しょくぱんまん「アンパンマン、顔にあんこがついていますよ」
この話は高校一年のときに友人たちとリレー形式上で書いたものなので、
文体の変化や設定のブレなどお見苦しい点が多いと思います。
また、「ボーイズラブ・サスペンス」というふざけたジャンルのSSです。
ところどころ性的描写があります。ご注意ください。
不手際が多いと思いますが、よろしくお願い致します。
知らないうちに鳥につつかれてしまったのだろうか。
慌て出すアンパンマンの姿に、しょくぱんまんは優しい笑みを浮かべる。
「ここです」
そう言って、アンパンマンの肌にできた茶色いシミをそっと手で拭う。
しょくぱんまんに触れられただけなのに、アンパンマンの頬はすぐさま真っ赤に染まった。
しょくぱんまんは手に付着したあんこを、さも当たり前のように自らの口に運んだ。
息を呑むアンパンマンをよそに、それをいやらしく舐めとる。
アンパンマンは若干感情を昂ぶらせつつ目を伏せた。
「みんなといるときは、あまりこういうことしないで…」
幸いなことに、3人はしょくぱんまんの愚行には気づいていないようだったが、
もし自分としょくぱんまんが恋人関係にあることがバレてしまったら、即刻にこの『子供たちに夢と希望を与えるヒーロー』という職を
クビになってしまうだろう。
そんなのは嫌だ。
唐突だが、アンパンマンは3か月ほど前から『パトロール』と託けて飛行中に発見したいい男たちを強姦することにはまっていた。
ただ、犯すだけでは相手があまりに可哀想なので、代価として自分の顔をちぎって渡すことにしている。
そのため、パトロールを終えたアンパンマンを見たバタコさんは、彼の顔がしっかりと欠けていることを確認し、
「今日もしっかりパトロールをしたのね」
と誤解してしまうのである。
本来はバリバリタチなのに、しょくぱんまんの前ではあえてネコを演じる。
そうとは露知らず、言葉攻めを浴びせながら激しく突いてくるしょくぱんまんの下で、よがり、喘いでみせる。
そういうことに、アンパンマンは悦びを感じた。
そんな自分の性生活について思いを巡らせていると、ジャムおじさんののんびりとした呼びかけが聞こえてきた。
「日も暮れてきたし、そろそろピクニックは終わりにしよう」
「そうね」
とバタコさんが同調する。
一同は荷物をまとめ、アンパンマン号に乗り込んだ。
だがパン工場が近づくにつれ、煙たくなっていくのだ。
「どうしたんですか?」
アンパンマンが疑問を口にした途端、急ブレーキがかかった。
「アンアン!」
チーズがせわしなく吠えている。
「様子を見てくるわ」
バタコがはしごを上り、出入り口の扉を開けた先には―――。
「みんな、大変!火事よ!」
ジャムおじさんが動揺した声をあげる。
アンパンマンとしょくぱんまんとカレーパンマンは急いで外に出た。
目の前に広がった光景は、到底現実のものとは思えなかった。
パン工場が、炎に包まれていたのだ。
呆然とするパンたちの横で、カレーパンマンは悲しげに呟いた。
「バイキンマンがやったに決まってるぜ…」
そう言って、ぐっと奥歯を噛み締める。
その表情は、普段ヘラヘラしている彼からは想像できないほど悔しそうだった。
当然だ。
あのパン工場は自分たちが生まれ、育った場所なのだ。
「ジャムおじさん、僕たちバイキンマン城に行ってきます」
「頼んだよ、ここは私たちでなんとかするから」
そうして消火活動が始まり、アンパンマンたちは空へと飛び立った。
下品な笑みを浮かべ扉を開けたバイキンマンに、カレーパンマンはいきなり飛びかかった。
「お前がっ!お前がやったんだろう!!」
「な、何のことだ?」
「パン工場だよ!」
「俺様は何もしてないぞ」
そう言った彼の表情からは、何の感情も伝わってこなかった。
「カレーパンマン」
激しい剣幕で詰め寄るカレーパンマンを呼び止め、しょくぱんまんは事情を一から説明した。
「…というわけなので、まだ貴方が犯人だという証拠はないんです。ところで、今日の昼は…」
「ずっとここにいたわ」
中から出てきたのはドキンちゃんだった。
「あなたたちがピクニックしていたのなら知ってたわよ。なにせバイキンマン、モニタールームでいつもアンパンマンのこと見てるんだもの」
彼女のその言葉に、アンパンマンはわずかに眉をしかめた。
「そうですか…となるとアリバイはある…。バイキンマン、あなたを疑ったのは間違いだったのかもしれませんね」
しょくぱんまんは淡々とした口調のまま謝った。
「アンパンマン、カレーパンマン、町に戻って他の人の話を聞きましょう。私は森の近くを。アンパンマン、貴方は…」
「…僕はここに残ります。バイキンマンにもう少し話を聞きたくて」
「…わかりました。また後で合流しましょう」
そうして、しょくぱんまんとカレーパンマンは飛んで行った。
ぶつぶつと呟きながらドキンちゃんは部屋に戻って行った。
彼女は自分としょくぱんまんの関係を知らないんだということに少し優越感を覚えた。
だが。
バイキンマンは違う。
「バイキンマン、モニタールームに連れて行ってもらえませんか」
「お…おう…」
もう彼は気づいているのだろう。
アンパンマンだけがここに残った理由を。
簡単なことだった。
バイキンマンは全て知っているのだろう。
アンパンマンとしょくぱんまんの関係。
そして『パトロール』についても。
案内された部屋には大量のモニターが設置されていた。
アンパンマンはそれらをじっくりと眺めながら、わざとらしい驚嘆の声をあげる。
「ま、まあな。俺様にとってはこのくらい大したことないぜ」
「このモニターで僕のことを見ていたんですか?」
「そ、そうだ。こ、これで俺様のアリバイは証明されたはずだぞ?」
バイキンマンは大きく胸を張った。
「俺様は犯人じゃないんだ。だ、だからさっさとここから出てい…」
「とぼけるのも大概にしろ」
背後から聞こえた冷たい言葉は、一瞬誰のものか分からなかった。
反射的に振り返ったバイキンマンの視界を捉えたのは、今まで見たことがないほど冷めた目をしたアンパンマンだった。
『しょくぱんまん』『パトロール』という単語にバイキンマンの表情が強張る。
「わかりやすい奴だなあ」
アンパンマンは蔑むような笑みを浮かべ、ゆっくりとバイキンマンに近づいていく。
「悪い子にはおしおきしなきゃだね」
バイキンマンが反応するより先に、アンパンマンは得意のアンパンチをバイキンマンに見舞った。
「ぐふっ」
バイキンマンはその勢いで床に倒れこむ。
アンパンマンは慣れた手つきで自分のマントとベルトを外し、必死に抵抗するバイキンマンの手足をそれらで縛った。
「お、おい!何するつもりだよ!?」
「『何』って、本当は分かってるだろ?モニターでいつも僕のこと見ていたんだもんな?」
アンパンマンはくくっと喉で笑い、バイキンマンの耳元に口を近づけた。
「セックスだよ」
甘い声でそう囁くと、バイキンマンの耳を軽く噛む。
「…っ」
びくっと身を震わせるバイキンマンにアンパンマンは口元を緩めた。
「か、感じてなんかねえよ!」
「本当かな?」
身動きの取れないバイキンマンのむき出しの肌に、いやらしく舌を這わせた。
「…んっ!」
「ほら、やっぱり…」
アンパンマンは涙目で喘ぐバイキンマンを嬲り続けた。
「やめ…やめろ…!」
「何、いつも見ていたんだろう。この後どうしたいのか、言ってごらんよ」
そう言ってアンパンマンはバイキンマンの目を覗き込んだ。
「は…離せ…」
「僕を焦らして何が楽しいんだい?…まあ、嫌いじゃない」
アンパンマンは強引にバイキンマンの唇を塞いだ。
突然舌をねじ込まれたバイキンマンの身体はびくんと跳ねる。
バイキンマンの抵抗も空しく、アンパンマンは自身のそれをバイキンマンの腰にあてがった。
「何だ?」
「お前にとって…特別だと思っていたのに…バカみたいだ…」
そう呟いたバイキンマンの目からは、涙がこぼれていた。
「…!」
アンパンマンはふと冷静になっていた。
そのままアンパンマンはバイキンマンの手足に巻きつけられたベルトを外した。
「…僕の顔を濡らされては困ります。…勘違いしないでください、今まで君に手を出さなかったのは君にそれほどの価値を感じなかった、それだけです」
ベルトを解き終わると、バイキンマンはぐったりと倒れこんだ。
「誰にも…言わないでくださいよ」
冷たく言い放って、アンパンマンはバイキンマン城を後にした。
軽快な足取りでホラーマンは森の中を歩いていた。
とは言えど、ホラーマンは内心、あまり楽しくはなかった。
というのも、今日、ドキンちゃんに作ってあげた自身をかたどったぬいぐるみを、その場で「気持ち悪い!」と引き裂かれてしまったのだ。
どうしたらドキンちゃんに振り向いてもらえるんだろう。
しょくぱんまんの人形は大事にするのに…。
…しょくぱんまん?
ドキンちゃんは事あるごとにしょくぱんまん様、しょくぱんまん様、と言い寄っているが、彼は全く受け入れようとしない。
…そうだ。
しょくぱんまん
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