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コラム:新しいMacBookはiPad Pro? それともMacBookPad? - Engadget Japanese



(編集部:テック系ブロガーとして活躍するエンジニアのドリキンさんによる、新MacBookの購入を決断するまでコラムをお届けします)

こんにちは、ドリキンです。普段はテック系ポッドキャストbackspace.fmを運営しています。今回、4月10日に発売する新しいMacBookの発売に関して、どうしても一言物申したいと思い立ち、Engadget日本版のT編集長に直談判。記事を書かせてもらうことになりました。

さて、Engadget日本版読者の皆さんは、新しいMacBookについてどうお考えでしょうか?


まだ実物の展示もなく、発表内容からの評価も難しいですが、僕がネットでの評判を調べた感じだと、若干ネガティブ、もしくはしばらく様子見という慎重派の意見が過半数な印象を受けました。

かくいう僕自身も発表直後は、これは僕の求めているMacBookでもないし、僕はアップルの想定するターゲットユーザーでもないなと感じました。当初、僕には関係のない製品だなとスルーする気満々だったのです。Engadget日本版の読者も同じような印象を持った人が結構いるのでは? と想像しています。

しかし僕の印象は変わりました。今となっては発売日が待ち遠しく、発売日には新しいMacBookを求めてアップルストアに駆けつけ、速攻購入する気でいます。発表から発売までの約1カ月の間、なぜ僕の気持ちが180度転換したのでしょうか。

新しいMacBookとは?

Engadget日本版の読者には不要かもしれませんが、新しいMacBookについて簡単にまとめておきます。どういうMacなのでしょうか? 何が新しいのでしょうか?

新しいMacBookは従来のノート型MacとしてラインアップしていたハイエンドのMacBook Proシリーズとも軽量小型なMacBook Airとも異なる新しいカテゴリーのMacBookです。

名前が何とも分かりづらいですが、スペックの数字から読み解くに従来のMacBook Airより軽くて、MacBook史上最も持ち運びやすいMacBookだと思います。特徴的なスペックを列挙すると、

  • 12インチのRetinaディスプレイ
  • 新開発のキーボード
  • 新開発のトラックパッド
  • Mac史上初のUSB-C(1ポート)搭載
  • Mac史上初のIntel Core Mプロセッサ搭載
  • Mac史上初のファンレスMacBook

などなど、かなり意欲的に新しいハードウェアテクノロジーを投入しています。ここ数年目立った進化のなかったMacBookシリーズでは、かなりインパクトの大きい変化が満載です。

「これは自分には無縁かな」

そんな新しいMacBookに対する僕の感想は次のようなものでした。

魅力的な点

  • 新しいキーボードの打ち心地が良さそうな点
  • ファンレスで発熱が少なそうな点
  • Retinaディスプレイ搭載な点
  • 軽くて薄くて持ち運びが何より格段に楽そうな点

懸念点

  • USBが1ポートしかなく、かつ充電と共用で拡張性/実用性が心配な点
  • 超低消費電力モデルのCore Mプロセッサのパフォーマンスが悪そうな点

どこでも持ち運べるMacとして魅力的ではあるものの、実用性とCPUなどのパフォーマンスが不安すぎて「これは自分には無縁かな」という印象でした。

新しいMacBookはiPad Pro? それともMacBookPad?

そんなことを考えていたある日のことです。サンフランシスコ在住のカリスマエンジニア Rebuild.fm の @miyagawa とランチしながら、新しいMacBookについて話していました。そのとき彼がこんな風に言ったんです。

「新しいMacBookって常にAC充電する必要はなくて、普段はiPadみたいにバッテリーで使えるよね? だったらUSBポート1個でも何とかなるかなあ?」

この言葉を聞いた瞬間に、僕の中で衝撃が走りました。新しいMacBookに関する印象がガラッと変わり始めたのです。確かにiPadならLightningケーブルで充電しながら使うことは少ない(というか緊急時以外しない)し、Lightning端子が1つで困ったこともほとんどないなと。

僕も昔は「MacもいつかはACアダプター要らずでバッテリーだけで駆動したい」と夢見ていたはず......。それなのに、いつの間にか自分の中でノートPC=ACアダプター必須みたいな常識に囚われていたんじゃないだろうか?

本当にiPadみたいにバッテリー残量気にせず使えるMacBookだとしたら、それってかなり画期的で、すごい夢が広がるんじゃないかなと。常に電源ケーブルをつなぐ必要がなくなれば、USBポートも1個で大抵の場合は事足りるんじゃないだろうかと!

そんな妄想を始めたら、途端に新しいMacBookが欲しくてたまらなくなってきました。

クラウド時代だからこそ

そんな風にして膨らむ妄想や高まる気分を一気に冷静にさせてしまうのが、もう一つの懸念点。そう、パフォーマンスでした。

従来のMacBookは、Pro、Airいずれのモデルにしても、インテルのCore iシリーズのプロセッサを採用していました。しかし今回の新しいMacBookでは、MacBook史上初となる超低電圧駆動のCore MシリーズCPUを採用しています。

CPU自体はBroadwellと呼ばれる第5世代の最新アーキテクチャーを実装したもの。とはいえ本来タブレットや2 in 1デバイスを想定した設計で、いわゆる携帯デバイス向けのCPUなので、フルスペックのOS Xを動かすのは厳しいかなと想像してしまいます。

この予想ばかりは用途によって人それぞれですし、実際にしばらく使い込んでみないと本当のところは分かりません。ですが多分「半分当りで半分はずれ」と思ってます。

個人的に最近は複数台のスマホを持ち運んで利用するスタイルが気に入っていますが、ことPCに関しては母艦となるPC1台で何でも済ませるというスタイルが好ましいと考えてました。以前はデスクトップとノートといったように複数台のPCを組み合わせて利用する場合も多かったのですが、最近のノートPCの高性能化とスマホの進化を考えるとノートPC1台で十分ですよね。それに複数台PCをセットアップしたり、データを共用したりするのはコストもかかります。1つのPCですべてをこなしてしまうのは1つの最適解だと思います。

そんな中、iPodStyleという老舗のアップル系情報サイトを運営している戸津弘貴(とつ・ひろたか)さんポッドキャストのゲストに迎えてお話をしたときに、戸津さんから、

「今、このクラウド時代だからこそ、複数台Macの活用が便利だよ!」

と言われて、これまた目から鱗が落ちる思いでした。確かに言われてみれば、今どきのOSはそれ自体だけで十分な機能を持っていて、特に追加のユーティリティーなどを導入しなくても標準機能で事足りる事が多いし、設定などはクラウドベースで同期できます。

書類などのデータだってクラウドドライブがありますし、それどころかブラウザのブックマークやコピーペーストのようなクリップボードのデータすら簡単にクラウド経由で同期できる時代です。

ならば、新しいMacBookだけですべての作業を完了できなくても十分な気がしてきました。例えばメインのPCが重い処理をしているときに、サブのPCでコミュニケーションしたり、メインのパソコンで資料を作成しつつ、サブのPCで情報を検索したりするなど、うまくタスクを分散して使いこなせればいいわけです。

そんな状況に追い打ちをかけるように、新しいMacBookのベンチマーク性能は2011年のMacBook Air並という噂も出てきました。何よりアップル自身、新しいMacBookはCPUこそローエンドですが、メモリーは共通で8GB、さらにSSDは従来のSSDにくらべて2倍のスピードだとアピールしています。

昨今のPC性能向上に貢献する大きな要因は、CPU以上にSSDスピードや、メモリー搭載量であります。新しいMacBookのスペックは、アップルがここら辺の体感的なパフォーマンスを十分に理解してチューニングしてきている証な気がします。少なくともウェブサイトをブラウジングしたり、ちょっとした書類を編集したりする作業で、パフォーマンスが足りなくて困ることはなさそうです。

そう考えたら、下手にiPadに外付けキーボードを装備してiPadの制限に工夫をこらしながら作業するより、よっぽど快適でかつカバンも軽くなるのでは? などと想像を膨らませると、新しいMacBookを肌身離さす持ち運ぶ生活が魅力的に思えてきませんか?

初代モデルが一番手間とコストをかけている

長くなりましたが、これが僕の今の心境です。最初はネガティブだった新しいMacBookに対する印象が、行ったり来たりしつつ、完全に180度ポジティブに変換したわけです。ここまで書いてしまったので、僕は引くには引けずに買うと思いますが、最終的に今回買うべきかどうかは当然のことながら人それぞれだと思います。

なんだかんだ言ってもUSBポートが複数あるのに越したことはありません。それに初代MacBook Airから2世代目に変わったときの進化の歴史を振り返って、初代Airに投資して痛い目をみたトラウマを思い出したりするわけです。今回のMacBookもその再来を予感せずにはいられませんが、それでもやっぱりPCが好きで、スマホだけでなくPCにもっともっと進化してほしいと願う身としては、今回のアップルのチャレンジ精神に共感する意味でも人柱になって、次につなげたいなと思ったりしています (完全に買うために自己洗脳してるともいいますが......)。

初代MacBook Airのトラウマ問題に関しては、人気メルマガ『金曜ランチビュッフェ』でも有名なテクニカルライターの西田宗千佳(にしだ・むねちか)さんがポッドキャストでこんなことを言っていました。

「もちろんコンピュータはどんどん進化していて、2世代目の方が確実に良くなってる可能性は高い。だけどコンピュータも初代モデルが一番手間とコストをかけて作られているし、初物がモノとしてのクオリティーが一番高いことはあります。新しいMacBookにはそのオーラを感じました」

確かに2世代目、3世代目と機能が進化していけば、それだけコストダウンも進むわけです。

「どうせ飛びつくなら、いち早く飛びついて、1日でも長くドヤ感を堪能するのが正しい新しいMacBookの買い方じゃないでしょうか?」

と提案して僕の長い妄想を締めくくりたいと思います。今回、僕は一番安いゴールドモデルを買うことに決めました。もしこの記事を読んで、自分も新しいMacBookを買う気になったとか、買ったとかありましたらぜひ @drikin 宛にツイートして教えていただけるとうれしいです!

コラム:新しいMacBookはiPad Pro? それともMacBookPad?

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