春香「私が抱いている千早ちゃんのイメージ」
―――事務所にて―――
千早「もうすぐ誕生日ね、春香」
春香「あ、覚えててくれてるんだ」
千早「当たり前じゃない。四月三日。来週だから、あと七日ね」
春香「うん。って、そんなカウントダウンみたいな言い方しなくていいよー」
千早「大切なことだからよ。誕生日、期待していてね」
春香「ほんと? ふふ、ありがとう千早ちゃん」
春香(最近忙しくて千早ちゃんとも会えてなかったな)
春香(でも私の誕生日には時間とれるって言ってたから、それまで楽しみにしてよっと)
―――次の日 事務所にて―――
千早「おはよう春香」
春香「おはよう千早ちゃん! 今日もお仕事がんばろうね!」
千早「そうね……あっ、そうだわ。ねえ春香」
春香「ん? どうかした?」
千早「誕生日まで、あと六日ね」
春香「うん、そうだけど……千早ちゃん、昨日も確認しなかったっけ?」
千早「ええ、そうよ。でもいいじゃない。お祝いなんだから、何回確認しても。」
春香「あはは。何回もって、大げさだよー」
千早「そんなことないわよ。ふふ」
春香(千早ちゃんがこんな冗談言うなんて、珍しいかも。ご機嫌だね。ふふ)
―――次の日 事務所にて―――
春香「うー……今日のレッスン、ハードだったなー……」
千早「あら、春香。おつかれさま」
春香「あ、千早ちゃーん……おつかれー……」
千早「ずいぶん疲れているみたいね。大丈夫?」
春香「うん、少し休めば大丈夫。次のお仕事まで時間あるし」
千早「無理してはダメよ。体調を崩したら、せっかくの誕生日も楽しめないわ」
春香「そうだね……気をつけるよ」
千早「ええ。誕生日まであと五日なんだから。それまで無理せずがんばってね」
春香「うん……」
春香(誕生日、すごい推してるなぁ……ありがとう千早ちゃん)
―――次の日 事務所にて―――
春香(今日は千早ちゃん、いないか……)
ピッ
春香「ん? メール……あ、千早ちゃんだ」
【差出人】如月千早
【件名】誕生日
----------------------------------
あと四日ね、春香。
春香「ふふっ。千早ちゃん、メールでもカウントダウンするの?」
春香「えーっと……」ピッピッ
【差出人】天海春香
【件名】Re:誕生日
----------------------------------
ありがと千早ちゃん☆
でもそんなに丁寧にカウントしてくれなくてもいいよ!
それとも私を祝うのが待ちきれないのかな?
な~んてっ♪
春香「よしっ、と」ピッ
春香(そういえば千早ちゃん、ずっと誕生日までの日にち数えてるなー)
―――次の日 事務所にて―――
春香「…………」
【差出人】如月千早
【件名】誕生日
----------------------------------
あと三日ね
春香「……うん。そうなんだけど、ね」
―――次の日 事務所にて―――
春香「…………」
【差出人】如月千早
【件名】誕生日
----------------------------------
あと ふつか ね
春香「えっと、これは……あ、あわてて送ったのかな? あはは、千早ちゃんも忙しそうだなー……」
―――次の日 事務所にて―――
春香「こ、これは……」
【差出人】如月千早
【件名】誕生日
----------------------------------
イヨイヨ アシタ ネ
春香「こわいっ!? こわいよ千早ちゃん!? なにこのメール!?」
春香「な、なんだろう。千早ちゃんいったいなにを……あっ」
春香(もしかして千早ちゃん……なにかサプライズというか、ドッキリ的なことを計画してる?)
春香(そう考えればこのカウントダウンメールも、前フリなのかも。うん。そうだよ。そういうことだったんだ)
春香(あー、びっくりした。やるなぁ千早ちゃん。こんなに凝ったことしてくるなんて思わなかったよ。誰かのアドバイスかな?)
春香「ふふ。明日が楽しみだなー♪」
―――次の日 事務所の前にて―――
春香「…………」
春香(昨日は楽しみって思ってたけど……これ、けっこう責任重大かもしれない)
春香(せっかく、あの千早ちゃんが、一週間前から前フリしてくれたんだから……)
春香(私は、最高のリアクションを見せてあげないといけない……!!)
春香(もし……もしも私のリアクションが、千早ちゃんの思ったものじゃなかったら……)
春香『わ、わ~。こんなサプライズを用意してくれるなんて~。私、びっくり~。ありがと~』
千早『…………』
春香『……ち、千早ちゃん?』
千早『……そう。そうよね。こんなドッキリ、カンタンにばれてしまうわよね』
春香『えっ!? う、ううん! 全然! ぜぇんぜん気づかなかったよ! ほんとに!!』
千早『慰めはやめて!』
春香『!?』
千早『わかってる。春香に喜んでもらおうと思って、慣れないことをしてみたけれど、かえって気を遣わせてしまったわね』
春香『そんな―――』
千早『やっぱり私には歌しかないんだわ。歌を歌うだけ。そう。ただ歌を歌うだけの偶像。それしかできない存在なの。私は。私は……誕生日を……祝うことすら……できない……くっ!』
春香『ちがうよ! そんなこと……』
千早『ごめんなさいっ、春香―――!』ダッ!
春香『あっ、千早ちゃん! 待って! 話を聞いてっ!!』
春香「お願いっ、待って! 千早ちゃん! 千早ちゃぁーんっ!!」
響「…………」
春香「あっ」
響「……えっと……あ、あー……今日は目と耳の調子が悪いかなー。なにも見えなかったぞー。聞こえなかったぞー」ゴシゴシ
春香「…………」
響「…………」
春香「……ごめん響ちゃん」
響「うん……」
――――――
響「というか! 事務所のドアの前でブツブツひとりごと言いだしたから、びっくりしたんだぞ! 急に叫ぶし!」
春香「ご、ごめんね。謝るから、あんまりそのことは掘り返さないで……」
響「せっかく誕生日なのに……千早に会えないせいで、おかしくなったんじゃないのか?」
春香「謝るからー!」
小鳥「なにかあったの?」
春香「なんでもないですっ!」
小鳥「そ、そう。ならいいけど」
――――――
小鳥「誕生日おめでとう、春香ちゃん」
春香「ありがとうございます!」
響「おめでとー春香! はいっ、これプレゼント! 自分、今日はもう仕事だから先に渡しておくぞ!」
小鳥「あ、じゃあ私もいっしょに渡そうかしら……はい、どうぞ」
春香「わぁ、ありがとうございます!」
響「へへー、自分のプレゼントは春香にぴったりの……あ! もうこんな時間! 行かなきゃ! ごめん春香! またあとでね!」
春香「あっ、うん! いってらっしゃい!」
タッタッタッ……
春香「響ちゃんも忙しそうだなぁ」
小鳥「本当は、みんないっしょに誕生会できればいいんだけどね」
春香「いえ、忙しいから仕方ないです。それにこうしてプレゼントも用意してくれましたから」
小鳥「ふふ。きっともっとふえるわよ?」
春香「あはは。そうならうれしいですけど……あ、そうだ」
小鳥「ん?」
春香「あの、千早ちゃんは、もう来てます?」
小鳥「千早ちゃん? いえ、まだよ」
春香「そうですか……」
春香(まだ来てないんだ……いや、もしかしてどこかに隠れてるのかも……小鳥さんも仕掛け人なのかもしれないし)
小鳥「なに? やっぱり一番千早ちゃんに祝ってほしいの? はるちはなの? なーんて」
春香(隠れるとしたら、やっぱりあの辺……ならその場合の完璧なリアクションは……)ブツブツ
小鳥「……? 春香ちゃん? どうかしたの?」
春香「…………」ブツブツ
小鳥「?」
――――――
小鳥「…………」カタカタ
春香「…………」
春香(……こない。なにも起こらない。事務所には、お仕事してる小鳥さんだけ。本当にまだ来てなかっただけみたい)
小鳥「あら? 春香ちゃんそろそろお仕事の時間じゃない?」
春香「え? あっ、ほんとだ。準備しなきゃ……」
小鳥「やよいちゃんと真ちゃんも一緒だったわよね。二人はもうスタジオに向かってるはずだから、いっしょにがんばってね」
春香「はい! いってきます!」
春香(ドッキリはまだみたい。なら今はお仕事に集中しよう!)
春香(……ん? お仕事? スタジオ……まさか今日のお仕事もドッキリ!? ゆ、油断できないかも)
―――スタジオ お仕事―――
春香「…………」キョロキョロ
やよい「春香さん、さっきからなにか気になるんでしょうか?」
真「確かにずっとキョロキョロしてるよね。もしかして悩みごとかな?」
やよい「悩みごと
コメント一覧
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- 2015年04月05日 23:19
- 勘違いされてる千早マジ可愛い
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- 2015年04月05日 23:21
- 千早はいたずら好きだなぁ
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- 2015年04月05日 23:23
- さすが王道アイドル
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- 2015年04月05日 23:29
- 実はいきなり飛び出して驚かせようと思って壁に擬態していたのに春香が錯乱してそれどころじゃなくなって
千早のドッキリ計画がご破算になってしまったことは扉の開閉音や足音がなかったことから明らか
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- 2015年04月05日 23:30
- 春香さんは千早の二次創作に触れすぎたんや!
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- 2015年04月05日 23:36
- 33本ローソク立てなきゃ(使命感)
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- 2015年04月05日 23:39
- P不在の平和な765プロ好き
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- 2015年04月05日 23:40
- 期待して読んでたらオチがなかった
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