真紅の壁ドン
- § 桜田ジュンの部屋
- 蒼星石「こ、これでいいのかな? 翠星石…?」ドン
翠星石「きゃーっ! そうですぅ、その感じですぅ! 次はもっと強めに壁ドン頼むですぅ」
蒼星石「う、うん」ドンッ
雛苺「翠星石ばっかり蒼星石に壁ドンしてもらってずるいのー! ヒナにも! ヒナにもしてぇ~蒼星石!」
翠星石「がっつくなですチビ苺。てめぇが蒼星石に壁ドンしてもらおうだなんて百億光年はえーです」
雛苺「みょわわっ!?」
蒼星石「光年は距離の単位だよ翠星石…」
翠星石「細けぇこたぁいいんですよ。さあ蒼星石、次は顎クイです。クイクイって感じで頼むですぅ」
蒼星石「こ、こう…?」クイ
翠星石「うひょー、気分はもうサイコーですー!」
雛苺「うにゃーっ! 翠星石ばっかりずるすぎるのー! ヒナだって乙女チックな気分に浸りたいのよ!」
翠星石「そんなに言うならチビ人間にしてもらえですぅ。チビ苺にはそれがお似合いです」
雛苺「うぇっ!? ほ、本当にヒナがジュンにしてもらってもいいのよ? 翠星石? 本当に? ジュンによ?」
翠星石「な、なんでそんなに念入りに聞くですか」
蒼星石「そりゃ、ジュン君に雛苺が顎クイとかしてもらったら翠星石が怒るだろうから…」
翠星石「ちょっ!? 何を勝手なこと言うですか、蒼星石ったら、もうッ!」ドンッ
蒼星石「ぐわーっ!?」ビターン
雛苺「蒼星石が翠星石にドンってされて壁にぶつかったの。これも壁ドンなのよね」
ジュン「…久しぶりに蒼星石がウチに遊びに来たってのに変な真似をさせたり、したりするんじゃない」
真紅「全くね」
雛苺「あ、ジュン! 真紅!」
翠星石「変な真似じゃねーですよ。乙女の憧れですよ、壁ドンと顎クイは!」
雛苺「ちょうど良いの! ねぇ、ジュン! ヒナに…」
ジュン「そんな真似、僕は死んでもやらないからな」
雛苺「ま、まだ最後まで言ってないのに!」
真紅「確かにくだらない真似だけど、やってあげるくらいいいじゃないのジュン」
ジュン「真紅まで、何を言って…」
真紅「だって、あなた昔はよく壁ドンや床ドンをしていたってのりも言ってたわよ」
ジュン「ッッ!?」
蒼星石「あ、真紅それは乙女がときめく壁ドンじゃなくて、引きこもりが主にやるので、どちらかと言えば乙女はひいちゃう…」
ジュン「詳細な説明はやめてー! 蒼星石ぃ!」
真紅「あら、そうだったの? 何にせよ、つまらない風習ね」
翠星石「やいやい真紅! さっきから、くだらないとかつまらないとか言いたい放題ですがね!
真紅だって乙女の端くれなら、こういうワイルドな行為にちったぁときめくもんだろーが、です!」
真紅「ふっ、その程度でワイルドだなんて鼻で笑っちゃうわ。お子様ね翠星石も」
翠星石「なんですとー!?」
真紅「壁ドンも顎クイも古いわ。時代は既に顎ドンの時代よ」
蒼星石「顎…ドン…?」
雛苺「顎でドンってするのよ?」
翠星石「そんなのカイジかジブリの帝ぐらいにしかできねーですよ」
真紅「違う違う。顎で押すんじゃなくて、女の子の顎を、こう…擦るような感じでドンって」
ジュン「お前は何を言ってるんだ真紅? それただの暴力じゃねーか」
真紅「NO、これは暴力ではない。グリップを聞かせた拳で意中の女性の顎を
ピンポイントでドンッとすることで、あの娘はもう貴方の魅力でフラフラのガクガクに」
蒼星石「それ脳震盪じゃない?」
真紅「いいえ、脳震盪ではない。仮に脳震盪だとしても、脳震盪という名の吊り橋効果だわ」
ジュン「滅茶苦茶を言いやがるなお前」
真紅「ちなみに顎ドンが綺麗に決まった時、意中の娘は操り人形の糸が切れたように
失神して真下に崩れ落ちるから、その後はもう何でも好き放題、やりたい放題よ」
翠星石「犯罪じゃねーですか」
蒼星石「完全に婦女暴行だね」
雛苺「真紅はもう恐怖と暴力でしか、人の心をつかむ方法を考えられないのね」
ジュン「アリスゲームですっかり荒んじまったな真紅も。せっかくアリスになれたってのに」
真紅「んなっ…!? まるで私が邪悪の化身みたいに言わないでよ」
翠星石「じゃあ、もうちょっと真面目に乙女力とか女子力の高い発想をしてくれですぅ」
真紅「じゃあ、首コキャとかはどう? これで落ちない乙女はいないわよ」
蒼星石「それで落ちるのは意識だね。いや、意識っていうより生命だね」
ジュン「顎ドンより悪化してるじゃねーか」
真紅「ば、馬鹿な…!? 愛する男の腕の中で永久の眠りにつく、乙女力マックスの発想のはずではッ!?」
翠星石「現代にゃ、まったくそぐわない思想ですよ真紅」
雛苺「顎ドンとか首コキャとか乙女を馬鹿にしているとしか思えないのよ」
蒼星石「そうだね。大体、真紅はそういうのを誰かにやってもらいたいとか思ってるの?」
真紅「当然。セガールとかカーディアス・ビストに首コキャしてもらいたいわ」
ジュン「マジかよ…」
真紅「巻かなかったジュンにも首コキャしてもらったしね。あの時は紙面も感動の嵐だったわ。流石よね、私」
蒼星石「あれは違うでしょ」
翠星石「真紅が勝手に時間切れ起こして胴体崩壊しただけです」
真紅「ふっ、首コキャもらったこともない乙女が僻みで何か言ってるわ」
蒼星石「いや、僻みじゃなくて…」
ジュン「止せ蒼星石。真紅の相手をまともにするだけ無駄だ」
翠星石「真紅の異常な妄想はさておくとして、壁ドンや顎クイだけに留まらず自分だけの乙女シチュを考えるのは楽しいですね」
真紅「その通り、つまりそれが私のさっきから言いたかったことなのよ翠星石」
翠星石「チビ苺も何かそーゆー個人的に好きなシチュエーションとかあるですか?」
雛苺「うみゅみゅみゅ…、ヒナだったらねぇ~ジュンが時々やってくれる頬プニが気持ち良いのよね」
翠星石「頬プニぃ!? な、なんですか、そのキャッキャウフフな感じのする行為は!? チビ人間!?」
ジュン「あ、いや。苺大福の刑のお遊びバージョンみたいなのだけど、雛苺が喜ぶから…」
翠星石「不潔ですぅ! この桜田家の中でチビ人間とチビ苺がそんな爛れた肉体関係を」
ジュン「おいおい」
蒼星石「翠星石…」
真紅「私もジュンと雛苺がそんな秘密の間側だったとは知らなかったわ」
雛苺「翠星石と真紅もやってもらえばいいのよ~」
翠星石「そ、そんな恥ずかしいこと頼めるわけねーですよ! こんなチビ人間に!」
真紅「全くだわ!」
蒼星石「そうなんだ。じゃあ、僕がジュン君にやってもらおうかな。興味あるし」
ジュン「えっ!?」
翠星石「ええええっ!?」
真紅「!!?」
ジュン「そ、蒼星石!? 本気か?」
蒼星石「駄目? 僕だとジュン君も嫌かな…?」
ジュン「いやいや! 全然そんなわけないけど!」
翠星石「ちょちょちょ、ちょぉーっと待てでーす! いくら両者合意とはいえ、そんなの翠星石は認めんです」
蒼星石「ふふっ、冗談さ翠星石」
翠星石「えっ…?」
雛苺「冗談?」
真紅「ちょっと冗談が過ぎるんじゃなくて。あなたが言うと洒落にならないわ」
ジュン「まったくだよ。本気だと思ったじゃねーか」
蒼星石「冗談だったけど、嘘ではなかったからね」
ジュン「…え?」
雛苺「うゆ?」
翠星石「ま、まあ! チビ苺や蒼星石の好みは大体分かったですが、水銀燈とかもときめくシチュがあるんですかねぇ」
蒼星石「強引な話題転換だね翠星石」
翠星石「い、いいじゃねーですか。純粋に好奇心もあるですよ」
雛苺「水銀燈の人に壁ドンとかしたら、即座に鼻フックでカウンターされそうでチョー怖いの」
ジュン「確かに。壁際に追い詰めて稲妻十字空烈ドンぐらいじゃないと返り討ちだよなぁ…」
真紅「あの子相手だったらシンプルに腹パンが一番いいんじゃない?
一度かましてやった時なんか『気持ち良くて、ありがとうよぉ~』とか言ってたわ」
ジュン「何か日本語おかしいぞ、それ」
翠星石「と言うですか、話の焦点はときめくシチュであって、効果的にダメージ与える方法じゃねーんですってば」
蒼星石「あっ、そう言えばぼくのミスティカが水銀燈の中にあった時に感じとれた彼女の記憶が確かならば…」
雛苺「確かならば?」
蒼星石「ファイト一発みたいに腕をグイって引っ張られた時に、かなりグッときてたみたいだよ」
翠星石「ファイト一発ぅ~? 何か曖昧な情報ですねぇ」
真紅「水銀燈の記憶にあるってことは、彼女が過去にそれを経験したってこと?」
雛苺「水銀燈の人にそんなことするなんて、とんだ命知らずなのよね」
ジュン「……」
蒼星石「誰だか知らないけど、本当に勇気と優しさあふれる人だろうね、その人は。ねぇジュン君?」
ジュン「な、なんで急に僕に意見をッ…!?」
蒼星石「いや、何となく。驚かせたのなら、ごめんね」
ジュン「……」
雛苺「水銀燈の人はもういいの。次は金糸雀の場合を考えるのよ」
真紅「かな…りあ…?」
翠星石「カナチビなんてデコピンでジューブンですよ」
蒼星石「だね」
翠星石「第一、あいつに壁ドンとかしてもただびっくりして終わりな気がするですぅ」
ジュン「確かに金糸雀は箸が転がっても慌てふためいているのがお似合いだな」
雛苺「うぃ…」
翠星石「そいじゃ、後に残ったのは雪華綺晶と薔薇水晶ですか。しかし、あいつらのときめきシチュ…?」
真紅「白薔薇…雪華綺晶は何がツボなのか全然分からないわね」
ジュン「どっちかつーと壁ドンとかする側だったもんな雪華綺晶。脅し的な意味で」
雛苺「そんな雪華綺晶をドキドキさせるには、かなりどぎついのじゃないとだめなのよね」
真紅「となれば彼女もやはり信頼と実績の顎ドン派ということに…?」
翠星石「流石にそれはねーですよ」
真紅「じゃあ、首コキャ派?」
翠星石「だから、そっち方面から離れろですってば」
蒼星石「…シグルイのモツ(臓物)チラとか好きだって言ってた事あるよ、雪華綺晶は」
ジュン「マジかよ」
真紅「ふむ、確かに外国人が清楚な大和撫子に惹かれるように
西洋人形である私達は侍の生死が凝縮されたハラキリ、セプクの姿にキュンキュンくるものがあるわ」
雛苺「ヒナもジュンには早く切腹してほしいなって、いつも思ってるのよ」
翠星石「翠星石は十文字腹(※)が見たいですぅ」
※腹を一文字に切ったあとさらに縦にみぞおちからへその下まで切り下げる切腹の作法。難易度高い。
ジュン「お前ら全員、変態のサディストかよ」
蒼星石「逆に薔薇水晶の方は槐先生がやることなすこと全てをチラ見してはキュンキュンしてそうだ」
ジュン「薔薇水晶の奴、あんな何でもなさそうな顔して内心ではそんな…!?」
雛苺「完全なる変態さんなのよね」
真紅「さて、薔薇乙女の胸キュンポイントをまとめるとこんな感じかしら↓」
水銀燈 → 腹パン
金糸雀 → デコピン
翠星石 → 壁ドン、顎クイ
蒼星石 → 頬プニ(?)
真紅 → 首コキャ
雛苺 → 頬プニ
雪華綺晶 → モツチラ
薔薇水晶 → 槐チラ
ジュン「ろ、ろくでもねぇ…」
蒼星石「確か
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きらきーの胸キュンポイントは確かに予想がつかんな
どこがツボなのか一般人には理解不能なシチュかもしれないし、孤独だったせいで案外普通に乙女チックな状況に憧れてるかもしれん