【シュタインズゲート】幻影のチェシャ猫【後半】
- 2015年04月25日 23:10
- SS、シュタインズ・ゲート
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【シュタインズゲート】幻影のチェシャ猫【後半】
――
岡部「はあ、はあ、はあ、はあ....」
ラボについたときには、完全に息を切らしていた。萌郁を見た途端、再び走って逃げてきたのだ。
岡部「くっ....なぜだ!?なんであいつが現れた!?」
Dメールはエシュロンに捉えられていない。ラボメンたちにはタイムマシンについて秘密にするよう言ってある。SERNに、ラウンダーに目をつけられる要素は何一つないはずだ!。
岡部「もう....いないよな....!?」
視線はもう感じない。どうやら振り切ったようだが....
フェイリス「凶真?」
岡部「おわ!?フェ、フェイリス!いたのか!?」
フェイリス「も~、失礼しちゃうニャー。さっきからずっと話しかけてたニャン!」
岡部「フェイリス!ラボメンを大至急召集するのだ!早く!」ガシッ
フェイリス「はニャ!?ど、ど~したのニャ....?」
――
夕方になって、クリスティーナ以外のラボメンが集まってきた。もっとも、クリスティーナはまだ正式なラボメンではないが。
ダル「どしたん?急に」
フェイリス「今日も顔色が悪いけど、何かあったのニャ?」
岡部「....お前たち、ラボ以外の場所でタイムマシンのことを話したか?」
ダル「いや、あんなん見せられて外で話すとかありえなくね?僕は怖くて話せないお」
まゆり「オカリンが話すなって言ってたから、話してないよ。まゆしぃ、よくわかんないし」
るか「凶真さんが絶対話すなとおっしゃっていたので、ボクは話してません!」
鈴羽「あたしは当然話してないよ」
フェイリス「フェイリスも、絶対言ってないのニャ」
岡部「そうか....」
そもそも、多少の情報が漏れたところで、こんな学生だけの素人サークルに本当にタイムマシンがあると信じる奴なんていないだろうが....
いや、むしろ問題はこれからだ。
岡部「いいか、ラボの外で誰かに話しかけられた時、絶対にこのラボのことは話すな!怪しいやつにメールアドレスを教えてもいけない!特に桐生萌郁という、メガネをかけた女には注意しろ!」
まゆり「きりゅー、もえかー?」
るか「わ、わかりました!メガネのひと、めがねのひと....」
ダル「色仕掛けされんことを祈るお!いや、むしろウェルカム?」
岡部「わかったな?では、今日は解散だ。....フェイリス、鈴羽、ちょっと話がある」
フェイリス「ニャニャ?」
鈴羽「........」
――
鈴羽「何かあったの?急にあんなこと....」
岡部「ラウンダーが現れた。前の世界線で、まゆりを何回も殺した奴だ」
フェイリス「!....ら、ラウンダーって....?」
鈴羽「ラウンダーは、SERNの汚れ役担当の実行部隊だよ。主な任務は、IBN5100の捜索と回収」
岡部「それと、世界中のタイムトラベル研究の監視もだ。目的のためなら、殺人も窃盗も誘拐も厭わない危険な連中だ」
鈴羽「あたしたちは、2036年でラウンダーと戦っていたんだ。岡部倫太郎も、父さんも、ラウンダーに殺された」
フェイリス「そ、そんな....でも、なんで?見つかるようなことは、してないニャ」
岡部「わからん。まだ偶然、という可能性もある。あいつはかなり変わった奴だったからな。....とりあえず、お前たちには本当のことを言っておく。警戒は怠るな。いいか、常に携帯をいじっている女だ。それらしいやつを見つけたら、俺に教えてくれ」
鈴羽「わかった。偶然、か....だったらいいんだけどね」
フェイリス「う~....こ、怖いニャ....」
――11月21日(日)
あれから何日かたった。が、萌郁が現れる気配はなかった。視線を感じることもなかった。
偶然だった....のか?
岡部「........」
なんとなく街をうろついてみるが、桐生萌郁は見当たらず、視線も一向に感じない。どうやら、杞憂だったようだ。
と、前方で見覚えのある後姿を発見した。何かを覗き込んでいる。
岡部「....クリスティーナよ。何をそんなに一生懸命見ている」
紅莉栖「うわあっ!?」
紅莉栖「って、えーと、岡部?」
岡部「岡部ではない!狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真だ!」
紅莉栖「はあ....?厨二病乙!」
岡部「もはやねらーであることを隠そうともしないな!クリスティーナ、いや@ちゃんねらークリス!」
紅莉栖「う、うるさい!」
岡部「なにを見ていたのだ?....これは、うーぱのぬいぐるみか」
紅莉栖「い、いや、これは、そのー....」
岡部「そうかそうか!まだ臀部に蒙古斑があるクリスティーナお嬢ちゃんは、かわいいものが大好きか!フゥーハハハ!」
紅莉栖「あー、もう!かわいいもの好きで悪いか!」
岡部「臀部に蒙古斑は否定しないのだな」
紅莉栖「蒙古斑なんてないわ!セクハラよ、セクハラ!」
岡部「フゥーハハハ!これはすまなかったな。かわいいものが好きなら、お詫びにいいところに連れていてやろう!」
紅莉栖「い、いいところ!?....まさか、今度こそいかがわしいところに連れ込むつもりじゃ――」
岡部「何を妄想しているんだ、この天才HENTAI少女は」
紅莉栖「HENTAIはあんたでしょ!」
「「おかえりニャさいませ、ご主人様♪」」
紅莉栖「....女の子をいきなりメイド喫茶に連れて行く男の人って....しかもネコ耳とか、ハードル高すぎ」
フェイリス「いらっしゃいませ、お嬢様♪牧瀬紅莉栖さんだから、クーニャンでいいかニャ?」
紅莉栖「は、はあ!?何言っちゃってるの、この子は!?ク、クーニャン!?」
フェイリス「お気に召さないのかニャ?」
紅莉栖「それ以前に、なんで名前を知ってるの?」
岡部「もちろん、会ったことがあるからだろう。自己紹介もしていたぞ」
紅莉栖「いやいや、ネコ耳メイドさんに知り合いなんていないって....」
フェイリス「フニャ!?....クーニャンは、フェイリスのこと忘れちゃったのかニャ....」グスッ
紅莉栖「ええ!?だ、だって忘れるも何も....ん?」
フェイリス「んニャ?」
紅莉栖「あれ....もしかして、秋葉さんの娘さん!?」
フェイリス「もー、クーニャンは鈍いニャ~。それとも、フェイリスにわざとイジワルしてたのかニャ~?」
紅莉栖「わざとじゃないから!だって、全然違うじゃない!!」
岡部「顔は一緒だ」
紅莉栖「で、でもあの時はおしとやかそうなお嬢様だったのに....」
フェイリス「あれは世を忍ぶ仮の姿ニャ!フェイリスは、この趣都秋葉原の萌えを守り抜くためにネコ耳から萌え萌えパワーを吸収し、ネコ耳メイド“フェイリス・ニャンニャン”として覚醒したのニャン♪」
紅莉栖「ええ~....うそでしょ....ちゅ、厨二病、乙....」
――
まゆり「トゥットゥルー♪コーヒーお待たせいたしましたニャン♪オカリン、この人が新しいラボメンなの~?」
岡部「そう、クリスティーナだ」
紅莉栖「いや、適当すぎでしょ!クリスティーナじゃないし!」
紅莉栖「ええと、あなたもラボメンなのね。牧瀬紅莉栖です。まだラボメンになるって決めたわけじゃないけど、よろしく。あなたのお名前は?」
まゆり「クリスちゃんだね!よろしくニャンニャン♪マユシィ・ニャンニャンです♪」
紅莉栖「....いや、本名は?」
岡部「椎名まゆりだ」
紅莉栖「この店めんどくさい....」
岡部「ところでクリスティーナよ、まだラボに入ってくれないのか?」
紅莉栖「だって、あんな話いきなり全部受け入れるのは無理よ。それにタイムマシンなんて興味ないし」
フェイリス「それはウソニャ!」
紅莉栖「うわっ!?留未穂さん、いきなり現れないで!ビ、ビックリした....」
フェイリス「む~。フェイリスは、フェイリスニャ!」
紅莉栖「はいはい、ここではフェイリスさんね」
岡部「いや、フェイリスは普段からフェイリスだ」
紅莉栖「いやいや、そんなわけ....」
岡部「本当だぞ。あの時留未穂だったのは、偶然なんだ」
紅莉栖「普段からフェイリスって....アキバおそるべし....」
フェイリス「そんなことより、クーニャンは素直になったほうがいいのニャ♪」
紅莉栖「す、素直って何が!?」
フェイリス「ホントは、タイムマシンを研究したくてしょうがないはずニャン!」
紅莉栖「そ、そんなはずないでしょ!何言ってるの、この子は!?」
岡部「だが、興味がないはずがないだろう?夏にATFでタイムトラベル理論に関しての講義をしたよな?」
紅莉栖「え?あんたもあの講義聞いてたの?あれは頼まれただけで....それに、あの講義はタイムトラベルを否定する内容だったでしょ!タイムマシンは実現不可能でFA!」
フェイリス「....むむむ、本当に素直じゃないのニャ。....クーニャンのパパはずっとタイムマシンを研究してる人なんだから、クーニャンがタイムマシンに興味があっても全然おかしくニャいのに」
岡部「なに!?そうなのか?」
紅莉栖「い、今は父とは仲悪いし....そもそも、あんな人もう父親じゃない!大嫌いよ、あんな人!」
フェイリス「....ほんっとに素直じゃないのニャー。....ニャフフ、クーニャンはかわいーニャン♪」
紅莉栖「いや、ほんとに嫌いだから!」
岡部「その父親っていうのは何者なんだ?」
フェイリス「Dr.中鉢ニャ。本名は、え~っと、牧瀬章一。フェイリスのパパもタイムマシンに興味があって、一時期は資金援助みたいなこともしてたらしいニャ」
岡部「ド、Dr.中鉢!?ま、まさか!」
紅莉栖「....はあ。今日はもう帰るわ。なんだか疲れた」
フェイリス「あ、ご、ごめんなさい....フェイリスがうっとうしかったかニャ....」
紅莉栖「ふえっ!?ち、違うから!そういうわけじゃなくて!ええと、シーユー!」タタタ...
岡部「まったく、クリスティーナは相変わらずのツンデレっぷりだな」
フェイリス「素直じゃないニャ~....