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【艦これ】 五月雨「パンダ提督とわたし」|エレファント速報:SSまとめブログ

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【艦これ】 五月雨「パンダ提督とわたし」

3: ◆8sA8xtnAbg:2015/04/16(木) 00:57:54.05 ID:eozfDAhdo

――――― 第二駆逐隊の部屋

村雨「それでは、第2駆逐隊全員集合を祝して、かんぱーい! 」

夕立「わーい、素敵なパーティー、はっじめるよー♪ 」

五月雨「春雨、改めて、いらっしゃーい! 」

春雨「みんな、ありがとう! 着任遅れちゃったけど、これからよろしくですっ! 」


こんばんは、白露型6番艦 五月雨です! 今日はわたしたちにとって特別な日です。第2駆逐隊の仲間である春雨を、やっとうちの鎮守府に迎えることが出来たんです! 前世で離れ離れになってしまった第2駆逐隊ですが、今日こうして再集結です!


夕立「今日はドーナツいっぱいあるっぽい! 」

村雨「鎮守府は補給がちゃんとしてるからね。必死に運ばなくても、ジュースもドーナツもあるんだよ! 」

春雨「素敵です! じゃあ、ドラム缶持ってこなくても良かったかな……」



4: ◆8sA8xtnAbg:2015/04/16(木) 00:58:42.65 ID:eozfDAhdo

夕立「そういえば春雨ちゃん、提督さんには、もう挨拶したっぽい? 」

春雨「はい、してきたですっ」

村雨「提督の印象はどうだったー? 」

春雨「すごく優しそうな人で安心しましたっ。偉い人だから、もっと怖いのかと思ってたです! 」

村雨「優しすぎて、舐められてるけどね! 」

五月雨「あは、あはは……」


確かに……。提督はとっても優しいのですが、威厳のあるタイプではないので、艦娘の皆さんからはすっかり舐められているというか、好き勝手されているというかです。でも、みんな楽しそうだから良いですよね!


春雨「あとあと、司令官さんのお部屋がすごく広くて、人がたくさん居てびっくりしました。もっと……校長室みたいな感じなのかと思ってました! 」

五月雨「あはは……。それはうちの鎮守府が特別なんだー……」

村雨「わたしはあんまり行く機会無いけど、相変わらずなんだぁ?(ぷぷ) 」

夕立「あの人達、いっつも居るっぽい! 」

春雨「何か特別なのです? 」

五月雨「うん……なんだかね、提督が大好き? で、用がなくても、提督の側ですごしてる人が何人かいるの」



5: ◆8sA8xtnAbg:2015/04/16(木) 00:59:34.81 ID:eozfDAhdo

村雨「そうそう、春雨。提督って何かに似てると思わなかった? 」

夕立「ヒントは、動物っぽい! 」

春雨「動物ですか? うーーーん、まるっこくて、お腹とかポヨンと出てて……黒くて丸いメガネで……、わかりました、パンダです!」

村雨「あはは! やっぱり初対面でそう思うんだー」

五月雨「もうすっかりパンダで定着しちゃったねー」

夕立「パンダ提督ってアダ名、すごく似合うっぽい~ 」

春雨「はわ、ほんとにそういうアダ名なんだっ! 」


わたしたちの提督は、ちょこっと丸めで、黒くて丸いメガネをかけてます。その見た目から、すっかり「パンダ提督」という扱いになってしまいました。わたしは、パンダは可愛くて大好きだからすごく良いと思いますけど、提督はちょっと複雑みたいです……あはは。



6: ◆8sA8xtnAbg:2015/04/16(木) 01:00:48.05 ID:eozfDAhdo

春雨「でも、司令官ってここで一番偉いんですよね。そんなアダ名つけちゃって平気なのかなぁ? 」

村雨「あははっ。提督は、そんなこと気にしないから大丈夫だよっ」

夕立「夕立なんて、お腹ぽんぽんってさせてもらってるっぽい~。楽しいよ~ぽんぽんっ」

五月雨「ほ、ほどほどにしてあげてね……。提督、ぽんぽんされると、いつも困った顔で汗かいてるから」

村雨「あはは、提督は相変わらず、女の子が苦手なのね」

春雨「でもでもー、艦娘はみんな女の子ですから、それじゃあ司令官は大変そうですね~」


提督は、女性があまり得意ではないので、近寄られるだけで緊張して大変みたいです。でも、駆逐艦の女の子たちや動物系の子。一部の提督スキーな人たちは気軽に近寄ってきちゃいますから、大体いつでも困った顔をしています。これって逆セクハラって言うんでしょうか。


村雨「大丈夫大丈夫っ。提督は女の子が嫌いなんじゃなくて、慣れてなくて緊張しちゃってるだけだものっ。いっぱいさわって、慣れさせてあげるほうがいいよ♪ 」

夕立「わかった! 夕立、もっとがんばるっぽい~♪ 」

五月雨「あは、あはは……ほんとに、ほどほどにしてね? 」


こうして提督はまたおもちゃにされちゃうんですね……かわいそう……。



7: ◆8sA8xtnAbg:2015/04/16(木) 01:01:18.08 ID:eozfDAhdo

村雨「秘書艦に怒られちゃった! 気をつけないとお仕置き食らっちゃうぞ~~」

五月雨「もうっ、お仕置きなんてしないですっ」

春雨「すごい人がいっぱいいる鎮守府で秘書艦なんて、五月雨すごいね! 」

夕立「大体いつも秘書艦っぽい? 」

村雨「だよね。出撃してる時以外は、いつも秘書艦だよね」

春雨「すごいねー、信頼されてるねっ! 」

五月雨「ち、違うよ~。わたし、初旗艦だから、その流れでずっと担当させて頂いているだけだよー」

村雨「五月雨は、こう見えて、この鎮守府一番の古株なんだよね! 」

夕立「わたしも相当古株っぽい♪ 」

春雨「いいなー、春雨もがんばっておいつかなきゃっ 」



8: ◆8sA8xtnAbg:2015/04/16(木) 01:01:56.66 ID:eozfDAhdo

村雨「わたしも結構遅めだったから、鎮守府の初期の頃はよく知らないのよねー」

春雨「初旗艦っていうことは、最初は五月雨一人だけだったんでしょ? どんな感じだったのか知りたいな~ 」

夕立「わたしも聞きたいっぽい~ 」

村雨「聞きたいな! 提督が最初はどんな感じだったのかとかも知りたいし」

五月雨「ええ~~。長くなっちゃうよー」

村雨「いいじゃんいいじゃん、夜はこれからなんだしさ! 」

春雨「五月雨、聞かせて~ 」

五月雨「うーん、じゃあ、ほんとに長くなっちゃうからね! 」


……

そっか、もう1年になるんですね。初旗艦として提督と出会って、いろんな事件があって……。大変な事もいっぱいあったけど、わたしは……そして提督も、きっといっぱい成長できました! ちょっと恥ずかしいけど、思い出しながら……お話してみようかな……。



9: ◆8sA8xtnAbg:2015/04/16(木) 01:03:30.77 ID:eozfDAhdo

――――― 五月雨の部屋 提督着任前日の夜

……新しい鎮守府が開かれることになると、そこに一人だけ艦娘が先に生まれて、提督をお待ちすることになります。初旗艦って言われてます。

と言っても、わたしも今日誕生したばかりの身ですが……。前世のおぼろげな記憶、艦娘として必要な知識……そういうものは自然と身についているみたいです。赤ちゃんが泣き方を知っているようなものなのでしょうか。

提督は明日朝着任されます。鎮守府入り口までお迎えに行って、わたしが案内することになっています。

提督っていうと……戦艦とか空母にのって艦隊の指揮をとったり、本営にいらっしゃる、とっても偉い人ですよね。前世でも駆逐艦だったわたしにはあまり縁がありませんでしたが……。怖そうな、いかつい感じの男の人ですよね……。

正直、ちょっと怖いです(泣) でも、艦娘はわたしだけで、いきなり秘書艦になることが決まっています。こ、怖いけどがんばらないと……。

遅刻なんてしたらきっと怒られます! 今日はちゃんと寝ないと……寝ないと……寝ないと……

そう思うと眠れませ~ん!



10: ◆8sA8xtnAbg:2015/04/16(木) 01:04:12.86 ID:eozfDAhdo

――――― 翌朝 鎮守府入り口

提督(ここが……僕の鎮守府かぁ)

提督(戦闘指揮には不向き、デスクワーク向きと言われて……。それでずっと後方勤務だった僕が、いきなりこんなことになるとは)

提督(艦娘を率いるには、なにか生まれ持っての適正が必要なことが分かって……。提督不足の中、軍人全員に一斉適性検査が行われて、僕には適正があって。それで、下っ端からいきなり司令官なんてなぁ。)

提督(深海棲艦の脅威に対して、提督が不足しているから仕方ないんだろうけど……。士官学校時代から、戦闘関係には落ちこぼれで……コミュニケーションも苦手な僕が……本当に提督なんてつとまるのかな)


提督「確か鎮守府入り口でいいはずだけど……誰も来ない……。場所間違ったかな……? 」



11: ◆8sA8xtnAbg:2015/04/16(木) 01:04:42.86 ID:eozfDAhdo

た、大変です、大変です! 眠れないー眠れないよーってやっているうちに、寝過ごしてしまいました!

ど、どうしよう、怒られます!


五月雨「とにかく、全力で走ります! 駆逐艦ですから、足は速いですっ。せめて遅れを取り返さないと! 」


ダッシュダッシュ


提督(あ、誰か来た。良かった、場所は間違ってなかったみたいだ……)


ダッシュダッシュ


提督(あ、あれ、すごい勢いで……)

五月雨「あああ! スピードが落ちない~~」

コケッ

五月雨「わあああぁぁぁ!」


ぼよんっ(提督のお腹に顔から飛び込んだ)


五月雨「うわっぷ!」

提督「げふっ」



12: ◆8sA8xtnAbg:2015/04/16(木) 01:05:17.72 ID:eozfDAhdo

あわ、あわわ、誰かにぶつかってしまいました! ……その割には、ぼよんって柔らかく跳ね返った気がしますけど……。

って、きっと提督です! あわわ、どうしよう!


五月雨「わわわ、だ、大丈夫ですか? お怪我はありませんかっ! 」

提督(み、みぞおち……。って、これが艦娘! なんか思ってたのと全然ちがう……。普通の女の子じゃないか)

提督「は、はい、大丈夫です。そちらこそ、怪我はないですか?」

五月雨「は、はい、わたしったらドジでごめんなさい! 」

提督「怪我がなかったなら良かったです。あなたが、艦娘ですか……? 」

五月雨「は、はいっ! 五月雨っていいます。よろしくお願いします! 」(ペコリ)

提督「こ、こちらこそよろしくお願いします。提督です」(ぺこり)

五月雨「ぶつかってしまって、本当にごめんなさい! すぐご案内します! 」

提督「は、はい、お願いします」



13: ◆8sA8xtnAbg:2015/04/16(木) 01:06:18.68 ID:eozfDAhdo

――――― 鎮守府 廊下

ふー、やっと落ち着いて来ました。いきなり遅刻して衝突して……あああ、遅刻したお詫びを忘れてました。ちゃんと謝らないと。


チラッ


この方が提督……。イメージと全然違う。すごくお若いし、全然怖そうじゃないし。お腹がぽよんとしてて……。あ、わたしがさっきぶつかったのはこのお腹だったんだ……。眼鏡がまんまるで……。こう、全体的に「丸」って感じの方ですね。


五月雨「あの、提督……? 」

提督「はい? 」

五月雨「その、先程は思いっきり衝突してしまっただけでなくて、思いっきり遅刻してしまって……本当にごめんなさい! 」

提督「ああ、遅刻したから、あんなに一生懸命走っていたのですか。どうか気にしないで下さい」

五月雨「いえ、でも! 」

提督「それどころか、逆に良かったです」

五月雨「え……? 」

提督「……実は僕もすごく緊張してました。艦娘って、一体どんなごっつい感じなんだろう。ロボットみたいな感じなんだろうか? って色々不安だったんです。でも、いきなり緊張がとけました」


ろ、ロボット! そっか、知らない人が艦娘の事を聞いたら、きっとそんなイメージなんですね。でも、なんか傷つきました!


五月雨「怒ってないなら良かったですけど、でも、ロボットはひどいです!」(ぷくー)

提督「あ、い、いえ! その、事前に聞いていた話が……女性の形をしているけど、強力な戦闘艦と同等以上の能力を……。破壊力、耐久力、速度などなどを持っているっていう話だけだったので……。それこそ、身長2mで、『ゴメイレイヲ……』みたいな感じなのかなってイメージしてまして……」

五月雨(ぷくー)

提督「ほんと、ごめんなさい、こんなかわいい女性だとは知らなくて。ち