比叡「カレーができました!」橘さん「これ食ってもいいかな?」
初めに
このSSはアニメ版艦これ6話の(微妙な)補完SSです。
アニメがお好きな方にとっては不快な記述が含まれる可能性があるので、閲覧の際にはくれぐれもご注意ください。
書き溜めたものを投下していきます。
橘さん以外の剣のキャラも何人か出てきます。
筆者がアニメから入ったにわか者のため、艦娘の描写ミス等に関しては、何卒ご容赦いただければと思います。
前作
祥鳳「私が轟沈・・・?」 剣崎「ウゾダドンドコドーン!!」
弦太朗「俺は全ての艦娘と友達になる男、如月弦太朗だ!!」
あのカレー大会から数日後、うなされていた私達はようやく回復し、目を覚ました。
「本当に申し訳ありませんっ! お姉さまっ!」
あれ以来、私は罪悪感に駆られ、何度もお姉さまに謝り続けていた。
「もう気にしなくてイイデス、比叡・・・」と、金剛お姉様は優しく許してくださった。
「比叡お姉様。榛名、もう10回も聞きました・・・!」
「お姉様、誰にでも失敗はあります。そんなにご自分を責めないでください!」
お姉様だけでなく、みんなが私を慰めてくれた。でも、私はその言葉に甘えるわけにはいかない。
「いいえ、私はお姉様に恥をかかせてしまった自分を許せません! こうなったら・・・!」
「Hey! どこへ行くんですか!?」
「気合!入れて! 料理の修行に出ます!!」
と言って、私は艤装と料理道具片手に鎮守府を飛び出した。
「Wait!! 比叡、待つデース!」
ごめんなさいお姉さま。今回ばっかりはお姉様の言う事を聞くわけにはいかないんです・・・!
私は涙を零し、お姉様の制止を振り切って、水平線の彼方へ走り出していった。
・・・と、勢いよく走り出したは良かったけど。
「ここ、どこだろう・・・?」
道に迷ってしまった。
多分数百km以上海原を走っちゃったみたい。気が付けば何処かの浅海に立っていた。
「あっちゃぁ・・・」
私はいつもこうだ。
考えもなしに突っ走って、そして最悪の事態に陥る。
この間だってそうだ。よく考えずに変な材料を入れて、紫のカレーとも言えない何かを作ってしまった。
自己嫌悪に陥っていたその時、海原に一つの黒い影が浮き上がるのが見えた。
「深海棲艦・・・!」
それは小さな鯨のような駆逐艦だった。その行き先には小さな工場のある街の遠景が見て取れた。
しかも、既に砲塔を構え、狙いを定めていた。
(このままじゃ街が危ない・・・!)
猛進する駆逐艦を追い掛け、私も走り出す。
その時だった。
『Drop,Fire,BurningSmash!!』
「はぁぁッ!!」
突然空から現れた翼を持った仮面の戦士が、炎の踵落としを駆逐艦に喰らわせる。
駆逐艦の頭部はひしゃげ、やがて燃料に引火して頭から燃え上がり、大爆発してしまった。
「な・・・!?」
なにこの人・・・? 敵?それとも味方?
その戦士は砲塔を構えた私に向かって、銃を降ろしながらこう言ってきた。
「キミも艦娘か・・・。大丈夫、俺は敵じゃな・・・」
ところが、仮面の戦士は私の目の前でゆっくりと崩れ落ちて倒れてしまった。水晶のような畳のような不思議な物体を通りぬけると、その戦士は男の人の姿に変わった。
それにしても結構イケメン・・・
(・・・いけない! 私にはお姉様という心に決めた御方が!)
とりあえず、変な思いを振り払い、海中に沈みそうな男の人を抱き止めて、なんとか海岸までたどり着いた。
その後、男の人を砂浜まで連れてゆき、優しく降ろしてあげた。
それにしても、改めて見ると、やっぱり凄くイケメンさんだな。
(・・・違う!私にはお姉さまが・・・!)
と、自問していると、イケメンの人は目を覚ました。
「君がここまで連れてきてくれたのか、ありがとう・・・。最近実験がキツくてな・・・。情けないところを見せてしまった・・・」
と、男の人は言った。クールだけど優しそうな感じだ。
「俺は橘、ギャレンだ。未確認生物研究所の所長を勤めてる」と手を差し出し、自己紹介してくれた。
「私は金剛型2番艦、金剛お姉様の妹分・比叡です! よろしくお願いします!」
私もその手を握り、握手しながら自己紹介した。
「そうか、君も艦娘か・・・。ここへは何しに来たんだ?」
「料理の! 修行です!」
「・・・料理の修行?」と橘さん。
「はい! 料理上手になって、お姉様に食べていただきたいのです!!」
「そうか・・・。助けてもらったお礼に、俺も手伝おう。付いて来てくれ」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
橘さんは付近に止めていた赤いスポーツカーに私を乗せてくれた。
その後ろには不思議な形のバイクが牽引されていた。
ところどころダイヤモンドのマークが付いているけど、なんだろう? かっこいいとは思うけど。
よく見るとバイクにたくさんの細かい傷が付いていた。たぶんかなり長年使われてたんだろう。
この人、このバイクを大事にしてるんだな・・・
橘さんは私を山合の喫茶店へと連れて来てくれた。「ハカランダ」という名前のお店らしい。
クラシックな感じの、素敵なお店だった。今度お姉様を連れてきたいような風貌だった。
「いらっしゃいませ・・・、何だ橘か・・・」
「何だはないだろう・・・。いきなりですまんが、この子に料理を教えてくれ」
そのお店でコップを拭いていたエプロン姿の静かな男性は、相川始さんと名乗った。
この人もイケメンだけど、どこか、優しくて寂しそうな感じに見えた。
「・・・なぜ俺に頼む? 料理ぐらい白井や広瀬にでもできる。奴等に頼めばいいだろ」
「白井は牛乳王子の仕事で忙しい。広瀬は芸能人と結婚したからな。お前が適任だと思ってな」
「まぁいい・・・。二三日教えるくらいなら構わん。今は撮影に行く予定もないからな」
「相川さん、これからよろしくお願いします!」
「あっ、あぁ・・・」少し戸惑った様子を見せて、相川さんが返事した。
仕事が終わるのを待ち、とりあえず奢りで出してもらった紅茶と茶菓子を口にしながら店の中を眺める。
木製のテーブルがいくつも並んだ、シックな店内。
壁には母娘と相川さんらしき人が描かれた古ぼけた絵や、屋久島の杉やどこかの岸壁、山小屋を撮影した写真が飾られていた。
「あっ!? これもしかして、真崎剣一の写真じゃないですか!」
「・・・知ってるのかい?」と相川さん。
「はい! どれもすっごくいい写真ですよね!お姉様も私もお部屋に飾ってます!」
「そうか・・・、ありがとう」
「へ?」確か、この人の名前は相川始さんのはずだ。
「いや、何でもないよ・・・」と相川さん。
この人、真崎剣一さんの知り合いなんだろうか?
しばらく私が店で写真や本を眺めていると、
「橘さん!」
突如、若い男性がお店に入ってきて、不機嫌そうな表情で橘さんに話しかけてきた。
「睦月か・・・。よくここがわかったな」と、男性とは対照的に、穏やかな口調で橘さんが言った。
「研究所の人から聞きました。・・・もうあんな実験やめてください! アンデッドとの融合係数を無理やり上げる実験なんて!」
「睦月。アイツを人間に戻すには、人間がなぜアンデッドと融合するのか詳しく知る必要がある。やめるわけにはいかないんだ・・・」
「だからって・・・。これ以上は、橘さんの身体に何が起こるかわからないんですよ! 研究所の人から聞きましたよ!
今だってもう身体がボロボロらしいじゃないですか・・・! テロメアとかいう遺伝子にも影響が出てるって・・・!!」
「いいんだ・・・。アイツがあれだけのものを背負ってるんだ。これぐらい、アイツを思えば何ともない」
「橘さん・・・!」
悲しげに睦月さんが項垂れ、それっきり何も話さなくなった。
なんとなくだけど、この人や橘さんは、きっとすごく重いものを背負ってるんだろう。
そんな気がした。
「そう言えば祥鳳くんは?」と橘さんが話題を変え、まだ仕事中の相川さんに聞いた。
祥鳳? アレ、どこかで聞き覚えのある名前なんだけど・・・。
「祥鳳ちゃんか・・・。あの子なら元気でやってるよ。いい看板娘として働いてくれてる」と始さん。
「そういえば天音ちゃんの近況を聞いてなかったな、最近どうだ?」
「天音ちゃんなら元気だ。今は一人暮らしをして、カレッジライフを楽しんでるよ。
一時期ゴスとかいう変なファッションと黒魔術にハマってたがな・・・。
たまに帰ってきて祥鳳ちゃんとも仲良く遊んでるよ。あの子、世間知らずなお嬢様みたいだから、色々教えてるらしい」
「なるほどそうかぁ・・・」とニヤニヤしながら睦月さん。
「なんのことだ」
「相川さん・・・。天音ちゃんがいなくなったから・・・」とからかうような口調で睦月さんが言った。
恐らく場を明るくしようと無理に話題を作ったんだろう。
如月ちゃんが轟沈したときも、お姉様はそうだった。
(たとえ誰かが私を悪く言おうと、この空気はCrashしなきゃイケマセン!)
そう言って自らが率先して空気を壊そうとしたお姉様、カッコよかったな・・・。
「ふざけたことを言うな。あの子の面倒を見てるのは、アイツの知り合いだからだ」
「えっ・・・!?」
「突然転がり込んできたときには驚いたのよ」と、中年の綺麗な女性が言った。
「行き場もないと言っていたからな。ここでしばらく預かってる」
「そうだったんですか・・・。その・・・、すみません・・・」睦月さんは申し訳なさそうに小さくなった。
「ふふっ、でも良かったわ・・・」と隣にいた綺麗な中年の女性が言った。
「遥香さん?」
「彼、今もどこかで元気でやってるみたいじゃない。彼も隅に置けないわね、あんな可愛い子と知り合いだなんて・・・」
「そ、そうですね・・・」
始さんは寂しそうに返事した。
相川さんに案内されて部屋の奥の方に入ると、そこには髪の長い和服の綺麗な女性が掃除をしていた。
その人は私を見るなり驚いた顔をして、「あっ、貴方はっ!? 金剛型2番艦の比叡さん!」と尋ねてきた。
「あなたは・・・、誰?」と私が言うと、
「そっ、そうですよね・・・。私なんか、大した戦果も上げてないですし、大破炎上後に誰からも心配されてなかったみたいですし・・・」その人は落ち込みだした。
そうか、この娘が祥鳳さんか・・・。別鎮守府の人だから分からなかった。たぶん、何らかの事情で祥鳳さんはここに住み込みで働いていて、橘さんと知り合いになったんだろう。
「ちっ、違うの!そう言う意味じゃなくて、別の鎮守府所属の人だからわからなかっただけだよ!
コメント一覧
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- 2015年03月28日 20:47
- ヒェーッ!
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- 2015年03月28日 20:53
- シェー!
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- 2015年03月28日 20:59
- 艦これのアニメが微妙だったと?だが私は謝らない
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- 2015年03月28日 21:05
- タイトルで吹いたw
ってかギャレンのキングフォームでRSFとは、夢がある。
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- 2015年03月28日 21:05
- (一期スタッフは二期から)オルィロ!!オルィロ!!
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- 2015年03月28日 21:19
- タイトルが卑怯過ぎるwww
それにしてもこの人のは安定して面白いな...
アニメは個人的には内容含めて楽しめたし良かった
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- 2015年03月28日 21:43
- 一つ指摘するとすればバーニングディバイドやバーニングスマッシュは踵落としではなく逆さの浴びせ蹴りだというところか
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- 2015年03月28日 22:04
- この人のはどんどん面白くなるな…
今回のは一番面白かった
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- 2015年03月28日 22:44
- 金剛サン・・・・・・・・如月のその後の事(3話の後の事)知ってんだったら睦月(艦これ)達に教えてやれよwww。
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