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橘「マスターいつもの」 キョン「はい」



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4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 09:20:20.92


橘「じゃあコレ、少ないですけど…」

>>1「へへへ、いつもすいやせん」

橘「またよろしくなのですよ、ぬふふ」

>>1「ぬふふ」


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 09:33:36.18


キョン「はい『いつもの』です」

橘「面白いですね、この出し物」

キョン「ああ、うちのクラスにもやる気がある奴がいたみたいでな」

橘「『いつもの』、『あれ』、『例のやつ』どれも変わったメニューですね」

キョン「なんたって常連気分で楽しむ喫茶店だからな」


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 09:37:53.16


橘「で?」

キョン「ん?」

橘「いつ頃、上がれるんですか?」

キョン「あと30分ぐらいかな、谷口が時間通りに来るか解らないが」

橘「じゃあ、その後、私と一緒に回りましょう!」

キョン「はあ? 何で、佐々木とでも回れよ」


9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 11:16:26.16


橘「今日は一人で来ました」

キョン「何でまた」

橘「確かに佐々木さんを連れてくるとキョンを釣りやすいですけど」

キョン「決して本人の前で言うことでは無いな」

橘「テストが近いようで誘っても来てくれませんでした」

キョン「……お前も同じ高校だったよな」

橘「はい!」

キョン「テスト勉強はどうした」

橘「まだ一年生なので大丈夫です!」


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 13:01:45.33


キョン「お前なあ、そういう考えが命取りなんだぞ」

橘「もしかしてキョンさんって」

キョン「何も言うな」

橘「なるほど、キョンさんは落ちこぼれなんですね」

キョン「何故そうなる!?」

橘「キョンさんが何も言わない限り私の中でのキョンさんはどんどん落ちこぼれます!」

キョン「……落ちこぼれたら俺を誘うメリットは無くなるな、去れ」

橘「ぬかりました!」

谷口「キョン、誰だ、その可愛い娘」


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 13:06:58.87


キョン「可愛い娘なんてどこにいる」

橘「目の前にいるじゃないですか」

キョン「見当たらないな」

橘「名誉棄損で訴えますよ」

キョン「元々お前に可愛いなんて名誉は無い」

谷口「何でいつもいつもお前ばかり」

キョン「谷口、何か勘違いしてないか?」

谷口「勘違い?」







16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 13:11:13.04


キョン「ああ、お前はこいつを俺の知り合いだと思ってるだろ」

谷口「現に仲良さそうじゃねえか」

キョン「今回のクラスの出し物を思い出せ」

谷口「喫茶店だろ?」

キョン「ああ、常連気分で楽しむ、な」

谷口「あ、もしかして!」

キョン「そう、こいつは俺の知り合いじゃなくて店員と常連って設定で話していただけなんだ!」


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 13:19:05.67


谷口「そうか、そうだったのか」

キョン「ああ」

谷口「何だよ、俺はてっきり幼なじみの後輩がキョンの文化祭に行きたがったけど
生憎テストが近くて行けないから後輩が一人で遊びに来たのかと思ったぜ」

キョン「そんな訳無いだろ」

谷口「だよなー」

キョン&谷口「ははははは」

谷口「じゃあ俺、入るからキョン抜けろよ。次は俺がその娘に付き合うぜ」

キョン「おう、頼むわ」


谷口「やあ、いらっしゃい……ってあれ?」


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 13:26:12.77


橘「何なんですか、あの人」

キョン「クラスメイトその1」

橘「まさか超能力者だったり」

キョン「さあな、少なくともそんな話は聞いたことないぞ」

橘「今度、機関に問い合わせてみます」

キョン「ところで橘」

橘「はい、何ですか、キョンさん」

キョン「本当に俺に付いてくるのか?」

橘「はい、勧誘のためですから」


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 13:39:23.58


キョン「回りたい所も無いし屋上で寝ようと思ってたんだが」

橘「屋上に行けるんですか!?」

キョン「いや、正確に言うなら屋上への扉の前で、だ」

橘「つまりは、暇なんですよね」

キョン「いや、寝ないといけないしな」

橘「暇なんじゃないですか!?」

キョン「正直に言うと、暇、と言ってしまう事に対して嫌な予感がするんだ」

橘「ためしに言ってみて下さいよ」

キョン「暇」

橘「暇って言いましたね、じゃあ私と一緒に回りましょうよ。面白そうな劇見つけたんです
あと美味そうなお店も、あ、もちろんキョンさんのクラスは面白いだけでなく美味しかったですよ
さあさあ、まずは3-2の劇に行きましょう、キョンさんの所にいく途中で面白いって言ってるのきいたんですよ」

キョン「うん、俺の予感当たるわ」


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 16:57:11.17


可愛いからなんでもいいさ



32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 17:10:51.73


カランと扉の上部についた来客を知らせるベルが涼やかな音を鳴らし、
私は久方ぶりに聞くその音を受けながら店内に足を進める。

「マスターいつもの」
「はい」

 カウンターに座って私が注文すると、
すでにマスターは私の顔を見て用意していたかのように
素早くいつものカクテルを私の前に差し出す。

 店内にはどこかで聞いたことがある、
しかし曲名がでてこないようなそんなクラシックが
邪魔にならない程度の音量で静かに流れている。
私はカクテルを少し眺めて、少し口に含む。
甘い、爽やかなアルコールの味がした。


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 17:16:53.08


>>32

 私の他に客は二人だけ。
小さい店というのを除いても、相変わらず少ないお客に
人知れず微苦笑が浮かぶ。

 そしてその二人のお客も、
大して間を置かずに代金を置いて
カランと小さなベルの音と共に店をでていってしまった。
残ったのは、私とマスターだけ。

「相変わらずね」

 二人だけになり、クスクスと私は笑いながら
あまり似合ってるとは思えないバーテンダーの服装をした
客と常連以上に古い付き合いのマスターに話しかける。

「それは店がか? それとも俺がか?」
「両方、かな」
「ま、そうだな。どっちも確かに相変わらずだ」







34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 17:25:37.47


>>33

 ポーズでしていたグラス磨きの手を休めて、
彼はカウンターの向こうにある椅子に腰掛け
客用のそれより小さなグラスに度数の低いお酒を注ぐ。

「だが、お前も久しぶりのわりに変わった様には見えんぞ」
「そうかしら? でもこの間鏡を見たら白髪があったのよ」
「そんなもん、俺だってとっくだ」

 笑って、一口グラスに口を付ける彼。
私もそれにつられて半分まで減ったカクテルを飲み干す。
彼はそんな私を見てまた少し笑って、立ち上がり扉に向かう。

「今日は久しぶりだし、たまには語り合うか橘」
「それはいいですけど、でも少ないお客さん逃がしていいの? キョンさん」
「ま、大丈夫だろ」

 そういって、彼は扉のノブにぶら下がる表札を裏返した。


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 17:37:51.20


―――

「結婚、とかしないんですか?」

 新しく作ってもらったXYZを飲みながら私は問う。
いつまでも、指輪のつかない互いの左手の薬指。
二十歳も半ば以上過ぎ、
同級生だった友人で結婚してる人も少なくは無い。
私はいわゆるOLって奴で毎日お仕事だし、
彼は彼でこんな所でこんなことをしている。
あまり、出会いと縁があるとは言い難い。

「考えてない訳じゃないがな」
「相手がいないってのはなし」
「……あー」
「佐々木さんも涼宮さんもいたでしょう?」

 彼は言われて目を逸らす。
わかりやすい反応に私は嘆息をつく。
高校時代、中学時代から想いを募らせていた彼女達は、
しかし無残に散り、佐々木さんは別の男性と結婚して
涼宮さんは確かいまは自分の会社で仕事一筋のような形で過ごしてる。
二人とも、魅力的過ぎる女性だったろうに。


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 17:45:33.74


>>36

「否定は、しないさ。ただ俺は友達以上としては見れなかった
 それだけ、なんだよな……きっと」
「それだけ、なのよね。あなたにとっては」

 ただそれだけが、しかし圧倒的な壁だった。
本当に悲しいけど、それだけの話。
その二人だけじゃなくて、他にもチャンスはあっただろう。
全てが素敵で耽美で知的な女性ではないだろうけど、
でもその中の一人も彼を虜にできなかったというのなら、
それは哀しくて悲しいようにしか思えない。

「お前だって、人のこと言えないだろう」
「私は、青春時代は組織でお仕事だったし。
 社会人になってからは、そんな余裕……ないわよ」
「余裕、ね」
 
 くいっとグラスを傾ける彼。
度数の低いといっても、立派にウイスキー。
バーテンダーという立場の所為かお陰か、
ずいぶんとお酒には強くなったみたいで。


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 19:09:12.10


>>37

「そんなこと言ったら、俺だって余裕はなかったさ
 一年浪人して、大学行ってさ。
 卒業してからここでこんなこと始めるまでは、
 まともに生活できんかったしな」
「それは半分あなたの責任でしょ。自己怠慢の結果」
「確かに……」

 実際、どうだったのかはいまいちわからない。
私は又聞きした情報と、あとはなんとなくの雰囲気で察してるだけで、
本当の所彼と涼宮さんや佐々木さんとの間に
一体どんなやりとりがあったのかは、知らない。
彼がどんな意図で、意思で彼女達を袖にしたのか、
それが如何な意向で、意味を持ったものなのか。

「ま、現在お互い独身貴族ってことは確かよね?
 過程はどうあれ、ね」
「そういうこった。貴族って程優雅なもんじゃないがな」
「あら、こんなバーなんかやってて十分優雅じゃない」


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 20:57:24.23


>>55

 小さくて、確かに客は少ないけれど
でも私だけじゃなくて、他にも昔馴染みの友達も来てるみたいだし。
個人的には、自分の店に友人が集まって騒げるというのは
すごく素晴らしいことだと思うのだけど。

「それに関しては同意だな。
 谷口や国木田も先週来たし、古泉も先月だかに顔を見せに来た」
「ちょっと連絡取ればここで同窓会ができそうね」
「ま、会いたくても会えない人間もいるけどな」
「……もっと未来で、きっと会えるわ」
「だといいな」

 彼の先輩であった未来人の朝比奈さん、
私の同輩であった同じく未来人の藤原君、
その二人は自分達の生きる時代に戻ってしまった。
どんな気分なんだろうか、他の友人達はこうして関係を続ける中で
自分だけがどこか遠くへ行くというのは、
疎外感とか孤独感とか虚無感とか。
小さい頃、親の都合で転校したことを思い出す。







50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 18:55:32.14


森さん「…ね、マスターは結婚しないの?」カラン

キョン「ま、やくざな商売ですからね…」キュキュ
   (法律でまだ結婚出来ないんですよ)

森さん「…一人で寂しいとか…思うこと、ない?」

キョン「ここでこうしていれば孤独は感じませんね」
   (僕アルバイトーですけどね)

森さん「そっかぁ…マスターくらいの男の人が言うと深みがあるね…」

キョン「年寄りの戯言です…そりゃ寂しい夜もありますよ」
   (俺そんなに老けてるかな…付けヒゲしただけなんだけど…)

森さん「ね、マスター…もし、寂しがってる男と女が出会ったら…幸せになれるかな…」

キョン「全ての人が寂しがっているんです…なぁに、貴女もじきにいい人が見つかりますよ」
   (見つけてくれなきゃ困る…そんな潤んだ瞳で見つめないでください…)

森さん「ズルイひと…私の気持ち、知ってるくせに…」ウトウト

キョン「自棄を起こしちゃいけませんよ…あなたはまだまだ若い」
   (もうこのバイトやめたい…)

森さん「損な性格よね……酔わないと…弱音吐けないって………スヤスヤ」

キョン「ふぅ…寝ちゃったか…しかし辞めづらいな…このバイト」
                                           おわり



57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 19:13:24.86


キョン「ったくなんで俺がバーテンなんぞやらねばならんのだ」

朝倉「あらっ?クラスの出し物が『魔の巣』なんだからしょうがないでしょ」

キョン「だからってなぜ俺がバーテンの格好など…」

朝倉「うふふ、とてもお似合いだと思うけど」

キョン「それで他のやつらは?」

朝倉「聞いてなかったの?係はあなたと私の二人だけよ」

キョン「はぁぁぁ?なんだよ、それ!?」

朝倉「だって『Bar魔の巣』なんだから当然じゃない」

キョン「いやいや、二人で切り盛りとかありえないし」

朝倉「ほんとはバーテン一人なんだけど、でもそれじゃあ心細いでしょ?」

キョン「予定では俺一人だったのかよ…」

朝倉「ほらっ文句言わないの。お客さんが来たわよ」


橘「バー魔の巣…ですか。面白そうですね」


61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 19:26:38.97


橘「せっかくだから入ってみましょう」

キョン「いらっしゃいませ」

橘「あれっ?キョンさんじゃないですか!?」

キョン「橘じゃねーか。お前こんなところで何やってるんだよ」

橘「そういうキョンさんこそ、そんな格好で何してるんですか?」

キョン「バ、バーテンだよ」

橘「へぇ~じゃあこの店のマスターってキョンさんなんですか」

キョン「まぁな」

朝倉「コホン!…お二人とも、あれが読めないかしら?」

―常連気分でマスターとの会話を楽しむお店―

橘「あっすみません…」

キョン「そんな設定があったのかよ」


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 19:58:38.55


本命が帰ってくるまで時間潰し


岡部「まだやってる?」ガチャ

キョン「え、ええ、どうぞ」
   (やっべえええ!!岡部じゃねえか!!安月給が無理すんなや!)

岡部「ほお、なかなか洒落た店ですな」

キョン「ありがとうございます」
   (バレたらヤバい…仕方ねえ、覚悟決めて騙し通すか)

岡部「マスター、ギムレットを」

キョン「かしこまりました」チャッチャ
   (焼酎でも飲んでろよ)

岡部「は―――…いやね、もう私はホトホト自分に愛想が尽きましたよ…」

キョン「というと?」
   (何が『いやね、』だ誰も聞いてないだろうが)

岡部「私は隣町で高校の教師をしてるんですが…ちょっと受け持ちのクラスに問題児がいましてね…」

キョン「おや、先生でしたか…なぁに、そういう時は誰が教えずとも周りがフォローしていくものです」
   (あいつか…)

岡部「そこなんですよ…その問題児…女子生徒なんですがね…」


64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 20:00:02.25


キョン「ふむ」
   (やっぱりハルヒか…)

岡部「仰る通り、最近ではすっかり丸くなったと言いますか、打ち解けた感じにはなっているんです」

キョン「でしょう?そういうものです。何も問題ないじゃありませんか」
   (俺達に感謝しろよな)

岡部「しかしね、引き換えに一人の男子生徒が犠牲になって散々振り回されてるんです…」

キョン「きっと容姿性格ともに素晴らしい子でしょうな」
   (ここで俺登場)

岡部「そう、彼のお陰でクラスは平和になったと言っても過言じゃない…」
   「だが私はダメな教師だ…その彼の負担を今まで見て見ぬフリだったんです」
   「私は何のために教師になったのか…これでは置物と同じじゃないか…!」
   「彼の苦労を思うと…グス…すいません…」


65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 20:00:46.88



キョン「ギムレットです…グス」コト

岡部「どうも……ふぅ…美味い…」

キョン「これは私の奢りです…頑張ってください…」
   (先生!先生ー!!)

岡部「うっ…うっ…ご馳走になります…素晴らしい店だ…また寄らせてもらいますよ…)

キョン「お待ちしています」

岡部「ご馳走様でした、よーし明日からがんばるぞー!!」バタン

キョン「さらに辞めづれぇ……」

                      終わり








95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 22:38:39.75





99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/09(金) 23:04:01.03


乙乙






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