輝子「ボノノさんの動力がゼンマイ式だった」
乃々「……」
輝子「フヒヒ……キノコー……」
乃々「……」キョロキョロ
輝子「エリンギー……」
乃々「あ、あの……キノコさん……」
輝子「ん? どうした……?」
乃々「折り入って、お願いがあるのですが……」
輝子「な、なんだ?」
乃々「こ、これを……」スッ
輝子「……えーと……なにこれ、ネジ?」
乃々「それを私の背中に挿して、ま……」
輝子「……ん?」
乃々「回し、まわ、まわし、て……く、くだ……」
輝子「え?」
乃々「……………………」
輝子「ど……どしたー……?」
乃々「」バターン
輝子「!?」
乃々「」
輝子「……ぼ、ボノノさん?」
乃々「」
輝子「おーい……」ユサユサ
乃々「だ……」
輝子「お?」
乃々「」
輝子「……」
輝子「……ボノノさーん……?」ユサユサ
乃々「」
輝子「……」スッ
乃々「」
輝子「……!?」
輝子「……た、大変だ……心音が聞こえない……!」
輝子「ひ、ヒイヤアアッ!?」ドテッ
輝子「どどどど、どうすれば」カチャ
輝子「あ……ネジ……?」
輝子「……」
輝子「せ、背中……って言ったっけ」
乃々「」グルン
輝子「……!?」
輝子「穴が空いてる……!?」
輝子「……」
ガチャ
輝子「は……ハマった」
輝子「……ま、回せばいいのかな……」
輝子「……」キコキコ
乃々「」
輝子「……ど、どう……?」
乃々「……ん」ムクリ
輝子「!!」
乃々「あ……回してくれたんですね」
輝子「ッ!」ガバッ
乃々「わぷっ」
輝子「よ、よかった、生きてた……うう」
乃々「あ、あの……そんなに抱きしめられると苦しいんですけど……」
輝子「センキューフォアカムバァァァァァァック!!」ギュウウ
乃々「うるさいんですけど……」
輝子「ゼンマイ、式……?」
乃々「はい……」
乃々「ゼンマイで動いてます……私」
輝子「……ま、マジか……」
乃々「マジですけど……」
輝子「すると……機械? 人間じゃない!?」
乃々「はい」
乃々「ゼンマイ式の自律機動ロボット……ですけど」
輝子「自律、機動……? あー……」
輝子「……り、理解が追いつかない」
乃々「ですよね」
乃々「とりあえず、私はロボットであるということを理解してくれれば、それでいいです」
輝子「……は、はい」
乃々「色々と気になることがあると思いますが……」
乃々「詳しいことは何も話せないんです、ごめんなさい……」
輝子「……そうか……」
乃々「……あ、その……」
輝子「?」
乃々「ちょっと、ゼンマイを回して、も、もらえ、ま、ま……」
乃々「……………………」
輝子「……え、えっと」キコキコ
乃々「ふう……」
乃々「それでですね、私がロボットだってことを誰にも言わないで欲しいんです」
輝子「……つ、つまり、いつも通りってこと?」
乃々「はい」
輝子「……えーと」
輝子「わ、ワケわかんなくて、頭が混乱してるけど……」
輝子「ボノノさんはボノノさん、なんだな……」
輝子「……うん、今後とも、よろしく……」
乃々「ありがとうございます……」
輝子「……そ、それで……ロボットだってこと、秘密、なんだよね?」
乃々「はい」
輝子「なんで、私には教えてくれたんだ……?」
乃々「そのですね……キノコさんには、これを頼みたくて」スッ
輝子「……これはまさか」
乃々「はい、ゼンマイを巻く係です」
乃々「差込が背中に付いてるといういぢめな仕様なので、一人では不便で……」
輝子「……」
乃々「……おねが、お願い、しま、し、ま……」
乃々「…………むら…………」
輝子「……す、すぐ止まるんだな……」
輝子「……」キコキコ
乃々「……」
輝子「……こ、これくらい?」キコキコ
乃々「もっと回せるので、目一杯やってください」
乃々「さっきまで止まる寸前だったので……」
輝子「じ、実際、止まったしな……」キコキコ
乃々「ええ……」
輝子「……」キコキコ
輝子「最大まで回して、どのくらい動けるの……?」キコキコ
乃々「そうですね……最大で一日ちょっとですかね……」
輝子「そうなのか……」キコキコ
乃々「……」
乃々「実は、私以外にもこの事務所でアイドルをしてるロボットがいたりするんです……」
輝子「え、マジで?」キコキコ
乃々「マジです……誰とは言えませんが」
輝子「そっかー……」キコキコ
乃々「……」
輝子「……これ、けっこう、手間だね……」キコキコ
乃々「手間なんです……」
輝子「……よし、これくらいかな」
乃々「ありがとうございます……」
乃々「あ、そのネジは預けます」
輝子「え、そ、そう……いいの?」
乃々「はい……予備もあるので」
輝子「じゃあ……うん」
乃々「では……これからもお願いします」
輝子「うん……」
輝子「……」
輝子「(改めて考えると、とんでもない話だよなあ……)」
輝子「(ボノノさんがロボット……科学ってすごい)」
別の日
スタッフ「お疲れ様でーす」
美玲「あー疲れたー」
乃々「……あの」
輝子「ん? ……あ、あー、分かった……」
乃々「じゃあ……こっちで」スタスタ
輝子「うん」スタスタ
美玲「なーなー、昼ご飯どーする?」
美玲「……あれ、二人共いないや」
輝子「……」キコキコ
乃々「……」
輝子「……よし」
乃々「ありがとうございます……」
輝子「これ、毎日やるのは面倒だね……」
乃々「まあ……一日三回の食事と比べれば、と考えれば……」
輝子「そういえば……食事って、どうなってるんだ?」
輝子「ロボット、なんだよね?」
乃々「一時的に食べた物を溜め込むスペースがありまして、口に入れたものはそこに貯蓄されます」
乃々「見た目上は普通の人となんら変わらないですね……」
輝子「な、なるほど……よく分からない」
乃々「他の人と一緒に食事できるってことです」
輝子「へえ……科学って、進んでるね……」
乃々「(出すときはそのまま出る……ということは言わないでおきましょう……)」
美玲「キノコー、ノノー、どこ行ったんだー?」
乃々「そろそろ行きましょうか」
輝子「そうだな……」
別の日
トレーナー「よし、今日のレッスンはここまで!」
乃々「ふう、ふう……」
美玲「今日はハードだったなあ……大丈夫か?」
乃々「ええ……ちょっと、動きすぎました……」
乃々「残存エネルギーが……」
美玲「え?」
乃々「ああいえ、何でも……」
乃々「とにかく、私は少し休憩してから帰りますので……」
美玲「ん、分かった、じゃーお疲れ!」ガチャ
乃々「お疲れさまです……」
乃々「…………」
乃々「よし、誰もいなくなった」
乃々「今のうちに、ゼンマイ、を、を……」
乃々「あ、ま、マズ、い、もう……」
乃々「……………………」
ガチャ
輝子「おーっす……レッスン終わったって、聞いたけど……」
乃々「」
輝子「ホアッ!? 止まってる!!」
乃々「助かりました……」
輝子「び、びっくりしたぞ……」キコキコ
乃々「今日のレッスンはハードだったもので……」
輝子「そ、そうか……私、今日仕事が入っててよかったかも……フヒ」キコキコ
乃々「私は結構、ギリギリでした……」
輝子「最初に部屋に来たのが私じゃなかったら、あ、危なかった……な」キコキコ
乃々「ですね……」
輝子「よし、終わり」
乃々「ありがとうございます……」
ガチャ
美玲「いっけねー、忘れ物しちった」
乃々「あっ」
輝子「あっ」
美玲「あれ、キノコじゃん、こっち来てたんだ」
輝子「お、おー……仕事終わりに、様子を見に、な……」
美玲「ふーん」
輝子「……」
美玲「それで、その手に持ってるの何? ネジ?」
輝子「へっ!? あ、ああこれ?」
輝子「こ、これな……えーと」
美玲「……」
輝子「……」
グサッ
乃々「痛っ」
輝子「か、髪飾り……だよ?」
美玲「髪飾り? 変わった形だなー」
乃々「え? ええと、そうですね……」
美玲「……」
美玲「プフッ、ノノには似合ってないぞそれ!」
乃々「そ、そうですか……そうですよね……」
美玲「そうだ、せっかく揃ったんだし一緒に帰るか?」
乃々「あ、そうですね……着替えたら……」
美玲「分かった、待ってるからなッ!」
ガチャ
乃々「……ふう」
輝子「あ、危なかった……」
乃々「ところで、髪にネジを挿された時痛かったんですけど……」
輝子「ああ、ごめんごめん……」
輝子「……ロボットでも、痛みを感じるんだね」
乃々「ええ、人間に近づけるよう作られていますので、痛覚以外にも五感は再現されてますね……」
輝子「そうなんだ……科
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