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【シュタインズゲート】幻影のチェシャ猫【前半】|エレファント速報:SSまとめブログ

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【シュタインズゲート】幻影のチェシャ猫【前半】

2: ◆VcesPlLqfg:2015/02/28(土) 23:00:40.88 ID:2RcLHiA50

頭が痛む......俺は...岡部倫太郎...19歳で...東京電機大学の一年生...

...そうか、世界線が変わったのか――


俺は幼馴染のまゆり、友人のダル、助手の紅莉栖達とともに、未来ガジェット研究所というサークルを作って活動していた。そこで、偶然過去にメールを送れる装置、電話レンジ(仮)を発明したのだ。

俺は調子に乗って、何人かの仲間たちにも過去に送れるメール、通称Dメールを使わせてしまった。

その結果、まゆりの死に収束する世界選にたどり着いてしまったのだ。まゆりを助けるため、それらのDメールを打ち消そうとしたが――



3: ◆VcesPlLqfg:2015/02/28(土) 23:06:43.20 ID:2RcLHiA50

「フェイリスがDメールでかなえた願いは...10年前に死んだパパを、生き返らせることニャ...」

仲間の一人、フェイリスの送ったDメールを打ち消すことが、できなかった。誰かを助けるために、誰かを殺すことなんてできなかった。

俺は、神になんてなれなかった。

「ごめんニャ、フェイリスが迷わせちゃったニャ...」

「いや、違う...これは賭けになるが...」

どちらも死なせないための賭け。10年前に送った更なるDメールで、この世界線はどう変わっただろう?



4: ◆VcesPlLqfg:2015/02/28(土) 23:14:30.88 ID:2RcLHiA50

アキバの街は、萌え系ショップが立ち並ぶ、元のアキバに戻っていた。

まずは天王寺裕吾の家に向かった。そこには、世界線の変動を表示するダイバージェンスメーターがある。

ダイバージェンスメーターの値は、.275349.最初の桁が...消えた?


綯「あの...誰ですか?ウチに、なんのようですか?」

一人で留守番していた天王寺綯が、恐る恐る話しかけてくる。

岡部「いきなり押しかけて悪かった。だが、もう用は済んだ。」



5: ◆VcesPlLqfg:2015/02/28(土) 23:20:16.83 ID:2RcLHiA50

綯「誰...ですか?もう、出てってください。...でないと、警察を呼びます。それと、私のお父さんはとっても強いです」

...なんだ?彼女の父親の店の二階を、俺は借りている。このことも、何度も会っているはずなのに。

岡部「誰ですかって、ひどいな。たまに会うだろ?」

綯「お、お父さん...たすけて...」

岡部「本当に、知らないのか?会ったこともない?」

涙目の綯は、こくんとうなずく。

岡部「それは悪かった。お前の親父さんとは知合いでな。もう用は済んだから、帰るよ。」



6: ◆VcesPlLqfg:2015/02/28(土) 23:27:08.12 ID:2RcLHiA50

―――これは予想の範囲内だ。人間関係に変化が起きているのも、大きく世界線が変わった影響だろう...

携帯を見ると、フェイリス以外の連絡先が消えている。...なぜ?まさか、ラボメンたちとの関係も、もしかしたら存在自体が消え去っているのか?


急いでラボに向かうと、そこは空き部屋になっていた。まゆりも、ダルも、紅莉栖も、だれもいない...当然、電話レンジ(仮)もなかった。


岡部「メイクイーンは、あるのか...」

メイクイーン・ニャンニャン。まゆりとフェイリスがバイトをし、俺とダルが常連だった、ネコ耳メイド喫茶。

俺の知っている人の痕跡を探して、真っ先にここに来た。



7: ◆VcesPlLqfg:2015/02/28(土) 23:33:26.92 ID:2RcLHiA50

「「おかえりニャさいませ、ご主人様!!」」

岡部「フェイリス!まゆり!...よかった...」

消えてなんていなかった。心の底から、安堵した。

まゆり「ご主人様、違うよー。マユシィ・ニャンニャンだよ♪」

まゆり「あなたはフェリスちゃんのデュエルパートナーだよね~?もしかしてフェリスちゃん、この人にマユシィの本名教えちゃったの?」

フェイリス「フニャ?教えた記憶はないけどニャ~?」

何を言っているんだ?まゆりは俺の幼馴染なんだから、知ってて当然だ。



8: ◆VcesPlLqfg:2015/02/28(土) 23:39:50.37 ID:2RcLHiA50

フェイリス「凶真、凶真、来てくれてありがとニャ?」

フェイリスが近づいてきて耳打ちする。

フェイリス「でもでも、お客様の前ではカレシっぽい行動は慎んでほしいニャ」

まゆり「もー、フェリスちゃん、お店でいちゃいちゃしたらダメだよー。まゆしぃしか知らないことなんだから」

フェイリス「にゃはは、そんなことしないニャ」

...??どういうことだ?

岡部「それよりまゆり、ダルと紅莉栖を知らないか?」

まゆり「...?だる?くりす?だれかなー?」

...もしかして、俺とこの二人との関係も変化しているのか?



9: ◆VcesPlLqfg:2015/02/28(土) 23:45:41.08 ID:2RcLHiA50

岡部「ラボはどこだ?」

まゆり「ラボ?」

フェイリス「ラボってなんニャ?」

岡部「ラボは、つまり、、えー、未来ガジェット研究所のことで......まゆり、知っているだろう?」

まゆり「んー、」まゆしぃはわからないのです。ごめんね?」

フェイリス「ていうかなんでそんなにマユシィにばっかり話しかけるのニャ?カノジョがいる前ニャのに~」

カノジョ?フェイリスが?......俺の?なんでそんなことになってるんだ?ただの仲間だったのに!



10: ◆VcesPlLqfg:2015/02/28(土) 23:52:07.88 ID:2RcLHiA50

岡部「ダル!ここにいたのか!」

客席に向かうと、ダルがいた。巨体を小刻みに揺らし、俺をにらんでくる。

ダル「君さ、フェイリスたんの何なん?」

......は?

ダル「どっかで見た顔なんだよなぁ...てか、フェイリスたんになれなれしすぎね?リア充か?リア充なんか?」

岡部「おいおいダルよ、いったい何を...」

まさか。ダルとの関係も変わってしまっているのか?

岡部「俺とお前は、初対面か?」

ダル「当たり前じゃん。てか、君ここ来るのも初めてっしょ?」

岡部「いや、結構くるほうだと思うが...」



11: ◆VcesPlLqfg:2015/02/28(土) 23:59:12.29 ID:2RcLHiA50

ダル「この味は、うそをついている味だぜ...つーか君、フェイリスたんの何なん?まず名を名乗りたまえよ!」

岡部「...ほ、鳳凰院凶真」

なぜ本名ではなく脳内設定のほうでいってしまったのだろう...

ダル「まじで!?...ああ、そっかそっか、どっかで見たことあると思った!フェイリスたんのデュエルパートナーの鳳凰院氏だ!いやーうっかりしてたー!」

ダル「いやー、僕フェイリスたんと鳳凰院氏のファンなんですよ。この前の準決勝もみてました!」

握手された。

―――そうか。まゆりもダルも俺のことを知らない。幼馴染でも、仲間でもない。思い出が、消えてしまった。



12: ◆VcesPlLqfg:2015/03/01(日) 00:08:37.67 ID:UNzk+9pE0

ダル「いやー、明日はいよいよ決勝戦ですねー!ヴァイラルアタッカーズなんてボコボコにしちゃってくださいよ!」

つまり、俺とフェイリスはコンビで、雷ネットアクセスバトラーズの大会に出ていて、本来、昨日終わっていたはずの決勝戦が明日らしい。

岡部「...なあ、お前は牧瀬紅莉栖って知ってるか?」

ダル「ああ、えーっと、なんか論文がサイエンス誌に載ったっていう天才少女でしたっけ?ATFで前に講義してましたよ。かなりかわいかったなあ、うへへ。」

岡部「そうか...」

ラボがないなら、紅莉栖と面識がなくて当然か...

もういい。それより、まゆりが今日の夜死なないかどうか、それとフェイリスの父が生きているかどうか、だ。

どちらも助かるなら、この世界線でも...受け入れるさ。



13: ◆VcesPlLqfg:2015/03/01(日) 00:15:50.01 ID:UNzk+9pE0

フェイリス「パパなら今日もお仕事に行ったニャ!それがどうかしたのニャ?」

フェイリスは、バイトが終わってもネコ耳メイドのままである。おそらく、俺の設定の上に設定を重ねてくるのも、変わっていないのだろう。

岡部「生きているのか......よかった」

フェイリス「失礼だニャー、勝手に殺さないでほしいニャ」

岡部「で、俺とおまえは恋人同士、で間違いないな?」

すると、フェイリスが突然あわて始める。

フェイリス「え...もしかして凶真、フェイリスとのことは遊びだったのかニャ!?うう、ひどいニャ...」

急に、さびしさがこみ上げてきた。この世界で、俺は一人ぼっちだ。世界は、大きく変わってしまったのだ。



14: ◆VcesPlLqfg:2015/03/01(日) 00:24:40.87 ID:UNzk+9pE0

岡部「なぁ、フェイリス、...今の俺は、記憶喪失みたいなものだ」

フェイリス「えっ......?」

フェイリスは、じっと目を見つめてくる。フェイリスには、相手の目を見て心理を見抜く能力“チェシャー・ブレイク:チェシャ猫の微笑み”―要はただの勘だが―を持っている。

フェイリス「そんな、凶真、...ほんとに?だから今日の凶真は変だったのニャ...」

フェイリス「大変ニャ!いつから?何が原因で?」

岡部「世界線を越えてきた、と言ってもわからないだろう......俺はいわば、時空の漂流者なんだ」

フェイリス「ふざけてる場合じゃ――」

岡部「嘘はついていない。お前ならわかるはずだ。」


岡部「俺とおまえとの、関係を教えてくれ。」



15: ◆VcesPlLqfg:2015/03/01(日) 00:35:20.34 ID:UNzk+9pE0

フェイリス「うう......凶真、本当に覚えていないのニャ?...フェイリスと凶真は、雷ネットと大会で知り合ったニャ。アキバの小さなショップの大会だったけど、そこで死闘の末、心を通じ合わせたニャ」

俺が雷ネットの大会...?今の俺は、ルールもわからないのに。

フェイリス「で、意気投合して、コンビを組んだニャ。それで、今の雷ネットグランドチャンピオンシップでも、決勝まで勝ち上がったのニャン」

フェイリス「それで...一緒に戦っているうちに、フェイリスは凶真のこと、もっと知りたいって思うようになって...気づいたら、好きになってたのニャ。雷ネットだけじゃなく、プライベートでも一緒にいてほしいって、思うようになったのニャ...。」

フェイリスが、手を握ってくる。

フェイリス「だから、この前の準決勝に勝った後、思い切って告白したのニャ。そしたら、凶真も好きだって言ってくれて...フェイリスたちは甘いキスを交わして、晴れて恋人になったのニャ」

甘いキス?俺が?それなんてリア充?


フェイリス「ちなみに、フェイリスと凶真は同棲中ニャ♪」



16: ◆VcesPlLqfg:2015/03/01(日) 00:41:23.90 ID:UNzk+9pE0

岡部「な、何?」

フェイリス「といっても、大会中は合宿みたいな形で凶真をフェイリスの家に泊めてあげてるだけニャ」

フェイリス「だから、そのー...エッチなこととかは、してないのニャ。って、なにいわせるのニャー!」

フェイリス「今の話で、思い出せたかニャ?」

...思い出せるわけがない。そのことは、俺の記憶には最初からないんだから。

岡部「フェイリス、頼みがある。まゆりのことだ。」

フェイリス「マユシィ?そういえば、さっきやたらと話しかけてたニャ」

岡部「あいつは、もしかすると、今日の夜八時ごろ、何らかの形で死ぬかもしれん。」



17: ◆VcesPlLqfg:2015/03/01(日) 00:46:18.30 ID:UNzk+9pE0

フェイリス「え......?」

岡部「だから、あいつを見ていてほしい」

フェイリス「こ、こんどこそ冗談ニャ?」

岡部「嘘はついていない...頼む、見ているだけでいい」

フェイリス「正直、何が何だかさっぱりニャ...でも」

フェイリスは、再びおれの手を握ってくる。とても強く。

フェイリス「フェイリスは、凶真のこと、好きだから。大好きだから」

フェイリス「信じるニャ。凶真のこと」

岡部「ありがとう...」



18: ◆VcesPlLqfg:2015/03/01(日) 00:52:57.50 ID:UNzk+9pE0

俺は、フェイリスの家でじっと待っていた。フェイリスは、まゆりと一緒にカラオケに行ってくれた。

もうとっくにまゆりが死ぬ時間は過ぎている。


すると、フェイリスのご両親が顔を見せた。

秋葉父「おや、岡部君。留未穂はバイトかな?」

一瞬、留未穂と言われ戸惑う。そういえば、フェイリスの本名は秋葉留未穂だったな。

岡部「いえ、友人と遊びに行っています」
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