ディオ「君はジョナサン・ジョースター……か?」 ペルニダ「……」
- 2015年03月24日 23:40
- SS、ジョジョの奇妙な冒険
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ジョジョとBLEACHのクロスSSです。
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時は19世紀末!
場所はイギリス!
遠くからでもわかるほどの巨大な屋敷に続く道を走る馬車の中、
一人の少年が、心に大きな野望を秘めながら屋敷に向かっていた……
少年の名は、ディオ・ブランドー。この日から、名門と呼ばれるジョースター家の養子として迎えられる。
だが、ディオはジョースター家の養子という立場に甘んじるつもりはなかった。
(これは足がかりだ。必ず僕がジョースター家の財産を乗っ取って、世界一の金持ちになってやる……)
そう、激しい上昇志向を持つディオはゆくゆくは自分がジョースター家の当主となり、
それを元手に、巨万の富を築くつもりでいた……
そして、馬車が屋敷の前に到着する。
(ここは、バシッと決めてやる)
馬車の扉を開けると、荷物を放り出す。
その後、ディオは華麗とも言える身のこなしで馬車から飛び降り、綺麗に着地し屋敷に向き直る。
(……決まった。これで、ジョースター家の一人息子、ジョジョも僕との差を悟り始めるはずだ)
そう考えたディオの視線の先には、
「……」
全身を外套ですっぽりと覆った、異様な人物が立っていた。
「……」
「……」
外套の人物は、全く言葉を発さずにディオを見ている。
(な、なんだこいつは? 浮浪者……というわけでもなさそうだ)
その外套は、飾り気がないデザインではあったが、高級な生地を使っているであろうことは、ディオにもわかった。
さらに、左胸から腰に掛けての部分に、星のような紋章がデザインされている。
そもそも浮浪者が、こんな貴族の敷地のそばにいるはずがない。
(じゃあこいつは誰だ? まさか……)
可能性は低いとは思ったが、ディオは一応質問する。
「君はジョナサン・ジョースター……か?」
「……」
(何か言えよ!)
この期に及んで言葉を発さない外套の人物にイラついていた時、ディオが来た道から一人の少年がやってきた。
「あれ、君は?」
ディオに少年が声を掛ける。
「もしかして君は、ディオ・ブランドー?」
少年が自分の名を呼んだことで、ディオも認識を改める。
「あ、ああ……君が本物のジョナサン・ジョースターだな?」
「うん、そうだよ」
それを聞いたディオは、
(じゃあ、あいつは誰なんだよ!)
心から、そう思った。
ディオの考えていた通り!
この人物はジョースター家の一人息子、ジョナサン・ジョースターではない!
その正体は……
見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)が擁する精鋭部隊、星十字騎士団(シュテルンリッター)の一員であり!
皇帝ユーハバッハから“C”の聖文字(シュリフト)を授かった滅却師(クインシー)!
ペルニダ・パルンカジャスその人である!
星十字騎士団の一員であり、尚且つユーハバッハの親衛隊のメンバーであるペルニダは、
その名誉ある地位に就いている故に多忙であった!
そして遂に、二年ぶりに休暇を取ることが許されたペルニダは現世へと繰り出したのである!
ペルニダが影の領域(シャッテンベライヒ)から出てたどり着いた場所は、19世紀のイギリスであった!
ペルニダはひとまず仕事を探し、ある場所から内定が出た!
そして……今に至る!
「僕のことはジョジョって呼んでくれ、これからよろしく」
ジョジョが右手を差し出してくる。
ディオはそれをあえて無視し、気になっていたことを質問した。
「ところで、あそこにいるのは誰なんだ?」
ディオの視線の先には外套の人物、ペルニダがいる。
「ああ、あの人は今日からうちの使用人をしてもらうペルニダ・パルンカジャスさん。
住み込みで働いてもらうことになっている」
「そ、そうなのか……」
使用人。確かに屋敷にいるのは納得した。だが……
(あんなやつを雇うのか? 金持ちの考えることはまだ僕には理解できないのかもしれんな……)
ディオが軽く貧富による価値観の違いを感じていたその時、
「ワンワンワン!」
二人のもとに、一匹の犬がやってくる。
「ダニー! ディオ、紹介するよ。僕の愛犬のダニーだ。利口な猟犬だから、決して人は噛まないよ」
「……ふん」
ダニーを見たディオは考える。
(……犬。人間にへーこらする虫唾が走る生き物だ。ちょうどいい、こいつを痛めつけて僕がジョジョとなれ合うつもりはないことを教えてやるか)
そして、ディオは近づいてきたダニーに思い切り蹴りを放った。
「なっ!?」
当然ながら、ジョジョは驚く。
(ふん、いずれお前もこうしてやる)
だが、その時ディオは見た。
視界の端にいたペルニダの頭がモコモコと蠢くのが。
(……なんだあいつ? なにかやって……)
異変はその直後だった。
メコッ
「え?」
ディオに蹴られて吹き飛んだダニーの体が、所々へこんでいったのだ。
「ガッ! ギャウッ!」
激しくうめき声を上げるダニーだったが、ついにはへこみが頭にまで及び、
口から血を吐き出し、目玉が飛び出てしまった。
「え? あ、ダ、ダニーッ!」
ジョジョがダニーに駆け寄る。
(な、なんだ!? 何が起こっている!? 僕は一発蹴っただけだぞ!)
「ディオ! な、何をするだァー!! ゆるさんッ!」
「え、いや、ちょっとま、アブッ!」
不測の事態に動揺していたディオは、ジョジョのパンチに対応できずに殴られた。
「よくもっ、ダニーをっ、君が、泣くまで、殴るのをやめないッ!」
「グベェ!」
対応できずに何発も殴られるディオ。
その時、声が響いた。
「な、何事だ!?」
館の主、ジョースター卿が異変を察知してやってきたのだ。
「と、父さん! 聞いてくれ! ディオがダニーを蹴り殺したんだ!」
「なんだと!?」
この展開に、さすがのディオも焦る。
(ま、まずいぞ。第一印象でジョースター卿からの評価を下げるわけにはいかない。
しかし、犬を蹴ったのは事実だ。どうごまかす!?)
しかし、ディオはダニーが倒れている場所が馬車の後ろということに目を付けた。
「すみません! 突然この犬が近づいてきたことに驚いて蹴り飛ばしてしまったら、馬車がワープしてたんです!」
「ワープだと!?」
「え!? ち、ちがう!」
「すみません! 本当にすみません!」
ジョジョは否定するが、ディオの必死の謝罪にジョースター卿は納得したようだ。
「そうだったのか……とりあえず、ダニーを埋葬しよう。来なさい、ジョジョ」
「いやワープなんてしていなかったって! 父さん! とうさーん!」
(ふっ、われながらうまいごまかし方だ。しかし、このディオがへーこら謝ることになった屈辱、いずれ晴らさせてもらうぞ……)
その後、屋敷に入ったディオは荷物を自分の部屋に運ぼうとする。
そこに、ペルニダがやってきた。
「なんだお前は? ちょうどいい、お前この鞄を僕の部屋に運べ」
「……」
「なにをしているんだ! さっさと運べ!」
屋敷に入っても外套を脱がないばかりか、養子とはいえこれから自分の主人になる男に返事もしない。
この態度に怒ったディオは、ペルニダに喰ってかかる。
「……いいか、僕はもうこの家の一員だ。僕の命令に従わなければ、こうだ!」
ディオはペルニダに対し、ひじ打ちを繰り出す。しかし……
「なにっ!?」
ペルニダの姿は瞬時に消え、ディオの背後に回っていた。
(バ、バカな! 確かにこいつは僕の目の前にいた。催眠術や超スピードの類じゃあないはずだ)
実際には、ペルニダは飛廉脚という技を使って超スピードで動いただけである。
「くそっ、いい気になるんじゃないぞ! 所詮お前は使用人なんだからな!」
ディオはペルニダを罵倒し、その場から立ち去ろうとする。
しかし……
「……!」
ペルニダが何か唸り声のようなものを発したかと思うと、ディオの横にあったツボが割れた。
「な、なんだ!?」
ディオがとっさにツボを見てしまうと、二階からジョースター卿が降りてくる。
「ディオ! そのツボは君が割ったのか!?」
「え、いや、違います! 僕じゃありません! 突然ツボの摩擦がなくなったんです!」
「……そうか、摩擦がなくなったのなら仕方がないな」
ジョースター卿は去っていく。
(くそっ! この家に着いてから、何かと運が悪い! どうにかしないと……)
だが、ディオはそれが運の悪さではなく、ペルニダの仕業であることに気づいていなかった。
そして、これから楽しくなるはずのディオの生活はとてもつらいものとなったのだった。
夕食時。
「またグラスを割ったな、ディオ! 六度目だ! 一回の食事中に六回もグラスを割ったのだぞ!」
「くっ……」
何故か、ディオがグラスに手を伸ばした瞬間にグラスが勝手に割れるということが六回起こっている。
目の前で起こってしまえば、さすがのディオも言い訳できなかった。
「あっ!」
「……」
「あ、ありがとう」
対してジョジョは、グラスが倒れそうになった時にペルニダがとっさに対応してくれた(ペルニダはまだ外套を纏ったままである)。
(くそっ! このディオがこんな落ちこぼれみたいな評価を受けるとは……!)
上昇どころか、下降している現状にディオは我慢ならなかった。
数日後。
「そこだぁ、いけぇ!」
原っぱで行われているのは、少年同士で戦うボクシング大会である。
だが、遊びではない。自分自身に金を賭け、負ければ財産を失うのだ。
「それでは、次に紹介するのはジョナサン・ジョースター、チャレンジャー!」
審判がジョジョを紹介し、ジョジョがリングに上がる。
「そして、チャンピオンは……え?」
審判がチャンピオンと何かを話し合い、そして試合進行に戻る。
審判がチャンピオンと何かを話し合い、そして試合進行に戻る。
「えーと、今回から新しい友人を招くことになりました、ディオ・ブランドーです!」
「なっ、ディオ!?」
ジョジョは突然のディオの出現に驚愕する。
ダニーのこともあり、あまりディオをよく思っていない彼は、警戒を強める。
一方ディオも、この試合に全てを賭けていた。
(ここだ、ここでジョジョとの上下関係をはっきりさせなければならない。そのためにもこの試合、なんとしても勝つ!)
「ではディオ、賭け金を出してもらおうか」
「ほら、これでいいか?」
「なっ、こんなに!?」
「あ、あれは今月分の小遣い全部だ!」
ディオはあえて全ての財産を賭けることで、集中力を極限まで高めた。
そして……
「入ったぁ! ジョジョの負けだぁ!」
「まだだ! 親指を目の中に突っ込んで殴りぬけるっ!」
ジョジョの顔面にパンチを入れたことで、試合はディオの勝ちとなった。
「すげえぞ、ディオ! 今の動きはどうやって……」
(ふふふ、ジョジョの友人たちを味方につけることに成功したぞ。これで……)
だが、ディオにとって予想外の出来事が起こる。
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- 2015年03月24日 23:55
- ペルニダ△