっ…はい、はじめまして吹雪です。よろしくお願いいたします!」
私は吹雪に微笑みかけてから、次の子に目線を移した。
綾波「あっ、えーと、特型II型駆逐艦1番艦の綾波ともうします。よろしくお願いします」
二人とも外見は、電よりも背が高く、もう少し年を取った感じで、真面目そうな娘だ。
提督「私が提督だ。電、この二人に鎮守府を案内しなさい」
電「了解です!」
艦むすが部屋から出て行ったのを見計らい、私はため息を付いた。
ああいう娘たちも、深海凄艦と戦うことになるのか……そう思うと、なんだかやるせない気持ちになる。
しかし、やって来た艦むすが皆、真面目そうで良かった。まあ、問題児みたいなのはいないとは思うのだが。
ただ、一つ気になる事がある。
あの娘たちは、ここに来る前は何をしていたのだろうか……
見たところ、電も吹雪も綾波も顔見知りのようだったのだが……
<IN 艦むす養成施設>
講師「今日の授業はここまでだ。前にも言ったが、テストは全て抜き打ちだ。勉強を欠かさないでほしい。鎮守府に入ったら、座学はない。この時期にしっかりと勉強しなさい。では、また来週」
艦むす達「ありがとうございました!」
天龍「あ~終わった。体がなまってるぜ」
龍田「天龍ちゃ~ん。なんなら私と手合わせしない?」
天龍「お、いいな? どこでやるんだ?」
……私はこの施設で、艦むす達の講師をやっている。さっきの授業は化学。浸透圧とか希薄溶液とかの高度な理論の話はほとんどせず、無機の話ばかりをしている。もちろん、高校化学のレベルだ。
最初に、この施設への赴任が決まったときは、不安で寝不足になっていた。
最新のクローン技術で作られた、戦うためのヒト形生物への教育。
不安にならないわけがない。
しかし、実際に艦むす達と接してみて、今でも感じること。
普通の人間と代わりがない。
意志を持ち、感情を持ち。食事をし、排便をし。友情を築き、信頼し、時に喧嘩し。
普通の人間と何一つ変わらないのだ。
私はかつて、誰も会話をしようとしないために静まりかえり、毎日どこかしらで喧嘩が起こり、警備の銃声が飛び交う。そんな環境を想定していたものだ。
しかし、実際は違った。そもそも私は、彼女達に、無意識の偏見を持っていた。
クローンヒト形生物は、人造人間でも、アンドロイドでもない。
立派な生物なのである。
大学で生命理工学を学び、クローン技術の研究をした身として、恥ずかしい。
***
?「そうか、温かそうな鎮守府で安心したよ。ありがとう、電」
電「はい、司令官さんはとても優しいのです。電がいつもどおりの自己紹介をしたら、『そんなに堅くしなくて言い』なんていってくれたのです」
?「あーあ、私も早く鎮守府に行きたいわ~。戦うのは少し怖いけど、勉強詰めなのも結構辛いわよ……」
電「電はまだ出撃していないから、戦いのことはよく分からないのです」
?「あら、そうなの? もう2回くらい出撃したのかと思ったわ」
コメント一覧
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- 2015年03月13日 21:54
- 自決するほどではないにせよこの提督は普通に無能だろ
傷害の件も瑞鳳への対応も糞過ぎ
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- 2015年03月13日 21:56
- 提督にハート型の首飾りを着けてもらってから一日毎に周りの娘もそれを着けていく日常を目の当たりにした大和さんの画像下さい
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- 2015年03月13日 22:00
- 提督も北上も大井も少し情緒不安定に描きすぎではないかと思うわ
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- 2015年03月13日 22:05
- 大井クズすぎィ!
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- 2015年03月13日 22:07
- 瑞鳳編だけ別人なんじゃないかってくらい性格悪いな提督
北上と大井もゴミだし
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- 2015年03月13日 22:11
- 深海棲艦が深海凄艦になってる時点でだいぶ嫌な予感した
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- 2015年03月13日 22:28
- 戦時に病まない方がおかしいって事か
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- 2015年03月13日 23:08
- 深海凄艦とは
深海にいる凄い艦のことだっ!
つまり大和とか長門とか
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- 2015年03月13日 23:10
- いつから大和と長門が潜水艦になったwww
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- 2015年03月13日 23:31
- 深海の凄い艦… レ級かな?
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