1988年エニックス発行「ドラゴンクエストIII 知られざる伝説」によると、世界の創造主である精霊ルビスが、新たなる世界へと旅立つ前の話として、このようなエピソードが語られています。
※多少、脚色しています。 その昔、まだ人間とモンスターが共存していたころ、はぐれメタルは精霊ルビスの宮殿の中庭で、毎日遊んで暮らしていたという。いい身分である。しかしある日、事件が起こる。
鬼面道士がメダパニの練習をしていたところ、偶然通りがかったボストロールを混乱させてしまったのだ。しかもボストロールは(まるで台本に書いてあったかのように)、こともあろうか中庭で、はぐれメタルたちとたわむれていたルビスに襲い掛かかったのだった。
あぶない!
しかし、そこで意外にもすばやく対応したのは、はぐれメタルたちだった。ボストロールの異変に気付いた彼らは、ルビスを守ろうと、いっせいにギラを唱えたのだ。ギラギラギラギラギラギラ…… それはまさに、中庭にいた何十匹というはぐれメタルの、ギラの大合唱だったという。
無事に助かったルビス様は、彼らの勇気をたたえ、そこにいたはぐれメタル1匹1匹に
「幸せの靴」を与えたのだった。なんとも太っ腹である。
月日は流れた――
はぐれメタルたちは、いまだにルビス様からもらった「幸せの靴」を大事に持っていた。その理由はこの靴を守ることが、ルビス様から与えられた自分の使命だと信じているから。それが彼らなりの「ルビス様への永遠の敬愛」の形だったのかもしれない。いつかルビス様から「あなたたち、まだ持ってたのね、ありがとう」って言ってもらいたい一心だったのかもしれない。
察しのいいひとならもうおわかりだろう。そう、彼らがすぐ逃げ出す理由は、何よりも大切な
「幸せの靴」を勇者に取られたくないからだったのだ。
どんなに他のモンスターから白い目で見られようとも、臆病者とののしられようとも、彼らはモンスターとしてのプライドをかなぐり捨てて、ただひたすら、ルビスとの思い出を守り続けているのだ……
なんだ、このいい話(笑)
しかし、なんか違和感を持ったひともいるかもしれないね。そうなんです。このエピソードには次のようなオチがあるのだ。ルビス様から「幸せの靴」をもらったとき、はぐれメタルの1匹が、こんなことを思ったという。
「おれたち、足ないよな……」 | ドラゴンクエスト3 そして伝説へ…―知られざる伝説
内容(「BOOK」データベースより)
この本は、ドラクエ3に登場するおなじみのキャラクターの隠された伝説を紹介する物です。ドラクエ3世界の中にはいろいろな人物やモンスターたちが、それぞれのドラマを、ゲームでは見えない部分でも繰り広げているのです。そして、そのひとつひとつのドラマが重なり合って、このドラクエ3を作りあげています。
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ルビス様、痛恨のチョイスミス!(笑)
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