【モバマス×斉木】裕子「超能力者なんですか?」楠雄(なぜこうなった)
楠雄(僕の名前は斉木楠雄。超能力者である)
楠雄(超能力者と言うとスプーン曲げを行うバラエティな感じを連想するかもしれないが、僕は正真正銘の超能力者である)
楠雄(念力、透視、テレパシー、発火、冷凍、変身能力、物質復元…使える超能力は挙げればキリがない。しかし、普段はこの能力のことは隠している)
楠雄(騒ぎになると面倒になるためだ。そして僕は注目されることが嫌いなのだ)
楠雄(そのため普段は普通の高校二年生を演じ、平穏な毎日を送っている)
楠雄(はずだったのだが…)
裕子「もしかして、超能力者なんですか?」
楠雄(なぜこうなった)
楠雄(事の発端はこうだ)
楠雄(木に風船がかかってしまい、取れずに泣いている女の子がいた)
楠雄(超能力を使いその風船を取ったのだが、その風景をどうやら彼女…今も僕に話しかけてくる子に見られてしまったらしい)
裕子「超能力者なんですか!?」ズイッ
楠雄(女の子は俯いて泣いていたため、女の子に僕の姿を見られることはない。さらに周囲をテレパシーで探り誰もいなかったことまで確認した。そこまで調べて風船を取る超能力を使ったのだが…何故か彼女の存在に気がつくことはできなかった)
楠雄(前も風船関連で似たような失敗をしたため、今度こそ…と思ったのだが。変な気を起こすんじゃなかった。やれやれ…)
裕子「サイキックアイドルの私以外にも、超能力を使える人がいるなんて!」
楠雄(今は何と言いごまかそうか考えている最中だ)
裕子「しかし綺麗なサイキックでしたね!」
楠雄(サイキックなのか超能力なのか呼び方を統一してくれ。僕も言いにくい)
裕子「なんて名前のパワーなんですか?」
楠雄(また一つ増えた)
楠雄(彼女が普通の一般人ならばここで無視して逃げてしまってもいい)
楠雄(しかしそれはできない。なぜなら彼女はアイドルだからだ)
楠雄(下手にこの出来事をテレビショーなどで話の種にされてはかなわない。よって穏便に物事を済ませる必要がある)
楠雄(ちなみに、何故僕が彼女のことをアイドルだと知っているのかは…別に僕がアイドルのファンだからというわけではない)
楠雄(テレビや本は嫌いではないため、よく見るほうだ。なので彼女の顔を目にすることはある)
楠雄(嫌いな芸能人もいるため芸能情報はそこまで見ないのだが、彼女のことはなんとなく知っている)
楠雄(出来ない超能力を売りにするアホの子、という認識だった)
楠雄(ただの芸風の一つだと思っていたが…)
裕子「あ、私もお返しに超能力見せないとつりあいとれませんね!失礼しました」サッ
楠雄(急にスプーン取り出したぞ)
裕子「ムムーン!ムムーン!」
楠雄(必死になっているが曲がる気配は無いな)
裕子「サイキック力技ー!」ググッ
楠雄(物理的に曲げたぞ)
裕子「どうですか!曲がりましたよ!」
楠雄(なるほど正真正銘のアホの子か)
楠雄(アホの子ならば納得のいく点もある。テレパシー能力で彼女の思考を読み取ることが出来ないのだ)
楠雄(何も考えていないアホの同級生を知っているため、おそらくそれと同じだろう)
楠雄(最初に彼女の気配に気が付けなかったのもこれのせいだろうな…やれやれ)
楠雄(と、なると厄介だ。テレパシーで思考を読み取ることが出来ないとなると、彼女が今何を考えているかわからない)
楠雄(相手の考えていることが理解できれば、僕に有利に話を進められるのだが…)
裕子「超能力者なんですよね?」(超能力者なんですよね?)
楠雄(この通りだ。言うことと考えていることが同じなのだ)
楠雄(さて…どうしたものか)
楠雄(彼女は未だに僕にかまっている。辺りに人はいないが彼女が見つかればちょっとした騒ぎになるだろう)
楠雄(早く彼女の興味を逸らさなければならない)
楠雄(試しに風のせいとでも言ってみるか)
裕子「え?偶然風が吹いただけ?」
裕子「そうだったんですか…すいません!そうとは知らず付きまとってしまって…」
楠雄(単純すぎるだろう)
裕子「お詫びといっては何ですが、私が曲げたスプーンあげます」
楠雄(こんなカレーの食べにくいスプーン貰っても困るんだが)
裕子「じゃあ私はこれで…。…しょんぼり…」
楠雄(露骨にガッカリされているが仕方がない。僕も超能力者であることがバレるわけにはいかないのだ)
楠雄(さて、僕も帰るか)
裕子「あの、すいません!」
楠雄(!?)ビクッ
裕子「ここ、どこなんでしょう」
楠雄(…はい?)
裕子「サイキックの練習してたら…綺麗な色のちょうちょ見つけて」
楠雄(ちょうちょ?)
裕子「追っかけてきたら見たことの無い道に…ここにも最近来たので、詳しくなくて…。あはは、ここどこだかわかります?」
楠雄(確か僕と同い年だよな…最近の16歳ってこんなにアホだっけ?)
裕子「そうだ携帯で…無い!あああ!どうしよう」
楠雄(…。やれやれ)
楠雄(このあたりの地図を念写して渡すか)
裕子「おお、ありがとうございます!どこから取り出したんでしょう」
楠雄(気にしないでほしい)
裕子「色々とありがとうございました!えーっとこっちかな」
楠雄(やれやれ…一段落したな)
数分後
裕子「あ、また会いましたね!」
楠雄(何でだよ)
裕子「あれ?このへんぐるぐる回ってたのか…ええと…」
楠雄(最近のアイドルってこんなにアホだっけ?)
裕子「わかった!こっちだ!」タタタッ
不良A「ぐへへお嬢ちゃん可愛いね」
不良B「地図持ってどうしたんだい?手伝ってあげようか?」
裕子「ホントですか!」
楠雄(おいバカやめろ。何だ不良Aっていうわかりやすい名前は)
不良A「まずはこっちの裏道に…あいだだだだだ!いだだだ!」
裕子「?」
不良B「おいどうし…いだだだだ!何だ!いだだだ!」
裕子「あれ?おーい!…行っちゃった?」
楠雄(念力で耳をつねって追っ払っただけだ。危なっかしいな…本当にアイドルか?)
裕子「…一体何が?あっそうだ!早く帰らないと」
楠雄(そうだ早く帰れ。僕も帰ろう…)
楠雄(…。ん?)
裕子「はしを持つほうが東だから…わかった!こっちだ!」タタッ
楠雄(迷っている理由がわかった。持っている地図の向きが逆だ)
楠雄(あの調子だといつ辿りつくんだ?…仕方ない。少しだけ付き合ってやる)
裕子「あー…こっちだったんですね!どうもありがとうございました!」
楠雄(気にしなくていい。今度こそ僕は帰る)
裕子「それではまたー!」タタッ
楠雄(ちゃんと前を見て走れ。…待てそれ以上進むな。そっちは車道だ)
ブーン キキーッ
裕子「えっ?車…」
楠雄(何をやっているんだ!)
裕子「きゃっ!轢かれ…!」
フワッ ズズーン
裕子「…あ、あれ?車が浮いて通り過ぎちゃった…」
楠雄(…思わず念力を使ってしまった。それもこんな近距離で)
楠雄(これも風船のように勘違いしてくれるといいんだが…やめろそんな目を輝かせてこっちに来るな)
裕子「あの、やっぱり超能力者ですよね!」ガシッ
楠雄(oh…)
裕子「助けてくれてありがとうございます!」
楠雄(風のせいだ)
裕子「あんな強風吹きませんよ!サイキックを使ってくれたんですね!」
楠雄(君の力が目覚めたんじゃないのか)
裕子「まだ修行中なんです!」
楠雄(マズイな思った以上にぐいぐい来るぞ)
裕子「師匠と呼ばせてもらってもいいですか!」ズイッ
楠雄(チッ…仕方がない。この手は使いたくなかったんだがな…嫌な思い出に変えてやる。見せてやろう、この迷惑顔をな)
裕子「綺麗な髪の色ですね!」スッ
楠雄(いつの間に後ろに回り込んだんだ。見ろ、この迷惑顔を)
裕子「このメガネも変わった色してますね!」スッ
楠雄(いつ正面に回り込んだんだ。何なんだ君は)
楠雄(チッ…完全に弄ばれているな。心が読めないというのは本当に厄介だ)
楠雄(だがスプーンを力で曲げるアイドルに本物の超能力者の僕がペースを握られる、なんてことはあってはならない)
楠雄(多少強引だが記憶を消すしか…)
タタッ
雨緑「もしやと思って来てみれば…その姿は師匠!」
裕子「え?師匠?」
楠雄(面倒なのが増えた)
雨緑「こんなところで師匠に会えるなんて…感激です!」
楠雄(知らない人のために説明しておくと彼の名前は蝶野雨緑、イリュージョニストだ。27歳になる)
楠雄(彼にイリュージョニストという道を諦めさせるため、マジックに見せかけた超能力を見せたことがある。するとえらい方向に勘違いしてしまい、僕のことを師匠と呼
コメント一覧
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- 2015年04月26日 23:11
- 1とったぜかーちゃんやったぜ
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- 2015年04月26日 23:15
- これは評価する
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- 2015年04月26日 23:39
- ちょくちょくでもいいから続きを書いてほしい感じ
結構楽しめた
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- 2015年04月26日 23:44
- サイキックで…皆に
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- 2015年04月26日 23:49
- 斉木SSは妙に良作率が高いな……単に母数が少ないだけか
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