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​進化した光造形3Dプリンターを2社が発表。従来の25~100倍速で3D出力 - Engadget Japanese


光造形樹脂を使い、従来の製品より25倍から100倍の速度で出力する3Dプリンタを米国・豪州のメーカーが相次いで発表しました。

光造形樹脂は紫外線や特定の波長の光で硬化する性質を持つ樹脂。液状の光造形樹脂レジンに紫外線レーザーを当てて成型するSLA方式の光造形3Dプリンターや、身近なところでは歯科治療用の歯の詰め物、ジェルネイルなど既に幅広い分野で用いられている素材です。


米国のCarbon3D社が発表した3Dプリンターは、光造形樹脂の液槽に下からプロジェクターで紫外線を当て、硬化させた樹脂を上に引き上げるCLIP (Continuous Liquid Interface Production, 連続的液体結合製法)と呼ぶ方式を用います。



液槽の底面は光と酸素を透過させるコンタクトレンズのような性質を持っており、そこに酸素を継続的に送り込むことで薄い酸素の膜を底面に作る仕組み。紫外線に当たって樹脂が硬化しても底面に触れず、くっつかない状態を保ちます。



ビルド面を少しずつ引き上げながら連続的に樹脂を光で硬化させられるため、光樹脂を用いた従来のSLA方式の3Dプリンターと比べて遥かに高速なプリントが可能。また一層一層重ねていく従来の方式と比べると、射出成型の加工のように強固にスムーズな造形が可能であるとしています。


*従来のPolyjet(インクジェット方式)、SLS(粉末焼結方式)、SLA(光造形方式)との所要時間の比較


*顕微鏡による積層面の比較


また、素材に関しても幅広くポリマー素材を扱うことができ、ゴムのような弾性を持つエラストマー素材でもプリントできます。

さらに Carbon3D社の発表から一週間を待たず、豪州のGizmo 3D社もDLP: Direct Light Processing(直接光処理)技術による3Dプリンターを発表しました。



特許申請の手続き中とあって詳細は明かされていないものの、光造形樹脂の液槽の上方から光を当て造形しつつ、液槽の底面が下がって樹脂を積層させていく方式です。終了後は底面が上がり、前述のCarbon3D社のように液面からプリントした物体が浮かんで来るように見える点は共通していますが、造形する際の上下の向きが異なっています。

上の動画では30mmほどの高さの物体が6分ほどでプリントされています。精度や大きさなどの条件によってプリンティングの速度は変わってくるため、Carbon3D社と比べてどちらが性能的に優れているか現時点で単純に比較することは難しいですが、こちらもまた廉価な3Dプリンタに多い熱溶解積層法や、積層型の光造形法3Dプリンターと比べると遥かに高速にプリントできる製品です。


Carbon3D社の3Dプリンターは価格・発売時期ともに未発表。一方 Gizmo 3D社は2500ドルから6000ドルの製品ラインナップを用意し、今年9月からKickstarter上で出資を募るとしています。

これまでの3Dプリンターで用いられた方式にはそれぞれ長所短所がありました。光造形方式も原材料のレジンの値段が高かったり、太陽光で硬化が進んで壊れやすくなったり、また洗浄などの後始末に手間がかかるといった弱点があります。しかし今回は特にスピードの面で飛躍的な進歩があったため、今後は光造形方式の3Dプリンターの動向へ大きな注目が集まりそうです。
​進化した光造形3Dプリンターを2社が発表。従来の25~100倍速で3D出力

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