一方通行「家がないだァ?」 垣根「お前のせいだよ!」
- 2015年04月16日 20:10
- SS、とある魔術の禁書目録
- 4 コメント
- Tweet
一方通行「俺この家出て行くわ」
番外個体「えっ」
打ち止め「ど、どうしていきなりってミサカはミサカはびっくりしつつ尋ねてみたり」
黄泉川「ここを出たら住む場所がないじゃんよ」
一方通行「住む場所だァ? 無いなら作ればいいだろォがァ!!」グォッ
芳川「頭がおかしくなってしまったのかしら」
一方通行「あァ!? ホームレスさンに謝れ芳川ァァァ!! アイツらはこんな暖房冷房効いた裕福な暮らししてねンだよ!
寒さ暑さ凌ぐ為に工夫して自分で家作ってンだ! ダンボールと新聞紙馬鹿にすンじゃねェぞォォォ!!」
黄泉川「いきなり何の話じゃん」
番外個体・打ち止め「「……」」
芳川「あなたたち、彼の言動に何か心当たりがあるのかしら?」
打ち止め「いやぁ……、話すと長くなるからミサカはミサカは要約して経緯を説明してみる」
昨日の夜
打ち止め『ホームレスの人ってみんな思いやりがあって優しいねってミサカはミサカのホームレスに対するイメージが変わったことを報告してみる!』
一方通行『あァ? ドラマとか漫画ってのは全部誰かが作ったストーリーなンだよ。 現実がこうだとは限ンねェぞ』
打ち止め『むぅっ、そうやってまたミサカの夢を壊すんだねってミサカはミサカはぶーたれてみたり』ブー
番外個体『第一位だって居候の身だし、ホームレスみたいなもんなんじゃないの? ぎゃは』
一方通行『そンなら黄泉川以外全員が当てはまンなァ』
打ち止め『まぁまぁそれくらいにして、いい場面なんだからみんなで観ようよってミサカはミサカはテレビの音量を上げてみる!』ピッ
一方通行『ったく、ホームレスなンざほっときゃいいのによォ……』
ホームレスA「やめろ!俺たちの家を壊すな!」
チンピラ「家だとォ? このダンボールの山がかァ? あはぎゃは!」ゲシゲシ
ホームレスA「くそっ……酷すぎる……」
チンピラ「酷いだとォ? 俺ァ善意でゴミの片付けやってンだぜェ?」
ホームレスB「ふざけんじゃねーよ!」ドンッ
チンピラ「あァ?」
ホームレスB「お前にはゴミに見えるかもしれねえ……、だけど俺たちにとっては大事な家なんだよ!
このダンボールひとつひとつにだって価値があるんだ!
なんだってお前みたいな人間にゴミ呼ばわりされなくちゃらねえんだよ!!」
チンピラ「オマエ……面白ェな」
ホームレスB「いいぜ……お前が俺たちの家をまだゴミだと言うのなら……
まずはその腐った常識を捻り潰す!!」
チンピラ「ぐはァァァっ!!」バタッ
一方通行『…………』キラキラ
打ち止め『今週もホームレスのお兄さんかっこよかったなーって
おーいどうしちゃったの?ってミサカはミサカはなんだか
目が輝いているあなたに話しかけてみる』
番外個体『……もしかしてさっきのドラマに感化されちゃったとか? あは、ウケる』
一方通行『……俺ァ、ホームレスさンに対して酷い事を言っちまった。
あんな辛い目に遭ってるなンて知らなかった』
番外個体『ぎゃは☆ マジで感化されてんの? あれぇ?
ドラマは作り話だって言ってたのは誰だったっけぇ?』
一方通行『そうだ! 俺がホームレスさンを救ってやりゃァいい話じゃねェか!!
クカカ、いいねェ最ッ高だねェ、なンで今まで気づかなかったのか不思議なくらいだぜェ!!』
打ち止め「……って感じだったんだけどってミサカはミサカは説明を終えてみる」
番外個体「あれマジだったの? ミサカ、お酒でも入ってるのかと思ってたんだけど」
黄泉川「未成年にお酒はだめじゃんよ」
芳川「じゃあ彼はここを出てホームレスにでもなるつもりなのかしら」
黄泉川「いくらなんでもそれは無いと思うじゃん」
一方通行「おい」
打ち止め「なあにってミサカはミサカは耳を傾けてみる」
一方通行「思ったんだけどよォ、ホームレスってのは家が無い人って意味だよなァ?」
黄泉川「まあ、直訳すればそうなるじゃん」
一方通行「けどよォ、ホームレスさン達は自分で作ったダンボールの家があるンだぜ?
ならそれはホームレスじゃねェよな?」
芳川「ちょっと何を言っているのかわからないわ」
番外個体「元々沸いてる頭が蒸発してるみたいだね、ひゃひゃひゃ」
打ち止め「家と認識できる基準がかなり下がってるんだよってミサカはミサカは分析してみる」
一方通行「だァァ!! もォいい! 俺ァ学園都市中のホームレスさン達に
救いの手を差し伸べるって決めたンだ! ここに居てもしょうがねェ。 じゃあなァ」
黄泉川「……」
芳川「……」
打ち止め「……」
番外個体「……あのさ」
芳川「大丈夫。 みんな同じことを考えているわ」
打ち止め「あの人はテンションが上がると単純なんだよってミサカはミサカは指摘してみる」
黄泉川「本当じゃんよ……それに言ってること滅茶苦茶だったじゃん」
一方通行は気づいていなかった。ここは学園都市。
人口の半数以上は学生だ。学生は基本的に所属している学校の寮に住むことになっている。
そして大人はほとんどが研究者か教師だろう。
研究者は住み込みが多いだろうし、教師も専用のマンションがある。
つまり、学園都市で家が無いという状況に陥る人間は万に一人もいない。
いるわけがないのだ。
所詮、ドラマは幻想の映像化に過ぎない、ということだった。
一方通行「勢い余って出てきちまったが……具体的に何をするのか全く考えてねェンだよな。
まァなんとかなるか。 とりあえずホームレスさンを見つけねェと何も始まらねェ」
カツカツ キョロキョロ
カツカツカツカツ キョロキョロキョロ
カツカツカツカツカツカツ キョロキョロキョロキョロ
<ナンカキョロキョロシテルオニイチャンイルヨー
<ミチャイケマセン
一方通行「結構歩いたけどホームレスさンってなァいねェもンだなァ。
恥ずかしがり屋さンなのかァ? あのドラマ見る限りだと結構いたように見えたんだけどよォ」
一方通行(それにしてもあの最後に出てきたホームレスさンはただものじゃねェ。
ヒーロー臭がプンプンしてやがった。 決め台詞かっこよかったしなァ)
一方通行「……」
一方通行「そ……その腐った常識を捻り潰す!」クアッ
海原「何してるんですか?」
一方通行「うわァァァァァァァァ!!!!!!」
一方通行「消えたい死にたいもういやだ……」ブツブツ
海原「何をそんなに落ち込んでるんですか、その腐った常識を捻り潰しますよ?」ニコッ
一方通行「うわァァァァァあああン!!!!」
海原「まあまあ落ち着いて(笑)」
一方通行「落ち着けるかァァァ!!! テメェもいちいち人の黒歴史
ほじくり返してンじゃねェよォォォォ!!」
海原「その腐った常識を捻り潰す(笑)」
一方通行「うァァァァァ!!!」
海原「はいすみません調子に乗りすぎましたごめんなさい許してください」ドゲザ
一方通行「次俺の癪に障ったらテメェのストーキング行為を赤裸々に
第三位に語るからな。 そりゃもうドン引きじゃ済まないくらいに」
海原「そんな、あんまりですよ!」
一方通行「おォ? 適当に言ってみただけなンだが、マジでストーキングしてやがンのかァ?
自分で墓穴掘っちまったなァ、ぎゃはは」
海原「カマかけたんですか!? 酷いです!」
一方通行「テメェよりはマシだと思ってるけどなァ」
海原「まさかとは思いますが貴方……僕の後をストーキン」
一方通行「してねェよ、きめェこと言うな」
海原「ですよね、そんな恐ろしい……」ホッ
一方通行「それテメェが言える台詞じゃねェだろ」
海原「なん……ですって……!?」
一方通行(何コイツ)
海原「そういえばここで何をなさってたんですか?」
一方通行「あァ? ホームレスさン探しだ」
海原「……え?」
一方通行「聞こえなかったかァ? ホームレスさン探しだ」
海原「いや聞こえましたけど、なんでまたそんな事を」
一方通行「『そンなこと』? オマエ今『そンなこと』っつったか」
海原「え、ああ、言ったような……」
一方通行「ふざけてンのかテメェェェァァァ!!! 今すぐ謝れ!!
世界中のホームレスさン達に謝れェェェ!!」
海原(ええ…!? どういうことなの)
一方通行「っつーワケでェ、俺は学園都市にいるホームレスさン
だけでも助けてやりてェンだ」
海原「はい」ボロボロ
海原(昨日のドラマのホームレスヒーローに感化されたんですね)
一方通行「名づけて『ホームレスさン救出大作戦』だなァ」
海原(ネーミングセンス皆無ですね)
一方通行「あ、そういえば家出してきたンだったな……どォしよう」
海原「帰ればいいじゃないですか」
一方通行「それは駄目だ。 ホームレスさン達は自分で
家を作ってンだ。 家が無ェなら作る」
海原「それだと貴方もホームレスですよね」
一方通行「えっ」
海原「えっ」
一方通行「……」
海原「……」
海原(この人何が目的なんだろう)
一方通行「……あれ? そもそも俺の目的はなンだ?
ホームレスになることじゃねェよな?ホームレスさンを救出することだよな?
……それだと家出てくる必要なくねェ?」
海原「そうですね(むしろ何で家出した)」
一方通行「……」
海原「……」
一方通行「いや、今更戻れねェしなァ……」
海原「プライド(笑)ですか」
一方通行「……海原ァ」
海原「すみません」
一方通行「俺すげェいいこと思いついたわ」
グループの隠れ家
一方通行「うォ、予想以上にほこりだらけ……」
海原「残っていて良かったですね。 暗部が解散したから撤去されているものだとばかり」
一方通行「アパートの方は潰れてたけどなァ。 まァ一戸建ての方が
広いし大人数でも大丈夫だろ」
海原「大人数、ですか?」
一方通行「あァ。 ホームレスさンを俺が養ってやるンだよ」
海原「また随分ぶっ飛んだ発言ですね」
一方通行「俺の家にもなるし一石二鳥。 生憎金は腐るほどあるからなァ。
借金もチャラになったし」
海原「まあ、いい考えだと思いますよ。 一つ問題点がありますけどね」
一方通行「ンだァ? 言ってみろ」
海原「ここが学園都市だということですよ」
一方通行「あァ? だから何だってンだ?」
海原「わからないんですか? ここは学生の街ですよ?
みんな寮が与えられてるんです。教職員たちもマンションがあるし、
ホームレスがいるわけがないんですよ」
一方通行「……え?」
海原「夢を壊すようで申し訳ないんですけど、貴方のやっていることは
全くの無駄ですね。 ここまで付き合っておいてなんですけど」
一方通行「ホームレスさンがいない……だとォ?」
海原「イエス」
一方通行「あ……あは、そ……そりゃァ、イイことじゃねェか!! ぎゃは、
みンなちゃンと屋根のある部屋に住めてるなンて幸せだなァオイ、
…………チクショォォォォ!!!」
海原「……」
一方通行「……いいンだ、所詮幻想だったって事だなァ……。
おかげで目が覚め……」
海原「いえ、幻想では終わらせませんよ」
一方通行「あァ? 何言ってンだ。 学園都市にホームレスさンなンて……」