徳川家康「りくじょうじえいたい?」【後半】
- 2015年03月29日 22:30
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徳川家康「りくじょうじえいたい?」【後半】
木村「高機動車が大破!炎上中です!」
伊庭「何っ!?」
大筒の弾によって高機動車が爆発する様子を伊庭は目にする
木村「高機動車の横でLAMを発射していた隊員達は無事です。しかし、高機動車に積んであった物資は………」
伊庭「高機動車以外の車に重火器は積んであるか?」
木村「LAV(軽装甲機動車)の中に2、3発のLAMと中MATが積んであったはずです」
伊庭「分かった。それらで大筒を叩く。これ以上、車両を失うわけにはいかない」
木村「了解。LAVに乗る根元たちに連絡します」
伊庭「頼んだ」
パパパパパパパパパパパン
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン
カカカカカカカカカカン
伊庭「LAMの攻撃が止んだ隙に一気に攻撃を仕掛けてきたか…………」
自衛隊の発射した数発の対戦車弾で鉄砲隊と弓隊はほぼ壊滅したと思われた
しかし、敵の指揮官は生存した僅かな鉄砲隊と弓兵で再び部隊を編成して、自衛隊へ再度、攻撃を仕掛けてくる
ひゅるるる
ズドオオオオン
また、大筒に至ってはまだ幾つか無傷で残っていた
ひゅるるるるるる
ズドオオオン
パパパパパパパン
隊員「くそっ!舐めやがって!」
タタタタタタタタタ タタタタタタタ
雑兵「ぎゃあ!」
雑兵「ぐあっ!」
自衛隊員たちは大破していない車両に身を隠しながら果敢に反撃していた
火縄銃よりも遥かに威力が高く、連発して射撃可能な小銃の掃射によって徐々にではあるが自衛隊が優勢になっていく
タタタタン タタタタタタン
雑兵「何じゃあの鉄砲は!たかだか数丁でこれほどまでの弾を撃てるとは!」
雑兵「ひるむな!相手は10人足らずの兵じゃぞ!」
パパパパパン
雑兵「大筒で鉄の車ごと叩き潰せ!」
ドンッ
ひゅるるるるる
ズドオオオオン
隊員「ぎゃああああああ!」
隊員「うわああああ!」
炎上中の高機動車から退避し、別の車両の陰に隠れようとしていた隊員たちのすぐ横に大筒の弾が着弾する
パパパパパパパン
カカカカカカカカン
伊庭「くそっ!」
木村「LAVの根元たちから連絡!LAMの発射準備が完了したとのことです!」
伊庭「よし!早く大筒を吹き飛ばせ!」
バシュッ
バシュッ
バシュッ
ズドオオオオオオン
ズドオオオオン
ズドオオオオオオン
雑兵「ぐあああ!」
雑兵「ぎゃああ!」
軽装甲機動車に乗っていた根元3曹たちが発射した110mm個人携帯対戦車弾(LAM)は見事に残存していた大筒に着弾し、周囲の兵士ごと大筒を吹き飛ばす
伊庭「よし。これで敵の飛び道具は僅かな鉄砲と弓だけだ。一気に突破するぞ。全車両に連絡をしろ」
木村「はい」
そう言って木村は通信機で連絡を開始する
木村「全車両に告ぐ。今から突撃を再開する。大破した高機動車は放棄しろ。高機動車に乗っていた隊員は他の車両に分散して乗れ」
無線『了解』
伊庭「木村。運転を頼んだ」
木村「了解しました」
伊庭達の乗っていた73式小型トラックの運転手は既に絶命している
よって代わりに木村が運転をすることになった
また、先程の大筒の砲撃で新たに1名が死亡、1名が負傷をしている
それによって現在、戦闘可能な隊員は負傷者除く7名のみとなってしまった
伊庭「全車両発進準備!」
木村「了解!」
ブロロロロロン
伊庭と木村は死亡した隊員を後部座席に収容した後で小型トラックに乗り込む
他の隊員達も各車両に乗車した
木村「よし。発進しま…………」
伊庭「どうした?早く発進しろ」
木村「小隊長。敵が集結しています」
島左近が気付いた防御陣形は自衛隊の攻撃でほぼ崩れた
丸太の防壁と大筒は吹き飛ばされ、鉄砲隊と弓隊は壊滅状態である
つまり残っている敵の兵士はほとんどが槍や刀で武装した兵士なのだが、その兵士たちが一箇所に集結していた
伊庭「残存している兵士を一箇所に集めているのか」
木村「数えただけでも1000以上は居ますね」
伊庭「…………。総攻撃をかけるつもりか?」
木村「!? あれって敵の大将じゃないですか?」
伊庭「!?」
集結してきている敵兵の中心に馬に乗った一人の男が現れる
丸に三つ柏の旗を掲げ、他の兵士には無い独特のオーラを醸し出している男
伊庭「あの兜………。間違いない。あいつが島左近勝猛だ」
木村「いかにも大将って雰囲気ですね。最前線に自ら躍り出てきて指揮をするとは」
伊庭「チャンスだ。今なら確実に島左近を仕留められる」
伊庭「島左近…………。悪く思うなよ?」
ガチャ
タタタタタタタタ
タタタタタタタタ
伊庭は島左近勝猛と思われる武将に小型トラック車載機関銃の掃射を浴びせる
島左近「…………………!」
サッ
バスバスバスバス
雑兵「ぐあっ」
雑兵「ぎゃっ」
伊庭と島左近の距離はかなり離れている為に機関銃の弾はバラけ、島左近の周辺に居た兵士も銃弾を浴びてしまった
ヒヒーンッ
また、島左近の乗っていた馬にも数発の銃弾が命中する
銃弾を浴びた馬はドサッと地面に倒れてしまった
伊庭「やったか!?」
木村「島左近の乗っていた馬への命中は確認できました。島左近の死亡は確認できていません」
伊庭「あの掃射を避けられるとは思えん。ここからだと姿は見えないが、銃弾が命中して落馬したんだろう」
木村「そうであることを願いますが…………」
伊庭「大将が倒れたなら、敵の陣形が崩れるはずだ。その瞬間に全車両で突撃する」
木村「………………!?小隊長!」
伊庭「何だ?」
木村「島左近は死亡していません。無傷です!見てください!」
伊庭「何だと?」
伊庭は再び敵の方向を見る
地面に倒れている馬の影から一人の男がのっそりと立ち上がっているのが見えた
伊庭「どうやって機関銃と射撃を避けたんだ?」
木村「おそらくですが………、こちらの射撃を察知した瞬間に馬に身を隠したのかと思われます」
木村の言うとおり島左近は自衛隊の射撃を察知した瞬間に体全体を傾けて、馬を盾代わりにするような体勢を取っていた
伊庭「さすがは名将と呼ばれるだけはあるな!」
木村「小隊長!島左近が雑兵の中に逃げようとしています」
伊庭「今度は部下の兵士を盾にするつもりか!逃がさん」
タタタタタタタタ タタタタタタタタタ
タタタタタタタタタタタ
木村「駄目です!他の兵が邪魔で島左近を目視出来ません。完全に人ごみの中に隠れてしまった模様」
伊庭「馬を失った今、奴の移動手段は徒歩だ。車両で追うぞ」
木村「はい!」
おおおおおおおおおおおおおおおおおお!
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
木村「うわっ!」
伊庭「総攻撃か」
木村「敵の残存兵が全員、こっちに向かって突撃してきます!」
伊庭「全車両突撃止め!今突撃したら車ごと敵兵に飲み込まれるぞ」
鉄砲隊や弓隊は壊滅したものの、槍や刀で武装した雑兵はまだほとんどが生存していた
その雑兵たちが一斉に自衛隊に攻撃を仕掛けてきたのだ
伊庭「島左近を逃がす為に全兵力で我々を足止めするつもりか!」
木村「どうしますか!?指示を!」
伊庭「小銃および機関銃で迎撃………と言いたいところだが、この人数の敵兵を迎撃するのは不可能だ。一旦、後退………」
向かってくる兵士たちは千を軽く越える
生存している8名の自衛官でそれを全員倒すのは不可能に近い
よってこの場は一時撤退をするべきではあるのだが
伊庭「ここで我々が踏みとどまっている間に東軍の本陣が攻め落とされては元も子もない…………」
木村「機関銃で掃射をして道を空けながら突撃するという手もありますが………」
伊庭「補給用の高機動車を失った今、我々の手元に残っている弾は少ない。ここを突破したところで、石田三成の本陣にたどり着くまでに弾が切れてしまうだろう」
木村「時間はかかりますが、後退した後で迂回して石田三成の本陣へ行きましょう。急がば回れですよ」
伊庭「そうだな。全車両後退」
伊庭の号令で3両の車両が後退をしはじめる
ブロロロロロ
伊庭「……………」
木村「…………仮に東軍の本陣に西軍の軍勢が到達したとしても、県3尉たちが居ますから大丈夫ですよ。きっと東軍を守りきってくれますって」
伊庭「……………そうだな」
自衛隊の車両は速力を上げつつ後退する
自衛隊の車両の速度は徒歩の敵兵よりも遥かに速いため、すぐに逃げ切れるだろう
だが、車両に乗る自衛官たちの顔は険しい
伊庭「迂回したルートだとあとどのくらいで石田三成の陣につく?」
木村「石田三成の陣地は島左近の部隊のすぐ後ろでしたから、本来なら30分もかかりません。しかし、戦場を避けながら進んでいくとなると…………。予定の倍以上の時間がかかります」
伊庭「そうか」
木村「………………!?」
おおおおおおおおおおおおおおお!
木村「前方より新手の軍勢が接近中!」
伊庭「何!?新手だと!挟み撃ちにするつもりだったのか!?」
木村「………いえ。あれは………」
伊庭達の車両が進む方向、つまり、突撃してくる島左近の部隊の反対側から新手の軍勢が突撃してくる
その軍勢の先頭に居る馬に乗った男は眼帯を付けていた
伊庭「あれは………伊達政宗か!」
木村「伊達政宗!?」
眼帯を付けた男ー伊達政宗は伊庭達の乗る小型トラックの前まで来ると、馬の足を止めた
伊達政宗「伊庭殿か!苦戦しておるようじゃな!」
伊庭「伊達殿。どうしてここに?」
伊達政宗「おぬしが石田三成の討伐に行っておるが、苦戦していると聞いてな。助太刀しに参った」
伊庭「しかし、伊達殿は戦の真っ最中だったのでは?」
伊達政宗「わしの本隊は配下の者に任せておる。助太刀しに来たのは全体からすれば僅かな兵だけよ」
僅かな兵と言うが、伊達政宗の後ろには相当な数の兵が居る
伊達政宗「わしらがあの突撃してくる兵を相手する。その間におぬしら“じえいたい”は自慢の鉄の馬で三成の本陣まで突っ走れ」
伊庭「しかし…………。いや。了解しました!」
伊達政宗「おう」
伊庭「御武運を」
伊達政宗「互いにの」
伊庭は伊達政宗に敬礼する
伊達政宗はその後すぐに島左近の兵に突撃していった
伊達政宗「皆!我に続け!」
雑兵たち「うおおおおおおお