男「好きだ!」 女「エイプリルフールですね」
男「しまった」
女「そんなのバレバレなんですよ」
男「いやそうではなく」
女「冗談でそういうことを言わないでください」
男「エイプリルフールだってことを忘れてたんだよ」
女「嘘ですね」
男「いやいや本当なんだって」
女「嘘をつくなんて最低です」
男「どうすれば信じてもらえるんだ……」
女「本当に私のことが好きならどこが好きなのか言ってください」
男「お安い御用だぜ」
女「100個」
男「えっ」
女「100個」
男「えーっと、誰にでも優しいところ、それと物知りなところ。えーと、笑顔が可愛いところ。それと……」
女「いや、もう結構です」
男「ま、まだ言えるぞ」
女「嘘だとわかっていても恥ずかしいので」
男「あと恥ずかしがると顔が赤くなるところでしょ、それと」
女「だからやめてください!」
男「信じてもらえた?」
女「まったく」
男「酷いなあ」
女「エイプリルフールに告白するなんて許せません」
男「いや、気づかなかったんだって」
女「そんなに本当だって言うなら明日また告白すればいいじゃないですか」
男「仕切りなおすのはかっこ悪いじゃん」
女「確かにかっこ悪いですね」
男「そういうこというから。ほらー」
女「……今日告白すれば失敗しても嘘にできますもんね」
男「そんなつもりないのに」
女「そういうふうに予防線をはるのが最低です」
男「その最低っていうのが嘘だったりしない?」
女「しませんよ!」
男「じゃあ逆に帰ってきたドラえもんののび太風に告白するというのはどうだろう」
女「どういうことですか」
男「あれ? 知らない?」
女「ドラえもんは知ってますが」
男「嘘を利用して告白するの。君が好きじゃない、一緒にいたくない! って」
女「どうやって返せばいいんですか、そんなの」
男「嬉しくない! って」
女「むぅー」
女「とにかくですね、告白なんかじゃなくてつくならもっとマシな嘘をついていてください」
男「マシな嘘ってなんだ」
女「怪獣が出たぞ! とか」
男「基準がわからない……」
女「あああ、やっぱ今の忘れてください……急に恥ずかしい」
女「知ってましたか? エイプリルフールは人名なんです」
男「えっ、そうなの?」
女「嘘ばかりついていたエイプリルフールの命日である4月1日が、いつしか世界的イベントに広がっていったそうです」
男「初めて知った」
女「そんなわけないじゃないですか。嘘です」
男「うわ、普通に騙されたよ」
女「えへへ」
男「じゃあエイプリルフールの起源ってなんなんだろう」
女「私も気になりだしました。調べてみてください」
男「やだよ」
女「えぇ、気になるのに」
男「うそうそ、ググるわ」
女「なんでそんな意地悪な嘘言うんですか」
男「怒った顔も可愛いな」
女「だ、だから嘘はやめてください」
男「えーと、エイプリルフールの起源は全く不明である。すなわち、いつ、どこでエイプリルフールの習慣が始まったかはわかっていない……」
女「謎ですね……怖いですね」
男「いろんな説があるけど、どれも根拠がないらしい」
女「誰が何を思って作ったんでしょうね」
男「エイプリルフールさんの命日でいいよ、もう」
女「掘り返すと恥ずかしいのでやめてください」
男「エイプリルフールはいろんな企業が盛り上がったりするよな」
女「毎年やってますね」
男「俺もSNSでなんかしようかな」
女「彼女ができましたっていうのはどうですか」
男「誰も信じてくれないよ」
女「ツーショットでも載せましょう」
男「誰も協力してくれないよ」
女「私が彼女役になってあげますよ」
男「やめとく。本当の彼女になってくれた時にするよ」
女「……ばーか」
女「エイプリルフールについた嘘は1年間叶わないらしいですね」
男「えっ、そうなの!?」
女「どこかで聞きました」
男「彼女できたとか言わなくてよかったー」
女「そうですね」
男「それに彼女ができたって言ったら君が嫉妬するしなー」
女「むー、なんでそうなるんですか」
男「嘘だよ冗談だよ」
女「嫉妬なんてしませんからね」
男「わかったって」
男「じゃあ俺は死んだって言えば1年死なないわけだ」
女「子供ですか」
男「大人だよ」
女「そんな嘘をつくのに」
男「大人は嘘をつくのさ」
女「嘘つきは泥棒の始まりですよ」
男「泥棒さ」
女「なにを盗むんですかね」
男「君のハートかな」
女「盗めてないですよ」
男「しくじったか」
女「逮捕します」
男「逮捕してもいいよ。監禁してくれ」
女「えぇ……」
男「一緒に住めるなら終身刑でいいよ」
女「島流しにします」
男「いつの時代だよ」
男「とにかく信じてくれよ」
女「まだまだ怪しいですね」
男「困ったな」
女「それに」
男「それに?」
女「信じたところで告白にイエスと答えるとは限らないんですからね」
男「……ですよねー」
男「呼び出しに応じてくれた時点で脈ありかと思ったんだけどな」
女「呼び出しを無視するほど冷酷じゃありませんから」
男「春休みはタイミング的に良いと思ったんだが」
女「出会いと別れの季節ですね」
男「そうそう」
女「そろそろ帰っていいですか」
男「別れるにははやい」
女「だって今日クラス発表なんですよ」
男「ああ、そうだったな」
女「それではこれで」
男「一緒に行こうよ」
女「勝手についてくればいいじゃないですか」
男「ストーカーかよ。犯罪じゃねえか」
女「泥棒も犯罪者です」
男「ハート泥棒は証拠を残さないからいいんだよ」
女「雨が降ってきましたね」
男「ほんとだ。予報だと晴れだったのにな」
女「天気予報もエイプリルフールだから嘘をついたんですね」
男「いや、そんなことないと思うが」
女「冗談ですよ。私だってそれくらいわかります。バカにしないでください!」
女「服が透ける……」
男「結構雨が強くなってきたな」
女「いやらしい目で見ないでください」
男「ごめん」
女「見てたんですか。ほんと最低ですね……」
男「嘘だってば」
女「はいはい、わかってますよー」
男「実は折り畳み傘がある」
女「なんで今まで出さなかったんですか!」
男「いや、1本しかなくてな」
女「2人でさすことはできませんね」
男「俺は紳士だから君に譲るよ」
女「なんだか癪ですね」
男「じゃあ相合傘でもする?」
女「それはもっと癪ですね」
男「だろ」
女「私のことはいいですから使ってください」
男「俺は紳士だからそんなことはしない」
女「どちらか1人が傘をさすのはお互いに譲らなそうですね」
男「相合傘もできないんじゃ2人とも濡れないのは無理だな」
女「じゃあ2人で濡れながら行きましょう」
男「そう思ってた」
コメント一覧
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- 2015年04月01日 23:48
- ええな。
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- 2015年04月01日 23:53
- 帰ってきたドラえもんは泣かずにはいられない。
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- 2015年04月01日 23:55
- 良かった
-
- 2015年04月01日 23:59
- くそったれ、死んじまえ
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