コナン「変声機と麻酔銃が壊れちまった」
コナン「昨日から具合が悪いんだ。ちょっと見てくれよ」
博士「なに? どれどれ……うーむ」
灰原「工藤くん、頭脳派を気取ってるけど案外荒っぽいものね」
コナン「そんなに荒く使った覚えはねーんだけどな」
博士「麻酔銃の方は単なる電池切れじゃな」
コナン「なんだ、それならはやく新しいのに替えてくれよ」
博士「そうしたいんじゃが、これには特殊な電池を使っとるからのぉ」
博士「替えを用意するのには少し時間がかかるかもしれん」
コナン「まいったな……変声機のほうは?」
博士「基盤が駄目になっとる。もしかして洗濯でもしたんじゃないか?」
コナン「え? したけど……、防水じゃなかったのか!? それ付けながら水中に潜ったりとか、けっこうしたぞ!」
博士「これこれ、機械を水につけるなど駄目に決まっとるだろう。しかたない、またつくりなおすわい」
灰原「そのふたつが使えないとなると、工藤くんはお手上げ状態ね」
コナン「博士、変声機と麻酔銃の代わりになるような発明品、他にねえのか?」
博士「あるにはあるが……」
博士「これはターボエンジンつき腕時計型変声機」
博士「単なる腕時計に見えるが、実はターボエンジンのパワーを備えた変声機じゃ」
コナン「あ、ああ……ターボエンジンはいらなかったんじゃねえか……?」
博士「それでこっちが、伸縮式蝶ネクタイ型スケートボード」
灰原「あら、可愛いスケートボードね」
博士「じゃろ? 蝶ネクタイの形がインパクト大じゃ」
博士「しかも伸びる。縦2mぐらいにな。つまり、複数人でスケートボードに乗れるんじゃよ」
灰原「良かったわね、工藤くん」
コナン「……」
博士「哀くんも新一と一緒に乗ってみたらどうじゃ?」
灰原「遠慮しとく。変人だと思われたくないから」
博士「そ、そうか……。ほれ、新一。変声機と麻酔銃の修理が終わるまで、これを使ってくれ」
コナン「ハッハッハー……ぜってー役に立たねえな」
博士「そんなことはない。きっと役に立つはずじゃ」
コナン「だってよ……これでどうしろってんだよ……」
灰原「修理が終わるまで事件に巻き込まれなければ、困ることも無いんじゃない?」
コナン「まあ、そうだけどよ……。明日から蘭たちと一緒に旅行に行くんだよ」
灰原「ふーん……じゃあ駄目かもね」
コナン「不吉なこと言うなよな……」
~翌日~
被害者「」
蘭「きゃああああああああああ」
小五郎「ど、どうしたんですか!? しっかりしてください! おい、蘭! 救急車を呼ぶんだ!」
蘭「わ、わかった!」
コナン「……駄目だよ……もう」
小五郎「なにぃっ!?」
スッ
被害者「」
小五郎「脈が……なんてこった」
コナン「おじさん、この人の後頭部……」
小五郎「これは、殴られた痕か……? ってことは、殺しか……!?」
コナン(案の定だ……まいったな、麻酔銃も変声機もねえってのに……!)
コナン(いや、一応変声機はあんのか……ターボエンジンつきの……使いたくねえなぁ)
コナン(……しゃーねー。おっちゃんにヒントを与えて、事件解決に持っていくしかねえか)
山村刑事「いやー、毛利さんは本当によく事件に巻き込まれますねー!」
コナン(よりによってへっぽこ刑事かよ……群馬なんかにくるんじゃなかったぜ……)
小五郎「凶器は見つかったのか?」
山村「いやー、それが見つからないんですよ。施設の周辺もくまなく探したんですがねー?」
コナン「あれれー? ねえねえ、おじさん。庭のあそこ、砂の色がおかしくない?」
小五郎「んー? たしかに、ここだけ色が……」
山村「ほんとだ。他の場所は濡れてるのに、ここだけ乾いてるみたいですよ」
コナン「そっかー。お昼頃に雨が降ったからかな。ここの砂だけ濡れてないなんて不思議だねー」
コナン「まるで、誰かが雨が止んだ後にここへ捨てたみたいだね」ニヤリ
小五郎「この砂、撥水性か?」
山村「水をはじく砂なんてあるんですねー」
コナン「……そ、そういえば、死亡推定時刻もお昼だったよねー。これって偶然かなぁ」
小五郎「偶然だろ」
山村「偶然でしょうね」
コナン(おいおい、今日に限っていつも以上に冴えてねえぞおっちゃん……!)
コナン(おそらく、犯人は袋状の何かに庭の砂を詰め、それを被害者の後頭部に振り下ろした……)
コナン「えーい!」
ダンッ
山村「うわっ! びっくりしたなぁ、もう」
小五郎「おい坊主! てめえなにしてんだ!」
コナン「ほら見てー! 布袋に庭の砂を詰めて見たんだけど、すごく固くなったんだー!」
山村「へー」
小五郎「遊んでんじゃねえ! あっち行ってろ!」
ガシッ
コナン「あ、あ! ねえおじさん! この袋みたいにさ、砂を詰めて」
小五郎「邪魔すんじゃねえ!」
ドカッ
コナン「いてっ」
バタン
コナン「……くっそぉ。まともに聞きゃしねえ……」
~数十分後~
コナン(犯人は分かった……証拠の在り処も……でもおっちゃんたちが……)
山村「眠りの小五郎の推理ショーはいつ見られるんですかー? はやく披露しちゃってくださいよー」
小五郎「うっせ、だぁってろ。まだ冴えねえんだよ」
コナン(そりゃ、俺が麻酔銃を撃たねえことには始まらねえからな……)
コナン(いくらヒントを与えてもさっぱり理解してくれねえし……)
コナン(……しゃーねー。不安要素は多いけど、このターボエンジンつき腕時計型変声機をつかってみっか)
コナン(えーっと、おっちゃんを眠らせるもの……眠らせるもの……)
小五郎「なんだよ。何があるってんだ」
コナン「ほらおじさん! こっちこっち! 事件解決のヒントになる凄いのがあるんだ!」
小五郎「……なにもねえじゃねえか」
コナン「ほら、あの棚の上。よく覗いてみてよ」
小五郎「んー?」
コナン(よーし、伸縮式蝶ネクタイ型スケートボードを伸ばして……このぐらいか?)
ニューン
コナン「おらあ!」
ガンッ
小五郎「ごふっ……」
ドサッ
コナン「子供の姿でも大人の後頭部を殴れるわけだ……まあ本来の使い方からはズレたけど」
コナン「さて、みんなをここに集めるか」
山村「ついに始まっちゃうんですね! 眠りの小五郎の推理ショー!」
容疑者A「いったい誰が犯人なんですか?」
容疑者B「はやく教えてくれ!」
犯人「俺たちの中に犯人がいるって話が本当ならな」
コナン(えーっと、腕時計の針がダイヤルになってんのか。おっちゃんの声は59番だから……)
キキキ
コナン(よし、スイッチオン)
小五郎『ギュイイイイイイイイイイン!!!!!!!!!!!!!!!』
コナン「うわっ!」
コナン(エンジン音うるさすぎだろ! 俺の声が通らねえじゃねえか!)
山村「ちょ、ちょっと毛利さん? どうしちゃったんですか!?」
蘭「お、お父さん……?」
コナン(ターボエンジンの音をかき消す大声でしゃべるしかねえか……!)
小五郎『こんイイイイイイイ集まっイイイイイン!!!!!!!!! 事イイイイイイ人が分かイイイイン!!!!!!!!!』
コナン(駄目だ!!!!!! 話にならねえ!!!!!!!!)
容疑者B「なんだよ。このイカれたショーを見せるために俺たちを集めたってのか?」
容疑者A「悪い冗談はやめてください!」
小五郎「ギュイイイイイイイイイイイイン!!!!!!!!!!1」
コナン(こんなんじゃ推理を披露できねえぞ!)
犯人「くだらねえ、俺は帰らせてもらう」
コナン(野郎! 逃げるつもりか……! やつが犯人なのは間違いねえのに!)
小五郎「待ギュイイイイイイン!!!!!!!! アナタイイイイイイイイイイ!!!!」
コナン(こうなったら、みんながおっちゃんに注目してる間に、力ずくでやつを止めて……!)
コナン(……やべっ! キック力増強シューズは下駄箱の中だ……!)
犯人「じゃあな」
コナン「くそ、逃がすか! 伸びろ! スケートボード!」
ニューン
コナン「喰らえ!!!」
犯人「ん? な、なんだ!?」
ガツン
犯人「ぐえっ」
ドサッ
コナン「よし! 気絶したな! 今のうちに……」
ゴソゴソ
コナン(あった! 被害者の血痕が付着した靴下……!)
コナン「あれれー? おかしいよー? ねえねえ」
小五郎「ギュイイイイイイイン!!!!!!!!!1 ギュイイイイイイイン!!!!!1」
山村「あのー、毛利さん? いつまでこれ続けるんですか? これも推理ショーの一環ですか?」
蘭「お父さん! やめてよもう! 恥ずかしいから!」
コナン(やべっ、変声機止めんの忘れてた)
キキキ
小五郎「イイイイイイイン……」
容疑者B「お、収まったか……すげえ大声だったな」
容疑者A「なんだったんですか? 耳がおかしくなるかと思いましたよ」
コナン(よーし、改めて……)
コナン「あれれー? おかしいよー?」
山村「ん? ……って、ど、どうしたんですか!? 床に倒れ込んじゃって!」
コナン「この人、おじさんの奇声に驚いて気絶しちゃったんだよ。それより……」
コナン「ほら! この人、血がついた靴下を持ってたんだ!」
コナン「それにねー、内側にちょっと砂がついてたんだー。変なのー!」
山村「んー? ホントだ……でもどうして?」
蘭「も、もしかして、それが凶器なんじゃ……!」
山村「え!?」
コナン「ふぅ……」
コナン(なんとか、事件解決だな)
~翌日~
新聞『眠りの小五郎 改め 奇声の小五郎!?』
コナン(ったく、あのへっぽこ刑事、マスコミにべらべら喋りやがったな……)
小五郎「……なあ、蘭。これから、病院に行こうかと思うんだ」
蘭「え? どうして? 身体の具合でも悪いの?」
小五郎「いや……今回の件、まるで覚えてねえんだよ……いや『今回も』か」
蘭「覚えてないって……どういうこと?」
小五郎「実は、今までもそうだったんだが……何かしらの事件に巻き込まれると、突然意識を失うんだ」
小五郎「ふと目が覚めると、知らぬ間に事件が解決されていた……俺の推理でな」
蘭「知らない間にって……だってお父さん、いつも自分で推理を披露してるじゃない」
小五郎「周りはそう言うが、一切記憶がねえんだよ……一種のトランス状態なのかと思ってたんだが……」
小五郎「今回に至っては奇声をあげまくってたらしいじゃねえか……さすがに、心配になってきてな」
蘭「わ、わかった。私たちも一
コメント一覧
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- 2015年05月17日 23:28
- 眠眠打破ってすげぇ
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- 2015年05月17日 23:30
- ジンはもう駄目だな
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- 2015年05月17日 23:31
- ジンの兄貴メガシャキ飲んでいるんですかい?
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- 2015年05月17日 23:41
- マジキチじゃないのかよと思ったけどよくよく考えたらまあまあ頭おかしい
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