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自販機「はぁ、またあんたか……」




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1:SS速報:2009/11/13(金) 10:44:06.75 ID:Z4fMx/OjO


自販機「今日もパシりにされてるわけ」

自販機「ホント同情しちゃうわ。私の身にもなってよね」

DQN「おい!遅せぇぞ早くしろ!」

自販機「呼ばれてるわよ。早く……って!ちょっとなにしてるのよ!中で詰まっちゃうでしょ!注意書き読めないの!早く取り出しなさいよ!」


2:SS速報:2009/11/13(金) 10:46:05.14 ID:Z4fMx/OjO


自販機「……はぁはぁ。壊れたらどうするのよ。まったく」

ギャル「ちょっジュース買ってかない?」

自販機「ちょっとあんた達!一本ずつ取るのよ!わかってるわね!」


3:SS速報:2009/11/13(金) 10:47:55.05 ID:Z4fMx/OjO


自販機「夜は暇だわ。誰か買いに来ないかしら」

自販機「あ!警備員さん。疲れたでしょ。い、一本だけなら買っていってもいいわよ」

自販機「って無視するな!……はぁ。なによもう」


6:SS速報:2009/11/13(金) 10:50:55.31 ID:Z4fMx/OjO


自販機「今日は新入りが来る日ね」

自販機「どんな奴かしら。ま、たいした事ないわ。私はここに20年いるんだから」

自販機(新)「こんにちは」

自販機「ひゃ!びっくりさせないでよ!……いつからいたのよ!挨拶くらいしなさいよ」

自販機(新)「ご、ごめん」


10:SS速報:2009/11/13(金) 10:54:56.06 ID:Z4fMx/OjO


自販機(新)「君はここに何年くらいいるの?」

自販機「に、20年よ!あんたより先輩なんだから敬いなさいよ」

自販機(新)「す、すいません先輩。」

自販機「別に謝らなくてもいいけど」

自販機(新)「僕も前にいたところに20年いたんだ。だけど人が少ないからって」

自販機「……」

自販機(新)「ホントは壊される予定だったんだけど、ある人に助けられて」


12:SS速報:2009/11/13(金) 10:58:07.11 ID:Z4fMx/OjO


自販機「ある人?」

自販機(新)「うん、村の村長さん。長年使ってきたから壊さないでくれって」

自販機「……」

自販機(新)「……どうしたの?もしかして、泣いてる?」

自販機「……な、泣いてなんかいないわよ///ちょっと目にゴミが入っただけなんだからね」

DQN「お、新しい自販機あんじゃん。買ってみようぜ」


13:SS速報:2009/11/13(金) 11:02:03.26 ID:Z4fMx/OjO


自販機(新)「いらっしゃい。好きなの買っててね」

DQN2「俺の分も頼むわ」

DQN3「んじゃ、俺のも~」

DQN「ち、しゃあねぇな!今日に限ってあいつ休みがって」

自販機(新)「……って!おい!一本ずつ取って……くれよ」

自販機(新)「はぁはぁ。なんて乱暴なやつなんだ」

自販機「ここの奴らそういうのばかりよ。ま、頑張りなさい」


17:SS速報:2009/11/13(金) 11:10:45.82 ID:Z4fMx/OjO



自販機(新)「ここは空が寂しいな」

自販機「まぁ都会だからね。あんた村とか言ってたけど、相当田舎にいたのね」

自販機(新)「村の若い人達が都会に行っちゃって村自体がなくなっちゃったんだ」

自販機「そう……なんだ」

自販機(新)「ごめん。聞いてもいないのにこんなこと言って」

自販機「……続けなさい」


15:SS速報:2009/11/13(金) 11:06:37.56 ID:Z4fMx/OjO


自販機「今日はあんたのほうばっかり売れたわね」

自販機(新)「ははは。ごめん」

自販機「ま、人間なんて新しいものに目がないだけよ。そのうち飽きるわ」

自販機(新)「……」

自販機「な、なに黙ってるのよ!」

自販機(新)「いや、別に」

警備員「……」スタスタスタ

自販機(新)「あ、いらっしゃい」

自販機「ああ。あの警備員は買っていかないわよ」

自販機(新)「えっ?なんで」

自販機「知らないわよそんなこと!自分で持ってきてるんでしょ!」

自販機(新)「ご、ごめん」






18:SS速報:2009/11/13(金) 11:18:22.65 ID:Z4fMx/OjO


自販機「……私で良ければ……聞いてあげるわよ」

自販機(新)「あ、ありがとう」

自販機(新)「村には元々お年寄りしかいなくて、コンビニはおろか自販機すらなかったんだ」

自販機(新)「そんなある日村長さんが自販機をおこうって言ったそうなんだ」

自販機「それであんたが来たわけ?」

自販機(新)「うん。村の人達は皆優しくていい人達だった」

自販機(新)「1日に何人かしか来なかったけど、それでも必ず買いに来てくれる人がいたんだ」

自販機「……誰よ?」

自販機(新)「村長さん。村長さんはいつも決まった時間に決まった飲み物を買って行くんだ」

自販機(新)「村が無くなる最後の日もその飲み物を買ってくれて……嬉しかった」

自販機「……」ぐすっぐす

自販機(新)「えっ?だ、大丈夫?」

自販機「か、感動したのよ!ばか!」


22:SS速報:2009/11/13(金) 11:32:01.77 ID:Z4fMx/OjO



自販機「ここは学校だから見ての通りガキばっかで使い方が荒くて困ってるのよね」

自販機「10年前くらいまではそんなことなかったんだけど、最近の奴らは一本ずつ取らなかったり、中には蹴り飛ばす奴もいるのよ!」

自販機(新)「それは酷いね」

自販機「でしょ!あの女ときたら私が故障してるとか言って……ホント失礼しちゃうわよ」

自販機(新)「……ふふ」

自販機「な、なにがおかしいのよ」


20:SS速報:2009/11/13(金) 11:24:36.87 ID:Z4fMx/OjO


自販機「……」ぐす

自販機「もう大丈夫」

自販機(新)「そっか」

自販機(新)「今度は君の話が聞きたいな」


21:SS速報:2009/11/13(金) 11:27:23.84 ID:Z4fMx/OjO


自販機「わ、私の話なんか聞いても面白くないないわよ」

自販機(新)「そんなことないよ。全部というわけにはいかないかもしれないけど、よかったらさ」

自販機「……仕方ないわね!あ、あんたがどうしても聞きたいっていうなら、聞かせてあげてもいいわよ」

自販機(新)「ありがとう」


27:SS速報:2009/11/13(金) 11:37:17.20 ID:Z4fMx/OjO


自販機(新)「ごめんごめん。話なんかしたことなかったからさ」

自販機「あ、そっか。あんただけだったからね」

自販機(新)「君は?やっぱりいろいろな話聞いてきたの?」

自販機「……あんたが初めてよ」ゴニョゴニョ

自販機(新)「えっ?なに?」

自販機「あんたが初めてって言ってるでしょ!何度も言わせるなばか!」

自販機(新)「ごめん」

自販機「べ、別に謝らなくてもいいけど」

自販機「……ふふ、ふふふ」

自販機(新)「今度はどうしたの?」

自販機「あんたの笑いが移っただけよ、ばか!」

自販機(新)「……そっか」


30:SS速報:2009/11/13(金) 11:42:00.01 ID:Z4fMx/OjO


教師「あ、いつもお疲れ様です。それじゃお願いしますね」

業者「ちーす!任せてください」

自販機「今日はあの男か」

自販機(新)「えっ?どうかしたの?」

自販機「……あいつ入れ方が雑なのよね。こっちの気も知れずに」

自販機(新)「しょうがないよ。人間には僕達の声は聞こえないし」

自販機「そうだけど……って言ってるそばから……も、もっと優しく入れなさいよ!このばか///」ガラガラガラ


31:SS速報:2009/11/13(金) 11:44:56.88 ID:Z4fMx/OjO


自販機「はぁはぁはぁ。あいつ、次来たら殺して、やるわ」

業者「んじゃ失礼しま~す」

教師「ご苦労様です」

自販機(新)「た、確かに酷い」はぁはぁ

自販機「あんな入れ方するの、あいつだけよ。よくあれでクビにならないわね」

自販機(新)「……ははは」


32:SS速報:2009/11/13(金) 11:53:43.64 ID:Z4fMx/OjO


自販機「ねぇ、あんたは温かいのと冷たいのどっちが好き?」

自販機(新)「えっ?いきなりだね。ん~そうだね。……冷たいのかな」

自販機「なんで?」

自販機(新)「冷たい飲み物を買うときってさ運動したあととか喉が乾いた時とかじゃない?だからその場で飲んでくれるからさ」

自販機「ふ~ん」

自販機(新)「君は?」

自販機「私は温かいほうかな」

自販機「寒い時に温かい飲み物を飲んで心も身体も温かくなってくれたら、いいなって思うの」

自販機(新)「そっか……ふふ」

自販機「ちょっ、なにがおかしいのよ」

自販機(新)「ごめんごめん。なんか散々人間の悪口言ってた割にはそういう風にも考えるんだなと思ってさ」

自販機「べ、別に人間の心配なんかしてないわよ!それが私達の仕事なんだから。仕事よ仕事!」

自販機(新)「仕事……ね」

自販機「……ホントなんだからね!」

自販機(新)「わかってるよ」


33:SS速報:2009/11/13(金) 11:57:34.14 ID:Z4fMx/OjO


自販機「……来たわね」

自販機(新)「あれが例の女の子?」

自販機「そう。あいつよあいつ!忘れもしないわ」

美琴「ん~喉乾いたわね」

黒子「おねぇさま!わたくしが買って来ますわ!おねぇさまはそこで待っててくださいまし」

自販機(新)「あ、こっちに来た」






35:SS速報:2009/11/13(金) 12:01:06.10 ID:Z4fMx/OjO


自販機(新)「いらっしゃい。好きなのどうぞ」

黒子「ん~どれにしましょうかしら。これね」ガシャン

自販機(新)「ありがとうございました」

自販機「……」

美琴「黒子~早くしなさい」

黒子「だだいま行きますわ」ガシャン

自販機(新)「ありがとうございました」

自販機「ばかじゃないの」

自販機(新)「えっ?」


36:SS速報:2009/11/13(金) 12:07:55.95 ID:Z4fMx/OjO


自販機「聞こえてもいないのにいちいち挨拶とかしちゃってさ」

自販機(新)「そうかな?いつかは伝わる気がするんだよね」

自販機「それはないわ」

自販機(新)「でも村長さんは挨拶し返してくれたし」

自販機「それはあれよ、ボケてただけね」

自販機(新)「例えそうだったとしても僕は嬉しかった。それに人間だって嬉しいと思うし」

自販機「まぁ目当ての飲み物が買えた人は嬉しいでしょうけどね」

自販機(新)「そんなことないよ。それが目当てのもので無いとしても喉が潤されて幸せになれるんじゃないかな?」

自販機「まぁそれもそうかもね。人間は単純だから」


37:SS速報:2009/11/13(金) 12:11:57.18 ID:Z4fMx/OjO


自販機「幸せか……」

自販機(新)「えっ?なに?」

自販機「な、なんでもないわよ!ばか!」

自販機(新)「そう」

自販機「あ!い、いらっしゃいませ~」

男「どれにしようかな~と」

自販機「す、好きなのどうぞ~」

男「よしこれに決めた!」ガシャン

自販機「あ、ありがとう、ごごございました」

自販機(新)「……ふふ」


38:SS速報:2009/11/13(金) 12:15:15.38 ID:+2DXWuKBO


なんか似たシチュエーションを世にも奇妙なで見た気がする



39:SS速報:2009/11/13(金) 12:15:45.54 ID:Z4fMx/OjO


自販機「あ、あんた今笑ったわね!」

自販機(新)「ふふふ、だ、だって……」

自販機「笑うな~!」

自販機(新)「ご、ごめんって。ごめんてば」

自販機「ったく。慣れないことはするもんじゃないわね」

自販機(新)「よかったよ。買った人間も幸せになれたし、君も幸せな気持ちになれたでしょ」

自販機「……多少は」

自販機(新)「それでいいんだよ。最初のうちは」


40:SS速報:2009/11/13(金) 12:18:40.55 ID:Z4fMx/OjO


自販機(新)「段々なれてけばいいんじゃないかな」

自販機「えっ?」

自販機(新)「挨拶も、幸せな気持ちも」

自販機「……そうね」

自販機「たまになら挨拶してもいいんだからね!」

自販機(新)「……ふふふ」

自販機「だから笑うな~!」


41:SS速報:2009/11/13(金) 12:26:35.09 ID:Z4fMx/OjO


自販機「いらっしゃいませ~」

自販機「冷たい飲み物にします?それとも温かい飲み物にします?」

自販機「ありがとうございました!また買ってください」

自販機「……」

自販機「一人は寂しいよ……」

あれからすぐに新入り自販機は動かなくなってしまいそのままスクラップにされてしまった。

自販機「……あいつの分まで頑張らないとね」

自販機「……いらっしゃいませ。お好きな飲み物をどうぞ」

美琴「ん~どれにしましょうかしら」

自販機「ってあの時の女!?」


美琴「やっぱりこれね……ってあれ?」

自販機「また出てこないの?なんであんたが買うといつも出てこないのよ!」

美琴「仕方ないわね……せーの」

自販機「らめぇーー」

おしまい


53:SS速報:2009/11/13(金) 14:09:16.14 ID:Z4fMx/OjO


美琴「しかし今日も暑いわね」

黒子「おねぇさまあちらに自販機がありますわよ!」

美琴「ちょうど喉渇いてたのよね。黒子よろしく」

黒子「お任せくださいまし。わたくしめがおねぇさまの為にry」

美琴「やっぱりいい。自分で買ってくる。同じのでいい?」

黒子「おねぇさまと二人で同じジュースが飲めるのですか!?」

自販機「はぁ、またあんたか」

美琴「どれにしようかな♪」

自販機「ちょっと今度は蹴らないでよね!壊れちゃうんだから」

美琴「なんか言った?黒子?」

黒子「わたくしなにも言ってませんが……」

美琴「……気のせいかしら」ピッ、ガシャン

自販機「……今度はちゃんと買えたわね。また蹴られたらどうしようかと思ったわ」

美琴「……」

美琴「自販機が喋った!?」


54:SS速報:2009/11/13(金) 14:11:55.86 ID:Z4fMx/OjO


黒子「どうなされましたかおねぇさま?」

美琴「い、今自販機が喋った」

黒子「……音声タイプの自販機じゃないんですか?」

美琴「そうよね。じ、自販機が喋るわけないわよね」

自販機「あんた私の声が聞こえるの!?」

美琴「……やっぱり喋った!」


56:SS速報:2009/11/13(金) 14:16:08.66 ID:Z4fMx/OjO


黒子「なにも聞こえませんでしたけど……」

美琴「落ち着け私。きっと裏に人が……いない」

自販機「私が喋ったのよ!」

美琴「きゃああああ」

黒子「どうなされましたおねぇさま!?」

美琴「やっぱり自販機が喋った!黒子聞こえなかったの今の?」

黒子「なにも……きっと疲れてらっしゃるのよおねぇさま」


57:SS速報:2009/11/13(金) 14:19:18.28 ID:Z4fMx/OjO


自販機「そんな……私の声が聞こえるなんて、あんた何者?」

美琴「……」

自販機「ちょっと聞いてるの!?もしもーし?」

美琴「黒子私の頬っぺつねって」

黒子「おねぇさまの頬っぺたをつねるなんてわたくしできませんわ」

上条「おうビリビリ女!どうしたんだ?」


58:SS速報:2009/11/13(金) 14:22:44.63 ID:Z4fMx/OjO


美琴「あ、あんたでいいわ!私の頬っぺつねって」

上条「なんだなんだ?いきなりあって頬っぺつねろって?」

黒子「なりませんわ!そんなことこのくry」

美琴「黒子は黙ってて!……お願い」

上条「しょうがねぇな。こうか?」

美琴「痛い痛い!もういい!」

上条「いて!なんで俺も叩かれなきゃいけないんだよ。……不幸だ」


59:SS速報:2009/11/13(金) 14:27:08.72 ID:Z4fMx/OjO


自販機「話は終わった?であんたは何者?」

美琴「……それはこっちの台詞よ。中に人でもいるのかしら?」

自販機「いるわけないじゃないのよ!私は自販機よ!」

黒子「おねぇさま大丈夫ですの?」

上条「おーいビリビリ女、大丈夫か?」

美琴「ちょっとあんた達は黙ってて」

自販機「あんたには言いたいことがあったのよ!」

美琴「な、なによ?」

自販機「飲み物が出ないからって蹴らないでよね!この暴力女!」


60:SS速報:2009/11/13(金) 14:30:30.59 ID:Z4fMx/OjO


美琴「……あの時の……」

自販機「そうよ!そこの男が買おうとした時にお金が詰まったからってあんた蹴ったわよね!あり得ないわ!普通は通報とか……」

美琴「なんで私が自販機に説教されなきゃいけないの?」

自販機「当たり前じゃないの!私は被害者。あんたは加害者なんだからね!」


61:SS速報:2009/11/13(金) 14:34:03.65 ID:Z4fMx/OjO


美琴「それはあなたがお金を呑み込むから……」

自販機「だからっていきなり蹴るなんて非常識だわ!謝ってよね」

美琴「……」

自販機「なによ?まだ言いたいことでもあるわけ?」

美琴「……なんで自販機なんかに……」ビリビリ

美琴「……なんで自販機なんかに謝んなきゃいけないのよー」

上条「おいやめろ!」


63:SS速報:2009/11/13(金) 14:40:19.70 ID:Z4fMx/OjO


上条「……間に合った」

美琴「……」

上条「おい、また壊す気か?なんだか知らねぇがそれだけはやめてくれよ」

自販機「……」

上条「この自販機には……確かにお金呑まれちまったけどな、必要とされてんだよ。それをお前一人のわけわかんねぇことで壊しちゃいけねぇだろ」

自販機「あんた庇ってくれるの?」

上条「今さらなにいっ……って今なにか言いました?」

自販機「なんであんた私のことなんか庇うのよ!ばか!」

上条「……自販機が……喋っ……た?」


64:SS速報:2009/11/13(金) 14:42:49.16 ID:Z4fMx/OjO


黒子「……お二方ともどうなされたんですかさっきから」

上条「今自販機が喋ったんだよ!お前聞こえなかったのか?」

黒子「わたくしにはなにも……」

美琴「あんたにもこの自販機の声が聞こえたの?」

上条「不幸だ」


65:SS速報:2009/11/13(金) 14:45:17.52 ID:Z4fMx/OjO


自販機「ちょっとなんで不幸なのよ!むしろ光栄に思いなさい!」

上条「いや、それは無理でしょ。つかなんでそんなに……」

自販機「あんたの意見なんか聞いてないわよ!」

上条「……はい」

自販機「……さっきは……ありがと」

上条「……ドウイタシマシテ」


66:SS速報:2009/11/13(金) 14:47:35.58 ID:Z4fMx/OjO


自販機「お、お礼になんでも好きなの買いなさい!」

上条「お礼にって……お代は?」

自販機「なに言ってんのよ!きちんと払ってもらうに決まってるじゃない!」

上条「デスヨネ」


69:SS速報:2009/11/13(金) 14:52:02.18 ID:Z4fMx/OjO


自販機「それじゃもう行っていいわよ」

美琴「……ってなんで上から目線なの?私はまだ……」

上条「やめろって。どう考えてもお前が悪い」

美琴「元はと言えばあんたのお金が呑まれたのがいけないのよ!」

上条「そうでしたね。じゃあジュース一本奢るから許してくれよ」

美琴「……仕方ないわね」

上条「ということでもう一本頂くぜ」

自販機「まぁあんたが買うなら……いいわよ」


71:SS速報:2009/11/13(金) 14:56:06.39 ID:Z4fMx/OjO


上条「ほらよ」

美琴「ありがと」

黒子「……」

美琴「行くわよ黒子」

黒子「待ってくださいましおねぇさま!」

上条「さて、俺も帰るかな」

自販機「ちょっと待ちなさいよ!」

上条「まだなんか用っすか、自販機さん」

自販機「……名前、名前くらい言ってきなさいよね!」

上条「俺は上条当麻。ま、これからもよろしく頼むよ。んじゃこれで」

自販機「……上条……当麻」


73:SS速報:2009/11/13(金) 15:03:02.12 ID:Z4fMx/OjO


自販機「べ、別になんとも思ってないわよ!」

自販機「って一人でなに言ってんのかしら、私」

DQN1「お、ここいいね、ちょっと休んでこうぜ」

DQN2「いいね。んじゃ俺の分もよろしく」

DQN3「俺の分もな」

DQN1「んで俺が買わなきゃならねんだよ」

自販機「……」

DQN1「たく。しょうがねぇな。」ガシャン、ガシャン、ガシャン

自販機「……!ちょっとあんた一本ずつちゃんと取りなさいよ!壊れたらどうするの?」

DQN1「あれ?詰まっちまったか?くそ!」

DQN2「あれ?どうした?……って詰まってんじゃねぇか」

DQN3「だっせwwwお前なにやってんだよ」

DQN1「うっせぇな。今とっから待ってろ」

自販機「痛い痛い!あんた無理矢理取ろうとするな!」


75:SS速報:2009/11/13(金) 15:06:42.99 ID:Z4fMx/OjO


DQN1「んだよこれよ!」

美琴「どうかしたの?」

DQN2「あ?んだてめぇ」

DQN1「なんでもねぇよ。ガキはすっこんでな」

自販機「痛いって言ってんでしょ!このばか!」

美琴「ちょっとどいてください。こういうのは横にずらせば……」

美琴「はい。取れました」

DQN1「い、今やろうとしてたんだよ!」

美琴「それはそれはすいません~」


76:SS速報:2009/11/13(金) 15:13:20.01 ID:Z4fMx/OjO


自販機「あ、ありがと///」

美琴「昼間のお詫び。これで貸し借り無しね」

自販機「……」

美琴「ん~それにしても不思議ねぇ」

自販機「……なにじろじろ見てんのよ」

美琴「あなたは魔術とかで作られたとか?」

自販機「違うわよ!私は普通の自販機と一緒よ!」

美琴「そんなむきにならなくても。……確かにあの男が触ってなにも起きなかったんだからそうね。」

自販機「なに一人でぶつぶつ言ってんのよ」

美琴「こっちの話」

自販機「あっそ」

美琴「んじゃまたね」

自販機「ちょっと待ちなさいよ!あんた名前は?」

美琴「御坂美琴よお喋りな自販機さん」


77:SS速報:2009/11/13(金) 15:15:18.48 ID:Z4fMx/OjO


自販機「御坂美琴に上条当麻。なんで私の声が聞こえたのかしら?」

自販機「……」

自販機「あの女、魔術とか言ってたわね」

自販機「今度聞いてみましょう」


79:SS速報:2009/11/13(金) 15:17:27.01 ID:Z4fMx/OjO


初春「美琴先輩待ってください!」

佐天「なんですかいきなり?」

黒子「わたくしにもわかりませんの。最近のおねぇさまはちょっと様子がおかしくて」

美琴「着いてくればわかるわよ」


80:SS速報:2009/11/13(金) 15:20:41.25 ID:Z4fMx/OjO


美琴「着いた」

黒子「ここは……昨日の自販機」

佐天「この自販機がどうかしたんですか?」

初春「別に特に変わったところは見当たりませんが……」

美琴「おはよう自販機さん」

佐天「……ちょっとなに言ってるんですか?じ、自販機さんって」

黒子「おねぇさま、あの自販機の声が聞こえるらしいのですの」


81:SS速報:2009/11/13(金) 15:23:03.15 ID:Z4fMx/OjO


自販機「あ、美琴。お、おはよ」

初春「……なにも聞こえませんけど……」

美琴「佐天さんは?」

佐天「私も……」

美琴「やっぱりか……」

自販機「なにかわかったの?」

美琴「わかんない」


84:SS速報:2009/11/13(金) 15:29:32.71 ID:Z4fMx/OjO


美琴「ん~。なんで私とあいつにだけ聞こえたのかしら?」

自販機「……昨日」

美琴「えっ?」

自販機「昨日魔術がどうとか言ってなかった?あんた」

美琴「言ってたけど。でも貴女は魔術とかの影響は受けてないと思う、たぶん」

自販機「たぶんってなによ!はっきりしないわね」

美琴「魔術の力の影響ならあいつが触れた瞬間貴女は喋らなくなるはず。だけど貴女はこうして喋ってるわ」

自販機「……」

美琴「あいつ、上条当麻は異能の力を無効化する力があるの」


85:SS速報:2009/11/13(金) 15:33:39.75 ID:Z4fMx/OjO


自販機「……イマジンブレイカー」

美琴「そ。それに引っ掛からなかったってことは魔術は関係ないのよね」

自販機「当たり前じゃない!私達は自販機同士なら会話できるんだから!」

佐天「なんて言ってるんですか?」

美琴「……自販機同士なら会話できるそうよ」






86:SS速報:2009/11/13(金) 15:36:45.59 ID:Z4fMx/OjO


初春「自販機さん同士で会話してるんですか?凄いですね~」

佐天「いや凄くないだろ。怖いよ」

黒子「にわかには信じがたいですね」

美琴「でもそれは私とあいつが声が聞こえるのとは関係ないわね」

上条「お、なんだビリビリ女も来てたのか」

美琴「……ビリビリ女って言わないでくれる」


87:SS速報:2009/11/13(金) 15:40:52.44 ID:Z4fMx/OjO


自販機「あ……と、当麻おはよ」

上条「おう!おはよ。今日も売れてるか?」

自販機「ま、まぁまぁね」

自販機(なんで私ドキドキしてるんだろ)

上条「そっか。んじゃ今日も一本頂くぜ」

自販機「……!だ、だめ!今日は駄目よ!」

上条「えっ?なんで?」

自販機「……売り切れだから」

上条「いや、売り切れてないじゃん。買わせてくれよ」

自販機「駄目ったら駄目なの!」


88:SS速報:2009/11/13(金) 15:42:52.71 ID:Z4fMx/OjO


佐天「なんか端から見てると変質者ね」

初春「いいな~私もお話したいです」

佐天「あんたそれ本気で言ってんの?」

初春「はい!もちろんです」

黒子「信じられませんわ」


89:SS速報:2009/11/13(金) 15:46:53.09 ID:Z4fMx/OjO


初春「なんでですか~?私の目を見てください」

黒子「いえ、そういう意味ではなくて……もういいです」

初春「自販機さん。一本くださいな」

上条「いや、俺が先だから」

初春「あ、すいません」

自販機「誰か助けて」

初春「えっ?」

上条「おいおい、それじゃ俺が脅してるみたいじゃないか」

初春「そ、その暴力はいけないと思います!」

上条「えっ?」


91:SS速報:2009/11/13(金) 15:50:22.45 ID:Z4fMx/OjO


初春「よくわかりませんが、その子嫌がってるじゃないですか」

上条「いや、俺はただ普通にジュースを買おうと」

自販機「だからあんたには売らないって言ってるじゃないのよ!」

初春「そうですよ!……ってえっ?」

美琴「……初春さん、聞こえるの?」


92:SS速報:2009/11/13(金) 15:54:37.13 ID:Z4fMx/OjO


初春「えっ?えっ?なんで?」

上条「……しょうがない。そこまで言われたら諦めるか。また今度な」

自販機「……」

佐天「ちょっと初春、今……」

初春「聞こえました!自販機さんの声が聞こえました!」

黒子「驚天動地ですわ」

自販機「あ、ありがと」

初春「いえいえ。困ってたみたいなんで助けただけです」

自販機「お、お詫びに一本買っていいわよ」

初春「はい!ありがとうございます」


93:SS速報:2009/11/13(金) 15:59:12.48 ID:Z4fMx/OjO


美琴「なんで急に聞こえるようになったのかしら?」

初春「さぁ?」

佐天「……」

自販機「べ、別に理由なんてどうでもいいわよ」

初春「……そうですよ!私は聞こえるようになっただけで十分です」

佐天「私には初春の今の気持ちが理解できない」


95:SS速報:2009/11/13(金) 16:06:59.68 ID:Z4fMx/OjO


初春「あ、はじめまして私初春飾利と言います」

自販機「ど、どうも」

佐天「ああ、初春までそっち側の人間に……」

黒子「ちょっとそっち側の人間ってどういう意味ですの?おねぇさまは平常ですわ」

初春「自販機さんはいつからここにいるんです?」

自販機「もう20年近くかしら」

美琴「ああ、それじゃガタも……」

自販機「だ、誰かおばさんだってのよ!」

美琴「そこまでは言ってないって」


97:SS速報:2009/11/13(金) 16:09:30.36 ID:Z4fMx/OjO


初春「凄いんですね~。じゃあこの街のことはなんでも詳しいんですね~」

自販機「……」

美琴「それはないでしょ。自販機だし」

初春「あ、そうでした」

自販機「……わ、私だってずっとここにいたわけじゃないわよ」


98:SS速報:2009/11/13(金) 16:12:03.12 ID:Z4fMx/OjO


自販機「その前は学校にいたわ。この先のお嬢様学校に」

美琴「お嬢様学校って常磐台中学?」

自販機「そう!そこよ!」

美琴「じゃあ先輩ですね。」

自販機「だから私はおばさんじゃない!」


99:SS速報:2009/11/13(金) 16:16:39.82 ID:Z4fMx/OjO


初春「へ~。じゃあじゃあ!常磐台中学って昔どんなんだったんですか?気になります」

自販機「ん~今がどんなのかがよくわかんないけど、子供達はもっと礼儀正しかったかな」

美琴「……どうせ私は礼儀正しくないですよ」

初春「やっぱり昔からお嬢様学校だったんですね~。ますます行きたくなりました!」


101:SS速報:2009/11/13(金) 16:23:06.31 ID:Z4fMx/OjO


自販機「それと、街の人々が私達の使い方が悪くなってきてるのよ!」

美琴「……」

自販機「もっと物を大切使うという努力をしてほしいわよ!」

美琴(やっぱりまだ根に持ってるのね)

自販機「……べ、別にあんただけに言ってるわけじゃないわよ!人間にたいしてよ!」

美琴「……フォローになってるのかな」

初春「美琴先輩!これから街の自販機の使い方について指導しに行きましょう!」

美琴「……指導って初春さん?ちょっと待って!」

佐天「……私完全に蚊帳の外ですね」

黒子「……頭がおかしくなりそうですわ」


102:SS速報:2009/11/13(金) 16:27:11.14 ID:Z4fMx/OjO


黒子「ジャッチメントですの!神妙にお縄につきなさい」

ギャル1「ちょっとなに?私らなんか悪いことしたわけ」

ギャル2「いやいや、ただジュース飲んでただけだし!」

黒子「貴女方の後ろにはなにがありまして?」

ギャル1&2「自販機」

黒子「自販機の前にいつまでもいられると次の方々が買えませんの。わかりまして?」

ギャル1&2「すいませんでした~」

黒子「分かればよろしくって」


104:SS速報:2009/11/13(金) 16:36:48.71 ID:Z4fMx/OjO


DQN1「でよ~」

初春「あ、あの!」

チンピラ1「あ?なに?お嬢ちゃん?」

チンピラ2「もしかして逆ナンってやつ?俺達モテるねぇ」

初春「えっと、そうではなくて」

チンピラ1「恥ずかしがってなくていいんだよ~」

チンピラ2「そうそう!後は俺達がエスコートするからさ」

佐天「……そこにいられると邪魔なんだよね。おっさん」

チンピラ1&2「誰かおっさんだと?」

佐天「あんたたちに決まってんじゃん。そこ、自販機の前に座られると迷惑なの。さっさと退いてくれない」

チンピラ1「言わせておけばこのガキ!……っ!なんだ?」

美琴「ジャッチメントよ!これ以上痛い思いがしたくなければ……」ビリビリビリビリ

チンピラ2「お、おいやべえぞ」

チンピラ1「ちっ!くそ!行くぞ」


105:SS速報:2009/11/13(金) 16:38:58.33 ID:Z4fMx/OjO


美琴「大丈夫?初春さん?佐天さん?」

初春「怖かったです~」

佐天「大丈夫です」

美琴「威勢だけじゃどうにもならないよ。後先考えなきゃ」

佐天「すいません」

黒子「おねぇさま、そっちはどうですの?」

美琴「大丈夫。問題ないわ」


107:SS速報:2009/11/13(金) 16:47:28.23 ID:Z4fMx/OjO


美琴「ふぅ。今日はこんなところね」

自販機「……」

初春「はい!これで皆さん自販機の使い方がよくなればいいのですが……」

佐天「一日だけじゃ効果ないと思うけど」

黒子「ま、これからも続けていけば問題ないですわ」

自販機「……なんで、なんでそこまでしてくれるの?」

佐天&黒子「!?」

自販機「わ、私達の為に……」

美琴「いつも助けてもらってる恩返し……かな」

自販機「助けてる……私が?」

佐天「そう。喉が渇いた時や疲れた時とか」

黒子「寒さを凌ぐ時などにはなくてはなりませんわ」

自販機「……」


108:SS速報:2009/11/13(金) 16:53:33.69 ID:Z4fMx/OjO


初春「佐天さん。白井さん。自販機さんの声が聞こえるんですか?」

佐天「いつの間にか……」

黒子「……ですわ」

美琴「自販機はふとした時に手軽に買えるし、街の明かりや目印としても役に立ってるわ」

黒子「今やなくてはならない存在。ですが当たり前にある物ほど軽視する人もいる」

佐天「私達はそれじゃいけないんだって、もっと自販機のありがたみや大切さを普段から考えなきゃって思ったの」

自販機「……」

美琴「ただそれだけ」

自販機「……それだけ」

初春「はい!感謝するのは私達のほうなのです!」

自販機「皆、ありがとう……うっうっ」

佐天「嘘!な泣いてる」

自販機「な、泣いてなんかいないわよ!」


111:SS速報:2009/11/13(金) 16:57:56.72 ID:Z4fMx/OjO


美琴「さて、今日は帰りましょ」

黒子「そうですわね。わたくしどっと疲れましたわ」

初春「今日はいっぱい走りましたからね」

佐天「もうヘトヘト」

自販機「ま、待って!」

自販機「か、買っていきなさい!つ、疲れてるんでしょ……」

美琴&黒子&初春&佐天「……ありがとう」

自販機「……うん!」

おしまい


112:SS速報:2009/11/13(金) 16:59:41.97 ID:woj6Nf8QP


>>1 乙ビリビリ!



115:SS速報:2009/11/13(金) 17:04:24.72 ID:L6eEcrB5O


良かった!!>>1乙!




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