FBIの秘密航空部隊、上空から市民を監視中。プライバシーを心配する人続出
「FBIが秘密航空部隊を持っていて、暴動中の街の上空を監視していた」と聞いたら、ショックですか?それとも「知ってた」って感じ?
先日、ウェストボルチモア上空を飛んでいた妙な飛行機を目にしたベンジャミン・シェインさん。「ここのところずっと街の上を旋回してる小型機、どこのものかわかる?」とツイートしました。このウェストボルチモア、先日、警察が護送していた途中で起きたフレディー・グレイさんの不審な死をめぐって、激しい暴動が起きた地域です。
ツイートを見た米国自由人権協会ACLUの元職員で航空マニアのピート・シンボリックさんは、この怪しい飛行機をFlightrader24で特定しました。1機はバージニア州のNGリサーチという名前の企業が登録しているセスナ182スカイレーン。もう1機はセスナ560サイテーションVジェット機なのですが、機体番号がありませんでした。ということは、米連邦航空局(FAA)も認識していないゴースト飛行機かもしれない…。この2機は暴動が一番ひどい場所の上空をぐるぐると旋回していたようです。
この飛行機について質問を受けた直後、FBIはコメントを避けました。…が、翌日になってボルチモア警察が上空から犯罪の危険性がある場所を把握できるよう、監視用飛行機を飛ばしていたと認めました。まるで「警察がお願いしたから」というような言い方ですが、ワシントンポスト紙に匿名の関係者が話したところによると、この飛行機を飛ばすことはFBIが要求したようなのです。
FBIの監視飛行機は、ヘリコプターよりも長い間飛行することができ、一度に市内の数ブロック分の赤外線画像や熱画像を撮影するものと見られています。そのため、暗い中でもこの監視から逃れることはできません。
不審なFBIの飛行機を調べたシンボリックさんは、取材したワシントンポスト紙に対して、「政府や政府の請負業者が、街の中で何が起きているか把握できる大きな画像を持っているのは非常に不安で、怖いことです」と話しています。
Ars Technicaの編集者で、以前海軍に所属していたショーン・ギャラガーさんは、FBIの飛行機はPersistent Surveillance SystemsやL3 WESCAMといった企業の監視装置が使われていたのではないかと見ています。今のところ、携帯電話の情報を収集するスティングレイが使われたかどうかはわかりません。最高機密でしょうから…。
ちなみにこの記事のトップ画像は、WESCAMが小型飛行機用に開発したマルチセンサー・マルチスペクトル画像システムで撮影したものです。
実は、飛行機による監視が疑われたのは今回のボルチモアの件が初めてではありません。2年前、マサチューセッツ州・クインシーで似たようなセスナが飛んでいるのが発見され、この飛行機についてボストングローブ紙が取材したところ、FBIはすっかり口をつぐんでしまったとか。さらに、昨年も中央情報局CIAがあるバージニア州のマクリーンとラングレーで2機のセスナが低空を旋回しているのが目撃されています。
これらの目撃証言が正しいとしたら、FBIの航空部隊は定期的にアメリカ国内を飛び回って、上空からいろんな場所の市民を監視しているということになります。その人たちが犯罪に関係していようといまいと、無差別に。こっそりと…。
先日、国家安全保障局(NSA)が行っている携帯電話の通信記録の収集は違法だという裁判所の見解が出されました。では、このFBIの監視プログラムはどうなんでしょうか? ACLUやその他の団体が追求する中で、答えが出されるかもしれませんが、なかったことにされちゃうかもしれませんね…。
source: Washington Post、Ars Technica
Adam Clark Estes - Gizmodo US[原文]
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