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夏樹「涼と拓海の自主練習」


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2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:13:01.85


――――――――廊下

涼「待ちな!拓海!」ダダダ

拓海「やなこった!あばよ!」ダダダ

夏樹「またやってる……ほんと、懲りないねえ」

涼「歌のレッスンから逃げる気?」ダダダ

拓海「お断りだぜ!オメーらでやってろ!」ダダダ

ルキ「お待ちなさい!向井さん!ここは通しません!」バッ

拓海「上等だ!アンタみたいなチビにこのあたしが止められるか?」


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:13:43.03


ルキ「かかりましたね……きらりさん!」

きらり「にょわー☆きらりんふぃーるど!」キュピーン

がんっ

拓海「ぐわああっ!なんだ?何にぶつかったんだ?」

きらり「ふっふっふー。きらりんふぃーるどの前に通常兵器は役に立たないにぃ☆」

拓海「人間かよ!てめーわ!」

涼「さあ、捕まえた!行くよ、拓海」ガシッ

拓海「はーなーせー!」ズルズル

夏樹「騒々しい連中だ……」


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:14:37.38


――――――ボイトレ室

涼「だから違うって!そこはコレ!半音上げるんだってば!」ポロン♪ポロン♪

拓海「うっせーな!やってんだろ! ゴホン あーー あーー」

涼「変わってないじゃん!もっとお腹に力をためて!腹式呼吸が全然ダメ!!」

拓海「やってんだろうが!わめくなよ!」

夏樹(スパルタだねえ……まあ仕方ないか…)


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:18:45.47


~~~数日前、事務所~~~

拓海「マジか?!アタシらがメンバー入りできるってホントか?!」

P「ああ、本当だとも。といってもバックメンバーだがな」

涼「それでもいいよ!やるやる!」

夏樹「にわかには信じられないけど…」

P「マストレさんと協議の上に決めた。間違いない」

拓海「よっしゃああ!やってやんぜ!」

マストレ「浮かれるのは早いぞ、それには条件がある」

夏樹「そらきた」


9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:20:55.04


マストレ「今から出す課題曲に歌とダンスで合格点を出すこと」

拓海「楽勝!ダンスはこう見えても得意なんだ」

涼「アタシに歌えない歌はないよ!」

マストレ「もう一つ、木村、松永、向井、お前たち三人揃ってやってもらう」

拓海・涼「「えっ」」

マストレ「一人でも不合格なら連帯責任として全員不合格だ」

拓海「そんなんありかよ!あたし、歌はダメだって…」

涼「あたしもダンスは……その分、歌で頑張るからいいっしょ?」

マストレ「お前たちも知っているとおりLiveバトルは通常5人編成だ。メンバー間の協調があって初めて成り立つ」

P「どのような状況であっても互いにフォローし合う気持ちが必要だ。この課題は最低条件だ」

拓海・涼「「ぐぬぬ」」


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:23:36.84


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

夏樹(あたしはともかく、あの二人の弱点は致命的だからな)

夏樹(自主練習でもしないと間に合わないんだけどさ…)

ガチャ

千枝「こんにちわ……」

夏樹「よっ。千枝ちゃん、このあとレッスンだろ?待ってな」

千枝「え?……はい……でも」

夏樹「おーい、お二人さん!そろそろ交代の時間だぞー」

涼「うげっ!もうこんな時間……」

拓海「これはしゃーねーな。涼、今日はここまでだ」ニヤッ

涼「ダメだっつーの。アンタ、明日には忘れてるっしょ?」

拓海「しかたねーだろ」


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:26:03.30


涼「千枝、悪いけどあと10分待ってくれる?物覚えの悪いのがいるから」

拓海「んだと?!」

夏樹「やめなよ、あんたら。子供の前だろ?」

千枝「あ、だいじょうぶです。まってますから」ニコッ

涼「ホントにごめんね。さっ!やるよ拓海!」

拓海「うげえー」

夏樹「……」


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:29:05.12


~10分後~
ばんっ!

ベテ「お前たち!いつまでやってるんだ!他がつかえてるんだぞ!」

涼「ベテさん、お願い!もうちょっと…」

ベテ「だーめーだ!!お前ら自主練習だろ!!正規レッスンが先だ!!」ウガー

涼「ちぇー」

ベテ「佐々木、やるぞ。準備しろ」

千枝「は、はいっ」



夏樹「んじゃ、次はダンスだな……」

涼「!!……あたたた、アタシおなかいたくなったからパス(棒)」

拓海「おっと待ちな。今度はこっちだぜ」ニヤァ

涼「やーだー!おなかいたいのー」ズルズル

拓海「うるせえ、根性で直せ」ズルズル

夏樹「立場逆転か…」


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:32:16.25


――――――ダンスルーム

薫「ふうっ……きょうはいいかんじ♪もうすこしがんばろー」オー

ガチャ

拓海「ういーっす!ありゃ?薫?」

薫「あ、たくみおねえちゃん。どうしたの?」

拓海「わりーな、薫。すみっこでいいから借りていいか?」

涼「薫!無理なら断っちゃっていいよ!」キラキラ

薫「あっ……えっと……だいじょうぶだよ!」

拓海「ホントか!じゃあ、少しの間借りるぞ。ほら、来いよ涼」

涼「ううう」

夏樹「大丈夫なのか、薫?無理しなくていいんだぞ?」

薫「へへへ、だいじょうぶ。ちょっとひとやすみしたかったし」

夏樹「……」


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:35:27.48


~~~~~~~~~~~~~~~~~

拓海「だから!そうじゃねえってんだろ!」

涼「うっさいなあ」

拓海「なんでそこで左足が出るんだよ? それと右手はこう!」グイッ

涼「いたいいたい!無理に曲げんな!」

拓海「あと、さっきのところ遅れてるしステップが違ってる」

涼「確認しながらやってるから違わないって、遅れるのもほんのちょっとだし」

拓海「そのちょっとを治すためにやってんだろうが!」


薫「おねえちゃんたち、たいへんだね」

夏樹「まあ、しょうがないんだけどな」

薫「やっぱり、きびしくないと上手くならないのかなあ?」

夏樹「そうとは限らないはずなんだけどな」





16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:38:34.80


~~~~~30分後~~~~~

拓海「全然すすまねえ…けど、こんな時間か」

涼「はあ…はあ…はあ……この鬼!」

拓海「次はこんなもんじゃねえからな……薫!そろそろ……あれ?」

夏樹「とっくに帰っちまったよ」

拓海「ありゃ……それなら次のパートやっとけばよかったぜ」

夏樹「……」


――――――更衣室

千枝「かおるちゃん、お姉ちゃん達すごかったね」

薫「うん、かおるもおねえちゃんたちみたいになりたいな」

千枝「がんばろうね!」

薫「うん!」



楓「…………」


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:41:37.35


――――――事務所

夏樹「……てな感じだよ」

P「ふむう……」

ちひろ「なんだか日を追うごとに険悪になっていきますね」

夏樹「このままじゃ課題披露どころじゃなくなっちまう。どうにかしてよ、プロデューサー?」

P「少し荒療治になるが……やってみるか」

夏樹「??」

P「ちひろさん、○月×日の撮影の件ですが……」

ちひろ「えっ?……あれって……」


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:44:04.51


――――――○月×日、事務所

拓海・涼「「水着グラビア撮影?」」

P「そうだ。本来なら美嘉・莉嘉を予定してたがドラマの追加撮影が入ってな」

涼「ちょ、ちょっとお…」

P「先方にもOKを貰ってる。お前たち二人で行ってこい」

拓海「冗談だろ?アタシら今それどころじゃ…」

P「ダメだ。お前らの仕事はアイドルなんだ。その本分を忘れるな」

涼「夏樹は?あいつじゃダメなの?」

P「夏樹は別件のイベントに李衣菜と出ている。つべこべ言わずに行くんだ」

拓海・涼「「……」」


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:47:20.73


――――――撮影スタジオ

拓海「くっそおぉ……あんにゃろう。嫌がらせかよ?」

涼「マズイね……ただでさえ時間が足りてないのに」

拓海「サボリでもしたら即不合格だからな」

涼「しょうがない。やるっきゃないっしょ」

拓海「だな。とっとと終わらせて練習すっぞ」


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:50:00.88


~~~~~2時間後~~~~~

拓海「……」ゲッソリ

涼「……」ゲッソリ

拓海「あのエロカメラマン、胸ばっか写しやがって……覚えてやがれ」

涼「あたしなんかお尻ばっか……最悪」

拓海「今度の課題は歌とダンスだ。何の得にもならねえ時間だぜ」

涼「言えてる……おろ?」

スタッフ「高垣さん入られまーす!」

涼「楓さん、いたんだ?」

拓海「こりゃ長引きそうだな……ちっ」


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:53:00.62


カメラマン「楓ちゃん、おひさあ~」

楓「お久しぶりです。本日はよろしくお願いいたします」ペコリ

カメラマン「はいはーい。そんじゃいくよ~」

楓「あ、少々お待ちください……」スーハースーハー

楓「……!……いきましょう」

拓海(!……雰囲気が変わった?)

涼(あんな楓さん……見たことない)

カメラマン「おおおお!いいねえ楓ちゃん!サイッコーだよ!」パシャパシャ

楓「ありがとうございます……カメラマンさん、こういうのはいかがですか?」

カメラマン「それそれそれ!いいねいいね!グッドだよ!」パシャパシャ

拓海(あのエロカメラマン……すげーマジだ)

涼(あたしらの時とまるで違う……)


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:56:14.59


スタッフ「休憩はいりまーす!」

楓「ふう……」

涼「楓さん、お疲れ様です。これ、水」

楓「ありがとう。涼ちゃんと拓海ちゃんも一緒だったのね」

拓海「……うっす」

涼「それにしてもすごいですね、楓さん」

楓「?……なんのこと?」

涼「なんかオーラが全然違うっつーか、あたしらと【持ってるもの】が違うなーって」

楓「……」

涼「あたしも拓海もエロい写真ばっか撮られるんですよ。でも楓さんときはそれがないし」

楓「……」

涼「そうだ!なんかコツとかあります?うまく写真映るテクみたいな?」

楓「……あるにはあるわよ」

涼「ホントですか!じゃあ、サワリだけでも教えてもらえたらなー……とか」ヘヘッ

楓「でもやめておくわ……あなたたちには到底無理だから」


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 00:59:18.37


涼「えっ……?」

拓海「あ?どう言う意味だよ!?それ」カチン

涼「ちょ、拓海!落ち着きなって!」

拓海「やってみなきゃわかんねーだろうが!何、勝手に決め付けてんだよ!」

楓「あなたたち、エロい写真しか撮られないって言ったわね?」

拓海「実際そうだったんだよ!ふざけやがって!」

楓「彼はああ見えても新進気鋭の写真家、腕は確かだわ。あなたたちも私の写真見たでしょ?」

涼「……見ました。すごく良かったです……でも!」

楓「エロい写真が嫌なら彼を本気にさせればいい。あなたたち、この撮影に本気で挑んだかしら?」

拓海「……うっ」

楓「本気になれない人間が相手を本気にさせられるかしら?」

涼「……」


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:01:59.45


楓「私はあなたたちのように激しいビートのダンスは踊れない。ハードなロックも歌えない」

楓「だけど写真を撮られるのは嫌いじゃない。そこに対しては誰よりも真剣でありたいの」

楓「コツ?テク?それで私のこれまでの本気を表せって言うの?悪いけど不愉快よ」

拓海「……」

楓「あなたたちのことはPさんから聞いてます。大変な時期らしいわね?」

楓「誰よりも真剣に自主練習までやってる。立派だわ」

楓「でも、あなたたちは目の前しか見えていない。周りのことが見えていない」

涼「……」


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:04:11.90


楓「ひとつ、いいことを教えてあげるわ。千枝ちゃんと薫ちゃん、知ってるわね?」

拓海「……ああ」

楓「ウチの事務所は彼女たちには19時までしかレッスンを認めてないの。知ってた?」

拓海「!!」

涼「19時って……3時間もないじゃん……」

楓「仕方ないわね、まだ小学生だもの。だからあの子達も限られた時間を有効に使おうと真剣なのよ」

拓海「……マジかよ」

涼「……そんな」

楓「あなたたちが真剣になるためなら、彼女たちは我慢しなきゃいけない?それともあの子達は【持ってない】のかしら?」

拓海・涼「「そんなワケねーだろ!!!」」ガタッ

楓「……」

涼「あっ……すいません……興奮しちゃって」


スタッフ「間もなく休憩明けまーす!」





32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:07:18.65


楓「……そろそろいくわね」

拓海・涼「「……」」

楓「ひとつ……ひとつだけコツを教えてあげる」

拓海「……えっ?」

楓「周りをよく見なさい。視野を広く持てば、見えなかったものが見えてくるわ」

涼「視野を……」

拓海「……広く……か」


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:11:29.30


――――――翌日、駅前

千枝「涼さんから、メールがあったんだけど……ここでいいのかな?」

千枝「……でもどうしたんだろ?突然?」

涼「悪い!千枝!待たせたかな?」タタタ

千枝「あ、涼さん!ううん、いまきたとこ」

涼「良かった……それじゃあ、いこっか?」

千枝「え?……行くって、どこへ?」

涼「まあ、楽しみにしてなって」

千枝「?」


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:14:08.77


――――――ライブハウス

千枝「すごおい!わーっ!ステージだ!」タタタ

涼「あたしの馴染みの店さ。開店までなら貸してくれるってさ」

千枝「え?」

涼「ほら、この間さ、レッスンの時間割り込んじゃったじゃん。そのお詫び」

千枝「ええ!そんなのきにしなくていいのに……」

涼「ここならピアノも音響施設もある。思い切り歌えるだろ?」

千枝「うん!」

涼「あと……あたしでよければレッスン手伝うから、さ」

千枝「ほんとに?やったあ♪」ワーイ

涼「……」


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:17:51.38


――――――同時刻、A小学校前

薫「今日はレッスンおやすみかぁ……どうしようかなぁ」

小学生A「おい、見たか?あのバイク?」

小学生B「みたみた!超かっけーよな!」

薫(バイク?)

薫「あっ!たくみおねえちゃん!!」

拓海「いよっ。薫、このあとヒマか?」

薫「うん。でもどうして?」

拓海「Pに聞いたんだよ。今日オフだって言うから」

薫「予定はなにもないけど……」

拓海「よし、じゃあ乗りな。ほら、メット被せてやるから」

薫「うん!」


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:19:59.81


――――――旧市民体育館前

薫「ここって……?」

拓海「昔の体育館さ。もっとも今じゃ使われてないけどな」

薫「へええ」

拓海「ほら、あそこにガラスの入口が見えるだろ?行ってみ」

薫「うん……あっ、鏡になってる!」

拓海「あたしが昔ダンスの練習するときに使った場所さ。ここなら誰も来やしねえよ」

薫「それって……」

拓海「ほら、練習着。ここで……あたしと一緒に練習してくれるか?」

薫「うんっ!ありがとう、おねえちゃん!!」

拓海「……」


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:24:06.29


――――――ライブハウス

千枝「あおーいーーーとりーーー♪」

涼「おっけおっけ。いい感じだよ。あと……あたしがお腹押さえてやるからそれでもう一回歌ってみ?」

千枝「うん!……あおーいーーーとりーーー♪……あっ」

涼「わかる?お腹に空気を貯めてゆっくり押し出すように歌うんだ」

千枝「そっかあ。なるほど」

涼「あと最後のパートだけど……あそこにミラーボールがあるのわかる?」

千枝「うん、きらきらしてるやつだね?」

涼「あれに向かって自分のお腹の空気をぶつけるようにやってみるんだ」

千枝「なんだかむずかしそう」

涼「千枝なら大丈夫だよ。行くよ」

千枝「あなたーーをーー わーすれないーー でーもきのうにーはかーえれなーいーー♪」

涼「ばっちし!完璧!」

千枝「できた!いままでできなかったのに!!」ワーイ


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:27:03.02


ぱちぱちぱちぱち

千枝「ふえ?」

スタッフA「すごいな。あの子、やるじゃん!」

スタッフB「涼ちゃん、その子次も呼んでよ。営業時間にさ?」

涼「ダメに決まってんだろ。うちの期待のルーキーだぞ?」ギュ

千枝「あわわ///」

スタッフA「ちぇw」

涼「わりいけどさ、この子にジュース出してくんない?あたし払うからさ」

スタッフB「りょーかい」

千枝「涼さん、ありがとう!すっごい楽しかった!!」

涼「お礼を言うのはこっちだよ…………ありがとな」

千枝「え??」

涼「なんでもないよ」


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:30:00.33


――――――旧市民体育館前
薫「わんつー、わんつー……」

拓海「いいぞ、その調子だ」

薫「あれ……またおくれちゃった。かおる、いつもここしっぱいするの」

拓海「焦ることねーよ。一連の動作で覚えるんだ」

薫「いちれんのどうさ?」

拓海「あー……そうだな、まずはゆっくりやってみっか?」

薫「うん」

拓海「あとな、薫。難しいステップになると下むいてるぞ」

薫「でも、ちゃんとできてるかわかんないから」

拓海「練習だから失敗してもいいんだ。鏡で体全体を見て覚えるんだ」

薫「そっかあ、なるほど」

拓海「もう一度、ゆっくりでいいから、確実にやるぞ」

薫「うん。わん、つー…わん、つー…わん、あっ!」ドテッ

拓海「大丈夫か!!」

薫「へへへ、ころんじゃった」


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:33:06.16


拓海「ちょっと足を見せてみろ、怪我でもしたら大変だ」

薫「うん」

拓海「痛くないか?」

薫「だいじょうぶ、へいきだよ」

拓海「捻挫はしてないみたいだな……とりあえずテーピングだけしておくぞ」

薫「えへへ……ねえ、おねえちゃん?」

拓海「なんだ?」

薫「せんせぇって呼んでもいい?」

拓海「ん?それってあい……Pのことだろ?」

薫「Pさんはあいどるのせんせぇ、おねえちゃんはダンスのせんせぇだよ」

拓海「……か、勝手にしろ///」

薫「へへへ♪」

拓海「………ありがとな」

薫「ん?なあに?」

拓海「なんでもねーよ」


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:39:16.64


――――――後日、ダンスルーム

涼「よ……よっと……ほいっ!できた!」

拓海「やればできんじゃねーか」

夏樹「……すごい、すごいよ!あんたら!一体何があったのさ?」

涼「さあねー」

夏樹「今の涼もすごかったけど、拓海も歌完璧だったじゃん!」

拓海「さあな?なんでだろうな?」

涼「あ、そだ、拓海。これ」

拓海「ん?楽譜とCD?」

涼「ちょっとブレスのタイミング気になったからさ、書き込んでおいたよ」

拓海「おお、こりゃ助かる」

涼「CDは昔のメンバーに譲ってもらったんだ、あんたの声に近いから参考になるよ」

拓海「さすがだな涼……って、これCD入ってないぞ?」

涼「うそっ!あ……昨日、確認のため聞いててそのままだった……」

拓海「ははは、抜けてんな」





46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:42:45.28


涼「う、うるさい!」

拓海「そうだ、涼、このノートやるよ」

涼「ん?これって……」

拓海「ダンスの基本的なステップ。ちょっと書いてみたんだ」

涼「へええ……ねえ、拓海?」

拓海「なんだよ?」

涼「あんた、絵が下手だ」

拓海「う、うるせー!嫌なら返せ!」

涼「あははは。冗談だよ」

夏樹(いい雰囲気だ……これならいける!!)


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:46:20.58


――――――廊下、扉の外

楓「いい感じみたいですね」

P「楓さんには辛い役回りをさせましたね。申し訳ない」

楓「いいんです。『雨降って血が溜まる』ってやつです」

P「『地、固まる』です。血が溜まったら大変ですよ」

楓「あの子達はまだまだこれからです。でも、これが糧になってくれることを願います」

P「そうですね」


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:49:36.69


――――――課題披露の日、ダンスルーム

♪~~~ ♪~~~~

ルキ「はい、そこまで!」

夏樹「はぁ、はぁ……どうでしたか……?」

マス「……お前たち、どう思う?」

ベテ「ダンスは一部気になるが全体的に問題ない。これだけできるならいいんじゃないか?」

トレ「歌の方も問題ありません。さらに上のアレンジができそうです」

マス「……なるほど。いいだろう、認めてやる」

拓海「マジかよ!!」

涼「よっしゃあ!!」


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:52:33.92


マス「浮かれるな。フロントに入るためにはもう一つステップアップが必要だ」

マス「幸いにもまだ期間はある。どうだ?私の課題やってみるか?」

拓海「なんでもこいよ。どんなんだって歌ってやる」

涼「あたしもいけるよ。任せなって」

マス「次の課題はな……『Do-Dai』だ!」ニヤリ

拓海・涼「「えっ?」」


ほわわわわ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

涼「ケータイ取り出し ぽぱぴぷぺ~」♪

拓海「でぇとしてくれ ま・す・か?」♪

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:55:07.75


ほわわわわわわ

拓海・涼「「………」」サー

拓海「悪ぃ!無理!」ダダダ

涼「あたしも!」ダダダ

ルキ「あっ!逃げた!!」

夏樹「あははは、そこは変わんねえのかよ」

マス「ほぉ……じゃあ、木村が一人でいくのか?」

夏樹「へ?いやいやいや!ご勘弁を!」

マス「だったらつっ立ってないで追いかけろ!」

夏樹「りょ、了解!」ダダダ

夏樹「待てよ!拓海!涼!一人にしないでくれ~!」

おしまい


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:58:00.95


おまけ
――――――フェス前日、事務所

マス「P殿、編成表を見せてもらったが間違いないのか?」

P「はい。間違いありません」

マス「……賢明なP殿ならお分かりだろう、フェス初日の重要性を」

P「全ての責任は僕が取ります。これで行かせてください」

マス「……私は確認にきたまでだ。決定を覆す権利はない。P殿が言うならこれで行こう」

P「ありがとうございます!」

マス「フッ……彼女たちは幸せだな」


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 01:59:10.34


これで最後です。
長々とお付き合いありがとうございました


57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/12/08(土) 02:04:26.89


良いものでしたわ乙









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