海底で170年熟成されたシャンパンってどんな味?
わーすごーい飲んでみたく…な…い…。
2010年にフィンランド沖で難破船が引き上げられ、そこから超年代物のシャンパンが見つかりました。ちょっと前に同じ船から見つかったビールの味についてもお伝えしましたが、今度はシャンパンについて、味を化学分析・テイスティングした結果がわかりました。
そのシャンパンがどこで作られたのかは、はっきりしています。ボトルは複数あったのですが、それぞれのコルクにはブーブ・クリコ・ポンサルダン、エドシック、そして今は亡きジュグラーといったシャンパンメーカーの名前がありました。製造は1830年代から1840年代と見られています。とはいえ、これだけじゃ中身の味はわかりません。
そこでシャンパン地方中心にあるランス大学理学部教授、Philippe Jeandet氏がその分析にあたりました。彼とそのチームはシャンパンボトル3本(A11、A33、B17と命名)を開けて分析、その結果はProceedings of the National Academy of Sciencesで公開されています。
結果はというと、まず開けた3本のボトルすべてにおいて、現在のシャンパンの約3倍、1リットルあたり140グラムもの糖分が含まれていました。でもそれはあまり意外じゃありません。当時の人はみんな甘いワインが好きだったので、1リットルあたり300グラムも糖分が入っていることも珍しくなかったそうです。
もっと興味深いのは、そこに「想定外に高い」レベルの鉄分と銅が含まれていたことです。研究チームでは、銅は当時ブドウを菌類病から守るために使われていた硫酸銅に由来する可能性が高いと見ています。また鉄分に関しては、熟成用の樽に使われていたクギから来たものと考えられています。
また研究チームでは、シャンパンの酢酸レベルが非常に低いことを発見しています。これは、それほど傷んではいないということになります。たしかに海の底はかなりの冷暗所のはずなので、シャンパンの保存には適しているのかもしれません。
で、実際人間が飲むとどういう味になるんでしょうか。この分析ではテイスティング実験も行われたんですが、味わった人の言葉によると、第一印象はあまり良くなかったみたいです。
最初、サンプルの印象は「動物の匂い」「濡れた髪」「煮詰めたもの」「チーズっぽい」といった言葉で表せるものだった。「動物の匂い」は明らかに揮発性フェノールの存在と関連付けられる。(略)「濡れた髪」は、酸素源から非常に長い間隔絶されていたワインには想定できることで、それは硫化物質、たとえば硫化水素、メタンチオール、二硫化ジメチルといった物質の存在で説明できる。(略)最後に「チーズっぽい」という描写は、ブタン酸やオクタン酸に関連付けられる。
動物とか髪の毛とか全然美味しそうじゃありませんね…。でもグラスをくるっと回してみたところ、だいぶマシになったみたいです。
ワインをグラスの中で回して酸化させたところ、香りはもっと良くなった。メインの香りは「焦臭性」と言え、グリルした、スパイシーな、スモーキーな、皮のような、といった表現ができ、そこにフルーティでフローラルな香りを伴っている。
このシャンパンを手に入れたい人にとっては、ちょっとほっとする分析結果になったようです。ちなみに見つかったボトルのうちひとつは2011年に3万2000ドル(約380万円)で売れて、もうひとつ2012年にも1万6000ドル(約190万円)で売れたようです。それで髪の毛の匂いとかだったら、悲しいですよね。
image by Visit Aland
source:PNAS via Science
Jamie Condliffe - Gizmodo US[原文]
(miho)
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