響「・・・強くなりたい」 響鬼「よろしくっ、シュッ!」
最初に言っておく! なのです。
こちらは艦これ公式四コマと仮面ライダー響鬼のコラボSSです。前4作とはまったく世界観等は無関係で続編でも何でもないです。
あと、か~な~り~響鬼さんがおかしい!
です。
一人前のレディーにはか~な~り~早すぎるかもしれないのでご注意ください。
・・・ハラショー
前作
祥鳳「私が轟沈・・・?」 剣崎「ウゾダドンドコドーン!!」
弦太朗「俺は全ての艦娘と友達になる男、如月弦太朗だ!!」
比叡「カレーができました!」橘さん「これ食ってもいいかな?」
睦月「私は最強だー!」 上城睦月「艦娘?」
暗い、暗い海。銀髪の少女は突如その海のど真ん中に立っていた。
そこに灯る光は、ただ赤い炎だけ。
響は辺りを見回した。闇に覆われた海原に、三つの光が見えた。
三つの駆逐艦、いや艦娘が燃え上がり、今にも沈もうとしていた。
「次に生まれてくる時は…平和な世界だといいな…」
優しき少女が静かに来世を願い、倒れる。
「こんなところで沈むの・・・、いやだよぉ・・・」
朗らかな少女が恐怖に狂い泣き叫ぶ。
「・・・どこ……?もう、声が聞こえないわ・・・!」
淑女を目指した少女が無音の絶望に震え、苦しむ。
みんなみんな、どこかへ沈んでゆく。暗い暗い深淵に。
(いや・・・。みんな、いかないで・・・!)
響は手を伸ばした。
でも届かない。
誰にも手は届かない。
みんな静かに、深い闇に沈んでゆく。
まただ。
また自分だけが、生き残ってしまう。
ひとりぼっちになる。
「やめて、いかないで・・・!」
「・・・っ!」
声にならない悲鳴をあげ、響は目覚めた。嫌な汗が身体を伝う。
響はうんざりした。
「また、あの夢か・・・」彼女は夢の神を呪った。
まるで悪夢は不死鳥のように蘇る。こんな苦しみを味わうならば、「不死鳥」の二つ名なんて要らない。
響は布団の隣を見つめた。
彼女の姉妹、電、雷、暁の三人が、気持ちよさそうに眠っていた。
いつもそばにいてくれる、優しくて暖かい姉妹達。
彼女達の寝顔を見て、響はホッとした。
でも、あの夢が脳裏に浮かび、その安心はいつも霧散してしまう。
響は思った。
あんな悪夢を見るのも、私が弱いせいだ。
私がもっと強くなれば、もう暁や雷、電を失うことなんてない。
ヴェールヌイじゃ足りない。
もっと強くなりたい。みんなを二度と失わないために。
あの悪夢から逃れるために。
「強く・・・なりたいな・・・」
響は誰にも聞こえないよう、静かに呟いた。
その目に涙が滲んだことを、眠り続ける暁たちは知らない。
「よ~し! 今日は軽空母の先輩達に対空演習に付き合ってもらいまーす!」
教師として駆逐艦娘を指導する伊勢が景気よく言った。その日は軽空母の艦載機を使った対空演習だった。
普段は加賀や赤城達が演習の手伝いをしているが、この日は二人とも出撃で留守だった。そのため、代理として軽空母二人が呼ばれた。
「祥鳳先輩、瑞鳳先輩、よろしくお願いします!」
駆逐艦の少女たちが深々と頭を下げ、敬意を示した。
「はい、よろしくお願いします!」
「よろしくね~」
軽空母の祥鳳と瑞鳳が彼女達に倣って頭を下げる。
「そいじゃ二人ともあとよろしくね~」
挨拶を終えた後、伊勢はどこかへ立ち去ろうとしていた。
「ちょっ、伊勢先輩どちらへ!?」
「今日は私の出番がないんで寝ます」
枕まで用意して寝ようとする伊勢に、「寝ないでくださいっ!」と瑞鳳が怒り出す。
小柄な少女に枕を海へと投げられ、更には耳まで引っ張られて渋々伊勢は立ち上がった。
「イタタ・・・。た、対空演習、始め!」
「攻撃隊、発艦始めてください!」
「さあ、やるわよ! 攻撃隊、発艦!」
祥鳳と瑞鳳が弓から何本も矢を放つ。放たれた矢が艦載機へと変わり、駆逐艦達を襲い始める。
無論模擬弾ではあるが、当たるとそれでも多少は痛むし汚れもする。駆逐艦娘達は必死になって空爆を回避し、模擬弾を当てようと機銃を構える。
その中でも、響の奮戦は凄まじいものがあった。フィギュアスケートの如く海を滑り、爆撃を回避しながら次々と艦載機に弾を浴びせてゆく。気がつけば、あっという間に艦載機達は響によって全て撃ち落とされた。
「響ちゃん、最近頑張って演習してるのです」
落ちた艦載機達をトンボ釣りしながら電が言う。彼女は姉妹艦の活躍に素直に感心していた。
「なんか切羽詰まってるようにも見えるけどねー」と雷。
彼女は響がまたヴェールヌイに戻るのではないかと心配していた。当の響は何も言わず、無言でトンボ釣りをしている。
「響、悩み事なら私を頼ってくれていいのよ? なんせ私が一番上のお姉ちゃんなんだからね!」と暁。
長女らしく振る舞い、妹の肩を優しく叩いた。
「う、うん・・・。ありがとう、私は大丈夫だから・・・」
姉にそう言い残すと、響は再び海原へ躍り出た。
次は軽巡との訓練を始めた。明らかに格上の相手だったが、響はそれでも引けを取らない。
暁達は、どこか必死の様相を見せる響を不安そうに見つめていた。
その一方、隣の重巡洋艦用の演習場から快活な叫びが海原に響き渡る。
「よっしゃあぁぁぁぁ!! 絶好調よ、あたし!」
ガッツポーズを取り、足柄が狼の如き咆哮をあげた。彼女は演習相手を完膚なきまでに叩きのめし、勝利の雄叫びを上げていた。
「・・・あの人は相変わらず戦闘狂ですね」と吹雪。
「やっぱり足柄さんって、戦ってる時の方がホント生き生きしてるし、輝いてるよね」初雪も賛同した。
演習を切り上げ、一息ついていた祥鳳と瑞鳳も、幼い駆逐艦の後輩達の様子がヘンなことに気づいていた。
「ねぇ祥鳳、響ちゃんのこと・・・気付いた?」
「えぇ・・・、響ちゃんどうしたのかしら・・・?」
軽空母の二人にも、明らかに響は焦っているように見えた。
軽巡洋艦に単身挑む響を二人は心配した。
「たいへんなのです! たいへんなのですっ!」
数日後、吹雪達は半泣きの電の言葉を聞き、驚愕した。
突然、響がいなくなっていたのだ。さらに本人の机には、このような書置きが残されていた。
『しばらく修行の旅に出ます。探さないでください。提督によろしく 響』
「えぇぇぇぇぇっっ!?」
吹雪をはじめ、駆逐艦娘の全員が驚愕した。
「ひっ、響ちゃん・・!?」
「とにかく探しに行くのですっ!」
「もしかして、また昔のこと思い出したのかしら・・・!?」
「探しに行きましょう!」
雷達は脇目もふらず、吹雪達の静止も聞かずに響を探しに駆け出した。
どこにいるのかアテもないが、彼女たちは海原へと走り出した。
その頃、響は山を流れる川を遡上する鮭の如く進んでいた。
修行すれば強くなれる。きっとあの悪夢も見なくて済む。
とりあえず山奥に行くことにした。修行といえば山奥。漫画で読んだことがある。厳しい山奥で修行すれば、きっと強くなれる。そんな単純な考えに支配され、響は山奥へと入った。
「暑いな・・・」
どちらかといえば寒さに強い体質なので、蒸し暑い森の中は彼女にとってやや耐え難い。木漏れ日が彼女の雪のように白い肌を照らし、ジリジリと痛めつける。
「暑い・・・」
とにかく、滝でも見つけて修行しよう。暑さに耐えるのも修行かもしれないけど、まずは滝に打たれてからにしよう。
そう思って汗をぬぐい、川を辿っていると、突如水面が揺れだすのを目にした。
「なに、これ・・・?」
危機を察した響が川から離れると、突然、水しぶきをあげて巨大なカニが現れた。
(朧だったら喜んだかもしれないな・・)
濡鼠になりながら響は思った。だが、そんなことを考えている余裕はなかった。巨大な赤いハサミを振り回し、バケガニは響を切り刻もうと近づいてくる。
響は何とか攻撃を避けつつ、手持ちの機銃から弾丸を発射する。
手応えあり。弾丸も確実にハサミに直撃した。
にも関わらず、バケガニはその傷をものともせずに襲いかかってくる。穴のあいたハサミもすぐに傷が塞がってゆく。
「くっ・・・!」
マズい・・・。このままじゃ負ける・・・!
そう思っていたその時だった。
「ようお嬢さん。こっからは俺に任しとけ」
突然、木の上から中年の逞しい風貌の男性が現れた。彼は懐から小さなかんざしのような金属物を取り出し、腕に打ち付ける。
キィィィン・・・
清らかな音色が鳴り響いた。男性が金属物を額に打ち付けると、その体は音に包まれ紫色の炎が発生する。
「ハァッ・・・!!」
紫の業火に包まれた男性は、筋骨隆々の角の生えた異形、鬼の姿に変化していた。
「俺は響鬼、よろしく、シュッ・・・!」
その鬼、響鬼は響に向かって指を振り、巨蟹へと向かった。
これが響鬼である。厳しい修行によって心身を鍛え抜き、異形の戦士「鬼」へと変わる能力を体得した男だ。
響鬼は音撃棒を振るい、カニのハサミを叩き落とした。その直後、カニの腕が届かない死角へと跳躍し、あっという間に背中へと辿りついた。
頂上へと昇った響鬼は、腰帯から丸い紋章、音撃鼓・火炎鼓を取り出し、バケガニの背中へめり込ませた。苦痛に暴れだし、響鬼の背中が揺れる。だが、響鬼は動じることなく、音?棒・烈火を手に取り、火炎鼓に向かって振り下ろした。
「火炎連打!」
掛け声とともに、太鼓のごとく何度も何度も音撃棒を打ち込む。
「てえやぁぁっ!!! はぁぁぁぁ・・・!」
打、打、打!!!
「ハァッ、ハァァァァァ!!」
打、打、打!!!
打ッ、打ッ、打ッッ!!!
バケガニの身体に多量の清めの音が打ち込まれた。打ち込まれるたび、バケガニの身体が崩れ、その体内から光が漏れ出す。
「おりゃああああ!!」
トドメの一撃。打ち込まれた霊気が邪気を清めてゆく。そして、バケガニは断末魔の悲鳴をあげ、土塊となって辺りに飛散した。
土塊がただの土に還り、全ては大地に還った。小川も静寂を取り戻し、鳥たちのコンサートも再開された。
「ハ、ハラショー・・・」
響は驚愕とともにそう呟いた。あんな巨大な怪物を苦もなく倒せるなんて、すごすぎる・・・。
「もう大丈夫だ、お嬢さん」
響鬼は顔のみを人のそれに戻し、呆然としていた少女に手を差し伸べる。
響は暫くどう対応すべきか分からなかった。だが、先程の彼の勇姿を思い出し、彼女はいきなり立ち上がり頭を下げた。
「お願いします、私を弟子にしてください・・・!」
「えぇ・・・?」
ヒビキは戸惑った。何度も人を助けてきたが、いきなりこんなことを言われるのは滅多にな
コメント一覧
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- 2015年04月29日 23:39
- 椎茸入れんな!(あ、ssは面白かったです。)
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