錬金術師「経営難に立ち向かう事になった」銃士「その4!」【前半】
■前回のあらすじ!
バターピーナツ器が爆発した。
ワイドレンジピーナツ器が誕生した。
クーと出会った。
錬金術師「面倒だけど経営難に立ち向かう事になった」
錬金術師「経営難に立ち向かう事になった」女店員「その2!」
錬金術師「経営難に立ち向かう事になった」新人鉱夫「その3!」
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――――【 錬金術師のお店 】
ポリポリ…
カリッ…
……ポリポリッ
…ゴクンッ
錬金術師「…うむ、今日もピーナツが美味い。」
女店員「…」
銃士「…」
新人鉱夫「…」
錬金術師「ねみぃな……。」
錬金術師「だるい…。寝るか……」フワァ
女店員「…」
銃士「…女店員、今日は怒鳴らないのか?」
女店員「……もう、いいかなって」ハァ
銃士「はは…」
女店員「どうせ営業にも着いてこないし、時々しかやる気も出さないし…」
銃士「ま、まぁ…」
女店員「その時々が凄いのは分かってるけど、時々じゃね……」
錬金術師「ふわぁ~…。まぁまぁ、バターピーナツ食う?」
女店員「…いりません」
錬金術師「あぁ、そう……」ポケー
女店員「…」ハァ
銃士「…そういえば、店長。この間、私らが販売したのは記帳したのか?」
錬金術師「あぁ、在庫を一部外で売ってくれたやつか…?」
銃士「そうそう。クーのことで、店長たちが出かけてる間に売ったやつだよ」
錬金術師「記帳済みだ…。50万ゴールドの売り上げとは、ビックリしたでよ?」
銃士「うちにある素材は良いモノだし、値段が張っても売れたからね」
錬金術師「…俺より経営に向いてるかもなぁ!」
銃士「はは…。店長の凄腕も見てみたいんだけどな……」
錬金術師「…凄腕っつったってなぁ」ンー
銃士「いやいや、店長は錬金技術もさながら、本気を出した時は凄いじゃないか」
錬金術師「…」ピクッ
銃士「私らでは思いつかない案とか、そこに痺れるんだよなぁ~」
錬金術師「…ほう?」ピクッ
銃士「やっぱり、出来る店長って本当にかっこいいと思うしね♪」
錬金術師「……ほほうっ」ピクピクッ
銃士「…ね、みんなもうそう思うでしょ?」クルッ
女店員「えっ!ま、まぁ…うん……」
新人鉱夫「そ、そうですね!店長さんはやっぱりカッコイイと思います!」
錬金術師「…」
錬金術師「……さて、眠いとか言っていてはダメだな。」
錬金術師「ちょっと、今後の経営のためにも…色々考えるか」スクッ
女店員「…」
銃士「…」
新人鉱夫「…」
錬金術師「ちょっと裏で、色々考えてくるぜ…」キリッ
錬金術師「万が一お客が来たら、教えてくれ」
女店員「わ、わかった…」
錬金術師「さぁて、どうやって客増やすか……」クルッ
トコトコトコ……
……
…
女店員「…」
女店員「……ちょろい、乗せられすぎ」ボソッ
銃士「女店員、店長がちょろいのは分かってるんだから、怒鳴るだけじゃなくて誉めることも重要だよ」
女店員「そ、それは分かってるんだけど…」
銃士「…何か嫌なのか?」
女店員「うーん…。こればっかりは店長自身が、自分自身でやる気出さないとダメな気がして…」
銃士「ふむ…」
女店員「その、今までの鉱山の件とか、学校の先生とか、クーの件とか……、」
女店員「周りの雰囲気や流れで、そうなってたのが多いから…。」
女店員「やれば出来るのは分かってるから、店長自身でやる気出してやってほしいと思って…」
銃士「…うん、まぁ確かにね」
銃士「だけど…、私らは私らであれも仕事なんだよ」
女店員「え?」
銃士「…店長がやる気を出せるよう、環境づくりが今の仕事。」
女店員「環境づくり…」
銃士「ココはお店。店長と店員は、お互いがお互いに良い立ち回りが出来るようにしなくちゃいけない」
銃士「他の大手と比べたら、仲も良いし、何かとのんびりしがちになるのは仕方ないこと。」
銃士「だけど、小さいお店なら…店員同士や上司の性格や、どういう人間かは理解しやすい。」
銃士「だからこそ、やる気を出させるのも私らの仕事だと思う。」
銃士「…なんか言葉が変だけど、理解は出来る…かな?」
女店員「う、うん……。」
女店員「そっか…。店長にやる気出させるのも…環境づくりで私らの仕事か……」
銃士「…女店員が頑張って、営業に行ってるのは店長も知ってる」
銃士「その営業の仕事に、店長は甘えてるのかもしれない」
銃士「そして、時々やる気を出し、結果を得る店長とその環境に私らも甘えてるのかもしれない」
銃士「……この状況をずっと続けても、進展はないし、」
銃士「だったら、店長と私らがより良い活動が出来るように言葉をかけることも大切なんだよ」
女店員「…うん」
銃士「だから、すぐ殴っちゃったり、文句言うのはしばらく控えたほうがいいかもね」
…ツンッ
女店員「うっ…」
銃士「…っと、説教じみちゃうのは良くないな」ムゥ
銃士「私が少し年上だけど、ココでは女店員が先輩でしたね」フフッ
女店員「ううん。ありがとう、銃士」
銃士「…はは、ギルドに所属していた時は色々言われたからね」
女店員「あ、そっか。働いていたっていう日数でいえばやっぱり銃士が先輩かも……」
銃士「ふむ…?」
女店員「だから、私が足りないようなところはもっと気軽に教えてほしいかな…とか……?」
銃士「…りょーかい」ニコッ
女店員「えへへ…」
新人鉱夫「…いい話です」シミジミ
ドタドタドタッ…!
銃士「お…」
女店員「ん…」
新人鉱夫「あ、店長さんが…」
タタタッ…
錬金術師「……うっし!準備完了!」
銃士「店長、いい案がもう浮かんだのか?」
錬金術師「んむ、いい案というか、いい案を求めるっつーか……」
銃士「…?」
錬金術師「ま、とりあえず手紙書いたからだしてくる。」
錬金術師「その間、店番よろしく~ん」フリフリ
銃士「う、うん…」
女店員「手紙…?」
新人鉱夫「わかりました、気をつけて行ってらっしゃいませ」
錬金術師「うい!」
トコトコ、ガチャッ!
…バタンッ!
銃士「…」
銃士「…手紙ねぇ」
女店員「店長から手紙なんて珍しい…。」
銃士「でも、あの時のちょろい店長は必ず何かしらやってきたし…」
女店員「うん。今回も、何か浮かんだんだろうけど…」
銃士「はて…」
新人鉱夫「一体、なんなんでしょうかね…?」
女店員「…まぁ、戻ってきたら聞いてみよっか」
銃士「うむ」
…………
……
…
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――――【 数分後 】
…ガチャッ!
錬金術師「ただいまー」
女店員「あ、お帰りなさい」
銃士「お帰り」
新人鉱夫「お帰りなさいですー」
錬金術師「…よし、これで準備は出来た。」
錬金術師「あとは来るのを待つだけだな。来るか知らないが…」
女店員「店長、一体誰に手紙を出してきたの?」
錬金術師「まぁ、助け舟っつーか…頼れる人を呼んだっつーか……」
錬金術師「早くて来週頭には来るはずだし、しばし待て」
女店員「…むぅ」
錬金術師「くはは、まぁそんな顔すんなって。」
錬金術師「ハズレなことにはならんはずだし、安心しとけ」
女店員「うん…」
銃士「…本気の出した店長、さぞかし素晴らしいんだろうね。」
銃士「来週にはもっとカッコよく見えるってことを、期待しておくよ」ニコッ
錬金術師「おうよ、期待しておけ!うわっはっはっはっ!」
女店員「…」
銃士「…ほら女店員、笑顔笑顔」ボソボソ
女店員「あ、うん…」
銃士「店長を持ち上げることも、仕事の一環と思って!」
女店員「わ、わかった…」
トコトコ…
女店員「…て、店長」
錬金術師「おう?」
女店員「さ、更に普段よりカッコイイところ期待してる…から……」
錬金術師「…おうよ、任せとけっての!」
女店員「…」
銃士「…ねっ。上機嫌になれば仕事もしてくれるんだって」ボソッ
女店員「うん…」
銃士「…っと、持ち上げるだけじゃダメかな。モチベの維持をしてあげよっか」
女店員「え?」
錬金術師「…ふんふん~♪」
トコトコ……
銃士「…てんちょっ!」ポンッ!
錬金術師「んあ?」クルッ
銃士「そういや私、ちょっと錬金術について聞きたいこともあったんだけどいいかな?」
錬金術師「おうなんだ、教えてやるぞ!」
銃士「店長の凄腕技術についてなんだけどー……」
錬金術師「俺の凄腕技術だと……!?」
女店員「…」
女店員「…」トクン
女店員(……あれ?)トクン
ワイワイ…!!
銃士「へぇ~そうなんだ!さすがだね、店長!」
錬金術師「…おうおう!今度、錬金術教えるか?」
銃士「きちんと教えてくれる~?」
錬金術師「手取り足取り教えてやろう!」
銃士「じゃあ、ぜひお願いしよっかな♪」
錬金術師「おうよ!」
女店員(…なんだろ)トクン
銃士「…ぜひ、詳しく教えてほしいな~」
錬金術師「ったく、仕方ねぇなぁ!」テレテレ
女店員(あ…)
女店員(そっか……)
女店員(なんか、長く付き合ってた私より店長に対して知ってる感じがして……)
女店員(それに、銃士はすぐ手が出ちゃったり文句ばっかいう私より、ずっと立派に見えてるんだ)
銃士「へぇ、やるじゃないか……」
錬金術師「うわっはっはっは!当たり前だろ、誰にモノ言ってんだ!」
女店員(…ううん。立派に見えてるんじゃない。本当に銃士のほうがずっとずっと大人で)
女店員(私らが留守の間でも、銃士がいれば安心できて)