Galaxy S6 Edgeレビュー:カーブしたディスプレイはユーザーの心にストレートに響くか
会話のきっかけにはなるけど。
サムスンの新フラッグシップスマートフォンGalaxy S6(以下GS6)とともに、ディスプレイの両サイドがカーブしたGalaxy S6 Edge(以下GS6 Edge)が4月10日に発売されます。正式発売に先がけ、米Gizmodoのダレン・オーフ記者が1週間ほど使ってレビューしています。ディスプレイがカーブしている必要があるのかないのか…以下、オーフ記者がバッサリいってます。
GS6は素晴らしいスマートフォンですが、ちょっと退屈かもしれません。サムスンの最新フラッグシップなのに、一見アップル製品みたいってとこがいけないのでしょうか。そんな風に感じる人には、Galaxy S6 Edge(以下GS6 Edge)の方が魅力的かもしれません。
GS6 EdgeはGS6の派生型ですが、ひと目見るなり「何じゃこれ」ってなるデザインです。GS6より100ドル(約1万2000円)多く出すと、ディスプレイがカーブしたスマートフォンが手に入るんです。サイズも同じ、解像度も同じですが、とにかくディスプレイが両サイドで丸くなってて、前面は角ばりがほとんどなくなっているんです。
もちろん、これまでにもカーブしたスマートフォンはありました。LGはG Flexを、サムスンはGalaxy Note Edgeを発表し、カーブという同じアイデアをそれぞれのやりかたで形にしていました。でも、GS6 Edgeをじっくり使ってみても、G FlexやNote Edgeから感じるようなインパクトはありません。LGはG Flexをアップデートした結果ついにある程度評価できるものになりましたが、GS6 Edgeはかなり特殊な人にしか価値が認められなさそうです。
…と、GS6 Edgeに冷水をバッシャバッシャ浴びせる前に、基本的なことを押さえておきましょう。GS6 Edgeが上出来な部分が本当にたくさんあります。目を引くデザイン、サムスン製AndroidスキンTouchWizの改善、上出来のカメラ、などなど。でもそれは、GS6と同じなんです。でも、GS6 EdgeのEdgeたる所以に関していえば、 ̄\_(ツ)_/ ̄(訳注:原文ママ)って感じなんです。
GS6 Edgeを手にした瞬間から、何かおかしいって予感はありました。背面がフラット、前面は丸いってことで、普通のスマートフォンを裏返しに持ってるような感じになるんです。実際、GS6 Edgeを裏返してディスプレイを手のひら側に持つと、そのほうがしっくり来ました。それでも1週間ほど経つと違和感が薄れてきたんですが、ふとGS6を手にしたとき、やっぱりGS6 Edgeの不自然さを改めて感じました。
ただ、GS6 Edgeの存在意義は心地よさにはありません。Note Edgeのときは、エッジディスプレイから1スワイプでお気に入りアプリが立ち上がって便利!とか、生産性が上がる!みたいな売り込まれ方をしていました。また、あらゆるソフトウェアのコントロールをエッジ側に移動することで、カメラみたいなごちゃごちゃしたアプリもすっきりさせていました。さらにサムスンは、アプリデベロッパーがNote Edgeのエッジディスプレイのポテンシャルを活かせるようSDKも公開しました。そういう機能面でのメリットも、GS6 Edgeにはほとんどありません。
GS6 Edgeにおいて、エッジディスプレイの唯一の利用シーンは本体が完全にオフになっているときだけです。しかもそのときでさえ、こんな微妙なジェスチャーで立ち上げないといけないんです。
僕はこのエッジディスプレイの機能、寝ながら時計を確認したいとき、ホッケーのスコアを見たいとき、とかに使おうとしてはみました。でもジェスチャーがうまく認識されなくてイライラすることが多く、できることも限られてました。
GS6 Edgeの機能で唯一「まあいいか」と思えたのは、エッジディスプレイからスワイプして、iOS 6みたいな半透明ウィンドウを引っ張り出し、よく使う連絡先に素早くアクセスできるってやつです。これは本当に有用なんですが、この手の機能は他のアプリでもっとうまく実現されているし、この機能のためにエッジディスプレイが不可欠というわけでもありません。
GS6 Edgeで本当に独自性があるのは、お気に入りに登録している友だちから電話がかかってきたとき、エッジが特定の色に光って、ディスプレイを見なくても誰からの電話かがわかるってとこです。忙しくて電話に出られないときは、心拍センサーをダブルタップすると設定したテキストメッセージで返信できます。ただ、僕はこの機能をずっとオンにしていましたが、1週間で1度も使いませんでした。
もうひとつ良かった点をひねり出すとすれば、「うっかりタッチして誤操作連発するんじゃ」っていう懸念は当たりませんでした。このデザインだと画面のどこかに触らずに本体を持つのは至難の業だと思ったんですが、実際は大丈夫でした。1週間の中で2、3回、地下鉄の中でいじっていて手のひらで触ってしまうことはありましたが、大事には至りませんでした。
ただわからないのは、GS6 Edgeが何のために存在するのかってことで、これはサムスン自身にもわかってないんじゃないかと思います。なんというか彼らとしても、まずこのクレイジーな端末を作ってから「で、何でこれ作ったんだっけ?」と自問し、その答えとして半端なソフトウェアを作ってみたって感じじゃないかという気がします。そして、その本当の答えは「まあ、だって見た目クールじゃん」ってことでしかないんじゃないでしょうか。
でも、GS6 EdgeにあってGS6にはない特長がひとつだけあります。それは、会話のきっかけになるってことです。プラス100ドルで手に入るメリットは、それに尽きます。つまり利便性ではなく、見た目なんです。これまでもつねに、サムスンのNoteシリーズは機能性重視、Sシリーズは見た目重視という位置づけになってきました。だからGS6 Edgeがカーブしている理由が見た目のためだけだったとしても、特に驚きではありません。
この1週間のうち2、3回、人と集まった際にGS6 Edgeをポケットから取り出し、誰かが「おおーぅ、何それ?」と言うまで何秒かかるか数えてみました。必ず誰かしらからそんな反応がありました。GS6 Edgeは美しく、性能とかバッテリーライフという意味でGS6にもまったく劣りません。ただ、デザインを活かしたソフトウェアが揃っていないことと、価格がプラス100ドル(約1万1000円)になるのは僕的には納得いきませんでした。多くの人が同じように感じるかも。
でも、他人に見せびらかせるネクスト・ビッグ・シングを手に入れたいなら、GS6 Edgeはまさにそのために存在するスマートフォンです。
Darren Orf - Gizmodo US[原文]
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