一ノ瀬志希「惚れ薬? 作れるよ」
アイドルマスターシンデレラガールズの、一ノ瀬志希のSSです。
前半台本非エロ、後半地の文でR18。
モバP「本当か。本当に惚れ薬が作れるのか」
志希「まあね。ちょっと臨床データが不足してはいるけど」
志希「作ろうと思えば作れるよん。なに、欲しいの?」
モバP「そりゃあ欲しいよ。くれるのか?」
モバP「あ、でも臨床データが足りないって……」
モバP「効果が不安定すぎて、何が起こるか分からんから、実質使えないとかか?」
志希「あたしを見くびってもらっちゃ困るね。そんな半端なもの作らないよ」
志希「惚れ薬は作れる、時間と材料さえあればね。ただ、これには被験者のデータが必要なんだよ」
モバP「被験者ってのはどっちだ。使う方か使われる方か」
志希「使う方だよ。誰に効くかってのをちゃんとプログラムしてやらないと、惚れ薬じゃなくて発情薬になっちゃうし」
モバP「なるほど、それもそうだな」
志希「理論と合成経路は確立してるんだけど、今まで誰もあたしにそんなの作れって言ってくる人がいなかったからね」
志希「まあちょいちょい研究改良しながら、遊んでたんだ」
モバP「自分で使ってみようとは、思わなかったのか?」
志希「それも考えたんだけどね。あたしとしても、薬でどうこうってのには多少思うところがあったし」
志希「それに、いざ手に入るってなったら、そんなに急がなくてもいいかなって気分になるの」
志希「キミも分かってくれるんじゃないかな」
モバP「ああ、分かる。欲しい欲しいって思ってる時が一番楽しいんだよな」
志希「……ふふ。まあアイドルとしても、できるかぎり自分自身の魅力を磨きたかったしね」
志希「しかし意外だね。このあたしを捕まえて、惚れ薬とは。キミにもそういう俗っぽい意識あったんだ」
モバP「む。そりゃあ……俺だって人間だからな」
志希「くくく。怒んないでよ。別に非難してるんじゃないし。むしろ嬉しいんだよ」
志希「あたしを頼ってくれることもそうだし、キミにもそういう、欲望があるんだって思うとね」
志希「なんというか、親近感?」
モバP「お前は俺をなんだと思ってたんだ。アイドルに手を出さないだけで、そこまで言われるとは」
志希「あたしが寄って行っても、全然反応しなかったじゃなーい」
モバP「まだ二十歳にもなってないような子、しかも担当アイドル相手に、本気になるプロデューサーがどこにいるんだ」
志希「あはは。そう、そっか。まあ、いいよ」
志希「ところで惚れ薬、誰に使いたいの? 事務所の誰か、とか?」
モバP「いや、この仕事とは全然関係ない人」
モバP「結構長い付き合いなんだが、最近全然会う時間が取れなくてな」
志希「それで、面倒な手順省いて薬に頼ろうって?」
志希「いいね、そういう獣じみたところ。見た目はいかにも紳士みたいに装って、中身は肉食系だったんだ」
モバP「……なんかお前、皮肉っぽくないか」
志希「なーに、これくらいいつも通りでしょ。じゃあ早速、データ採取、行っとく?」
モバP「いいのか。じゃあ頼む」
志希「確か今の時間、トレーニングルームが空いてるよね。ジャージでも着て、行こうか」
トレーニングルームにて。
志希「まずはキミの汗をある程度取りたいんだ。だからこのルームランナーでしばらく走ってもらいたいんだけど、その前に」
志希「この薬、飲んで」
モバP「これは?」
志希「汗を出やすくするために、体温や心拍数を上げて身体に負荷をかける薬だよ」
志希「ジャージに染みこむくらいの汗が欲しいから、普通にやってると時間かかっちゃうの」
志希「これで時間短縮すれば、必要な検体はすぐ集まるよ」
モバP「なるほどな。じゃあ、いただくよ」
志希「まあ、危なそうだったらあたしが止めてあげるから、キミは安心して走ってちょうだい」
モバP「ん。じゃあ……一丁やるか」
十分後。
モバP「……まだか?」
志希「もう少し。まだあんまり汗出てないでしょ」
モバP「しかし、結構キツイなこれ……もっと普段から運動しとくべきだったか」
志希「かもねぇ。にゃはははっ」
二十分後。
モバP「……もうそろそろ、いいんじゃないか?」
志希「いや、もうちょっと。しっかり汗かいてくれないと」
三十分後。
モバP「……ちょ、ちょっと、これ……まだか? 心臓がバクバク言って……」
志希「もう少し。もう少しだから頑張って。惚れ薬欲しいんでしょ」
志希「普通に口説いたり機嫌取ったりする手間を省こうってんだから、これぐらいはね」
モバP「(やっぱり……なんか、口調に刺があるな)」
四十分後。
モバP「はあ、はあ、もうそろそろ、いいんじゃないか……?」
志希「そうだね。じゃあクールダウンしながら、ゆっくり降りようか」
志希「お疲れちゃん。スタドリでも飲んで休んでね」
志希「あ、ジャージはこっちにちょうだい。……うん。濃い汗がじっとり染みて……いい感じだよ」
モバP「検体採取ってのは、これだけなのか?」
志希「いやいや、もういくつかステップがあるんだよね」
志希「でも、今日は疲れたでしょ? 後日にしようよ。ゆっくり休んだほうがいい」
モバP「まあ……志希がそう言うなら、そうするよ」
志希「んふふ。そうそう、素直が一番。……ぬふふ」
志希「あ、ジャージはちゃんと置いて帰ってよ。持ってっちゃダメだよ」
志希「これは必要なものだからね……ふふ。ちゃんと仕舞っておかないと」
モバP「(あれは……ジップロックか? あんなでかいの、あったんだな)」
後日。
志希「今日はキミの網膜を検査させてもらうよ」
モバP「なんか、マンションのセキュリティみたいだな」
志希「だいたいそういう感じで捉えてもらえばいいよ」
志希「じゃあ、これ。瞳孔開かす目薬、指して」
モバP「はいよ。……これで、いいか?」
志希「うんうん。ちょっと待ったら眩しくなってくると思うから、そしたら検査を始めよっか」
モバP「……ん……眼が……」
志希「おお、きたね。じゃあ行くよ。このライトの明かり見て」
モバP「……いや、明るすぎて……こ、これきついな……!」
志希「そんなに長くはかからないから、我慢して」
志希「後遺症は残さないからさあ」
モバP「いやでも本当に、これは……」
モバP「う……く、ま、まだかよ……!」
志希「もうちょいもうちょい」
モバP「……!」
志希「うん。……こんなもんでいいかな。はい、お疲れ」
モバP「ふっ……あー、きつかった。視界真っ白で頭ガンガンして」
志希「まあ、これも試練だよ。それとも代償かな。にゃっははは」
その後。
志希「次が最後だよ。キミの身体に流れる電流を計測するから、あたしの研究室へ行こ」
モバP「おお、いよいよか」
志希「じゃあ、ついて来て。一ノ瀬志希の隠しラボへご招待だよ」
志希「女子寮にキミを連れ込むわけには行かないからね」
モバP「ほうほう。ここは……マンション? こんなトコに、部屋借りてたのか」
志希「そうだよ。アイドルやるために、前の住処から移ってきたの」
志希「寮に薬品類を置いとくのは、ちょっと不用心だし。本格的な実験やるにはスペースも設備も足りないし、と思って借りたんだ」
志希「だからここに入るのは、あたし以外ではキミが初めてだねえ」
モバP「(なるほど、志希の言うとおり)」
モバP「(マンション外観は地味だが、セキュリティ関連はかなりしっかりしているようだし)」
モバP「(室内はといえば、ガラス戸と換気ダクトのついた大きなショーケースのような機材、よくわからない大きなカタログ、病院にあるようなパイプベッドなど)」
モバP「(いかにも理系じみた道具ばかりが置かれていて、生活感が全く無い)」
志希「ジャージに着替えて、そこのベッドに寝転んで。あたしは計測機材の準備するから」
モバP「あいよ」
志希「ふんふんふふーん。よし。じゃあこの電極を……まずは右脚からやろうか」
志希「ジェルがちょっと冷たいけど、我慢してね……ほい」
志希「ここと……ここでいいか。じゃあ、はじめるよ」
モバP「(志希が手元の機械を動かすと、脚に痛みのような緊張のような、奇妙な感覚が走る)」
モバP「(そして俺の意思に反して、ふくらはぎの筋肉がぴくぴく動く。苦しいというか……正直いって、気持ち悪い)」
モバP「……まだか?」
志希「もうちょうもうちょい。あ、動いちゃダメだよ」
志希「ふんふん……まあこんなもんでいいか。じゃあ次、左足ね」
モバP「(こんなのが後三回かよ……)」
小一時間後。
モバP「やっと終わりか。これで全部済んだのか」
志希「そうだね。お疲れ様、だよ」
モバP「志希もお疲れ。俺のために、結構時間取らせちゃったよな」
志希「あっはは。何言ってんの今更。この程度どうってこと無いよ、本当に」
モバP「薬は、すぐできるんだよな? 翌日には出来るって、前言ってたし」
志希「そうだね。明日の朝にはあげられるよ」
モバP「そうか。いや、明日俺、オフだからさ。件の人と昼から会うんだよ」
モバP「前からの約束だったんだが、早速使えるなら、それに越したことはないな」
志希「へえー。それなら、明日の朝早くに、ここにもう一回おいで」
志希「あ、でも一人で来てよ。あたしがここに部屋借りてること、あんまり他の人には知られたくないし」
モバP「……そうか。それは、そうだな。わかったよ。ここの事は誰にも言わない」
モバP「その方が、多分俺のためにもなるんだろう」
志希「うんうん。話の分かるプロデューサーを持てて、あたしは幸せだよ」
志希「じゃあ、また明日。……ふふふっ、明日がプロデューサーにとって、運命の日になるんだね。いやぁ、楽しみだよ」
モバP「おう、じゃあな」
ここから後半です。
翌日の朝。
言われた通り、俺は志希の秘密ラボに来ていた。
インターホンを鳴らすと、入っていいとのこと。
昨日ぶりの研究室へ足を踏み入れると、やけに機嫌の良さそうな志希が出迎えてくれた。
「やあやあ。いらっしゃい」
「薬はできているのか?」
「そりゃあもちろん。あたしは一ノ瀬志希だからね。
もう調合が済むところだよ。持ってくるから、コーヒーでも飲んで待ってて」
白いブラウスのボタンを開けて着崩して、その上から白衣を羽織った志希が、俺にマグカップを押し付けてくる。
そのまま背を向けて、奇妙な形のフラスコやら鍵付きキャビネットやらが押し込まれた奥の部屋へ行った。
コーヒーを勧めてもらったのはいいが、立ったままというのも落ち着かない。
周りを見渡しても椅子が無い。
まさか志希は、いつも地べたに座って実験してるのか。いくらなんでも不便そうだが。
仕方なく俺は、昨日も寝かされたパイプベッドに腰掛けた。
座って、コーヒーを一口。
おそらくはインスタントだろうが、何か普段嗅ぎなれない臭いがするような気もする。
まあ、俺は別に珈琲通というわけでもないし、なんでもいいのだが。
もしかしたら、漫画や小説に出てくる科学者キャラのように、ビーカーでコーヒー沸かしたりしてるのかもな。
なんとなくそんなことを思いながらコーヒーを飲んでいると、しばらく後に志希が帰ってきた。
「……お。あたしの淹れたコーヒー、全部飲んでくれたんだね」
「うん、まあ、美味かったよ」
「ふふ。そう、そうなんだ。それはなにより。ふふふっ」
今まで見たことがないほど上機嫌な志希。
嬉しさと笑いを抑え込めない様子だが、何がそんなに楽しいんだろう。
訝しんだ時、俺は志希が薬らしきものを何も持っていないことに気づいた。
「志希。惚れ薬は? 取りに行ったんじゃなかったのか」
「薬。はは。惚れ薬ね。そんなもの、もう無いよ」
予想もしなかった言葉。まさか、こいつは俺のことをからかったのか。
思わず立ち上がりかけると、腕と足に痺れが走った。
「だって惚れ薬は、今キミが飲んじゃったもんね。もうここには無いよ」
「な……!?」
今飲んだ、まさか、コーヒーに仕込まれていたのか。
勧められるままに、薬を飲んでしまったというのか。
「どうしてそんな、志希! 俺が飲んじゃダメだろ!?」
「いいんだよ。キミが薬飲んで、あたしにベタ惚れになっちゃえば、それでいいんだよ。
……キミを他所の女に渡したりしない。キミはあたしのものだからね」
ニヤニヤ笑いながら、志希がにじりよって来る。
思わず体を離そうとしたが、まるで身体が言うことを聞かない。
金縛りにあった時のように、意識は鮮明なまま身動きがとれない。
志希が俺をベッドに押し倒すのを、止めることができない。
「……! おい志希! どういうことだ、お前、これは……!」
「どういうことも何も、さっき教えてあげたじゃん。
キミにはあたしの作った特性惚れ薬を飲んでもらったの。
だからキミは、これからあたしのことしか見えないようになるの。
それだけだよ」
「だ、騙したのか!?」
「そうだよ。あたしが何回もアプローチしてたのに、全然本気にしないでさあ。
その上、惚れ薬って聞いたら急に食いついて、他の女落とすのに協力しろって言い出すんだもん。
騙されてもしょうがないって、思わない?」
ベッドの上に俺を組み伏せた志希は眼を爛々と輝かせている。
今にも舌なめずりしそうなその様子に、恐怖した。
「じゃ、じゃあ、あの……走らされたりしたのは、何だったんだ!
被験者のデータが必要って、お前が……」
「ああ、あんなのデタラメだよ。
走るのは、キミの
コメント一覧
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- 2015年03月20日 21:43
- (幸運にも居場所を見つけ出し他のアイドルに連絡する音)
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- 2015年03月20日 21:47
- ???「うふ…Pさん、すぐにその女のところから助け出してあげますねぇ…」
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- 2015年03月20日 21:54
- 志希にゃん相手に勝負挑むのは分が悪いぞ佐久間ァ!鷹富士ィ!
それこそサリンとはいかなくとも何かしらの薬品で心中しかねん
-
- 2015年03月20日 21:54
- ままゆがアップを始めました
-
- 2015年03月20日 22:01
- (バスタオル一枚で迫る音)
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- 2015年03月20日 22:06
- ……ふう。
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- 2015年03月20日 22:10
- ヤンデレ志希狂おしいほど好き
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- 2015年03月20日 22:29
- このイチゴパスタにその薬を混ぜましてねえ
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- 2015年03月20日 23:11
- 志希はくそかわ
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- 2015年03月20日 23:15
- こんな馬鹿な事をしたら、死期が近づきますよ?ふふ…
-
- 2015年03月20日 23:16
- ※10
楓さん、目の光が……
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- 2015年03月20日 23:27
- (馬鹿な…蒼の力が…町を覆い尽くすだと…!)
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- 2015年03月20日 23:28
- これはいいものだ…
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- 2015年03月20日 23:29
- 米欄にアイドル湧きすぎィ!
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- 2015年03月20日 23:46
- ※12
紅の力と苺の力も…
だが、勝った方が我々の敵になるだけです
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- 2015年03月20日 23:49
- 芳乃「やらせないのでしてー」
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