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杏子「さやかを百合にしたい」ほむら「それはいい考えね」 後編


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※この記事は杏子「さやかを百合にしたい」ほむら「それはいい考えね」 前編の続きです。



96: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 09:23:57.16 ID:36qalyCQ0

ほむら『そのシュシュを美樹さやかにプレゼントしなさい』

杏子『……は?』

ほむら『口答えするなら助けないわよ』

杏子『わ、分かったよ……渡せばいいんだろ、渡せば……』

杏子(こんなもの貰ってもさやかは困るだけだろ……)


杏子「さやか」

さやか「なに?」

杏子「手袋とカイロのお礼だ。これやるよ」

さやか「これって……シュシュ?」

杏子「私の髪留めだ。まあ、こんなもん要らねえかもしんないけど……」

さやか「……貰える物は貰っとくよ、頂戴」

杏子「お、おう。ほら」

さやか「ん、ありがと」

杏子(案外素直に受け取るもんなんだな……)




98: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 09:31:45.06 ID:36qalyCQ0

杏子(ほむらの思惑はまったく分かんないけど……)

さやか「……」スッ

杏子「……」

さやか「似合う?」

杏子「う、うん……すっげー可愛い」

さやか「……これって普段はさくらが付けてたんだよね?」

杏子「そうだけど……」

さやか「なんでそんなものを私にくれたの?」

杏子「カイロと手袋のお礼だよ」

さやか「そっか……」

杏子(これは……喜んでくれてる、のか?)

さやか「これ、ありがとね。私には似合わないだろうから、明日には捨ててるだろうけど」

杏子「おい」




99: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 09:37:43.42 ID:36qalyCQ0

さやか「手袋とカイロ返して。寒い」

杏子「お、おう……」

さやか「ん……その代わりにこれあげる。私の髪飾り」

杏子「あ、ありがと……」

さやか「シュシュ無かったら、髪鬱陶しいだろうから」

杏子(さやかの髪飾り……)

さやか「トレードはこれでおしまい。早くコンサートホール行こ」グイ

杏子「あ、ちょっ……」


ほむら『杏子、トイレに行きたいと言ってその場を離れなさい』

杏子『と、トイレ? 別に私トイレになんか……』

ほむら『早くしなさい。助けないわよ』

杏子『ほんっと有無を言わさないなお前……』


杏子「さやかごめん、トイレ行って来ていいか?」

さやか「別にいいけど……早く帰って来てよね。寒いんだから」




105: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 09:47:04.92 ID:36qalyCQ0

杏子「悪いな。すぐ戻るよ」

杏子(ほむらのヤツ何考えて……)


ほむら『杏子、こっちよ』

杏子『え、どっちだ?』

ほむら『右手に茂みがあるでしょ。その中に来なさい』


杏子「えーっと右手だから……ここか? ってお前……」

ほむら「お疲れ様。結果的に考えれば、あなたが今の段階で美樹さやかと接触したのは正解だったわね」

杏子「どういう意味だそりゃ……てかここからどうするんだよ?」

杏子「さやかを納得させてなおかつ怪しまれずに別れるとか、私の頭じゃどう考えても無理なんだけど……」

ほむら「私の頭で考えても無理よ」

杏子「は?」

ほむら「あの子のことが心配なら安心しなさい。両親がすぐに迎えに来るわ」

杏子「えっと、言ってる事の意味が……」


―――――――――――カチ




106: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 10:02:51.42 ID:36qalyCQ0

――――――――――――――――――――――――――――

杏子「……は!?」

ほむら(さて、あの出来事の全てがどれだけ未来に影響しているか……)

杏子「ど、どういうことだ? ここは一体……」

ほむら「2013年×月×日……一応戻って来たわけだけれど……」

杏子「なっ……て、テメーどういうつもりだ!?」

杏子「まさかさやか放っといたまま時間元に戻しやがったのか!?」

ほむら「その通りよ。こうでもしないと貴女は美樹さやかから離れなかったでしょうからね」

杏子「ほむら……!!」

ほむら「正直今の状態でも大丈夫な気はするけれど……ダメ押ししておくに超したことはないわね」

ほむら「もう一度行くわよ。戻るのはこれで最後になるかもね」


―――――――――――――カチ
 
 




109: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 10:12:26.23 ID:36qalyCQ0

――――――――――――――――――――――――――――

杏子「ん……んぅ……」

ほむら「遅いお目覚めね。流石に短時間に2連続はキツかったかしら」

杏子「ほむ、ら……」

ほむら「早く起きなさい。随分と面白いことになってるわよ」クス

杏子「一発……殴らせろ……」

ほむら「私を殴るかどうかはこの世界の美樹さやかを見てからにしなさい」

ほむら「2010年×月×日、さっきの時間軸から2年後。元来た時間軸の3年前よ」

杏子「……なんでさっき戻ったのに、また時間遡行しやがったんだよ」

ほむら「ダメ押しするためよ、言ったでしょ」

ほむら「戻る回数は最小限に抑えたいの。面倒くさいから」

杏子「……面白いことになってるってどういうことだよ。あとお前絶対に後で殴るからな」

ほむら「あなたのためにここまでしてあげている私に対してよくそんな口が利けるわね」




111: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 10:24:29.17 ID:36qalyCQ0

class="t_b" style="padding-left:15.0px;margin-bottom:50.0px;margin-top:30.0px;line-height:1.0;">杏子「うっせえ、それとこれとは別だバカ……」

ほむら「その話は一旦隅に置いておきなさい。ほら、行くわよ」

杏子「行くってどこに?」

ほむら「美樹さやかのところよ。すぐそこの三滝原小学校で遊んでいるわ」

杏子「大丈夫なのかよ、私たちが勝手に入っても」

ほむら「侵入すること自体は容易いわ。見つかれば逃げればいいだけだし」

杏子「頼りにしてるぜー……」

ほむら「それはともかく、貴女はしっかり変装しときなさい」

杏子「今姿を見られるのは望ましくないわ」

杏子「……どういう意味だ?」

ほむら「役者も舞台もまだ揃っていないという意味よ」

杏子「はぁ……さっさと行こうぜ」




113: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 10:37:59.30 ID:36qalyCQ0

――――――――――――――――――――――――――――

さやか「ヘーいこっちこっち! パスパース!!」


杏子(わわ、微ロリさやかだ……!)

ほむら「いろんな子たちに交じって毎日ああやって身体を動かしているわ」

ほむら「昨日はドッジボール、一昨日はバスケットボールだったわね」

杏子「そっか……ってさやかそんなにスポーツ好きだったっけ?」

ほむら「さあ、知らないわ。美樹さやかのことなら貴女の方が詳しいでしょう」

杏子(さやかは運動神経は良いけど、自分からスポーツをしたりするタイプじゃなかったよな……)

杏子(どっちかというとインドアだったし、趣味は音楽鑑賞とかで……)

ほむら「幼少期の体験はその人のアイデンティティに大きく関わるものよ」

杏子「!」

ほむら「その体験が鮮烈なほど、自我に対する影響は強くなるわ」

杏子「さやかが体育系になったのって、じゃあ……」

ほむら「間違いなく貴女の影響ね」




117: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 10:51:28.01 ID:36qalyCQ0

杏子「ま、マジで言ってんのかよそれ!? 一時間ちょっと一緒に遊んだだけだぞ!?」

ほむら「時間の長さはそこまで重要じゃないわ」

ほむら「大切なのはその体験が印象に残ったか否かよ」

杏子「あれってそんなにも印象に残ることだったのか……?」

ほむら「少なくとも美樹さやかにとってはそうだったってことよ」

ほむら「左手に付けているものを見なさい」

杏子「!

杏子「あれって……」

ほむら「貴女のシュシュよ。私が見ている限り、肌身離さず付けているわ」

杏子「……」

ほむら「鼻の下が伸びてるわよ」

杏子「うっせえーよ!?」




120: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 11:07:38.65 ID:36qalyCQ0

ほむら「まあ、結果論だけれど本当に良くやったわ。スーパーファインプレーよ」

ほむら「美樹さやかの中で上条恭介が居た場所に、今は貴女がいるのだから」

杏子「……」ニヤニヤ

ほむら「まあ現段階での好感度は段違いだけれど、そればかりは積み重ねた時間が違うからしょうがないわ」

ほむら「そもそも少しずつ積み重ねた恋と瞬間的に爆発した恋では性質もまったく違うものだし、単純比較も出来ないしね」

杏子「な、なあほむら。これはつまり……さやかは百合になった、ってことでいいのか?」

ほむら「グレーゾーンってところじゃないかしら」

ほむら「今の美樹さやかがあなたに馳せている思いは少なくとも恋愛感情ではないわ」

ほむら「もう一度貴女に会いたい、貴女が誰なのか知りたい、という思いはかなり強いでしょうけど」

杏子「……ここから私はどうすりゃいい?」

ほむら「彼女が2年間溜めて来た貴女に対する思いの全てを、恋愛感情に挿げ替えればいいわ」

ほむら「今の彼女は11歳の年行かぬ少女……同性愛に対する抵抗やら世間の目やら、そんなものを意識する前にケリを付けなさい」






126: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 11:21:07.56 ID:36qalyCQ0

杏子「……お前もしかして、こうなることが分かってて私にあんなことさせたのか?」

ほむら「戻って来ると言ったのに戻って来なかった。別れの言葉も無しに居なくなった」

ほむら「それくらいの絶望があった方がかえって印象は強くなるものよ」

ほむら「手元にはほんの僅かな希望を残してね」

杏子「……なんていうか、悪魔じみてるよ。ホント」

ほむら「言ったでしょ、百合は戦争よ。勝つためなら鬼にも悪魔にもならないといけないわ」

ほむら「そういう意味では貴女はまだ甘い……」

ほむら「私なら不安要素である上条恭介を抹殺したし、自分の印象を強めるためにもっと美樹さやかに絶望を残すわ」

杏子「甘くて悪かったな……私はさやかが不幸せになるようなことはしたくないんだよ」

杏子「そういや……あの坊ちゃんはどうなってるんだ? さやかと交流は無いのかい?」

ほむら「美樹さやかどころか、母親以外の女性との交流が一切ないわよ」

杏子「えっ」




128: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 11:30:12.42 ID:36qalyCQ0

ほむら「バイオリンもやめて、代わりにエレキギターを弾いているらしいわ」

ほむら「腕前は評判らしいわよ。才能のある人間は何をやらせても輝くものね」

杏子「ほ、ほむら……アンタ一体何したんだ……?」

ほむら「女の恐ろしさを教えただけよ。9歳の少年には酷だったかもしれないわね」

杏子「……」

ほむら「良心の呵責でも感じているのかしら?」

杏子「私の我侭がそこまで人生変えちまったんだから、そりゃ……」

ほむら「けれどこれで彼は腕を失う未来も無くなったし、これからギタリストとして輝かしい栄華を極めるわ」

ほむら「幸せを失うということは新たな幸せを得るということでもあるわ」

ほむら「むしろ私は美樹さやかに惚れられる未来が無くなって感謝して欲しいと思っているくらいだけれど」

杏子「なんていうか、ホントアンタには敵わないよ……」




130: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 11:44:01.61 ID:36qalyCQ0

ほむら「一応私なりに彼の幸せは考えたつもりよ」

ほむら「頭の悪い女共に一生付きまとわれ、疲弊していくくらいなら……芸術に没頭できる環境に身を置いた方が良いでしょう」

杏子「……」

ほむら「睨みつけるのはやめなさい。彼女の頭が悪いのは事実でしょう」

杏子「……アンタのそういうところは嫌いだ」

ほむら「悪かったわね。美樹さやかには幾度と無く苦渋を飲まされているから、無意識に辛辣になってしまうのよ」

ほむら「私だって仲良くなれるならそうしたかったわ」

杏子「……今からでもやり直せる思うぜ、ほむら」

ほむら「美樹さやかが百合になった時にでも考えさせてもらうわ」ハァ

杏子「ふふ、それじゃあ尚更頑張らないとな!」




131: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 11:58:01.86 ID:36qalyCQ0

杏子「で、次はどうすればいいんだ?」

ほむら「本当に自分では何も考えないのね……」

杏子「だからこうやってアンタに頭を下げてるんじゃないか」

ほむら「やれやれ……私がフォロー出来なくなった時、どうなっても知らないわよ……」

杏子「そんときはアンタと心中さ。元より存在しなかったものだ、今さら無くなっても後悔はしないよ」

ほむら「……次の作戦の大まかなストーリーを言うなら、劇的な再会よ」

杏子「劇的な再会?」

ほむら「私が変装して美樹さやかを襲うわ」

杏子「ま、まさかそこを私が助けろとかって言わないよな?」

ほむら「その通りよ。ベッタベタだけれど11歳児にはそれくらい筋書きの分かり易いストーリーの方がいいでしょう」

ほむら「あとは貴女が適当にたらしこめば終わりよ。美樹さやかは間違いなく百合になるわ」

杏子「そんな安い自作自演でそう都合良くいくのか……?」

ほむら「それは私たちの演技力にかかってるでしょうね」

杏子「演技力……」

ほむら「言っておくけど、私は今までの恨みつらみ全部ぶつけるつもりで美樹さやかに襲いかかるから、貴女も本気で撃退しなさいよ」




133: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 12:06:54.76 ID:36qalyCQ0

杏子「頼むからほどほどにしてくれよ……さやかに危害が加わったら、茶番って分かってても自分を抑えらんねえから」

ほむら「そのくらいの必死さが人の心を動かすものよ。望むところだわ」

杏子「不安で仕方ねー……」

ほむら「美樹さやかが下校しているタイミングでいいでしょう。適当に襲うから撃退しなさい」

杏子「あいよ……」

ほむら「再会した時の臭いセリフくらいは考えておきなさい」

ほむら「それこそ一言で射止めるくらいのものをね」クス




135: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 12:21:29.08 ID:36qalyCQ0

――――――――――――――――――――――――――――

杏子(なんて言ってたけど、そんなん思いつかねーよ……)

杏子(私漫画とかあんまり読んだことないし……さやかの家にあったのくらいで……)


さやか「ふんふーん……」


杏子(にしてもさやかのヤツ、いつも1人で家に帰ってんのか……?)

杏子(11歳がこの時間に1人は危ねーだろ……社交的だし、一緒に帰る友達くらいいるはずだけど……)

杏子(まあ、ほむらがなんかしてるだけかもしんねーから考えてもしゃーないけど……)

杏子「……」

杏子(なんだ、この感じ……? 気持ち悪りぃ……肌に何かがまとわりついてるような、べっとりとした何かが……)


―――――ピキ


杏子「なっ」


ドゴォォォォォォォンン!!




139: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 12:32:06.92 ID:36qalyCQ0

杏子(なな、なんだこの爆発!? 洒落になんねーぞ!?)

杏子(てかなんだここ……さっき居た場所と全然違……)


ドゴォォォォォォォンン!!


さやか「きゃああああああ!?」

杏子(瓦礫が……!?)

杏子「さやかーーー!!!」ダダッ




>145: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 12:54:52.42 ID:36qalyCQ0

 
  
ドシャァァァン…
 
 
さやか(私、死んだ……?)

さやか(てか、何がどうなって……)

さやか「!」

さやか(わ、私がさっき居た場所に……瓦礫の山が……)ゾク…

杏子「ごほっ、ごほっ……!」

さやか(え、人……? ち、血だらけ……)サァァァ

さやか「だだ、大丈夫ですか!? しっかりしてください!」

杏子(変身しないと絶対に間に合わなかった……もし間に合わなかったら、さやかは……)

杏子「ほむらぁぁぁぁぁ!!! テメェどういうつもりだぁぁーー!!?」

さやか「ひぃっ」ビクッ


ほむら「言ったはずよ。恨みつらみを全部ぶつけるつもりで襲うと」

ほむら「私がパンツでも被って現れると思っていたのなら、あなたの判断ミスよ」




149: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 13:05:20.31 ID:36qalyCQ0

杏子「テメェ……!!」

ほむら「本気で怒ってるあなたを見るのは初めてかもしれないわね」

ほむら「その子が本当に死んだらどうなるのかしら」クス

杏子「ブッ殺す!!」

ほむら「美樹さやかを放っといていいの? 私の標的は貴女じゃないわよ」パチン


ドゴォォォォォォォンン!!


さやか「まま、また爆発……!?」

杏子「さやか!!」ダダッ

さやか「きゃっ!?」


ほむら「少女片手に空を舞って……さながら王子様ね。カッコいいわよ」

杏子「これ以上ふざけたことしてみろ……本気で殺すぞ……」ビキ…

ほむら「瞳孔開いてるわよ」




150: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 13:19:17.61 ID:36qalyCQ0

さやか(まま、マジで何がどうなってるの!?)

さやか(なんかそこらかしら火だらけだしこの人血だらけだしあの人浮いてるし……!!)

杏子(クッソどうりゃいい……アイツぶっ殺してえけどさやかを担いでるこの状態じゃ……)

ほむら「ここから先、まっすぐ5kmも行けば結界の中から出られるわ」

ほむら「私は本気で殺しにかかるから必死に逃げなさい。ゴールすれば茶番は終わりよ」

杏子「洒落になってねえんだよ!! 私はまだしもさやかは一撃でも喰らったら死ぬんだぞ!?」

ほむら「だから必死に逃げろと言ってるのよ。戦いたくても戦える状態じゃないことは貴女が一番よく理解しているでしょう」クス

杏子「お前マジで絶対に許さねーからな……!!」

ほむら「良い表情ね。さながらハリウッド女優よ」






152: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 13:30:30.17 ID:36qalyCQ0

ほむら「大切なものならちゃんと守り抜きなさい」ピィィン

杏子「!」


ドォォォォン!!


杏子(手からレーザーって……あのヤローいつからあんな魔法……!!)

さやか「あ、あわわわ……!!」

杏子(それに格好も私の知ってる魔法少女服じゃないし……!)ダッ

杏子「アンタいつからそんな悪趣味な服着るようになった!?」

杏子「イメチェンにしちゃ方向性間違ってんぞ!!」

ほむら「あら、自分では似合ってると思うんだけど自惚れかしら」

杏子「貧乳のクセにんな露出高い服着るんじゃねー!」

ほむら「……」パチン


ドゴォォォォォォォンン!! ドゴォォォォォォォンン!!


杏子(あ、ヤバい。余計なこと言ったらマジで死ぬ)




154: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 13:43:09.53 ID:36qalyCQ0

さやか「なな、なんかよく分かんないけどアイツが狙ってるのってもしかして私なの!?」

杏子「ああそうだ! 頭のネジが吹っ飛んだのかは知らねーけど本気で殺しにかかってる!!」

さやか「なら早く私を離して! あなたまで殺されちゃう!!」

杏子「はぁ!? 何言ってんだよお前!?」

さやか「だ、だってこのままじゃ!」

杏子「ふざけんな!! お前を離すくらいなら死んだ方がマシだ! 黙って私にしがみついてろ!」

さやか「っ……」ドキ


ほむら「あら、良い感じにラブロマンスじゃない。やはり私は間違ってなかったでしょう?」

杏子「ビーム打ちながら言うセリフじゃねえよ!!」




158: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 13:53:39.42 ID:36qalyCQ0

ほむら「出せるのはビームだけじゃないわよ?」パチン

さやか「う、上からなんか来た!!」バ

杏子「なっ!?」

杏子(黒い羽根……!?)

杏子「クッ……!」ダッ

ほむら「ふふ、上手く避けたわね。……けど残念」クイ

杏子(曲がっ……!?)

さやか「きゃああああ!?」


杏子「ッ……!?」


ほむら「あの体勢からよく庇ったわね、流石だわ」

さやか(羽根が、刺さって……)サァァァ

杏子「ごほっ、ごほっ……!」

さやか「嫌! しっかりして! 死んじゃダメ!!」

杏子(あ、あんにゃろー……マジでめちゃくちゃしやがって……)




160: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 14:04:18.96 ID:36qalyCQ0

ほむら「ふふ、ほら、早く起きなさい。まだゴールまで半分以上あるわよ」

ほむら「それとももう動けないかしら?」クス

杏子「し、死んだら一生恨んでやるからな……ほむら……」

ほむら「死ぬのにどうやって一生をかけるのか知りたいわね」

さやか「もうやめて!!」

ほむら「……」

杏子「ばっ……お前なにやって……!」

さやか「アンタ一体誰なのよ!? どうしてこんな酷いことするの!? 」

ほむら「あなたのことが嫌いだからよ」

さやか「ふぁ!?」

杏子「アイツの言うことに耳貸すな……頭おかしいから……」




165: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 14:19:38.37 ID:36qalyCQ0

さやか「わ、私のことが嫌いなら私にだけ酷いことすればいいでしょ!?」

さやか「どうしてこの人のこと虐めるのよ!?」

ほむら「その赤いのを虐めると貴女が泣くからよ」

杏子(クズ過ぎる……)

さやか「なんで、そんなこと……」ウルウル

ほむら「はぁ……杏子。いつまで寝てるつもり? お姫様に庇われるなんてナンセンスだと思うけれど」

杏子「るっせー……こっちだって、ごほっ……寝たくて寝てるわけじゃ……」ググ…

さやか「ダメ! 立とうとしちゃダメ!! これ以上動いたら死んじゃう!!」

杏子「死なねー……さやかを百合にするまで、絶対にっ……!」




168: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 14:32:46.24 ID:36qalyCQ0

さやか「どうして……なんで私なんかのためにそこまで……」

杏子「アンタのことが……好きだから……」

さやか「!」

杏子「コイツのためなら死んでも良いって……そう思ったから……」ググ…


―――チャリ


ほむら「……大切なもの落としたわよ」

杏子「は……?」

さやか「これって……」


さやか「私の髪留め……?」


杏子「!」

ほむら「……」クス

さやか「なんで、貴女が持って……」




170: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 14:45:52.11 ID:36qalyCQ0

ほむら「ふふ、美樹さやか。この赤いのの顔をよーく見ておきなさい」カツカツ…

杏子「ちょ、まっ……」

杏子(コイツ、まさかこのタイミングで……!?)


ファサ…


さやか「!!」

杏子(これも全部……ほむらの計算で……)


さやか「……さく、ら?」


杏子「……」

さやか「さくらなの……? ねえ、さくらだよね……?」

さやか「だってあの髪留め私のだもん……あの時さくらに渡した、私の……」ポロポロ


ほむら(自分で演出しておいてなんだけど、臭過ぎて吐き気がするわ)




177: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 15:01:03.47 ID:36qalyCQ0

杏子「……さやか」

さやか「!」

杏子「ごめんな、すぐ戻るなんて嘘付いて」

さやか「っ……」

杏子「独りぼっちは寂しかったよな……ホントにごめんな、勝手にいなくなって……」ギュ…

さやか「ひぐ……ぐずっ……」ギュ…

杏子「帰ったら一緒にゲームしようぜ……あの時の続き、今から全部やり直そう」

さやか「さくらぁ……」


ほむら「……」

杏子(その顔やめろ……)




180: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 15:10:01.73 ID:36qalyCQ0

ほむら『杏子、さっさとこの茶番終わらせるわよ』

杏子『茶番だという自覚を持っていてくれて本当に安心したよ……』

ほむら『言ったはずよ。全ては私たちの演技力にかかってると』

ほむら『本気で殺しにかかって相手を憎むくらいしないとこの作戦は成り立たないのよ』

杏子『本当にアンタには敵わないよ……』

ほむら『私が雑魚キャラっぽく飛びかかるから貴女はカッコ良く返り討ちにしなさい』

ほむら『槍を振るくらいの体力は残っているでしょ』

杏子『ああ、そんくらいなら大丈夫そうだ』

杏子『さやかが離れてくれたらだけど』

ほむら『こんな時にまでイチャついてくれるなんて殺されたいのかしら』

杏子『勘弁してくれ……』




184: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 15:24:38.05 ID:36qalyCQ0

ほむら『それじゃあ行くわよ』



ほむら「イ~ヒッヒヒ!! お別れの挨拶はそれで終わりかしらァ!?」

さやか「!?」

ほむら「あたいを無視してイチャコライチャコラ……よっぽど死にたいようねェ!?」

さやか「さ、さくら……」カタカタ

杏子『おいほむら、キャラ変わってるぞ』

ほむら「そんなに死にたいなら2人まとめてあの世に送ってやるわこのウジ虫どもがァァァーーー!! 」


ほむら「死ィィィィーーーねェェェェェーーーーー!!」


杏子「おらぁぁぁぁ!!」ブォン!!

ほむら「たわばっ!!」

さやか「!」

ほむら「ばたんきゅう……」






189: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 15:34:59.94 ID:36qalyCQ0

さやか「えっ、えっ……ええええ!?」

杏子(流石に茶番過ぎてさやかの動揺が隠し切れてないな……)

さやか「なな、なにコイツどういう事!? あんなに強かったのに一撃で死んだよ!?」

杏子「えーっとあれだ、殴られるのに弱いタイプなんだよ。ゲームでもそういうのいるだろ?」

さやか「い、いるけど……こ、こんなあっさり……!?」

ほむら(汚れ役過ぎて辛くなってくるわ……)

杏子「と、とにかく悪は滅んだんだ。一件落着ってことで良いだろ? な?」

さやか「良くないよ! この貧乳ケーサツに突き出さないと……!」

杏子「い、いい! もういいんださやか! コイツはやられたら霧状になって消えるから!」

さやか「むぅ……さくらがそういうなら良いけど」

ほむら(流石に霧状に消えるような機能は持ち合わせていないわね)




196: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 15:46:47.43 ID:36qalyCQ0

杏子「はぁ……しっかし疲れたぁ……」

さやか「さ、さくら大丈夫……? 救急車呼んだ方がいい……?」

杏子「大丈夫、ちょっと寝てりゃすぐに治る……」

杏子「それにこうやってさやかが傍にいてくれるだけでも十分だから」ニコ

さやか「さくら……」ギュ…

杏子(あぁ……さやか柔らかくてあったけえ……)

杏子(幸せだ……このまま死んでもいいかも……)


ほむら『アホみたいな顔してるわよ』

杏子『うっせえ……半殺しにされたんだからこれくらいご褒美でもらってもいいだろ……』

ほむら『まったく……この結界はあと5分もすれば消えるから、その後は場所移動しなさいよ』

杏子『りょーかい……』




200: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 15:55:02.73 ID:36qalyCQ0

さやか「ねえさくら……もう勝手に居なくなったりしないよね……?」

杏子「うーん……勝手には居なくならないけど、またすぐにお別れになっちゃうかなぁ……」

さやか「そんな……」

杏子「でも私がいなくなったあと、ちょっとだけ我慢してくれれば……それからはずっと一緒にいられるぜ」

さやか「本当に……? ずっと一緒なの……?」

杏子「ああ、ずっと一緒さ……それこそ起きた時も寝る時もずっと一緒……」

杏子「テニスだっていつでもしてやれるし、ゲームだって2人で何時間でも出来る……」

杏子「そんな未来が近いうち必ず来るから、私がいなくなったあと、もう少しだけ待ってて欲しいんだ」

さやか「もう少しって何時間よ……? 私はあと何日待てばいいの……?」

杏子「えーっと……2年くらい、かな」

さやか「やだよ……せっかくまた会えたのに、2年も待てないよ……」




207: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 16:12:12.01 ID:36qalyCQ0

杏子「待てるさ……さやかは今日まで私のこと待っててくれたんだ。絶対に待てる」

さやか「やだ、やだよ……もうどこにも行かないで……」

杏子「さやか……」

さやか「1人にしないでよ……あの時みたいなのは、もう絶対に嫌……」ギュ…


杏子『な、なあほむら。なんかさやか私のこと好き過ぎる気がするんだけど……』

ほむら『瞬間的に爆発する恋はそんなものよ』

ほむら『鮮烈な出会い、2年間積み上げた思い、劇的な再会』

ほむら『実質2時間も一緒にいなくても、これだけすればベタ惚れになるものよ』

杏子『ほ、惚れてるっていうのかこれ? ただ単に子供が甘えてるとかそんな感じに思えるけど……』

ほむら『思春期に入ればイチコロよ。まあ、あなたの去り際の対応にもよるだろうけど』

杏子(今は今でかなり大切なタイミング、ってことか……ここまでやったんだ、外すわけにはいかないな……)




210: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 16:28:39.69 ID:36qalyCQ0

ほむら『分かってると思うけれど、ヘマするんじゃないわよ』

ほむら『必ず一撃で仕留めなさい。さやかを百合にする最初で最後で最大のチャンスよ』

ほむら『わーってるよ……』


さやか「……」ギュ…

杏子「……ごめん、さやか。そろそろ時間みたいだ」

さやか「えっ……?」

杏子「こうやってまた会えて良かったよ。これで私も、あと2年待てそうだ……」

さやか「やだ、やだよさくら……行かないで……行っちゃいや……」ギュ…

杏子「ごめん……」

さやか「一日だけでいいから一緒にいてよ……ご飯一緒に食べようよ……?」

さやか「私にさくらのこといっぱい教えてよ……私まださくらのこと何も知らない……だから……!」

杏子「あと2年待ってくれたら、全部してやるから」

さやか「2年も……ぐずっ、待てないよ……」ポロ…




212: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 16:37:53.34 ID:36qalyCQ0

杏子「私から2つさやかにプレゼントあるんだ……それで2年、我慢してくれるかい?」

さやか「やだ、いらない……」

杏子「駄々こねてると何もあげずに居なくなっちまうぞー」

さやか「それもやだ……何もいらないからどこにも行かないで……」

杏子「だからそれは出来ないんだって」

さやか「ぐずっ、うぅ……」

杏子「さやかが嫌がっても私は勝手にプレゼントするからなー」ヨシヨシ

杏子「まず1つ目……私の本当の名前、教えてやるよ」

さやか「えっ……? さくらじゃないの……?」

杏子「さくらは上の名前なんだ。下の名前は杏子……佐倉杏子だ」

さやか「杏子……」




216: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 16:46:00.23 ID:36qalyCQ0

杏子「みんな私のことをそう呼んでる……良かったらさやかもそう呼んでくれ」

さやか「あの貧乳も杏子って呼んでたけど、知り合いなの?」

杏子「ちょっと変になってただけで、大切な友達の1人だよ」


ほむら『……次貧乳って言ってみなさい。桜の木の下に埋めてあげるわ』

杏子『良い所なんだから静かにしててくれ……』


さやか「そうなんだ……アイツが呼んでて私が呼んでない、ってなんかムカつく……」

杏子「これから呼んでくれればいいよ」




221: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 16:56:18.88 ID:36qalyCQ0

さやか「分かった……2つ目のプレゼントはなに?」

杏子「……」

さやか「杏子?」


杏子『ほむら。私が一言言い終わったら、時間を止めて元の時間に飛んでくれ』

ほむら『何をするつもり?』

杏子『見てりゃ分かるよ……』


杏子「……さやか」

さやか「……?」

杏子「好きだ」

さやか「私も―――」


チュゥ…


さやか「…………」


杏子「……続きは2年後だ」ニコ






224: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 16:58:40.36 ID:36qalyCQ0

杏子「ばいばい、さやか」 
 
さやか「杏っ……」


―――――――――――――――――カチ
 
 




233: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 17:12:47.19 ID:36qalyCQ0

――――――――――――――――――――――――――――

杏子「……はぁ」

ほむら「見直したわ。まさか貴女があんな粋なことをするなんて」

杏子「最初で最後のチャンス、一撃で仕留めるとなると……私にはあれしか思いつかなかった」

ほむら「出来過ぎね、演出も含めて100点満点よ」

杏子「アンタにそんなにも褒められるなんて、明日は槍でも降りそうだな」アハハ

ほむら「で、どうするの? 今すぐ1年前……あの時間軸からの2年後に飛ぶつもり?」

杏子「当たり前だろ。さやかを待たせたくない」

ほむら「殊勝な心がけね」

杏子「……ほむら、本当にありがとうな」

ほむら「礼を言うのはまだ早いと思うけれど」

杏子「戻ったらラーメン食いに行こうぜ。もちろん私の奢りだ」

ほむら「戻る気なんて無いくせによく言うわね」




238: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 17:23:09.16 ID:36qalyCQ0

杏子「あはは、流石にお見通しか……」

ほむら「ま、こっちの貴女にでも奢ってもらうわ」

ほむら「貴女から見れば、1年後の私になるのかしら」

杏子「ややこしいな……それまでに約束覚えてるかな……」

ほむら「忘れたら許さないわよ。どうなったかの報告も兼ねて居るのだから」

杏子「ラーメン食えなくなるくらいに胸焼けするような話してやるからな」

ほむら「期待しておくわ」クス


ほむら「それじゃあ……行くわよ」

杏子「ん」

ほむら(せいぜい幸せを噛み締める事ね)


――――――――――――――――カチ
 
 




244: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 17:30:19.46 ID:36qalyCQ0

―――――――――――――――――――――――――――


杏子「……」

ほむら「2012年×月×日……確かに届けたわよ」

杏子「サンキュー、ほむら」

ほむら「さて、私は元の時間軸のあなたとラーメンを食べて来るとするわ」

杏子「1年後の私によろしくな」

ほむら「貴女も、1年前の私をよろしく頼むわ」

ほむら「まあ、貴女に世話を焼かれるようなことは無いと思うけれど」

杏子「あはは、確かにそりゃそうだ」


ほむら「それじゃあ、また1年後」




247: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 17:37:28.64 ID:36qalyCQ0

杏子(本当に消えるんだな、これ……)

杏子(ほむら曰く消えるんじゃなくて同化するとかなんとかだけど……私にはよく分かんねーや)

杏子「難しいことは置いといて……そろそろ行くかー」

杏子(2012年×月×日……私が初めてさやかの家に居候に来た日……)

杏子(さやかと出会うのも、本当ならこの日が初めてだった)

杏子(懐かしいな……って言っても1年しか経ってないんだけど)

杏子(一度過ごした日をやり直すって変な感じだな……おかげで緊張せずに挨拶出来そうだけど……)




252: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 17:46:42.66 ID:36qalyCQ0

―――――――――――――――――――――――――――――――

杏子「……」ザッ

杏子(色々考えてたらあっと言う間だな……)

杏子(さやかの家……私の家……すごく、久しぶりって感じがする)

杏子(緊張しないと思ったけど、やっぱするよな……心臓めっちゃドキドキしてるし)

杏子(さやか、私のこと覚えてるかな……)

杏子(一応ファーストキスの相手なんだし、覚えてるとは思うけど)

杏子(てか覚えててもらわないと今までしたこと全部無駄になって……)

杏子「あーもう! 今さらあれこれ考えたって何も変わらないっての!」

杏子(もしダメならほむらに頭下げるだけだ……当たって砕けろの気持ちで……)


ピーンポーン


杏子「……」ゴクリ




257: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 17:55:48.26 ID:36qalyCQ0

杏子(私の記憶が正しいなら、おばさんたちは留守……)

杏子(さやかが出て来て……)


―――ガチャ


杏子「!」

さやか「はーい、どちら様で……」

さやか「……」

杏子「よ、ようさやか。久しぶり……だな」

さやか「……」

杏子「……」


さやか「えっと、貴女がここで居候することになった……佐倉杏子さん、だっけ?」


杏子「な……」




271: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 18:02:55.90 ID:36qalyCQ0

さやか「久しぶりかどうかはちょっと分かんないけど、まあ上がって上がって」アハハ

さやか「話は聞いてるよー」


杏子「…………」


さやか「……?」

さやか「どうしたの佐倉さん? 具合悪いの?」

杏子「え、いや、えっと……」

さやか「なんかすっごい顔青ざめてるけど」

杏子「だ、大丈夫……ちょっと、ぼーっとしただけで……」

さやか「とりあえず上がってて? なんか飲み物入れてくるわ」タタッ


杏子(どういうことだよ、オイ……)




274: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 18:09:41.00 ID:36qalyCQ0

杏子(なんで、さやかは私のこと覚えてないんだよ……)

杏子(忘れちまった……? いや、あり得ない……それこそ記憶喪失にでもならない限り、そんな……)

杏子「……」

杏子(記憶、喪失……)カタカタ


杏子「ほ、ほむら……」


杏子(ほむらに聞いてみよう……アイツならなんか知って……)

杏子(携帯、携帯どこだ……)

杏子(あれ、なんで無いんだよ……携帯、どこ行って……)

さやか「佐倉さん?」

杏子「え? あ、さやか……」

さやか「本当に大丈夫……? なんか今にもぶっ倒れそうな雰囲気だけど……」

杏子「ご、ごめん……水、一杯貰えるか……?」

さやか「うん……いいけど……」スッ






281: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 18:21:45.54 ID:36qalyCQ0

杏子(落ち着け、冷静になれ……)

杏子(現状じゃ何も判断出来ない……情報が少な過ぎる……)

杏子(今はとにかく、冷静になって…)

さやか「はい、これ……」

杏子「ありがと……」

杏子「ん……んっ……」ゴクゴク…

杏子「ぷはぁ……!はぁ、ぁ……」

さやか「佐倉さん、私の部屋で良かったら使っていいから休めば……?」

さやか「たぶん移動の疲れとか緊張でそうなってると思うから、一晩寝れば体調も良くなると思うんだけど……」

杏子「……心配してくれてありがとう」

杏子「申し訳ないけど、その言葉に甘えさせてもらうよ……」フラ…

さやか「部屋はこっちで……」

杏子(意味わかんねぇ……なんだよ、これ……なんなんだよ……)




288: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 18:34:12.45 ID:36qalyCQ0

杏子(なんで覚えてねえんだよ……)

杏子(本当に全部忘れちまったのかよ、さやか……)

杏子(私のこと、全部……)


バタン


さやか「着いたわよ。ベッド使ってていいから、上着脱いで楽にしなさい」

杏子「……」ボフ…

さやか「また重そうなもんはいてるわね……それも脱ぎなさい。私のジャージ貸したげるから」

杏子「ありがと……」

さやか「ほら、腕も出して」

杏子「ん……」


―――カチャン


杏子「……」

杏子(なんだ、今の音……? カチャン、って……)




301: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 18:41:46.13 ID:36qalyCQ0

 
 
―――カチャン


杏子(まただ……てかなんだこれ、冷たいんだけど……)

さやか「ん……これでよしっと」

杏子「さやか……腕になんか付いてる……」

さやか「別に大したもんじゃないわよ」

杏子「そっか、ならいいや……」

さやか「こら杏子、寝るならちゃんと布団被りなさい。風邪引くわよ」

杏子「いらねー……」

さやか「駄々こねるなっての」

杏子「ん……」

杏子「……」

杏子(さやか、さっき杏子って言ったよう気が……)

杏子(気のせいか……? 気のせいだよな……)

杏子(ああ、なんか……すっげえ眠い……さやかの匂いが、いっぱいして……)




312: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 18:51:13.36 ID:36qalyCQ0

  
  
杏子「……」


さやか「……長かったなぁ、2年」

杏子「すぅ……ぅ……」

さやか「続き、やっと出来るね」ナデ…

杏子「ん……」

さやか「……私、もう絶対に離さないから」



さやか「これからは……ずっと一緒だよ」



終わり
  
 




319: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 18:53:33.81 ID:6ZH5cfOc0


病みさや可愛い




322: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 18:54:17.26 ID:CjSlypId0

乙の一言




326: SS速報 投稿日:2013/11/28(木) 18:55:08.50 ID:xiWXyAWN0

乙!









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