RSS速報
サム・アレキサンダーという1人の男性の生涯についての話をしよう。20代前半まで、自分の夢に向け、前向きに努力してきたサムだが、その後の人生を大きく変えてしまうほどの事故にあう。
だが彼は前向きに生きることを諦めなかった。自分の身にふりかかった不運すらも、生きる糧に変えてしまったのだ。その後彼は、誰も忘れることのできないユニークな魅力をもつ男性として、人々の記憶に残されることとなる。
スポンサードリンク
サム・アレキサンダーはごく一般家庭に生まれた役者を志す男性だった。20代前半、劇場で積極的にキャリアを重ね、シカゴのシューバート劇場に進出するところまでこぎつけていた。だが、そんな矢先悲劇が彼を襲った。ちょっとした不注意から、ガソリンの炎に包まれてしまったのだ。
とっさに腕で目を守ったが、口元など顔の下の部分にひどい火傷を負ってしまった。さらに悪いことに、傷が膿んでひどく化膿し、医者は顔の下のほとんどを骨まで切除せざるをえなくなった。サムの顔は、歯がむき出したぞっとするような風貌になってしまった。
サムは体の傷が回復するまで、シカゴの病院で13ヶ月を過ごした。しかし、心の傷はもっと深かった。新米の看護師がはっと息をのむのを我慢しなくてはならなかったし、見舞いにきた愛する人たちと目を合わせることもできなくなった。
体が回復すると、サムは社会復帰するための更生訓練施設に入ることになった。しかし、ある医者にプロの補綴師を紹介されて、人工とは思えない本物の皮膚そっくりのマスクをつけ、普通と変わらない顔を得てから、サムの運は少し変わった。
しかし、正面から見ると確かにマスクをつけているようには見えないが、光線の具合によっては、やはりかなり限界があることにサムは気落ちした。皮膚がひきつれて波のようになっているのがわかり、外見で判断されてしまう社会では生計をたてるチャンスはほとんどないからだ。
サムはなにごとにも活動的で野心家だったため、引きこもっていることは余計に我慢ならなかった。ある朝、サムは新聞を読んでいて、ピート・コルテス・サイドショー(サーカスの余興)の広告に目を留めた。このショーは各地で巡業して回っていて、ちょうど更生施設の近くで設営していた。
サーカスの余興という仕事に興味を持ったサムは、例の医者に頼み主催者であるコルテスを紹介してもらう。そしてマスクを外したありのままの姿を見せた。コルテスは最初は怖がったが、その場でサムを雇った。巡業に参加し始めると、サムはたちまち評判になった。
「ふたつの顔をもつ男」の名で、おもにサムは舞台の上で自分の身の上話をするショーに出るようになった。穏やかな物腰で静かな口調でしゃべるサムの声は人の心を癒す効果があった。自分の悲惨な物語で聴衆の気持ちをつかんでおいて、顔を見せて驚かせる。観客は驚いて大声で叫んだり泣き出したりした。コルテスはさらに"心臓の弱い人お断り"と宣伝して特別料金をとり、サムの真の顔を見せた。あちこちの会場でサムは顔を見せるだけで収入を得るようになった。
サムはたちまち引っ張りだこになり、リングリング・ブラザースや、バーナム&ベイリー・ショー、クライド・ベイティ・サーカス、1960年から1967年にかけては、ショーマンの大御所、ウォード・ホールと共に仕事をした。
ついに、サムは自分のショーを持つようになり、伝説的な小頭症のシュリッツを施設生活から救うことになった。
生計はたつようになったものの、顔のダメージを回復するために、サムは72回もの手術に耐えなくてはならなかった。結局、手術で完璧に顔が治ることはなく、ついにサムはつぎはぎの顔のまま引退した。
サムは偏見をもたず、柔軟な男だったため、残りの人生はありのままの自分で過ごそうと決め、マスクをつけなかった。サムは1997年に亡くなったが、今日彼のことを知る人は皆、ふたつの顔をもっていても、その優しい心にはまったくブレのない誠実な男として好意的に記憶に留めている。
via:thehumanmarvels・原文翻訳:konohazuku
▼あわせて読みたい
疑う余地のない医学的な記録がある中で、最も身長の高い人間、優しい巨人と呼ばれた「ロバート・ワドロー」
人間が見世物とされていた時代。アメリカの人間動物園の目玉となったフィリピンのイゴロテ族(1905年)
半分キツネ、半分人間。パキスタンの動物園で人気のキメラ、キツネ人間「ムムターズ」
古きよき時代のアメリカのサーカス団(1800年後期〜1900年初期)
【動画】これがノミのサーカスだ!リアルなノミがサーカスをする1949年の貴重な映像
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
シェアする
この記事をシェア :
「知る」カテゴリの最新記事
「人類」カテゴリの最新記事
この記事をシェア :
人気記事
最新週間ランキング
1位 11397 points | いったい誰が?何の目的で?謎に包まれたシベリアの孤島にある1300年前の遺跡「ポル=バジン」 | |
2位 4612 points | 人間の目を合成眼球に置き換えて視力強化、更には映像記録デバイスにもするという大胆プロジェクトが発足(イタリア) | |
3位 3809 points | モフりポイント無限大。猫の巨大種たちの画像総集編 | |
4位 3724 points | 世界で一番忍耐強い猫。10年間毎日、飼い主の帰りを停留所で待つアケさん(オランダ) | |
5位 3624 points | 海で泳いだらそのまま会社へ、世界初、水陸両用ビジネススーツ型のウエットスーツ「TRUE WETSUITES」が販売開始 |
スポンサードリンク
コメント
1. 匿名処理班
すげぇな 不幸にも挫けず立ち上がって自分の人生を歩んだ姿勢に感動した。 自分だったらきっと立ち上がることはできないだろうな
2. 匿名処理班
カッコイイ生き方
3. 匿名処理班
強い
見習おう
4. 匿名処理班
(´;ω;`)
自分の容貌に好き嫌い言うの、ばかばかしいや