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阿良々木「僕でいいのなら何度でも死んでやる」part1





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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:00:59.13


            登場人物紹介

・阿良々木暦 【人間もどき】   ・忍野忍 【吸血鬼もどき】

・戦場ヶ原ひたぎ 【蟹】     ・八九寺真宵 【蝸牛】

・神原駿河 【猿】        ・千石撫子 【蛇】

・羽川翼 【猫】         ・阿良々木可憐 【蜂】

・阿良々木月火 【鳥】      ・忍野メメ 【遊び人】

・影縫余弦 【不死殺し】     ・斧乃木余接 【鎚】

・ぼく 【戯言使い】       ・哀川潤 【人類最強】

※戯言シリーズ、物語シリーズ双方において重大なネタばれを含んでおります。



3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:03:37.35


★★A★★

戯言使い。第一印象は言うならば無個性。外見は中性的な顔で中肉中背。
ぱっと見、あまり喋らないタイプかと思えば話すと実は冗談を交える、飄々としたタイプ。
特徴が無いいでたちだが妙に危険な雰囲気を持つ人だと僕は感想を持った。
つまりつかみどころの無い人なのだ。
とはいっても僕が実際に戯言遣いと共にしたのはほんの少しの間であるのだが――


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:05:35.30


月火ちゃん絡みのいざこざがあってから一ヶ月ほどたったある日の日曜日のこと、僕は羽川と戦場ヶ
原の家庭教師が休みの日ということもあって行く当ても無くぶらぶらと歩いていた。
最近戦場ヶ原がデレたとはいえ、やはりというか勉強が幾分楽になる程甘くは無かった。
――まあ僕が大学に進学するためには当然の事なのだが。
ということで結構僕は久々の休みに浮かれていたのだ。
いつもより早めに目が覚めた僕は散歩がてらに家を出た。
住み慣れた町を道なりに目的も無く歩くってのは意外と面白いものだ。
そんなでしばらく歩いていると見覚えのある後姿を捉えた。
馬鹿でかいリュックサックを背負った小さい人影。
――八九寺だ。


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:07:59.35


八九寺真宵。元迷い牛、現浮遊霊で外見小学生のロリっこ。
歩くごとに清純な黒髪ツインテールがひょこひょこと上下している。
……あいつと話すと疲れるんだよな。なんていうか全力で会話する必要があるってのか僕は苦手なん
だよな、そういうの。
ってことでここは気づかれないようにスルーすることにしよう――

「はーちーくじぃぃぃぃっ! 今日も可愛いなこのっ」

ゴメン、全部嘘だ!
僕は八九寺のことが大好きだ!
八九寺へのタックルが見事にきまり腰に腕を回す。
若干リュックサックが邪魔だがこれも八九寺の体の一部と割り切り気にしない。
そのままの体勢で八九寺の体を持ち上げる。
もちろん蟹に体重を奪われた戦場ヶ原ほどではないが、軽々と八九寺は宙に浮く。


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:10:36.33


「ぎしゃぁぁぁっ、フゥゥー!」

獣の様に唸りながら八九寺はぶんぶんと腕を振り回す。
まず腕の皮膚が持っていかれた。問題ないすぐ直る。顔を八九寺の背中にこすり付ける。
顔に爪が掛かり、斜めに横断した。大丈夫回復する。わき腹から胸にかけて揉みしだく。
くるりと腕の中で八九寺が回転した。

「がうっ」

一瞬の躊躇も無く脳天に歯が突き刺さる。
頭皮は当然のように突き破られ頭蓋骨を削るゴリゴリという音が僕の頭の中に響く。

「ぎゃぁぁっ八九寺! 落ち着け僕だ、お前の大好きな阿良々木さんだ! 駄目! 脳みそは吸っち
ゃだめぇっ」
「ぐぅぅ、がる、……ん? ぷはぁ、これははだか木さんじゃないですか」
「僕は露出狂か!? 僕は阿良々木だ!」
「失礼。噛みました」
「違う、わざとだ!」
「かびました」
「わざとじゃない!?」

そんなでいつもの挨拶を済まし、八九寺と共に並んで歩く。






9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:12:32.65


「ところで今日はいつものお勉強では? ああ、わかりました、阿良々木さんの陳腐な脳みそがメル

ダウンを起こしたんで暇を出されたんでしょう。駄目ですよ、近隣に迷惑をかけては」
「違うっ! 今日は正式なお休みの日だ! それになんだ僕の頭は原子力で動いてるのか!?」
「なに怒ってるんですか、それ褒め言葉ですよ」

……頭が原子力って褒め言葉なのか? そもそもおまえは僕の脳みそを吸おうとしていたじゃないか。

「しかし阿良々木さん、せっかくの休みなのにひとりでぶらぶらしてるなんて悲しすぎますよ。
あっごめんなさい」
「……? どうした、いきなり謝ったりして」
「いえ、友達のいない阿良々木さんに対してわたしはデリカシーのない酷いことを言ってしまいまし
たから」
「改めて酷い!? それに友達ぐらいいるさ、千石だろ、神原に羽川、戦場ヶ原ほらもう四人も出て
きたぞ」
「……それって後輩と彼女除いたら実質羽川さんひとりじゃないですか。悲しすぎます~」

ものすごい哀れみの目を向けられている。というよりマジで瞳が潤んできてるよ。
小学生に哀れみを受ける高校生、阿良々木暦。なんて情けないんだ。
でも大丈夫。まだ僕には友達がいるさ。それは――


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:14:30.09


「八九寺、お前も僕の友達だ」
「うわーん、キメ顔でイタイこと言われました~」

うわっマジ泣きだ!
キメ台詞を言って小学生を泣かす高校生、阿良々木暦。僕も泣きそうだ。
とまあそんな感じの泣きつ泣かれつの会話をしていると背後からけたたましい爆音が聞こえていた。
振り合えると結構なスピードを出した真っ赤なスポーツカーが僕らを目掛けて爆走していたのだ。
車一台が通れるか通れないかの道幅しかなく、このまま行けば僕らは間違いなく轢かれてしまう。

「うわっ暴走車!? 八九寺っ塀に登れ!」
「ふぇ? うわぁなんですかあれっ、轢かれちゃいます!」
「だから登れってってんだ! ええぃ」

ぐずぐずする八九寺を『たかいたかい』の要領で力ずくに押し上げる。
げっ、これじゃあ僕は間に合わないじゃないか。
車は相変わらずのスピードで迫ってくる。残り五メートル。

「阿良々木さん!?」

そんな八九寺の悲鳴にも似た叫び声を聞きながら僕は思う。
車に轢かれても僕は復活することができるのだろうか。
あの春休みならまだしも、今の僕では見当もつかない。
僕は目を閉じて衝撃に備える。
一秒、二秒、三秒……あれ?いまだにその衝撃は訪れない。
恐る恐る目を開けると車はスローモーションでゆっくり近づいている――ということもなく僕の正に
薄皮一枚、そんな距離で停止していた。


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:16:13.64


★★B★★

暦の上ではとっくに秋だというのに京都は相変わらずうだるような暑さだ。
いっそのこと京都だけ秋を十月に定義するというのはどうだろうか。
……戯言だけどね。
『あれ』から一年経った。
人類最悪に絡まれてから一年、玖渚と決別して一年、骨董アパートが倒壊してから一年。
――そしてぼくが請負人の道を選んでから一年。
ぼくは二十歳になり、アパートの跡地に建てられたマンションの一室に事務所を構えた。
結構苦しい生活を迫られているんだけどね。
つまり今のぼくは請負人見習い、新米のぺーぺーである。
しかしと言うかやはりと言うか全く仕事の依頼は入らず、暇を食いつぶす日々を送ってるんだけど。
まぁそんなある日のことぼくが朝食から戻ると真っ赤なレザージャケットが目に飛び込んできた。
――哀川潤、人類最強の請負人。そしてぼくの友達でもあるその人だ。

「よー、いーたん。久しぶりに会いに来てやったぜ」
「久しぶりって先週来てたじゃないですか」
「いいじゃねぇかあたしはお前と違って仕事が忙しいんだ。なのにわざわざ時間を作ってやったんだ
から有難く思いやがれ」

ふむ、確かに哀川さんとぼくとじゃ時間の感覚が違うのかもしれないな。
見ると哀川さんはぼくの顔を舐めるかのようにニヤニヤと笑みを浮かべている。
これまでの経験から考察して、大抵こんな顔は何やらいらぬ事を考えているのだ。


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:17:45.56


「えーと、何か用事ですか哀川さん」
「上の名前で呼ぶな下で呼べ。あたしを苗字で呼ぶのは敵だけだ」

いつの間にかぼくはアームロックをかけられ、いつも通りにそう凄まれる。
無茶苦茶顔が近いのだが、哀川さんは気にもかけていない様子だ。

「一応ぼくは商売敵なんですけどね、潤さん」
「ならこのまま捻じ切ろう」
「すいません冗談です! 首から変な音がします!」

そのまま数十秒締められて意識を手放しそうになった時やっと開放された。
その気になれば一瞬で落とせるはずなのに最大限の苦しみを与えることだ小憎らしい。

「じゃ、本題に入ろうか。どうした、シャキッとしやがれ」
「……。何でしょうか」
「喜べ、いーたんにお仕事を持ってきてやったぞ!」
「あー、そうですか。どうもです」
「ちっもっと喜びやがれ」
「うわーうれしいなぁ。潤さん最高です」←棒読み
「どりゃー」 「うわっ」

蹴られた。
確かにぼくに仕事を回してくれるのは良いのだが、哀川さんの持ってくる仕事はひと癖もふた癖もあ
るからな。

「今回はたいした事じゃねぇよ。ちょいちょいっと終わる楽な仕事」
「勝手に心読まないで下さい。で、楽な仕事って言うなら潤さんひとりで十分じゃないですか」
「馬鹿野郎、仕事ってのは経験を積んでなんぼだろうが。社会人の基本だぞ」

……社会人から最も遠い人に言われてもね。


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:20:15.54


「……そうですね、はい。ところでその依頼ってのはどういう内容で?」
「おう、なんでも地方にある朽ちた神社の様子をとある少年と見てきてほしいってんだけどさ、
依頼人がアロハ服のおっさんで見るからにタダもんじゃねぇんだよ。お前は漫画のキャラかって突っ
込みそうになった」
「本当に雑用ですね。というより怪しすぎません?その依頼」
「いいんだよ。なんでも『勝手に助かった人』がいるからって金を弾んでくれたし」
「まったくもって意味がわかりません。そもそもそれってぼく必要ありませんよね」
「細かいこと気にすんなって。あたしについて来るだけでいいからさ。依頼金は山分けだ」
「……ところでその内訳は?」

ぼくらしかいないのに哀川さんは耳打ちをしてきた。
……なるほど、ついて行くだけでそれだけ貰えるなら美味しい話だ。
結構今月厳しいところだったし。

「いいでしょう。行きます」
「ひひひ、現金な奴だな。いーたんは。はむっ」

突然哀川さんはそのままぼくの耳に食らいついた。
唇で挟む、いわゆる甘噛み。


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:21:47.38


「うわっ、潤さん、なんですかっ」
「契約のサイン」

しゃあしゃあと言う哀川さん。
――本当にこの人には敵う気がしない。
そんなで事務所を出て哀川さんの車に乗り込む。
哀川さんらしい真っ赤なスポーツカーだ。
前の車は澄百合学園で見事に廃車になって現在は二代目なんだけど、よくみると細かい傷が結構刻ま
れている。
……哀川さん無茶な運転するからな。

「ところで真心どうしてます?」
「ん?ああ、あいつなら今日も『俺様もいーちゃんに会いに行く』ってしつこかったから岡山あたり
で車から叩き出した」
「……そうですか」

まあ、あいつなら自力で戻ってくるだろう。もちろん無傷で。
むしろゆっくりしてたら追い着かれるんじゃないかな。
戯言……じゃないんだよな。






23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:23:38.67


「そうそう愛しの玖渚ちんは元気にしてるか?」
「ええ、まあ大目に見れば元気ですね。療養中ですけど。大分髪の色が薄くなってますよ」
「つまり『卓球大会。ただし球はすべてスーパーボールみたいなっ』て感じか」
「久しぶりですね、それ。若干意味わかんないですけど」

巫女子ちゃん、懐かしいな。あれも一年前か。
と、まあそんな会話をしながら高速に入り、百数十キロのドライブを楽しむ。
高速を降りる頃には窓から見える景色も自然が多くなり、見るからに『地方』という雰囲気になって
きた。
それからしばらく道沿いに車を走らせる。
それにしても道幅が車一台分しかないのにフルスロットルで走らせてるけど大丈夫なのかな。
まあ哀川さんなら何とかなるだろう。

「あの潤さん。聞き忘れてましたけどとある少年って誰ですか?」
「あーそういやあたし、顔知らねぇな。まぁ変わった名前だからその辺のやつに聞きゃあ分かるだろ
う。確か『阿良々木暦』って言ったな」
「へぇー、確かに変わった名前ですね。……暦くん、ね」
「おっ、あそこに小学生を苛めてる高校生がいるじゃねぇか。丁度いいあいつに訊いてみよう」

ふむ、道なりに目を凝らせば確かに誰かいるな。ぼくには一人しか見えないが哀川さんの目にはもう
ひとり見えたのだろう。哀川さんが言うのならそれは絶対だ。
法定速度を優に超えた車はどんどんその距離を縮めていく。
……あれ?やっぱりぼくには高校生しか見えないんだけどな。


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:25:03.54


「あっあいつかわいい女の子泣かしてるじゃねぇか! 許せんっ! 他の奴が許してもこのあたしが
許さんっ!」 
「ちょっ、潤さん! 轢いちゃいますよ! そろそろブレーキ踏まないとヤバイですって!」

ぼくの脳裏にノイズくんの姿が映る。
ここには絵本さんがいないから死んじゃうって。

「ありゃ? あいつ女の子を助けやがった。ふふふ、いい根性してるじゃないか。よしビビらすだけ
にしてやろう」

ぼくはてっきり衝突するんじゃないかと思った。
――あの高校生も目を閉じて覚悟を決めてるし。
しかし、ぼくと彼の予想を裏切り哀川さんの流石なドライビングテクニックで見事な寸止めを決めた。
そして哀川さんは颯爽と車から降りて爽やかな笑顔でこう言う。

「ロリコンのあんちゃん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど――」


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:26:46.09


★★A★★

「ロリコンのあんちゃん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、あんた阿良々木暦ってやつ知らな
いかな」

そんな風に暴走車から降りてきた車とお揃いの全身真っ赤な超美人のお姉さんは切り出してきた。
さて、なぜこのお姉さんは僕の名前を知っているのだろうか。
というよりも僕を轢きそうになってたのもこのお姉さんだよね!?
絶賛☆混乱中。
思い浮かべるのはあのふたり。
――影縫余弦と斧乃木余接。
『不死殺し』と『例外のほうが多い規則』
まさかこの人も――

「どーした、あんちゃん。変な汗かいてるぜ」
「えーとですね、ははは」

目的が僕ということは分かる。
しかしここでおいそれとネタばらしするのはいかほどのものか。
最悪ここでバトルが始まるかもしれない。
忍に血を与えていない僕ではそれだけは避けておきたい所なのだが。
さて、どうする――

「阿良々木さん、それってあなたのことじゃないですか」
「うわぁぁ!? 八九寺っ! 空気読めっ!」


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:28:37.40


……ああ、すっかり八九寺の存在を忘却していた。
あ、でも大体の人には八九寺は見えないんだったな。
見えるのは、帰り場所を求めない人だけ。

「なんだ、お前が阿良々木か。ありがとよ、お嬢ちゃん」
「どういたしまして、お姉さん」
「見えてる!?」
「よっしゃ、暦っちちょっとお話があるから車に乗ってくれ」
「えっ遠慮しときますっ!」

やばい、怪しすぎる。
僕は『逃げる』のコマンドを選択して身を翻す。
吸血鬼だった僕は身体能力なら普通の人より抜き出ている。
大丈夫、逃げ切れるはずだ。
そう思考をめぐらせ走る僕を一迅の風が追い抜く。
その風は真紅で美しい女性だった。
某RPG風に言うと『……しかし回り込まれた』ってやつだ。


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:30:04.98


「あれ? もしかして今のって逃げてたのか? 気のせいだよな。もし逃げるってんなら力尽くで行
かせてもらう事になるけど」
「いえ、逃げてませんっ! ちょっとランニングしたいなーって思っただけですよ」
「ならいいや。よし行こう」

ということで車に連行される僕。
……あれ? 助手席に誰か乗ってるな。

「おう、いーたん悪いが後ろに行ってくれないか。暦っち乗せるから」
「え? ああ彼が暦くんだったんですか。偶然ですね――いや、『縁が合った』ってことですか」
「そーいうこと。ほらさっさと退け」

どうもこの人も僕のことを知っているようだった。
……『縁が合う』? なぜ言い直したのだろうか。
助手席から降りた『いーたん』と呼ばれた青年と目が合う。
全体的に特徴が無く、喋らなければ女性にも見える面持ちだ。
だがひょろいと言うこともなく、結構鍛えているんじゃないかって体格をしている。
しかし僕はそんな彼に恐怖感を覚えている。どこが怖いのかは説明できないが、潜在的に、人間とし
ての僕が恐れている。

「はじめまして、暦くん。面白い疵を首に付けてるね。まるで吸血鬼に噛まれたみたいだ」
「えっ!?」
「ああごめん。人間観察が得意なんだけど失礼なことを言っちゃたね」
「あっ、いえいいんです」






34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:31:57.32


正直驚いた。
確かに僕の首筋には傷がある。
春休みに付けられた傷跡が。
しかし今は襟首を伸ばして綺麗に隠れているはずだ。
なのに彼は見抜いた。
……どうやって?
そんな疑問を浮かべながら彼と入れ替わるように助手席に身を滑らせる。
後ろと隣からドアを閉める音。そしてお姉さんはエンジンをかける。
エンジンの回転にあわせて車が振動し、そのまま発進した。
窓の外にいる八九寺は満面の笑みで手を振っている。
……友達が拉致られたってのに平和な奴だ、まったく。

「『ジェイルオルタナティブ』に『バックノズル』、ね」
「……? えーと」
「いや、ただの戯言だよ」

戯言ってなに?
今度羽川に聞いてみよう。

「よし、まずは自己紹介だ。あたしは哀川潤、請負人だ」
「あ、はい。えーと僕は阿良々木暦、高三です」
「そうか、高三てったら受験生だな。あたしは小学校すら出てないけど」
「潤さん、それはあまり自慢になりませんよ。というより恥です」
「うっせーな、いーたんは。お前だって小卒だろうが」
「うっ、厳密に言えばそうなりますけど、一応ER3には入ってましたよ。高校卒業の資格も持ってます」
「それも中退だろうが。大学も中退。お前も恥だらけじゃねえか」


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:33:14.06


いきなり二人の会話が始まった。
しかし『ER3』って僕でも聞いたことがある名前だ。
厳密に言えば羽川から聞いたんだけど。
なんでも天才の集まりだとか。
あいつもそこから勧誘受けてたんだよな。
――蹴ったらしいけど。
とりあえずこのままでは話が進まない。

「あの、哀川さん?」
「ああ、すまん。それとあたしは潤でいい」

潤さんは少し不機嫌そうに訂正させた。
苗字で呼ぶのはNGらしい。

「えーと、次はぼくだね。ぼくは請負人見習い。名前は好きに呼んでくれていい」

……そう言われても難しい。そもそも本名を知らないからな。
いーたんって呼ぶには気が引けるし。

「そうだね。大体ぼくは戯言遣いなんて呼ばれてる。他には欠陥製品、なるようにならない最悪、師
匠。名前ではいーちゃん、いっくん、いのすけ、いーの、いっきー、いーいー、いの字etc.etc....
そして――『俺の敵』なんて具合にね」

うわぁ、すごいなこの人。
最初と最後は意味が分からないけど、つまり『い』が関係する名前だということは分かった。
そういや僕も呼び名が多かったな。
阿々良木さんに阿良々々木さん、それにありゃりゃ木さんとむらら木さんに何良々木さんetc.etc。
あとは阿良々木君に阿良々木先輩、ラギ子ちゃん、暦お兄ちゃん、暦。
うん、八九寺ばっかりじゃねぇかっ!! あんちきしょうっ!


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:34:59.60


えーと、じゃあ『いーさん』でいいですか?」
「別にかまわないよ。少し中国人みたいだけどね。それにそんなに気張らなくてもいいよ。君とぼく
はそれほど歳が離れているってわけじゃないしね」

とりあえずこの二人の名前は分かった。
哀川潤さんに、いーさん。
仕事は請負人といまいち分からない職種だがまあそれはいい。
――果たして僕はなんで拉致られたのだろう。

「別に拉致ったわけじゃないさ。ま、それじゃあ仕事の話に入っていいか?」
「えっ? 僕喋ってましたか? それに仕事って」
「読心術は請負人の基本だ」
「ぼくは出来ないけどね」

……駄目じゃん。

「つかその反応を見ると本当に何も聞いていないようだな」
「正直言うとこの状況に何一つ思い当たることがないんですが」
「ふーん、じゃあ依頼人からの伝言を伝えるとするか――『阿良々木くんにこう言ってくれたら分か
るだろう。あの神社の様子がどうもおかしい、とね』だそうだ」

うわぁー、一瞬ここに忍野がいるのかと思って見回してしまった。
勿論ここにあのおっさんがいるはずも無く、その発声源は潤さんだった。
――信じられない。人の声ってのはあそこまで変えれるものなのか。

「声帯模写は請負人の基本だ」
「ぼくは出来ないけどね」

……デジャヴ。いーさん全然駄目じゃないか。
僕にも絶対出来ないけど。


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:37:21.99


「で、暦っちはそれで理解できたのか?」
「あっはい。『神社』、ですか……」

忍野の言う神社はやはりあそこの事だろう。
北白蛇神社。
千石と再会した場所。
そして――怪異の王が残した吹き溜まりでもある場所。
その場所に何かがあった。
一応忍野の手伝いで結末を迎えた場所であるはずなのに。

「つまりそこを暦っちと一緒に見に行くってのがあのおっさんの依頼だ」
「え? 伝言だけじゃないんですか」
「伝言だけなら車に乗せねぇよ。ま、あたしに依頼する位だから一筋縄にはいかないだろ」
「潤さん、楽な仕事って言ったじゃないですか」
「いーたんは黙ってろ。あたし絡みの仕事が楽なわけ無いだろう」

と、まあそんな具合で潤さん達の目的が分かったので、場所を知らない潤さんに神社への道のりを教
えて、昼過ぎには目的の場所に着いた。
千石の蛇以来の場所だがあの時からほとんど変わったところは見られない。
変わったところといえば葉の色が黄色くなっている事ぐらい。
獣道と言って差し支えの無い道から段差と言っても間違いない階段を僕が先頭に立って請負人の二人
と登っていく。
もちろんその途中で中学生くらいの女の子とすれ違うということも無く、目的地にたどり着いた。
そびえ立つ朽ちた赤い鳥居。
その奥に見える朽ちた神社。
あ、そういや潤さん達に蛇のこと伝えてないや。


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:39:15.67


「あーと、ここ蛇が出ますから気をつけて――」

そう振り返ったらいーさんの顔色が土気色に変わっていた。
しまった、言うのが遅かったのか!?

「いーさんっ大丈夫ですか!」
「おっ、いーたん何だその顔色。死人みてぇだな」
「ええ、ちょっと眩暈がしただけです。大丈夫ですよ」

とても大丈夫そうには見えない。
肩で息をするかのように体力は落ちていて、額からは珠のような汗を滴り落としている。

「いーたんその辺で休んでろ。どう見たってこりゃドクターストップだ。こっからはあたしと暦っち
で行くから」
「そうして頂くと助かります。ご迷惑をかけてすいません」

苦しそうないーさんを後に残して僕と哀川さんとで異常探しを始めた。
しかし異常はすぐに見つかった。いや無かった。

――僕が本殿の戸に貼ったお札が無くなっていた。


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:41:57.60


そして思い出す。
あのとき――あのとき鳥居を潜った神原はどうなったのか。
神原は調子が悪くなったのだ。
そう、いーさんのように。
――『怪異』を体に宿していたから。
僕は身を翻し走った。

「おい、暦っちどうした!」
「すいません、説明は後ですっ!いーさんが危ない!」

いーさんの下に慌てて駆け戻る。
しかし遅かった。いーさんは半ば倒れるような体勢で地面にひれ伏していた。
顔は見えないが苦しそうに呼吸をしている。
近寄ろうとした。
そして前に重心をかけた時、背後から服を引っ張られた。
潤さんか? こんな時になんだ。
振り向く。
けれど潤さんは僕の後ろで、僕を見て驚いていた。
――いーさんを見てじゃなく、僕を見て。


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:43:16.59


僕の服を引っ張ったのは僕の影から上半身を出した金髪金眼の少女だった。
忍野忍。吸血鬼の絞りかす、元怪異の王。

「わがあるじ様よ。また儂の寝とる間に面倒くさいものと一緒にいたようじゃの」
「忍! 離せ、話は後だ。早く助けないと――」
「篠紙、しせ髪、視す守……」
「え? 何か忍野から聞いているのか!?」
「ふん、聞かなくても分かておる。あ奴は誰でも知っている怪異じゃ」

倒れたいーさんの体から黒い靄の様なものが立ち上り始める。
禍々しい得体の知れない雰囲気が辺りを包む。

「――死神。死を司る怪異じゃよっ!」


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:44:30.25


忍は言い終わると同時に僕を引っ張った。
僕はそのまま後ろに吹っ飛ぶ。
なんだか今日の忍は三割増しに力が強い。
――場所の関係だろうか。
受身も取れずに石畳に叩きつけられるかと思いきや潤さんが滑り込むように僕を受け止めた。

「すいません。助かりま――」
「なんだありゃ」

僕に目を向けずにそう言った。
潤さんが睨む先に僕も目を向ける。
僕が今まで立っていた所。
そこに――『何か』がいた。
手足の指の先だけで体重を支えている四つん這いの何か。
一見すると猫のような格好だが、自重など全く無いかのように一本十五センチはあろうかという真っ
白い指を正に垂直に立てて維持していた。
足の甲から手の甲まで黒一色で統一されており、陰影が無いほどの黒なのでまるで平面に見える。
僕が瞬きする毎に白く浮かび上がった顔の様なものが胴体を喜怒哀楽、上下左右に変化する。
――異常、異形、異彩。
正にこの世のものとは思えない存在がそこには存在していた。






48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:45:53.95


★★B★★

――六年、いや七年前からか。それとも生まれてからなのか。
ぼくがいるだけで周りが狂い、そして死んでいく。殺される。
ぼくは何もしない。ただそこにいるだけ。
それなのに、計画が狂う。
空気が狂う。
人間が狂う。
いつだったかぼくの事を『無為式』なんて呼んだことがある。
……狐さんだったかな。人類最悪。
ぼくの人生は死が付き纏っていた。
だから――だからぼくは死に慣れた。違和感を持たなくなった。
ぼくはただ『死』という存在を受け入れていた。
しかし、狐さんと対峙して、生きることを自覚した今のぼくは――


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:47:53.98


死神――怪異――」
「すいま――かりま――」
「――んだありゃ」

そんな声でぼくは意識を取り戻した。
哀川さんと暦くんの声だ。
あれ? もうひとりは誰だろう。
頭がズキズキする。
そうかぼくは突然気分が悪くなって休む場所を探そうとしたら足に力が入らなくなり……
多分――気を失っていたのだろう。
しかしおかしな事がある。
ぼくの中の何かが無くなった、そんな感覚だ。
いらなくなったのではなく、何かが足りない。
解放感ではなく、喪失感。
つまりぼくを構成する『何か』が欠如している。
いまいち力の入らない体を半ば無理矢理に引き起こして顔を上げた。

ぼくと暦くん、哀川さん、謎の少女の間に『何か』がいた。
少女は誰だか分からないが、間違いなく外見は人間のそれである。
しかしその『何か』は明らかに人外のもの。
少なくともぼくにはこれまで一度も見たことの無い生物がそこにいた。
だが、なぜかそれに、ぼくは近親感を抱いている。
そう、まるで――まるで、ずっと一緒に暮らしてきた家族のような――


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:50:09.18


「いーさん、そいつから離れてください!」
「いーたんっ!」

暦くんが叫ぶ。
哀川さんが駆ける。
『何か』が哀川さんに向けて腕を振るう。
その動きは鞭のようにしなやかで、剣のような鋭さを秘めているようだ。
哀川さんはその一撃をブリッジするように仰け反り、紙一重で避ける。
そして慣性の法則に従うまま、滑りながらぼくの下へやってきた。

「おうおう、いーたん、お前いつからスタンド使いになったんだ?」
「はい?」
「こよみっちも美少女のスタンド出すし、やっぱりスタンド使いは引かれ合うってやつなのか」

……すいません、全く意味が分からない。
意味を模索していると哀川さんの腕がぼくの脇に回され、軽がると担ぎ上げられた。
視界が残像のように引き伸ばされる。
哀川さんはぼくを抱えたまま走ったのだ。
――哀川さんいつもこんな動きをしているのか。
つくづくこの人も怪物だよな。
何故、哀川さんがこんな事をしたか、それの答えは簡単に見つかった。
『何か』がいままでぼくたちがいた場所を薙ぎ払ってたのだ。
石畳は木の葉のように軽々と吹き飛び、瓦礫と土の山を作る。

「ちっ、なかなか素早いじゃねぇか」
「潤さん、これどういうことですか」
「んなのあたしにも分からんさ。てめえが出したんだろうが」
「えっ? あれをぼくが?」
「うおっ! 嬢ちゃんそっから離れろ!」


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:51:59.35


哀川さんの進行方向に金髪の女の子がいた。
しかし少女は動かない。動けないではなく動かない。
無表情でぼくたちを見つめていた。
こうなればぼくたちが何とかしなければならない。
ただし、ぼくらの背後からは『何か』が迫っており避ける事が出来ない。
もし避けようというなら、『何か』が少女にぶち当たる事になるのだから。
哀川さんは絶対にそんなことはしない。
――甘い人だからね。
哀川さんは一度舌打ちをして、ぼくを担いでいない方の手を少女に伸ばす。
しかしその手は少女を掴むことが出来なかった。
いや、正確に言うとその手を少女が避けた。
そしてぼくはすれ違いざまに見た――
少女は口の端を吊り上げて妖艶に笑ったのを。
そんな年に似合わない笑みから覗く白い歯、その犬歯が異様なまでに鋭く尖っていた。
それが見えたのはほんの一瞬で、少女を通り過ぎてすぐに暦くんが駆け寄ってきた。

「いーさん、大丈夫ですか!」
「あ、暦くん。うん、ぼくは大丈夫だ」
「おう、暦っち、いーたんを頼む。あたしはあの子を助けて――」
「忍なら大丈夫です。潤さん」

暦くんは哀川さんの台詞を遮りそう言った。
何一つ不安の無い、信頼に満ちた声で。
ぼくと哀川さんは少女の方に振り返る。
少女と『何か』は対峙していた。


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:54:00.35


「たかだか死神が怪異の王である儂に闘いを挑むのはちょいっと無理があるんじゃないかのう」
「…………」
「うぬも分かっておるだろうに。うぬじゃ儂に死をもたらすことが出来ぬという事にな」

外見に似遣わない話し言葉で、言葉も通じそうに無い『何か』を威圧する。
それの効果があったのか『何か』は動きを止め完全に静止していた。
そして数秒後、突然後方に飛び上がり木々の中に紛れてこの場からいなくなった。
暦くんは驚いたような顔をして忍と呼んだ女の子に走り寄る。

「忍、何で逃がしたんだ!」
「ふん、今の儂じゃ良くて引き分けといったところじゃからな」
「でもお前――」
「ハッタリじゃよ。やつは心の持ちようで何とかなるからの。それはお前様も知っておろうに」
「……神、か」

忍ちゃんは言い終わると驚いたことに暦くんの影に飛び込んだ。
まるで水に飛び込むかのように影の中に消えた。
目の錯覚かと思ったがもうここには忍ちゃんの姿は無かった。
あるのは暦くんの何か思いつめたような後姿だけ。


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:57:17.45


★★A★★

山から下りて潤さんは僕に胸元から出した紙切れを渡してきた。
それには番号が書かれており、何かあった際ここに電話を掛けるように忍野に言われていたそうだ。

「その番号からするとどうもどっかの公衆電話の番号だろう」
「公衆電話? 公衆電話ってこちらから掛けられるんですか」
「電話だから掛けられると思うよ。以前ぼくも公衆電話に掛かってきたのを取ったことがあるからね」

ということで早速僕は携帯を取り出しその番号に発信してみた。
一度回線が切り替わるような音がして、コール音が鳴り始める。
そして数回鳴った後、繋がった。


58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 20:58:22.74


『もしもし、誰だい?』
「忍野ッ! あれは一体どういうことなんだ!!」
『久しぶりだね、阿良々木くん。どうしたんだい大声出して。何かいいことあったのかい?』
「最悪だ! お札が無くなってるし、死神が出るわで……」
『うん? 死神だって? お札は何となく分かってたけどそれはおかしいな』
「おかしいって実際に出たんだから仕方が無いだろ!」
『相変わらず元気良いね、阿良々木くんは。それにおかしいって言うのはね、死神が出たって事その
ものなんだよ』
「どういう事だ、意味が分からない。分かりやすく言え、忍野」
『簡単に言うとね、阿良々木くん。死神はこの七年間、いやもっとかな、どこにもいなかったんだ』
「『どこにも』いなかった?」
『そうだよ。まあ厳密に言えばどこかに囚われていたというかね』
「でも死神は一匹って事は無いんだろ。だったら今回のは別のやつだって――」
『いや、阿良々木くん、死神は世界にひとりしかいないんだ。そんなにホイホイいたら困るだろ?』
「まあいいそれは分かった。で死神ってのはどういうやつなんだ、なにをする?」
『何もしないさ。ただ周辺の生き物を死にやすくするだけだ。もっとも死に近いほど突然死なんてこ
とがあるけどね』

――死にやすく、死に近いほど。
不穏な単語が忍野から飛び出す。
しかし――しかしどこか引っ掛かる。






60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 21:00:23.71


『そういえば、どうやってその死神は現れたんだい?』
「えっと、お前が頼んだいーさ――いや請負人の体から湧き上がるようにだな」
『あれ? おかしいな。あの美人ちゃんにはそんなの感じなかったんだけどなあ。死神が憑いている
のなら見ただけで分かるはずだし』
「違う、潤さんじゃない。男のほうだ」
『男? 誰それ、知らないなあ。あっそうか、なるほどね』
「ひとりで納得するんじゃない」
『ああそうだね。つまりその彼はあの吹き溜まりに死神ごと引っ張られてきたってわけだ。うーんや
っぱり僕の責任だね。僕が教えていればこんな事にはならなかっただろうしねえ。ということで阿良
々木くん、僕の変わりに謝っといてよ。謝るのは得意だろ? ツンデレちゃんによくやってるじゃな
いか』
「僕はそれほどガハラさんに謝ってないぞ!?」

――いや、思い返せば結構謝ってるな。
主に理不尽な言い分に対して。

「まあいいや、それでどうやれば死神を祓えるんだ?」
『死神を祓うことは出来ないさ。ほらツンデレちゃんの時を覚えているかい? 重し蟹、おもし神。
あのときも『神』だったよね』
「――ただそこにいるだけ。望まない限り実現しない、だったよな」
「そう。よく覚えていたね阿良々木くん。褒めてあげようか? まあ、そういうことで祓う必要はな
い。そもそも死神にだって役割があるからね。それは憑かれていた本人が分かっていることだろう』


61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 21:02:25.55


僕はちらりと潤さんの車で休んでいるいーさんを見遣る。
……死神を望んでいた、か。

「じゃあ忍野、質問を変えよう――僕はどうすればいい?」
『そうだね、出来ることは新しいお札を手に入れることかな』
「そんなこと言ったて僕はお札の作り方を知らないぞ」
『はっはっは、元気が良いね、阿良々木くん。何かいいことあったのかい。僕は別に君に作ってくれ
と言ってるわけじゃない』
「じゃあ、どうすれば――」
『影縫余弦、僕の同期なんだけど彼女が君の町に行ったらしいじゃないか』

影縫余弦の名がでて僕の背筋が凍る。
つい一ヶ月前月火ちゃんを殺しに来た陰陽師。
そして――不死殺し。

「……あの人ならもうこの町から去ったさ。一応の決着がついたからな」
『いや、まだその町にいるはずだ。なんたってあのはんなりちゃんは一度狙った獲物はそう簡単に諦
めないからね』

……なんだと。
忍野は聞き捨てならないことをさらりと言いやがった。


62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 21:04:35.62


『まあそういうことだからはんなりちゃんに頼んで作ってもらってよ、お札』
「くっ、分かったよ。探して頼んでみる。ところで忍野――」
『ん? どうかしたかい』
「――お前はどこにいるんだ」
『そうだな屋根があって居心地のいい所だよ』
「なんだ、結構まともな生活をしてるのか」
『まあね。でも床がタイル張りってのはいただけないけど。あ、あと〈白線の後ろにお下がりくださ
い〉ってアナウンスが五月蝿いかな』
「駅のホームに住み着いてんじゃねぇよ!!」

……ホームレスでした。
アロハ服のおっさんが寝泊りしているのを想像したら駅に対して申し訳なく思えてくる。
絶対営業妨害になってるよ。

『でもさ、結構便利なんだよ。こうしてお金も払わずに電話することも出来るし』
「人の電話料金に頼るんじゃない! そもそも通話料どんだけ掛かるんだよ」

やっぱり三分十円なのか?
ぼやぼやしてると大変なことになりそうだ。


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/18(日) 21:07:06.49


「じゃあ、忍野なんか困った事があったら戻って来いよ。一応お前は僕の恩人だからな」
『いつも言ってただろう君が勝手に助かっただけさ。まあ心配してくれてありがとう、君は相変わら
ず人がいいんだね』

そう言って電話は切れた。
やっぱりあいつは別れの挨拶を言わなかったな。
僕は一度ため息をついて携帯を片付けた。
影縫さんを探す、か……
忍野は簡単に言ってのけたが実際あの人を探し出すのは難しいだろう。
そもそも当てがないからな。

「暦っち何か分かったか?」
「ええ、まあ。ちょっと人探しが必要なんですが」
「人探しか。だったらあたしに人相を教えな。紐でくくって持ってきてやる」

そんな物騒なことを、潤さんは至って真面目にそれも自信満々に言い切った。
……なんだか本当にやりかねないな。

「えーとですね、影縫余弦さんといってショートカットに涼しげな面持ちの二十代後半って所の女性
です」
「なんだそりゃ? 全然特徴がないじゃねぇか。なんかないのか、ほら頬に刺青があるとか拘束具を
常に着用してるとか」

……そんな人いるわけないじゃないか。
歩くだけで職務質問されそうだ。



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