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GACKT「モバマス?」|エレファント速報:SSまとめブログ

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GACKT「モバマス?」

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 19:30:32.35 ID:hvohTjZ6O

第一話

シンデレラガールズ

外を歩いていると、常に携帯電話をいじっている者達が目に付く。

あれじゃあチンピラにぶつかられても文句言えないよなぁ。

「…2015年、か」

気付けば僕ももう40代か。
…ああいう若者からすればもうおじさんと揶揄される年頃だな。

「…今年は、修gack旅行何処に行こうかな」

久しぶりに外国へ行こうか?
それとも、温泉にゆっくり浸かろうか。

…。

ダメだ。
僕一人じゃあまり考えつかないや。

…まあ、いっか。
これから会う親友にそれとなく相談してみよう。

それに、久しぶりの休日だしな。
話す事は沢山ある。

「…だけど」

待ち合わせの、店の中が見える程透き通ったガラスから見える窓側の席にいた自分の親友を見て何となく思う。

「……」

先程の若者達のように一心不乱に携帯電話をいじるその姿。

先に店に入って待っていてくれたのは嬉しい事だけど。

「…時代を感じるよねぇ」




2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 19:34:00.66 ID:hvohTjZ6O

「お待たせ」

「あ、ガク!明けましておめでとう」

新年初顔合わせだな。
相変わらず無邪気な笑顔だ。

「明けましておめでとう、YOU」

しかし挨拶を交わすと同時にYOUの視線は手元の携帯電話に移った。

「あのさぁ、良い歳なんだから…」

「ちょっと待って…今ええとこ」

「…」

…ムカつく。

ゲームでもやってるのかな。

何かのリズムゲームとかだろうか。
もしなんだったら、僕もやらせてもらおうかと考え、彼の後ろに周る。

すると、それに映っていたのは、リズムゲームでも、パズルゲームでもなかった。

「…何これ?」

「ん?モバマス」

「モバマス?」

モバマス…何かの略なのは分かる。

モバイル…なんだろう?

「あぁ。ガクこういうのやらんそうやもんね。…アイドルマスターって知っとる?」

「知らない」

アイドルマスター。
また知らない単語が出てきた。

というより、それ多分アニメのゲーム…だよね。

「まあゲームが最初なんやけどね。これはそれのケータイ版!シンデレラガールズって言うんやけどね!」

「ふーん…面白いの?」

「面白いよ!…あ、がっくんもやってよ!」

「やだよ…」

ガンダムならそれなりに知ってるけど、それ以外のアニメとなると自分が声をあてた作品しか分からない。

漫画なら沢山読んでるんだけど、その中にもアイドルマスターというのは無かった。



3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 19:34:44.04 ID:hvohTjZ6O

「お願い!今招待するとSレアの…」

それからYOUは色々と語り出した。
途中からは全く聞かなかったけど。

しかしYOUがハマるのか…。
何故か知らないけど、興味深い。

YOUがハマる何かがこのモバマスとやらにあるんだろう。

『島村卯月、頑張ります!』

「は?」

「おお!卯月のSレアや!」

今、このキャラクターが喋ったというのは分かった。

絵柄からして、いわゆる萌えというやつなんだろうが。

40代の自分の親友がこれにハマっているのを見るのは少々心苦しかった。



4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 19:36:10.36 ID:hvohTjZ6O

「…で、これで登録完了!」

「…」

しかし結局、押しに押されて僕も始めてしまった。

数少ない休日を無駄にしそうで怖い。

「まずは、ガチャを引いて…」

「この緑スーツの子もアイドル?」

「ううん。これは事務員。千川ちひろって名前」

事務員、か。
変なスーツだなぁ。

「で、キュート、クール、パッションの3種類から選ぶんやけど…どれにする?」

「クール」

「即答やねぇ。それで…お、やっぱり律子やん!」

…秋月、律子。

「で、これが何?」

「まぁ、早い話こうやって…アイドル活動して、…すると新しいアイドルとかも出てくるんだよ」

『ふーん…アンタが私のプロデューサー?…まあ、悪くないかな』

こいつは何様のつもりだろうか。

「あはは…でも、この子も好感度上げてくといずれはデレるんやで」

「へー…」



5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 19:37:39.25 ID:hvohTjZ6O

結局その日YOUと過ごした時間の大半はそのゲームに持っていかれた。

全く、無駄な時間を過ごしたものだ。

…だけど、家に帰っても何故か僕は携帯電話をいじっていた。

「…」

こんなゲームに普通にお金出しちゃってる自分がいる。

時代のせいだよ、きっと。

…いや、きっとTAKUMIのせいだ。
毎日色んなゲーム進められてるうちに、ゲーマーとしての僕が生まれてしまった。
…そうそう、あいつが悪い。

「好感度…バトルに勝って…こう…仕事しても上がるんだなぁ」

…?
あれ、眠気がする。

いつものやつかな。

仕方ない、これは一旦置いて寝るとしよう。

続きはまた暇な時にやればいいさ。



…なんて、思うべきじゃないのかもな。



6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 19:39:09.95 ID:hvohTjZ6O

「…はっ!?」

…あれ?
もう朝?

僕はそんなに寝ない筈なんだけど。

確か寝たのは夕方くらいで…起きたのは、朝。

少なくとも10時間以上寝てるな。

…きっと疲れてたんだろう。慣れない事して。

年齢なんか関係無いよ。

「……あれ?」

何だか違和感がある。
いつも寝ているベッドにしては窮屈だ。

いや、違う。
これはベッドじゃない。

…それ以前に、僕の家にこんな部屋は無い。

「…」

ここは、何処だろうか。

見た事がない。

小さなソファーと、机と椅子。
それと安っぽい電気ストーブ。

…てか狭い。

「ここ、何処?」

ふと自分の格好を見る。

…まるでサラリーマンのようなスーツだ。

さっきまで私服だったのに。

「…」

いきなりの事に混乱し、頭が、脳が上手く働かない。

夢でも見てるのだろうか。

「…?」

ソファから立ち上がると、机の上にあるものに気づいた。

ファイルと、紙数枚。

何となくそれを手に取ると、それにはこう書いてあった。

「さんよんろくプロ…シンデレラガールズプロジェクト?」



7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 19:40:04.75 ID:hvohTjZ6O

何だこれ?
…訳が分からない。

状況が掴めない。

まさか、誘拐でもされたのか?

…何が、どうなってる?

「……シンデレラ、ガールズ…?」

この名前、何処かで聞いた覚えがある。

確か、YOUが…。

『シンデレラガールズって言うんやけど!』

…まさか、あれ?

僕は、あれの世界に来たのか?

…いや、普通に考えて何かのドッキリじゃないのか?

有り得る訳ないよ、そんな事…。

「…」

周囲をくまなく見回すが、カメラらしきものは無い。

それどころか、人の気配も無い。

ドッキリにしては手が込んでいる。

「…嘘、だよな?」

狭い部屋では、小声でも響くんだな。

…全く、参ったよ、もう。



8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 19:42:54.18 ID:hvohTjZ6O

しかしこのファイルが気になって仕方ない。

ゲームとかだったら、まず目の前の何かを調べるだろうし。

仕方なく、そのファイルを読む事にした。

折角だし、この事務所らしき部屋の事を見てみよう。

出ていくのは、それからでもいい。

「…?この子は…」

そこには、可愛らしい字で書かれた履歴書と写真があった。
名前は…。

「島村、卯月…」

これって…。

『頑張ります!』

あの子か?

髪型もこんな感じだった気がする。

「…」

何となくだけど理解した。

…僕は、本当にゲームの世界に来てしまったんだという事を。

「…あれ?」

このシンデレラガールズプロジェクト、一人しかいない。

後二枚用紙があるのに。

「…ということは…」

まだ、未定という事か?
つまり、ここは出来たてのプロダクションで、僕はそれのプロデューサー?

…いや、とりあえず携帯電話を確認しておこう。

ひとまずYOUに連絡をとらないと…。

『アドレス件数 3件』

「」

これは間違いなく僕の携帯電話だ。

とすると、誰かが意図的に消した、という事になる。

バンドメンバーはそんな悪質な事しないだろうし。

家族や家に常駐してるスタッフは考えにくい。

道で僕が倒れて、通行人がやって、…いや、だとしたら財布も盗られているはずだ。

というかそもそも僕が寝たのは自分の家だ。
道とかだったら僕は夢遊病者になってしまう。

色々と考えていると、何やら階段を駆けあがる音がした。

パタパタと、無邪気な走り方だ。

すると控えめなノックの後に木製のドアが開き、向こうから一人の少女が現れた。

「おはようございます!プロデューサーさん!」



9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 19:43:52.23 ID:hvohTjZ6O

……。

……?

「え、僕?」

「?プロデューサーさん?」

僕の耳が腐ってないなら、確かにこう聞こえた。

プロデューサーさん、と。

彼女のその言葉は、間違いなく僕の方に向かって発せられた。

というより恐らくここには僕と彼女しかいない。

とどのつまり、僕は…。

「僕が……君の、プロデューサー?」

「………えっ?」



10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/01(水) 19:45:12.48 ID:hvohTjZ6O

彼女の名前は島村 卯月。
346プロダクションのアイドル候補生であり、今日は僕に呼ばれたから来たのだという。

彼女曰く、僕はアイドル達のプロデューサーであり、毎日のように会話している仲、らしい。

そして先程の僕の発言で自分がクビになったと思って泣いてしまったようだ。

可哀想だとは思うけど、いかんせん僕自身が状況を飲み込めないからなぁ。

「…ええと」

恐らく話というのは、このファイルに書いてある事だろう。

彼女をこのプロジェクトの一人として迎え入れる、という話。

まずはこの場を乗り切らなきゃな。

一応プロデューサーなんだし、な。

「今日は…卯月をこの…シンデレラ、ガールズプロジェクト…の一人目としてね、迎え入れようと思ってさ」

「シンデレラガールズ…プロジェクト?」

「そう。アイドルのユニットでさ。…実質まだ卯月一人で、後二人はまだ決まってないんだけど」

「…それって、もしかして…!?私が、アイドルとしてデビューするって事ですか!!?」

「…そういう事に、なる…よね」

実際なんの事だか分からないんだけど。

「や…やったぁ…島村卯月!頑張ります!!」

…この笑顔が見れたなら、今は良しとしよう。

「これからよろしくな。卯月」

「はい!プロデューサーさん!」

握手を交わす。
女の子らしい、小さな手だ。

…でも。

「プロデューサーさんはやめてくれないかな」

「えっ?」

「僕には、GACKTって名前があるから」

「は…はい!分かりました!GACKTさん!よろしくお願いします!」

全く、困った事になったな。
突然知らない世界に飛ばされて、アイドルのプロデューサーになって…。

でも、やってやろうじゃないか。

こうなったら、一流のアイドルにしてやるからな。

…僕は、僕のやり方で好感度を上げさせてもらうとするよ。

お前よりも先にトップアイドルのプロデューサーに辿り着いてやるからな、YOU。

でも、その前に。

「後二人、どうしようかな…」

…課題は多いな。



11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015