米政府がシリコンバレーと連携強化…ついでにデータの暗号解除もお願い
「仲良くするからデータの暗号化やめてね!」…というように見える?
サンフランシスコで行われているセキュリティー関連のRSAカンファレンスに、米国土安全保障省(DHS)のトップ、ジェイ・ジョンソン長官が登壇しました。長官のスピーチの内容からは、サイバーセキュリティーに対して政府がシリコンバレーの企業とどんなおつきあいをしていきたいのか…という姿勢が垣間見えます。
シリコンバレーオフィス開設、企業との連携強化
ジョンソン長官は、シリコンバレーにDHSの新たなオフィスを開設し、以下の通りテック企業との協力を強化していく意向を公表しました。
この場にいる皆さんとの窓口となる、DHSのシリコンバレー出張所の開設計画が最終段階だと発表できることを嬉しく思います。我々はシリコンバレーとの重要な連携を強化し、政府と民間企業がお互いの研究開発より利益を得られるようになることを願っています。
さらにDHSは、シリコンバレー企業とサイバーセキュリティーに関するベストプラクティスの共有を進めていきたいとしています。この情報共有には、重要インフラのサイバーセキュリティー強化に向け、官民が連携するプログラムC3を活用するものと見られます。その他にも、2月にオバマ大統領が設立を支持した情報共有分析機関(ISAO)の展開にも意欲的に取り組んでいくとのこと。この動き、DHSはあらゆる手段を使って、サイバーセキュリティーに関する重要な情報を民間企業から政府に共有させようとしている…ともいえるでしょう。
STOP! 暗号化?
さて、ジョンソン長官のスピーチには、気になる内容が含まれていました。それは少し前から話題になっている、ヤフーやグーグルを含むテック企業のデータ暗号化について。ジョンソン長官は、国家安全保障のために、政府が暗号化されていないデータにアクセスできることの重要性を説きました。セキュリティー関連のカンファレンスで…という感じですが、内容をちょっと見てみましょう。
現在、市場の声に応じて、暗号はどんどん複雑になっています。これは、当局や国家安全保障には、大変な課題です。プライバシーの観点から、暗号化が重要だということは理解しています。しかし、想像してみてください。もし、電話の出現からだいぶ時間が経っているのに、犯罪を捜査する政府の権限が、手紙にしか適用されないとしたらどうでしょう。
我々が暗号化された情報を利用できないということは、国家安全保障上の難題です。
実際、暗号化は、政府が犯罪行為やテロにつながる恐れのある活動を見つけることを難しくしています。
我々政府は、このジレンマへの解決策は、アメリカ市民のプライバシーの権利と期待、技術の状態、そしてアメリカのビジネスにおけるサイバーセキュリティーを十分に考慮したものでなければいけないと考えます。
解決策を見つけるために、我々はあなたがたの協力を必要としています。
本当に、国家安全保障とプライバシーの問題は難しいです。ジョンソン長官が言うとおり、両立させる革新的な技術がシリコンバレーのテック企業から出てきてくれればいいのですが。ジョンソン長官のスピーチ全文はこちらからどうぞ。
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Annalee Newitz - Gizmodo US[原文]
(conejo)
- How Google Works
- エリック・シュミット,ジョナサン・ローゼンバーグ,アラン・イーグル,ラリー・ペイジ|日本経済新聞出版社
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