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人間は外国語で考えたほうが理性的で選択を間違えない…シカゴ大学の研究結果:らばQ
2015年05月10日 14:06
 

外国語で考えたほうが理性的
物事を考えるときに、我々はどうしても先入観や癖に左右されやすく、これを何とか取り払うことができないかという研究が進められています。

シカゴ大学の発表によると、母国語よりも第二言語で考えるほうが、より理性的な判断ができることが判明したそうです。

BPS Research Digest: We think more rationally in a foreign language

シカゴ大学の研究チームは、人間の思考に言葉がどのように影響を及ぼしているのか、心理学の見地から調査を行いました。

その結果、外国語(第二言語)で考えた人々のほうが、先入観や癖に影響されずに答えることができたそうです。

まず最初の実験では参加者に以下の情報が与えられました。
「60万人が死ぬかもしれない病気にかかっています」

この状況に対して、2つ選択肢から回答を選びます。
「問題1」
・薬Aを使うと必ず20万人の命を助けることができる。
・薬Bを使うと60万人を救える確率が33.3%あり、誰も救えない可能性が66.6%ある。

そして上と同じ内容の説明を、少し言葉を換えた文面でも用意されました。
「問題2」
・薬Aを使うと40万人が死ぬ。
・薬Bを使うと33.3%の確率で誰も死なないが、66.6%の確率で60万人が死ぬ。

内容は同じなので、「問題1」で薬Aを選んだ人は、「問題2」でも薬Aを選ぶのが当然と思うところですが、言い方を変えているので必ずしも同じ薬は選ばれません。

「問題1」の尋ね方は、薬Aのメリットを強調した文になっています。人は基本的に「メリットが確実なほうを選ぶ傾向がある」ので、Aを選びやすいのです。

ところが2組目の説明では、AのデメリットがBのデメリットよりも明確です。そこで人は「デメリットがあいまいなほうを選ぶ傾向がある」のでBを選ぶ人が増えるのです。

このように文の組み立て方で小さな先入観を植え付けられ、言葉によって答えが誘導されやすいことが、過去の研究からもわかっています。

これらの実験からさらに一歩踏み込み、同じことを外国語(第二言語)で行うと、選択する回答がぶれにくいという結果が出ました。

最初の実験として、12人の英語のネイティブスピーカー&日本語を第二言語として学んでいるクラスで行ったところ、文の組み立て方に惑わされることはありませんでした。

次に韓国語のネイティブスピーカー&第二言語が英語のクラスでも同じ効果。さらにフランス語のネイティブスピーカー&英語が第二言語のクラスでも同じ。

さらにランダムに選んでいないかを確認するため、3つ目に劣る条件も出して追跡調査してあるとのことです。

次の実験では、デメリットを嫌がる人の性質にフォーカスが当てられました。

一般に人間はデメリットに対し、同等のメリットよりも大きな影響を受けやすい感情を持ちますが、それも外国語だと変わることがわかりました。

実験にコインを投げて、勝てば1.5ドル、負ければ1ドルを支払うという提示をしました。

15ドルを用意して15回チャレンジするかどうかを尋ねるもので、勝ち負けで得た損益はそのままキープして良いという条件です。

確率的に考えれば、長くやればやるほど勝つという理屈ですが、おもしろいことに第二外国語で提示されたときのほうが、このギャンブルに挑戦する可能性が高いという結果が出たのです。

なぜ自分の得意でない言語のときのほうが理性ある選択をするのかは、これからの研究課題のようですが、親しみ慣れた言語とそうでない言語では、回答が異なるという興味深い結果となりました。

この研究結果に対する、海外掲示板のコメントをご紹介します。

●それは第一言語は反射的なもので、第二言語は熟考を必要とするからだ。

↑わかるよ。自分の第二言語(韓国語)では何かを言う前に、ボキャブラリーが乏しいので、相当フォーカスしなければいけない。どうやって自分のポイントに行くかを考える。

↑それはしゃべる前に考える、ということだな。多分ほかのやつらも問題はそこなんだ。

●仕事の面接に行く前に、よく自分は質問の答えをどう組み立てるか第二言語で考えるようにしている。すると使える単語が少ないので、単純かつ簡潔になる。それをもう一度英語に戻すとかなり効率のよいコミュニケーションのアイデアが生まれるんだ。

●じゃぁ第3言語は愛のためにとっておこう。

↑うぃ。

●なんてこった…。オレの英語(第二言語)はどんどん堪能になってきてるんだが。ということは、もうすぐまた別の新しい言語を、理性を保つために学ばなくちゃいけないってことだな。

●相手が何を言ってるのかを理解しようとすると、人は理性的になる。多くの人はいらいらしだすと自分の言語に戻るよ。

●それは真実だよ。C++はJavaよりも自分をとても明確な考えを持たせてくれる。


確かに第二言語というのは単語の数も限られ、脳を大いに働かせ、なかなか自分の思い通りに伝わらないことも多いですが、シンプルかつ理性的に物事を考えられるという大きな利点があるようです。

TIL people think more rationally in their second language and make better choices.

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zeronpa | カテゴリ:サイエンス  海外の反応
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