【艦これ】ハイパーズ と こたつ。
※短編です
※この提督と北上、大井はケッコンカッコカリ済みです
※キャラ崩壊等は生暖かく見守ってください
北上「届いたねー」
大井「届きましたねー」
とある鎮守府の夜。
提督の執務室の奥には、提督と身の回りの世話をする者が暮らすための居住スペースが設けられている。
その中でもリビング的に使われている大きな部屋。
今そこには、部屋の床面積の約半分を占めるほどの大きなこたつが鎮座していた。
提督「……てか、お前ら、設置するのちっとは手伝えよ。結局ほとんど俺一人で作業してんじゃねえか」
北上「まーまー、細かいことは気にしない気にしない。せっかくのおこたなんだから、早く座ろーよ」
大井「あっ、私お茶入れてきますねー」
北上「ありがとー大井っちー、愛してるよー」
大井「やだもう、北上さんったら……////」
照れながらも鼻歌混じりで流しに向かう大井。
提督「……それにしても、ほんとに良かったのか?
E海域での戦果には、大本営も満足げだったからな。希望すれば、もっと豪華な品なり休暇なりも許可されたと思うぞ?」
北上「いーのいーの。あたしらばっか贅沢してもしょーがないしさー」
北上はぱたぱたと手を振る。
大井「……それに、正直、私自身は、北上さんとここで一緒に暮らせてるってだけで充分ですしね♪」
急須と湯のみ、みかんの入ったカゴを載せたお盆を持って、大井が戻ってくる。
北上「わーい、みかんだー♪ うんうん、やっぱおこたにはみかんだよねー。さっすが大井っち、わかっとるねぇ~♪」
大井「うふふ、北上さんのためですもの」
提督「相変わらず北上北上で、俺のことはスルーだよな」
大井「……あら、すねちゃいました? もちろん、提督のことも愛してますよ」
提督「……とか言いながら、当然のごとく北上の隣に座るのな」
大井「当然です。そのためにわざわざ大きめのこたつを注文したんですから」
すました顔で急須にお湯を注ぐ大井。
なんだかんだ言いつつも、ちゃんとお茶は三人分淹れてくれるようだ。
北上「あ~、でもさぁ、なんかいいねぇ、こーゆーのさ」
こたつの天板にぺたんとあごをのっけて、北上がにへら~と笑う。
北上「なんつーかさぁ、こーして同じおこたに入ってるとさぁ、団欒、ってゆーか、家族、って感じだよね。ねー提督、大井っち」
大井「北上さん……」ジーン
提督「北上……」ジーン
北上「え、ちょっと、やだなー二人とも、しんみりしないでよー。あたしゃ別に」
提督「……いや、それはそれとして」
大井「……さっきから思ってたんですけど」
アイコンタクトする二人。
大井「『おこた』って言い方、可愛いですよね」
提督「うん、なんつーかこう、心に響くものがあるよな」
北上「ふぇ!?」
提督「可愛いというか、なんか微笑ましいというか」
大井「そこに気づくとは……さすがです提督、侮れませんね」
北上「」
提督「北上って、落ち着いてるというかダウナーな感じに見えて、意外と子供っぽいとこあるんだよな」
大井「ええ、そこがまた可愛いんですよねー」
北上「ちょっ、もー、提督も大井っちも何なのさ。やーめーてーよー///」
提督「……知ってるか大井、実はこの前、北上が鏡をじーっとのぞき込んでて、えらく熱心だなーと思ってたら……」
北上「ちょ、提督!?」
大井「あら、女の子ですもの、普通というか当然じゃありません?」
提督「……一生懸命、猪木の顔マネ練習してた」
大井「くっ……!!」
北上「なんで今それバラすのさー!///」
思わず吹き出しそうになり、顔を背けて口元を抑える大井と、真っ赤になって悲鳴をあげる北上。
提督「駆逐艦の子たちの前で一度やったらえらくウケたらしくてな。会うたび顔芸せがまれるんで、新ネタ練習してたらしい」
北上「もうほんとやだあいつらのせいで。駆逐艦ほんとウザい……///」
大井「うふふ、北上さん頼まれると断れないから」
天板に顔を伏せてじたばたしてる北上の頭を、いい子いい子するように撫でる大井。
大井「けど、なかなかやりますねぇ、提督。じゃあ、私もひとつ、とっておきのエピソードを。実はこの前お風呂で……」
北上「ちょ、大井っちまでー!?」
~この後めちゃめちゃ二人とも怒られた~
提督「……まあ、けどあれだな、もう少し大きなこたつでも良かったかも知れないな」
北上「え、なんで?」
提督「その……なんだ、これだとお前ら二人は並んで座れるけど」
言葉に詰まる提督。
「さ……三人で並ぶには、無理があるからな」
しばしの沈黙。
大井「……はあ、馬鹿ですねえ」
北上「馬鹿だねぇ」
返ってきたのは、二人そろってのジト目だった。
北上「今の大きさだからいいんじゃん」
大井「大きな図体で照れてんじゃないですよ」
北上「可愛くないよねー」
大井「て言うかキモいです」
北上「あー、けど、アリかナシかで言うなら意外とアリ」
大井「わたしはアリかナシかで言ったら……」
北上「言ったら?」
大井「死ね」
提督「容赦なさすぎだろ!?」
北上「あのさー提督、馬鹿だって言うのはうーん……そうじゃなくてさー」
ぽりぽりと頭をかく北上。
大井「……北上さん、この鈍感な人には、多分、言葉でただ言っても伝わりませんよ?」
提督「……?」
二言三言、耳元で内緒話した後、大井と北上の二人はちょいちょいと提督を手招きした。
大井「提督、ちょっとこたつ出て、立ってください」
北上「ほらほら早く。んでこっち来てー」
提督「いや、三人じゃどう考えてもキツいだろ」
大井「……チッ、うっさいわねぇ、ぐずぐずしてると撃ちますよ?」
提督「沸点ひっく!?」
北上「あはは、大井っち、抑えて抑えて。……提督も、いーから早くおいでってば」
立ち上がって傍に来るが、やはり二人の間には、ほとんどスペースがない。
無理やりぎゅうぎゅうに身体をねじこんで、やっと三人並んで座ってはみたが……
提督「……三人並ぶと、相当キツいな。やっぱりもう少し大きめの方が…」
北上「……まだ解らないとか、馬鹿だよねえ」
大井「……ほんと、馬鹿ですよねえ」
提督「……おい、さっきから馬鹿馬鹿って」
言いかけた提督の言葉は、両腕にぎゅうっとしがみついてきた、温かい身体の勢いに止められた。
北上「ほら、狭いからさぁ」
大井「これくらいくっつかないと、三人一緒には座れないですよね?」
北上「だからこうやって三人密着しちゃうのも」
大井「どうしようもない不可抗力という訳です」
北上「そう思って、あたしと大井っちで、この大きさのこたつに決めたんだけど」
同時に提督の顔をのぞき込んでくる二人。
大井「……なにか、質問が?」///
北上「……なにか、問題でも?」///
二人の頬が微かに赤らんでいるのは、多分こたつの温度設定が暑すぎるからというだけが理由ではなくて。
提督「……いや、ないな。質問も、問題も。」
外の寒さと関係なく、ここは、とても、あたたかくて。
提督「……いやほんと、ちょうどぴったりの大きさだ。」
結論。
こたつの中には、きっと幸せが詰まっているに違いない。
おしまい。
・
・
北上「ごちそうさまー。あー美味しかった♪」
提督「やっぱり、冬は鍋と、シメのうどんだよなー」
大井「お正月の残りのおもちを入れたのも良かったですねー」
とある鎮守府。
提督の執務室の奥には、提督と身の回りの世話をする者が暮らすための居住スペースが設けられている。
その中でもリビング的に使われている大きな部屋。
今そこには、部屋の床面積の約半分を占めるほどの大きなこたつが鎮座していた。
北上「そういや提督、もうすぐバレンタインだよねー。あたしたちとのケッコンカッコカリ記念日」
大井「ちゃんと覚えてくれてます?」
提督「当然だろ。お前らこそ、その日はちゃんと予定空けとけよ」
北上「もちろん。球磨姉と木曾っちに当直とか出撃の当番替わってもらったし」
大井「提督こそ、大丈夫なんですか?仮にも提督の立場にある人が、私たちとのデートのためにまるまるひと晩鎮守府を空けるなんて……」
提督「旅行とかは流石に無理だが、いざという時すぐに戻れる最寄りの町までなら大丈夫。一年前と違って、戦力も資材も充分揃えてあるしな」
三人にとっての初めてのケッコンカッコカリ記念日。
その夜は、三人だけでの外出時間を確保できるよう、以前から根回しを済ませてある。
提督「事務系の仕事は大淀に、敵襲とか戦闘面に関しては長門に秘書官代理を委ねることになるな」
大井「その辺りは問題ないでしょうけど、提督がいない間に、羽目を外して問題を起こす人がいないかが心配です。……どこぞの夜戦バカとか、酔っ払い軽空母とか」
北上「駆逐艦のチビどもも、提督がいないとなるとギンバイやらイタズラやらに精を出しそうだしねー」
イタズラという訳ではないが、過去に提督が出張に出た際には、「提督が帰ってきた時に手作り料理を用意して驚かせよう!」と企んだ某駆逐隊の手によって、駆逐寮でのボヤ騒ぎが起こったりしている。
提督「大丈夫だ。実務を担当するのはさっきの二人だが、その上に、みんなが絶対に逆らえない提督代理を置いた」
大井「大和さんとか武蔵さんですか?」
提督「んにゃ、間宮さん」
北上「あー、そりゃ、確かに逆らえないわ」
北上「そーいや提督って、昔、学生の頃のバレンタインとかどうだったの?士官学校生とか、ぶっちゃけエリートだし、それこそ通学路で、近所の女の子から告白とかあったんじゃない?」
提督「え?……そ、そりゃあまあうん、俺だってその頃はモテモテで、告白してきた女の子の5人や6人……」
大井「……提督、ちょっとその女たちの名前と現住所と特徴教えて下さいますか。そしたらちょっと出かけて来ますので」
提督「すんませんウソです冗談です見栄張りましたほんとごめんなさい!!」
こたつの天板の上に両手をついて、頭を下げる提督。
「っていうか、ほんとだったらそれ聞いて何する気なんだよ、怖えよ」
大井「うふふ、北上さんと私の立場をおびやかす恐れのあるものは排除しないと……」
北上「やだよー、大井っちがちょっと怖いよー」
大井「うふふ、もちろん冗談ですけどね」
提督「半分くらい本気に聞こえたぞ」
大井「冗談ですってば。……49パーセントくらい」
提督「半分超えてんじゃねーか!」
北上「大井っちってさー、基本的に、やきもち焼きの寂しがり屋だよねー」
提督「そうそう、最初、俺が着任したての頃なんて、俺が北上に話しかけようとするだけでも睨まれてたし」
大井「やだ、そんなの昔の話じゃないですか」
提督「……出会いなんか最悪だったもんな。何かで北上と冗談言って笑い合ってたら、その後いきなり大井に物陰に引きずり込まれて」
北上「わお、大井っち大胆だねー」
提督「慌てて、『単に話に花を咲かせてただけだ』って言ったら、こいつ何て言ったと思う?」
北上「?」
提督「『じゃあ、私も咲かせたいです……
コメント一覧
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- 2015年03月22日 22:14
- ほっこりしました
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- 2015年03月22日 22:27
- アニメがこのハイパーズだったら、どれだけ良かったことか…。
-
- 2015年03月22日 22:48
- どの話も味があるねえ、心がぽかぽかしますよ~
-
- 2015年03月22日 22:52
- 優しいハイパーズは最高です!!
大井をあんな風にしたアニメスタッフは絶許。
-
- 2015年03月22日 23:00
- ほっこりした
-
- 2015年03月22日 23:28
- 理想の人生は、此処にあったのだ(真顔
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