E=mc2。一般相対性理論。光電効果。ブラウン運動。自身が成し遂げた20世紀物理学の革命によって、アインシュタインは世界で最も有名な科学者となった。彼の代名詞でもある一般相対性理論は未だに科学的発見を支え続けている。だが、アインシュタインは一発屋ではなかった。生涯を通して大なり小なり、様々な着想を得ているのだ。そんな彼の少しマイナーな業績に触れてみよう。
1. ラジオメーター
1870年代、イギリスの化学者ウィリアム・クルックスがラジオメーターという面白いものを開発した。その発明はガラス製のバルブに風車のような金属片が入れられたものである。これを日光に当てると、不思議なことに回り出すのだ。
興味をそそられたアインシュタインは、その仕組みの解明に没頭するようになる。その入れ込みようは、自分の姪に研究課題としてこれを選ぶよう説得したほどであった。やがてその謎が解け始めた。風車の暖かい側に分子が当たると、その羽の部分でより速く跳ね返るため、わずかに圧力が増すのだ。この圧力の微妙な差がラジオメーターを動かす原因だ。ただし、その最大速度については、別の効果による説明がなされる。
2. アインシュタインの冷蔵庫
アインシュタインは理論家としての顔が一番有名だが、黒板に式を書く姿だけが彼の全てではない。応用にも大きな関心を寄せており、アイデアを実現する実験を好んで行っていた。
アインシュタインが考案した冷蔵庫もそうした1つで、これにはモーターも冷却液も使われていない。代わりに、低い圧力下ではより低い温度で水が沸騰することを利用していた。アインシュタインとシラードのアイデアは、アンモニアの蒸気の中でブタンで満たしたフラスコをバーナーで炙ることであった。アンモニア蒸気は圧力が低いため、ブタンの沸点が下がる。そしてブタンが沸騰すると、それが周囲からエネルギーを吸収し、隣接する区画が冷却されるのだ。
スイスの特許庁に務めた日々は、アインシュタインに相対性理論を思い描く時間を提供しただけでなく、特許出願手続についても精通させるにいたった。そして、彼の新発明は1930年に無事特許が認可されている。
3. 重力レンズ
アインシュタインの才能の1つは、アイデアを知ったときにそれが優れたものかどうか見抜くことができたことだ。アマチュア科学者のルディ・マンドルが1936年、アイデアを携えて彼の許を訪れたとき、アインシュタインはすぐに注目した。周囲の人間は高名な科学者の邪魔をしないようマンドルをたしなめていたようだが、アインシュタインはその日の午後を丸々彼と過ごすことになる。
マンドルの考えでは、宇宙の物体が十分に大きければその周囲の光が曲がり、重力による一種のレンズが作り出されるはずだった。実はアインシュタイン自身も以前にこの考えを思いついたことがあったが忘れていた。すぐに計算を行ない、そのプロセスを証明した。だが、それほど重要だとも思わなかったようで、マンディにせがまれるまで学会に発表することはなかった。”無駄な方法”はやがて数人の科学者によって洗練され、重力レンズは現代の宇宙論において、特に太陽系外の惑星を発見する際には不可欠となっている。
4. ボース=アインシュタイン凝縮
アインシュタインが無名の科学者のアイデアに耳を傾けたのは、その時だけではない。インドの物理学者サティエンドラ・ボースが光子の統計を計算する手法に関して手紙を送ってきた時もそうであった。ボースの考えは、同じ種類の粒子の集団の中では、全粒子は本質的に個々の見分けがつかないことを示唆していた。
アインシュタインはすぐさま粒子を絶対零度まで冷やせば、同じ最低エネルギー状態へ落ち、見分けがつかなくなるとことに気がつく。すなわち、粒子の集合はあたかも大きな1つの粒子として振る舞い、完全に新しい状態の物質が形成されることを意味していた。このボース=アインシュタイン凝縮と呼ばれる物質の塊には粘度がない。
この存在を証明するには70年の歳月がかかったが、その証明に成功した科学者は2001年のノーベル賞の栄誉に浴している。
5. 大統一理論
おそらくアインシュタインの最も有名な失敗は、重力、電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用を統合できなかったことだろう。晩年の彼は大統一理論の完成を目指したが、志半ばにしてこの世を去った。
アインシュタインは自分が正しいことに確信を持っていたのだろうが、同時に間違うことを恐れなかった。そうした柔軟性があればこそ、くじけることなく、同じ問題に毎日、何年にも渡って取り組むことができたのだろう。彼が天才的な洞察力を持っていたのは疑いないが、もう1つ大切な要素はその集中力と決意の強さだったはずだ。
via:livescience・原文翻訳:hiroching
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コメント
1. 匿名処理班
アインシュタインは動物の大切さも訴えてるから素晴らしい!
2. 匿名処理班
E=mc2は美しすぎる方程式
3. 匿名処理班
宇宙は空気も水もない。
だけど電波や光を波動エネルギーとして伝播させる何かで宇宙は満たされているはずなんだ。
これだれか解明してくれないかなあ。
4. 匿名処理班
光電効果・・・・
真空管の理論なのに、初期のビデオカメラの原理なのに、ノーベル賞の理由なのに・・・
5. 匿名処理班
いーいこーる
えむしーすくえあー
山口百恵
6. 匿名処理班
いい記事。アインシュタインは原爆を作らないで欲しいとも訴えかけていたね。
日本に落ちたと知ったときは、あの美しい国になんということを…とショックを受けたそうな。
7. 匿名処理班
大統一理論ってまだ完成してないよね。アインシュタインがいかに天才であったとしても、さすがに難しすぎたのかな。それとも、観測、実験の技術が足りなかったのか。後数十年遅れて生まれていたらもっと素晴らしい偉業を成し遂げていたのかもしれないと考えるともったいないなぁ。
8. 匿名処理班
※4
後は実用の面でレーザーとかね。
クーラーもだっけ、冷蔵庫と被るけど。
※3
電波と光は同じ電磁波でそれそのものがそれそのものを伝える波であり粒である。
エーテルなどこの世に存在しない、それを提示したのもアインシュタインだぜ。
※4に通じるけど「光量子仮説」というものを調べるといいよ。
それ以上は量子論の世界だ。
9. 匿名処理班
※3
ダークマターというよくわからん物質のことだな
素粒子やニュートリノが発見されてきている現在では
このくらいの技術だけど科学者の興味と技術はすごいし
時間かかっても解明する人出るよ
10. 匿名処理班
2の冷蔵庫は冷凍サイクル, つまりエアコンの元祖ともいえるワケで.
俺らがクソ暑い夏場に, 電車や車の中にいても死なずに済んでるのも, アインシュタインのお陰ってこと・・・
とゆってもいいかも知れないな.
11. 匿名処理班
今の時代に生きてたら、もっとすごい発見をしてたのか
それとも平凡な学者で終わったか
12. 匿名処理班
ブラウン運動も入らないんだな。
本人が最大の過ちと言った宇宙項も違う形で注目されているし。
本当に偉大だ。
13. 匿名処理班
統一理論は超ひも理論の向こう側だからまだまだだな。
14.
15. 匿名処理班
光量子仮説は…???