テクノロジーが戦争を変え、戦争がテクノロジーを変える軍事技術の話題。国防・航空宇宙開発企業の英
BAE Systems が、暗視ゴーグルにライフル用のサーモグラフィ内蔵スコープの映像を投影するシステムを開発中と発表しました。
このシステムを使えば夜間戦闘において暗闇での視界を確保しつつ、サーモスコープで敵に狙いを定めることが可能となります。
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BAE Systems は ENVG III / FWS-I (Enhanced Night Vision Goggle III and Family of Weapon Sight-Individual)と名付けられたこの統合システムで、暗視ゴーグルとライフル用のサーモグラフィ内蔵スコープの統合を進めています。
従来の夜間戦闘では暗視ゴーグルで敵を発見後ゴーグルを外し、銃に取り付けたサーモスコープで再び敵を狙っていたため、この間に敵を見失うリスクがありました。また、機材も別々であるため、重量がかさむ欠点もありました。しかし統合システムではこれらを1セットにまとめ、同時に使用することで兵士の機動性を高めるとともに、機材の軽量化で疲労蓄積も軽減します。
システムをざっくりと説明すると、暗視ゴーグルとライフル用のサーモスコープを Bluetooth で接続し、サーモスコープの映像をゴーグルの内部モニターに表示させます。そしてこのときゴーグルの暗視映像と、サーモスコープの映像が重ねて表示されるしくみとなっています。
BAE はこのシステムによって、夜間作戦はもとより濃霧や悪天候下でも敵の捕捉が容易になり、素早いミッション遂行が可能になるとしています。さらにサーモスコープの映像で敵に照準を合わせられるため、レーザー照準器は不要。光で敵に察知される心配もなくなります。
BAE は米軍から3500万ドルの初期予算を獲得しており、現在米ニューハンプシャー州に工場を建設中。この夏にも ENVG III / FWS-I システムのゴーグル部の生産を開始する計画です。サーモスコープは現在も開発が進められており、年を越してからの生産となる予定。なお、現場の兵士に統合システムが供給されるのは2016年後半もしくは2017年前半ごろの見通しです。
[Image credit: BAE Systems]