魔物「面白い話をしてあげましょう」
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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:17:56.86
父スライム「ほら急げ、もうすぐ始まってしまうぞ!」
母スライム「子スライムちゃん、もう少しだから頑張って走ろうね」
子スライム「う、うん!」
子スラ「ひい……ひい……」
子スラ「……あ、ちょうちょ」
子スラ「きれいだなあ」
子スラ「……あれ」
子スラ「……お父さん?」
子スラ「……お母さん?」
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:19:44.11
魔物「……おや?」
子スラ「グス……グス……」トボトボ
魔物「ふむ……」
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:20:26.46
魔物「どうかしましたか」
子スラ「僕……お父さんが……」
魔物「……?」
子スラ「お母さんもいなくて……」
魔物「……もしかして迷子ですか?」
子スラ「……う、うわーん!」
魔物「おやおや、困りましたね……」
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:21:09.79
魔物「あなたの名前はなんと言いますか?」
子スラ「……子スライム」
魔物「いい名前ですね私は魔物、といいます」
魔物「さて、私はこちらのほうから歩いてきましたが誰にも会いませんでした。
ですから、きっとこっちに行けばお母さんとお父さんに会えますよ。私もこちらに用事がありますからご一緒しましょう」
子スラ「……」
魔物「ね?」
子スラ「……」コクリ
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:23:23.91
子スラ「ヒッ……エグ……」グス
魔物「大丈夫ですよ、すぐに会えますから」テクテク
子スラ「う、うえ……っ」グス
魔物「弱りましたねえ……」
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:24:10.29
魔物「……そうだ」
子スラ「……?」
魔物「面白い話をしてあげましょう。これを迷子の思い出話にしてください」
子スラ「……」
魔物「いいですね?」
子スラ「……う、ん」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:25:10.86
魔物「私はですね、魔王になりたかったんです」
子スラ「え……?」
魔物「父上にそういう風に育てられたんですよ。笑えるでしょう?」
子スラ「?」
魔物「ですから、小さい頃から私は筋力トレーニングばかりでした。それに禅修行も」
子スラ「……禅修業?」
魔物「ええ。穏やかにたゆたう川のように、決して淀まず暴れない、そんな心を獲得できるように」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:25:50.75
子スラ「手に入ったんですか?」
魔物「…………さあ?」
子スラ「……」クス
魔物「……こんな書物を知っていますか?」
子スラ「……?」
魔物「作者不明ですが、大昔からある物語の中では必ず悪が挫かれ正義が勝つ、それは理不尽だ、悪が勝つ物語があってもいいじゃない
か。要約するとそういう内容になります」
子スラ「……はあ」
魔物「その書物は約五百年くらいも前のものなんです。そんな時代から我々は悪側として一方的に虐げられてきたんです。ぞっとしませ
んか?」
子スラ「?」
魔物「ちょっと難しかったですね。ごめんなさい」
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:26:31.23
父スラ「おおーい!」
母スラ「子スライムちゃーん!?」
魔物「おや、どうやらご両親がいらっしゃったようですよ」
子スラ「お父さーん! お母さーん!」
魔物「よかったですね」
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:27:19.81
父スラ「よかった、心配したんだぞ」
子スラ「ご、ごめんなさいお父さん……」
母スラ「あなたが息子をつれてきてくれたんですか? ありがとうございます」
魔物「いえいえ、お礼を言われるほどのことではありませんよ」
子スラ「ありがとうございます、魔物さん!」
父スラ「ありがとうございました。私からもお礼申し上げます」
魔物「どういたしまして」
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:28:52.23
父スラ「さあ子スライムも見つかったことだし急がねばならん。魔王様のご即位式に間に合わんぞ」
子スラ「うん!」
母スラ「あなたも魔王様のご即位式をご覧になりに行くんですか?」
魔物「あ。いえ、実は私……」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:29:49.43
ガサガサ ガサガサ
「よし、囲んだぞ!」
魔物「!!」
子スラ「な、何!?」
冒険者1「ひい、ふうの……四匹か。一匹は人型だな」
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:31:46.83
魔物「……あなた方は?」
冒険者2「我々はここ一帯で魔物狩りを行っている」
冒険者3「悪いが狩られてもらうぞ」シュッ
父スラ「ひっ……」
ギイン――――ッ
魔物「……」ガシ
冒険者4「……!」
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:32:38.48
魔物「……見逃しては、もらえませんか?」
冒険者1「申し訳ないがそれは無理だ。我々も仕事でここにいる」
冒険者2「人型の魔物は高く売れる」
魔物「では、スライムさん一家は見逃してもらえるんですね」
冒険者2「それも無理だ。スライムの体液は薬の原料として、こちらもそれなりの値で取引されている」
魔物「……隠れていてください」
母スラ「わ、わかりました」
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:33:32.30
父スラ「――ここまでくれば大丈夫だ、お前達はここにいなさい」
母スラ「あなた、どうする気?」
父スラ「……私も彼に加勢する。彼一人で四人の相手は無理だ」
子スラ「……僕は大丈夫だと思う」
母スラ「え?」
子スラ「もし魔物さんの言葉が本当なら……」
冒険者3「がはっ!!」
子スラ「あの人が魔王だ」
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:34:21.28
冒険者1「……4。3を安全なところに運んで来い」
冒険者2「こいつ……」
冒険者1「2、本気で行くぞ」
魔物「ふぅ――――……」
魔物「……っ!」クワッ
冒険者1(……手強いな)
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:35:33.79
冒険者1「シッ……!」
魔物「……ふっ」キイン
冒険者1(いやな弾き返し方だ……刃が軋む)
冒険者2「後ろががら空きだ」ビッ
ブン――
冒険者2(外した!?)
冒険者2「がッふ――」ドッ
冒険者1(屈んでからの蹴り、か。身のこなしに異常にキレがある)
冒険者1「お前はただの魔物ではないな」
魔物「……」
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:37:12.12
冒険者1「まあいい、死線は幾らでもくぐろう」
魔物「無用な乱暴は働きたくありません。退いては、もらえませんか?」
冒険者1「先刻から言ってのとおり、無理だ。それに――」
冒険者1「我々にもプライドぐらいある」
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:38:19.30
キインッ ガッ カキ キイン――
魔物(この方は、違う。強……いや、巧い)
冒険者1(こちらが圧しているように見える。……がその実、こちらの攻撃が全ていなされ一発も入らない……)
冒険者1「どうした魔物。そちらからは来ないのか」シュッ
魔物「……」ギイン
冒険者1(おかしい……)
魔物(もう少し……)
魔物「暗き……底の……流れよ……」ブツブツ
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:39:10.56
冒険者1(まさか……)
魔物「混ざり……濁りて……」
冒険者1「お前――っ」
魔物「飲みこめ」
ドッ!!
冒険者1(ぬかった! 呪文か!)
冒険者1「ぐぅ……」バタ
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:40:10.05
魔物「……終わり、ましたね」
子スラ「魔物さーん!」
魔物「……!」スッ
子スラ「!?」ビクッ
子スラ「な、なんですか?」
冒険者4「投降しろ、魔物」スチャ
子スラ「ひっ……」
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:41:51.68
魔物「その子を、殺さないで下さい」
冒険者4「……」
魔物「……」
冒険者4「……」スチャ
魔物「……っ」スッ
冒険者4「……それでいい」
――ガッ
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:42:56.86
※
<恐怖の魔王が出来るまで>
魔物「私は普通の魔物の両親の間に生まれました。取り立てて特別なところのない……」
乳児魔物「だー」
魔物父「よーしいい子だ」
魔物母「うふふ……」
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:43:45.45
魔物「小さな頃から筋力トレーニングの嵐でしたね」
幼魔物「1、2、3、4……」
幼魔物「ふん……ふん……」
幼魔物「セイッ……セイッ」
魔物「何のためにこんなことをやっているのかわかりませんでした」
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:44:26.99
魔物「父は厳しかった」
少年魔物「セイッ……やあっ」パシッ パシッ
魔物父「よし、もう一発!」
少年魔物「ハッ!」バシッ!
少年魔物「……はあ、はあ」
魔物父「コラ! 休むんじゃない!」
少年魔物「は、はい!」
魔物父「来い!」
魔物「それっ」パンッ
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:45:08.34
魔物「滝に打たれて修行したこともありました」
ザァ――――
少年魔物「……」
少年魔物「……」
少年魔物「……っ」
少年魔物「ックシュン」
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:46:05.44
大人魔物1「セイヤッ!」ブン
少年魔物「……っ」パシ
少年魔物「ヤッ!」ドン!
大人魔物1「うぐ……」ドサ
大人魔物2「セイッ、セイッ」シュシュ
少年魔物「シッ!」パシ ドン!
大人魔物2「がっ……」
大人魔物3「くっ……」
少年魔物「……」ジリ
大人魔物3「ま、参りましたっ!」
少年魔物「…………ふぅ――」
魔物「少年期の終わりには大人の魔物にも勝てるようになってましたね。これでも才能はあったみたいです」
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:47:19.82
魔物「それでもまだ分からなかった。遊ぶ暇もなく鍛え続ける意味が」
魔物「あるときいじめられている同属を助けました」
少年魔物1「お前キモいんだよ」
少年魔物2「くっせえしよ」
少年魔物3「消えろって」
少年魔物4「おい、きいてんのかよ」
少年魔物「――っ」ダッ
ドカッ バキッ ガスッ
魔物「その後で父に暴力はいけないとしこたま叱られました。手加減し損ねて重症を負わせてしまった子もいます」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:48:00.43
魔物「よく母に泣きつきましたよ。なんでこんな生き方をしなければならないのか、とね」
魔物「でも思い違いをしないで下さい」
魔物「私は父のことが大好きでした」
魔物「トレーニングをする私を見る父の目はとても優しかったから……」
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:48:52.91
子スラ「――その話は分かりましたから、もう喋らないで下さい。さっき殴られたばっかじゃないですか」
魔物「……魔族は特別丈夫なんです。……あんなの殴られたうちに入りませんよ」
子スラ「そんな無茶な……」
魔物「…………ですよねえ」ヒリヒリ
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:49:39.21
子スラ「僕達捕まっちゃいましたし……。これからどうなるんでしょう……」
魔物「あまり愉快な目にはあわないでしょうね……」
子スラ「……そんな」
魔物「……私は今父に感謝しています」
子スラ「え?」
魔物「恐怖の魔王をこんな……」ゴキゴキ ポキ
子スラ「わ、わわっ……」
魔物「……こんなちょっと丈夫なくらいの縄で捕まえておこうなどと」スルスル
魔物「……ほらね」プラプラ
子スラ「……大丈夫ですか?」
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:50:25.17
冒険者3「! お前、いつの間に……!」
魔物「ふっ……」ダッ ガシィ!
冒険者3「むぐ、ぐぐぐ……」カク
父スラ「大丈夫か、子スライム!」
母スラ「怪我はない!?」
子スラ「お父さん、お母さん。大丈夫だよ。魔物さんが……」
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:53:07.19
魔物「それでは、行ってきます」クル スタスタ
子スラ「……」ペコリ
父スラ「彼が行くならもう大丈夫だ」
子スラ「……え?」
母スラ「ええ、彼は恐怖の魔王だもの」
子スラ「…………うん」
魔物「……」スタスタ……
魔物「――っ」ダッ
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:55:40.77
※
<数十年後
魔王玉座の間>
魔王「来たか、勇者よ……」
勇者「……」
魔王「我の軍を退けて良くぞここまで参った」
勇者「……」
魔王「まずは素直にその労をねぎらおうと思う」
勇者「……そんなことはどうでもいい」
50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:56:37.72
勇者「何なんだあれは!?」
魔王「あれ、とは?」
勇者「この部屋の扉の前にいたスライムだ! 何だあの強さは!? あの種のスライムには有り得ない強靭さだぞ!」
魔王「……」
勇者「戦士が倒れた。僧侶は回復で手一杯、賢者も呪文の打ち合いで何とか引き止めてくれている」
魔王「……」
勇者「俺は、一人でここに来ざるを得なかった」
魔王「……」
勇者「一体何なんだ! どう考えてもおかしいぞ!」
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:57:28.49
魔王「お前は」
勇者「!」
魔王「そんなことを言いにここまできたわけではあるまい?」
勇者「……」
魔王「何か譲れぬ、揺るがぬものがあってここまできたのだろう?」
勇者「……」
魔王「ならば、我を倒して奪っていけ」
勇者「はっ、お前にいわれるまでもねえ! 俺はあいつらを待たせてんだ! さっさと終わらせてあいつらを迎えに行かなきゃなんない
んだ! こんなところで息絶えてたまるか!」
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:58:08.54
魔王「……」
勇者「……」
魔王「……」
勇者「……」
魔王「来い」
勇者「言われなくとも!」ダッ
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 22:59:01.84
※
魔王「……」フヒュー フヒュー
勇者「はあ……はあ……」
魔王「よくぞ……」
勇者「お前だって強かった。よくここまで戦ったよ」
魔王「ふっ……」
勇者「どうする、一思いに止めを刺してやろうか?」
魔王「…………いや、今しばらく現世の香を楽しみたい……」
勇者「そうか……」
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 23:00:08.32
勇者「俺は行くよ。仲間を待たせてる」
魔王「……そうか」
勇者「じゃあな、もう会うこともないだろうけれど」
魔王「……ああ、一足先にあの世で待っている」
勇者「はっ……」キィー バタン
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 23:01:02.27
魔王(これで……これでいい)
魔王(一方的に虐げられた魔物たちの地位を向上させ、人間と対等とすることが出来た)
魔王(反対に魔物が人間達を脅かすようになったが、勇者が私を倒すことでそれも解消される)
魔王(これで、魔物と人とのバランスが取れる。平和が、来る)
魔王「これで……」
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 23:01:58.37
スライム「魔王……様」
魔王「ああ、スライムさん……」
スライム「お互い手ひどくやられたものですね……」
魔王「あなたには負けますよ……」クス
62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 23:02:54.83
魔王「ああ……あんなに遠いと思っていた死が……こんなに近くまで迫っていたなんて」
スライム「……時が流れるのは、早いものですね」ゴフッ
魔王「……」
スライム「……どうしました、魔王様? 死が怖くなりましたか……?」
魔王「今更……死が怖いなどと……うぐ」
スライム「……嘘ついても、分かりますよ、お互い、もう長い付き合いですもんね……」
魔王「……」
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 23:03:49.13
スライム「……魔王様、生きたいですか?」
魔王「…………生きたくないと言えば嘘になります。ただ一直線に生きてきた人生でしたから」
スライム「……別の生き方も、してみたかった、と……?」
魔王「……そうですね。そんな、気がします」
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 23:04:40.78
スライム「……では魔王様、私からのお願いです」
魔王「文字通り、最期の最期に、そんなことを言うなんて人が悪い……。何ですか、言ってみなさい……」
スライム「魔王様、生きてください」
魔王「え?」
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 23:05:31.10
スライム「……魔王様と一緒に、死ぬのも悪くないと思いましたが……どうせなら一人ぐらい生き延びるべきです」
魔王「……どういう、ことですか?」
スライム「魔王様、出会ってからの数十年、私はとても楽しゅうございました」
魔王「やめなさい……またあの世で会えるじゃないですか。そんな……」
スライム「あの日、私を助けてくださった上、魔王軍に入れていただいたこと、大変感謝しております」
魔王「やめなさい……やめなさい……」
スライム「本当に楽しい、よい日々だった……」
魔王「やめて、下さい」
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 23:06:29.24
スライム「……では魔王様、これでお別れです」
魔王「そんな……」
スライム「私の分も、しっかり、いきてくだ……い……」
魔王(スライムさんの衰弱とは反対に、私の身体に力がみなぎってくる……)
魔王「こんな……こんな別れなど……」
魔王「大馬鹿者……」
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 23:07:48.87
※
<数百年後
世界のどこか>
子供「……」グス
子供「う、うえ……っ」
「おやおやこんなところに人が……」
子供「ヒック……エグ……」
「どうか泣かないで下さい」
子供「うわーん!」
「弱りましたねえ……」
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 23:09:56.47
「そうだ」
「面白い話をしてあげましょう」
終わり
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 23:12:01.17
意外と短かったな
お疲れさん
お疲れさん
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 23:12:25.74
乙
ちょっとウルッときた
ちょっとウルッときた
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/19(月) 23:16:00.35
乙
なんか久々にwktkした
なんか久々にwktkした
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