戻る

このページは以下URLのキャッシュです
http://rss.rssad.jp/rss/artclk/T7he30zk4qYy/0b913934a9ea30655f77f26afcbb4234?ul=qhBM9INPSDmhCgiDKsuG0i0VDqywDI9jX9FMJXyIJ8Job7T3J4uhmBhud0BM4aao._wAesPx9ZAlL9fmUpfPXtOpgS9pEApa_u6EJG1EQeG6NXNt.L2wtrgEcY.6NCOlDBrGJ0q


ネットで友だちの痴態動画を晒したら…。PC画面で完結するホラー映画「Unfriended」が米国で上映 : ギズモード・ジャパン

ネットで友だちの痴態動画を晒したら…。PC画面で完結するホラー映画「Unfriended」が米国で上映

2015.05.08 19:00
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

150503unfriended.jpg


新年度、ゴールデンウィーク…と飲み会つづきの皆さん! ハメをはずして泥酔してしまった友だちの動画をネットに晒したりすると、とんでもない災いが降りかかってくるかもしれませんよ。酔った友だちにはくれぐれも親切に。人生、助け合いです。

米国で先月公開された映画「Unfriended」(「友だちがいない」「悪意がある」という2つの意味を持つタイトル)は、ネット世代にありがちな炎上ネタを扱ったホラー作品。これはIMAXシアターで鑑賞するようなSF映画やド迫力映画とは一線を画してまして、どちらかというと自宅のベッドで毛布にくるまってプリングルス片手にラップトップで観ると、その恐怖の世界観が深く味わえそうです。

「Unfriended」は「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」や「パラノーマル・アクティビティ」と同じように、登場人物それぞれの視点を集めた低予算映画。ですが、森の中のドキュメンタリー風映画でもなく、家の中でWebカメラを使って撮影した作品でもなく、十代の若者たちがラップトップのスクリーン上でインターネットを介して目にする光景のみで構成されているのが特徴的ですね。

作品は冒頭から不安を煽る内容。Laura Barnsという女の子が自分の頭を銃でぶち抜くシーンが遠巻きに撮影された衝撃的なシーンが、LiveLeakで公開されるところから始まります。クリックして別の動画に切り替えると、こんどはLauraが泥酔した夜の一部始終が世界中に晒されるという、自殺の引き金となったYouTube動画が…。そこには性的な軽蔑を表す言葉や「人生の無駄遣い」といったコメントが並びます。こういう流出事件、きっと皆さんも見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

さて、そんな事件も記憶の彼方へと消えたころ、Blair(シェリー・ヘニッヒ)という女の子のパソコン画面にSkypeのビデオコールが着信します。Blairとその彼氏Mitchは、すぐに4人の仲間とともにグループ通話に応答しますが、そこにはアバターのない謎のメンバーがなぜか紛れ込んでいました。

その「おかしな人物」がグループ通話から抜けようとしないことに恐怖を感じるティーン・エイジャーたち。と同時に、メンバーの何人かが、死んだはずのLauraのフェイスブック・アカウントからメッセージを受信します。ふと気づくと、今日はLauraが自殺した命日なんですね、これが。

釣りか? 呪いか? それとも怨霊による荒らし行為なのか!?



本作は映画「キャリー」の逆バージョンのような感じで、いじめた側の視点から見た、復讐されるティーン・エイジャーを体験していくストーリーとなっています。秘密が暴かれ嘘が明らかになり、過激なシーンもありますが、米GizmodoのKnibbs記者は登場人物たちに構う気が全然起きなかったもよう。なぜなら彼らのほとんどが暴力的な死に向かうだけでなく、やたら金持ちだったり、どうしようもない人間だったりするから、というのがその一因だそうです。

それにしても、2013年におけるティーン・エイジャーたちのインターネットの使い方ってなかなか印象的ですね。映画は、Skypeのグループビデオチャットを中心に、iMessage、フェイスブック、BitTorrent、YouTube、Chatroulette(ランダムで抽出された相手とビデオチャットを楽しむWebサービス)を織り交ぜながら進行していきます。

ただ唯一リアリティに欠けるのは、ティーン・エイジャーたちがみんな自宅にいるのに、お互いのコミュニケーションや怪奇現象に対して完全に一人で体験しているところでしょうか。Knibbs記者はシアターで鑑賞したとき「親御さんはどこに?????」というメモを残しており、また映画全体としては次のような印象を持ったようです。


「Unfriendly」は、やたら派手な「ネットいじめ」を扱ったまとまりのない駄作という印象です。死んだLauraによるいじめっ子たちへの仕返しはどんどん過激になっていきますが、ホラー指数としては5点満点のうち3点といったところでしょうか。アガサ・クリスティの作品「そして誰もいなくなった」の基本的な筋書きを聞いたことがあれば、だいたい予想がつく展開です。でも、「バッファ」やビデオコールのフリーズ、ポップアップ広告など、インターネットならではの要素をつかって人々を苛立ちの中に封じ込め、恐怖を煽っていく手法は上手いですね。「Unfriended」は、低予算映画に新鮮さと不快さを加えたという意味では成功したと言えるでしょう。


ちなみに「Unfriended」の作品様式は、若いカナダ人の映画プロデューサーが2013年に公開したショートフィルム「Noah」と似ています(こちらは17分のロマンティック・コメディーなので、作品のトーンはだいぶ違いますが)。「Noah」も「Unfriended」と同じく、ティーン・エイジャーのPCスクリーン上のみで展開され、色々クリックする若者たちの習慣を注意深く追うことで深い関係性が構築されていきます。またどちらの作品も、登場人物たちが本音をタイピングしてはそれを削除し、本音ではない言葉を入力し直す様子を見せることで、内部的な思考が垣間見えるようになっています。


Image by Apple Trailers

Kate Knibbs - Gizmodo SPLOID[原文
(Rumi)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • マスターショット100 低予算映画を大作に変える撮影術
  • クリストファー・ケンワーシー|フィルムアート社
  • 荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)
  • 荒木 飛呂彦|集英社
・関連メディア