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キョン「あれがホオジロザメか……」



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1:SS速報:2009/11/21(土) 21:30:07.67 ID:dnStj8on0


キョン「でかいな……」

古泉「ホオジロザメは最大でも5~6mと言われているのですが、あれは優に10mはありそうですね」

キョン「実際にサメを見るのは初めてだが、メチャクチャ怖いな」

古泉「映画などによる影響もあるのでしょうね」

古泉「本来人間を襲うのは極稀なのですが」

キョン「それでも怖いもんは怖い。実際喰われた奴だっているんだろ?」

古泉「まあ実際に遭遇したらほとんどの人がパニックに陥るでしょうね」

キョン「なあ古泉、1つ聞いていいか?」

古泉「はい、なんでしょう?」



キョン「ここは海でも水族館でもない。何で部室棟の廊下にあんなのがいるんだ?」


2:SS速報:2009/11/21(土) 21:33:07.85 ID:dnStj8on0


~5分前 部室~


キョン「ハルヒ達遅いな。何やってんだ?」

古泉「掃除当番か何かでは?」

キョン「とっくに終わらせて俺より先に出たよ」

古泉「そうですか。たまにはこういう日もありますよ」

キョン「まあそうだな。ただ待ってるのも退屈だ」スタスタ

古泉「おや、どちらへ?」

キョン「何か飲み物買ってくる」

古泉「では、僕はコーヒーをお願いします」

キョン「お前な……」ガチャ


サメ『ガ~~』ユラ~リ


キョン「……」


3:SS速報:2009/11/21(土) 21:36:08.20 ID:dnStj8on0


古泉「よく冷静でいられましたね」

キョン「冷静じゃねえよ。ドア開けたら目の前にサメだぞ?」 

キョン「1回深呼吸して、もう1度よーく見て、さぁ悲鳴あげようと思ったらお前が口塞ぎやがったんだろうが」

古泉「刺激を与えると厄介な事になると思われましたので」

キョン「で、あれはいったい何なんだ?」

古泉「普通のサメではないことは確かですね」

キョン「まるで海の中にいるかのように空中を泳いでやがるからな。どういう原理だよ」

古泉「あっと、あまりドアを開けないように。向こうに気づかれてしまいます」

キョン「さっきから廊下を行ったり来たり。あんなでかい身体でよく器用に泳げるな」

古泉「このままでは騒ぎになる恐れもありますね。さて、どうしたものでしょう」

キョン「ん? 階段のほうから誰かの声が聞こえるぞ」


4:SS速報:2009/11/21(土) 21:39:09.26 ID:dnStj8on0


谷口「まったくキョンの奴、今日中にCD返せって言っておいたのによ」


キョン「あれは……谷口! やばい!!」


谷口「何で俺がわざわざ部室まで……って、ん?」

サメ『ガオ~~』

谷口「……」

サメ『ガ~オ~』

谷口「すぅぅぅ……」

谷口「ぎゃああああああ!! だあああああああ!!!!」


キョン「そりゃ曲がり角を曲がった目の前にサメがいたら、絶叫したくもなるよな」


5:SS速報:2009/11/21(土) 21:42:09.97 ID:dnStj8on0


古泉「そんなこと言ってる場合じゃありません! 助けないと!」

キョン「あ、ああ。しかしどうやって? 武器も何もないんだぞ!」


谷口「ブクブクブク…………」


キョン「あ、谷口の奴、気絶しちまいやがった」

古泉「おや、サメの様子が」


サメ『ガウ~~』ユラ~~リ


キョン「谷口の事を無視して、どっかに行っちまったな」

古泉「とにかく今のうちです。救出しましょう」

キョン「ああ。しかし谷口よ、お前みたいな面白キャラは真っ先に殺されるか、意外に最後まで生き残るかのどっちかなんだが」

キョン「やられなかったってことは後者だな。おめでとう、お前の生存は確定したぞ」


8:SS速報:2009/11/21(土) 21:45:08.77 ID:dnStj8on0


キョン「これでよしと。さて、これからどうするんだ?」

古泉「そうですね。いくら何でもあんなサメが自然界にいるわけはありませんから、何者かの仕業だと思われるのですが」

キョン「あんなことできる奴なんてかなり限られるよな。まったく……」

古泉「とりあえず僕は機関に連絡しておきます」

キョン「あのサメはどこに行ったんだろうな? ちょっと様子を……」ガチャ

キョン「げっ! 戻ってきてやがる!!」


サメ『グオ~~』ス~~


キョン「あ」

古泉「どうしました?」

キョン「目が合っちまった……」







10:SS速報:2009/11/21(土) 21:48:10.29 ID:dnStj8on0


キョン「ま、まあ大丈夫だよな。谷口も平気だったしな」

古泉「サメはこちらから危害を加えない限り、人間を襲うような事は滅多にありません。ですから……」


サメ『グオオオオ!!!!』

ドォン!!!!


キョン「どぅわあああ!!」

キョン「おおおい、襲ってきてるじゃねえか!! 嘘つき!!」


サメ『グオオ!! グオオオ!!』

ドォン!! ドォン!!!!


古泉「ドアに体当たりしている! まずいですね……」


12:SS速報:2009/11/21(土) 21:51:08.35 ID:dnStj8on0


キョン「やばいやばいやばい!! あのボロいドアじゃ、これ以上持ちこたえられないぞ!!」

古泉「さすがに3階から飛び降りるのは……しかしこれしか……」

キョン「よよよよし古泉! こうしよう!!」

古泉「何ですか!」

キョン「まずはお前がこの椅子に座る!」

古泉「はい!」

キョン「次にお前を椅子に縛り付ける!!」

古泉「はい!!」

キョン「そしてお前が喰われてる間に俺は逃げる!!」

古泉「はい!! って待てコラ!! こんな時に冗談を言っている場合ですか!!」

キョン「俺は大真面目だ!!」

古泉「余計悪いですよ!!!」


13:SS速報:2009/11/21(土) 21:54:09.30 ID:dnStj8on0


サメ『グルオオオオオ!!!!』

ドォン!!!! バキッ!! メキメキ!!


古泉「わああああああ!!!!」

キョン「もう駄目だあぁぁぁぁ!!!!」


―――――――――――――――

――――――――

―――――

――


キョン「……」

古泉「……」

キョン「……あ、あれ?」


14:SS速報:2009/11/21(土) 21:57:12.23 ID:dnStj8on0


古泉「来ない……ですね?」

キョン「どういうことだ? ドアはあと一撃で壊れそうなほどにボロボロなのに」

古泉「諦めてどこかへ行ったのでしょうか?」

キョン「さあ?」

古泉「……」

キョン「……」

キョン「なあ、お前ちょっと確認してこいよ」

古泉「嫌ですよ、あなたが行けばいいじゃないですか」

キョン「俺だって嫌だ! というか俺やハルヒを守るのがお前ら機関の仕事だろう! だからお前が行け!!」

古泉「僕だって怖いものは怖いんです!!」

キョン「お前な、普段神人だの巨大カマドウマだのもっとでかい化け物と戦ってるだろうが!!」

古泉「あれは超能力が使えると言う自信があるからですよ! 生身でサメなんて無理です!!」


15:SS速報:2009/11/21(土) 22:00:11.84 ID:dnStj8on0


古泉「それに僕は、小さい頃にサメの映画を観て以来、ずっとトラウマなんですよ!」

古泉「ほら見てください! 今まで平静を装ってましたが、膝が爆笑しっぱなしです!!」ガクガク

キョン「分かった! 分かったよ! ならジャンケンだ、それなら文句ないだろう?」

古泉「そ、そうですね。いつまでも閉じこもっているわけにはいかないですし」

ジャ~ンケ~ン・・・

キョン「嫌だあああ!!」

古泉「さあ、早く確認してきてください」 

キョン「これって恐る恐る確認にいったところを、バーンと出てきてガブーっとやられるパターンじゃねえか!」

古泉「大丈夫ですよ、さっきから時間は経ってますし、もういませんよ」

キョン「ならお前が行けよな……」


ガタッ!! ガタガタッ!!


キョン・古泉「ぎゃあああ!! きたああああ!!!!」


16:SS速報:2009/11/21(土) 22:03:09.99 ID:dnStj8on0


キョン「ひいい! 死にたくないぃぃ!!」

古泉「僕を盾にしないでください!!」


バターン!!


キョン・古泉「ああああああああああ!!!!」


みくる「ふええ、やっと開きましたぁ」

みくる「何でこんなにドアがボロボロなんだろう? あ、キョンくん、古泉くん」

キョン「……」

古泉「……」

みくる「遅れちゃってごめんなさい。今お茶を淹れますね」

キョン・古泉「脅かすな!!!!」

みくる「ひゃあああ!! ごごごめんなさいぃぃぃ~~!!」


19:SS速報:2009/11/21(土) 22:06:11.76 ID:dnStj8on0


みくる「ひっく……ひぐっ……ふぇぇぇぇん……」

キョン「すみません! 本当にすみません朝比奈さん!」

古泉「完全に我を失っていました。申し訳ありません」

みくる「ぐすっ、すん……だ、大丈夫です。ちょっとびっくりしただけですから……」

みくる「も、もう平気です、落ち着きました。それで、いったい何があったんですか?」

キョン「そうだ! えっと朝比奈さん、部室に来るまでにサメを見かけませんでしたか?」

みくる「ふええ! さ、サメですか!? えと、見てないですけどどういうことなんですか?」

古泉「ええ、実はですね……」



みくる「そ、そ、そんなことが……ササササメが……」

キョン「朝比奈さんがサメと出くわさなかったのはラッキーだったな」

古泉「しかし、このまま放っておくわけにもいきません。あのサメを何とかしなくては」


20:SS速報:2009/11/21(土) 22:09:09.08 ID:dnStj8on0


古泉「まずはあのサメがなぜ出現したかですが……」

キョン「それなんだが、犯人はもう確定じゃないか?」

みくる「涼宮さん、ですか?」

キョン「こんなアホなことをしでかすのはアイツくらいしか考えられない」

キョン「ハルヒ以外にもあんなことができそうな奴に心当たりはあるが、目的がどうであれ、もっとマシな手段を使うだろう」

古泉「肝心の動機についてですが、やはりあれでしょうかね?」

キョン「奇遇だな、俺もあれしか思い浮かばん」

みくる「あれって言うと、一昨日の不思議探索のことですか?」

キョン「さっきまではあまりの恐怖によく考えられなかったんだが」

古泉「冷静になってみると、どんなに頑張っても心当たりがあれしかないですね」


21:SS速報:2009/11/21(土) 22:12:12.01 ID:dnStj8on0


~2日前 土曜日~


キョン「なあ、ハルヒよ」

ハルヒ「なによ?」

キョン「生憎の雨で不思議探索を中止したというのはまだ分かる。俺も大いに賛成だ」

キョン「だが、何でその代わりが俺の家での映画鑑賞会なんだ?」

ハルヒ「昨日安かったからDVDいっぱい借りてきたのよ。1人で観るのもあれでしょ?」

古泉「まあいいではありませんか。僕は非常に楽しみですよ」

みくる「あたしもです。この時代って面白い映画が多いですよね」

長門「……」

キョン「ま、変な事やらされるよりはいいか。あまり騒がしくするなよ」

ハルヒ「そうと決まったらさっさとリビングに行くわよ!」

キョン「お邪魔しますくらい言え」







23:SS速報:2009/11/21(土) 22:15:10.17 ID:dnStj8on0


『ガオー!! グオーー!!』
『ノーーー!!! ヘールプ!! ギャアアアア!!!!』

みくる「ひゃあああ!! サメが! サメぇぇぇ!!」

古泉「これはなかなか……凄惨……ですね……」

キョン「確かに迫力はあるんだが、サメがモロにCGだな……まあ所詮はB級映画だからな」

長門「……」

ハルヒ「うーん、何か違うわね」

キョン「は? 違うって何がだ?」

ハルヒ「リアクションよ! サメと遭遇したわりにリアクションが薄すぎるわ!!」

キョン「あー、確かに演技は下手糞だが……」

ハルヒ「本物のサメに遭遇したらあんな驚き方じゃすまないわ! もっと凄まじいリアクションをするはずよ!!」

ハルヒ「なってないわこの大根役者たち! ちょうど今の時間お笑いの番組やってるわね……」ピッピッ

ハルヒ「あ、ほら! 今日はドッキリの特集よ! これ見てリアクションの勉強するわよ!!」

キョン「何でそうなる……というか、お笑いのリアクションとは別物じゃないか?」

長門「リアクション……」


24:SS速報:2009/11/21(土) 22:18:11.99 ID:dnStj8on0


キョン「何でハルヒがあそこまでリアクションにこだわったのかは知らんが、絶対あれが原因だな」

古泉「涼宮さんにとっては、あの時リアクションの演技が気になって仕方なかったのでしょう」

キョン「だからといって本物のサメを出す奴があるか? つくづく迷惑な奴だ」

みくる「でも、あの後お笑いの番組を観てすごく楽しんでましたけど……」

キョン「ドッキリにかかった芸人を見て笑い転げてましたよね。あれで機嫌が直っててくれればよかったんですけどね」

古泉「心の底ではまだ気になっていたということでしょう。ところで朝比奈さん、その涼宮さんを知りませんか?」

みくる「あ、そういえばここに来る途中で見かけました。何かを追っかけているようでしたけど……」

みくる「声をかけるよりも前に、走って校門の外に出て行ってしまいました……」

キョン「団活もほっといてどこに行ったんだか」

古泉「仕方ありませんね。今はとにかく早くサメを何とかしないといけませんね」


25:SS速報:2009/11/21(土) 22:21:09.18 ID:dnStj8on0


キョン「あれ? そういえば長門はどうしたんだ?」

みくる「今日はまだ一度も見てないですね。どうしたんでしょう?」」

古泉「1番頼りになりますので、できればいてほしいのですが」

キョン「あまり頼りすぎたくないんだが、今は緊急事態だからな。何とか連絡をとらないと」

古泉「長門さんへの連絡はあなたにお任せします。僕は機関に連絡を」

キョン「なあ。思ったんだが、やっぱりハルヒのほうをどうにかしてあのサメを消したほうが安全じゃないか?」

古泉「それなんですけどね。どうやらあのサメは、今まで涼宮さんが願望によって生み出してきたものとは違うようなんですよ」

キョン「え? 何でそんなことが分かるんだ?」

古泉「ハッキリとは言えませんが、今までとは感じが違うんです。恐らく、あのサメ自体を何とかしないといけないかと」

キョン「本当なのかそれ? って、こんな時に嘘ついてもしょうがないよな」

キョン「まったく面倒なことになったな。やれやれ」


26:SS速報:2009/11/21(土) 22:24:10.08 ID:dnStj8on0


キョン「だめだ、繋がらない。長門のやつ、どうしたんだ?」

みくる「長門さん、何かあったんでしょうか?」

古泉「こちらは話がつきました。すぐに応援が駆けつけてくれるそうです」

古泉「あと校内にいる機関のエージェントにも連絡しておきました。生徒達の避難をお願いしてあります」

キョン「そうか。それで、サメは今どこにいるか分かるか?」

古泉「いえ。あの巨体でどこに隠れているのやら」

キョン「そうか。ならこっちから探し出すしかないな。長門も気になるが、こっちを何とかしないとな」

古泉「あなた達は先に避難しても構いませんよ。ここは我々機関に任せていただければ」

キョン「そうもいかねえよ。あれがハルヒの生み出したものである以上、ほっとくわけにもいかないだろ」

みくる「あ、あたしも、あたしも行きます! みんなにはいつも迷惑ばかりかけているから……」

みくる「いつまでも役立たずでいたくないんです! あたしにもお手伝いさせてください!!」

古泉「……分かりました、3人で行きましょう。ただ、今回は相当危険ですよ?」

キョン「団長様の尻拭いが団員の役目だからな。じゃあ行くか」


27:SS速報:2009/11/21(土) 22:27:10.64 ID:dnStj8on0


古泉「部室棟にいた人達の避難はこれで完了ですね。では校舎へ移動しましょう」

キョン「説得大変だったな。まあ『サメが出た』つっても信じられないからな、普通は」

みくる「だからと言って、細菌テロが発生したというのもどうかと思いますぅ……」

古泉「あれからまだ1度もサメを見たという情報は入ってきません。どこにいったんでしょうね?」


ウギャーー!!!!


みくる「い、今、悲鳴が聞こえてきませんでしたか……」

古泉「行ってみましょう!」ダッ

キョン「ああ!!」ダッ

みくる「ひゃ!! まま待ってくださぁい!」


29:SS速報:2009/11/21(土) 22:30:08.66 ID:dnStj8on0


古泉「こ、これは……」

キョン「いやがった、あいつだ」

みくる「サメ、ささ、サメ、おっきなサメさんががが……」


サメ『ガ~~』ユラリユラリ


ウギャー!! キャーー!! イヤー!! タスケテクレーー!!


古泉「大パニックになってますね。避難し遅れた方達でしょうか?」

キョン「サメ自身は特に襲う気配はないな。ただゆっくり泳いでいるだけだ」

古泉「いきなり豹変する可能性もあります。とにかく僕はサメの注意を引き付けます」

キョン「大丈夫なのか?」

古泉「やるしかないでしょう、被害者が出る前に。では、このボールで……」


サメ『グルルル……』


31:SS速報:2009/11/21(土) 22:33:08.61 ID:dnStj8on0


古泉「今さらですが、あなたは先に逃げても構わないのですよ?」

キョン「お前1人に任せられるか。いいから早くしろ」

古泉「分かりました。いきます!!」


サメ『グオオオオ!!』


古泉「うわっ!!」

キョン「な、なんだ!?」


サメ『グォォォォ…………』ズオオオ・・・


キョン「……あれ?」

古泉「猛スピードでどこかへ行ってしまいましたね」

キョン「って、のんきに言ってる場合じゃないだろ! 追うぞ!!」


33:SS速報:2009/11/21(土) 22:36:09.38 ID:dnStj8on0


キョン「くそ、どこに行ったんだ、あのサメ野郎。完全に見失っちまった」

古泉「逃げ足の速いサメですね。外にでも逃げてしまったらもっと大変なことになりますし、校内に留めておかないと」

キョン「そうだな。ん? あれ? そういえば朝比奈さんは?」

古泉「先程から姿が見えませんね。先に避難されたのでしょうか?」

キョン「まさかサメにやられたんじゃあ……? おい古泉! 急いで朝比奈さんを」


みくる「あああああの、ここここです……」

キョン「朝比奈さん! 無事だったんですね!!」

古泉「そんな柱の影にうずくまって、どうかされたんですか?」

みくる「ご、ごめんなさい……あたし、びっくりしちゃって……あんなに大きなサメだったなんて」

みくる「怖くて怖くて……気がついたら逃げ出しちゃってて……ごめんなさい、ごめんなさい……」

キョン「朝比奈さん……」


34:SS速報:2009/11/21(土) 22:39:10.27 ID:dnStj8on0


古泉「仕方ありませんよ。誰だってサメは怖いです」

みくる「でも、自分で役に立ちたいって言って着いてきたのに、あまりに情けなくて……」

キョン「朝比奈さん、やっぱり先に避難してください。無理しなくてもいいんですよ」

みくる「ううん! だめ、あたし行きます! もう逃げたりなんかしません!!」

みくる「いつもキョンくんも古泉くんも長門さんも頑張ってるのに、見てるだけなんてもう嫌です!」

古泉「……本当に大丈夫ですか?」

みくる「はい! あたし囮でも何でもやります!!」

古泉「分かりました。さすがに囮をさせるわけにはいきませんが、お手伝いをお願いします」

みくる「怖くないです! 怖くないです! サメなんて怖くないでぇす!!」


ネズミ「チュー」

みくる「きゃああああ!! ネズミ! ネズミ! こないでぇぇぇ!!」

キョン「本当に大丈夫かな……?」


35:SS速報:2009/11/21(土) 22:42:11.06 ID:dnStj8on0


キョン「なあ古泉」

古泉「何でしょうか?」

キョン「ずっと考えてたんだけどよ、あのサメって本当に危険なのか?」

みくる「ど、どういうことですか、キョンくん?」

キョン「さっきあのサメは逃げ惑う生徒がそこらにいたにも関わらず、一切襲おうとしなかった。谷口の時もだ」

古泉「しかし、僕らは部室で襲われたじゃないですか」

キョン「それだってその気になれば俺達を喰うこともできたのに、そうせずにどこかに行っちまったじゃないか」

キョン「現に1人も犠牲者は出ていない。ハルヒが生み出したモノである以上、人に危害を加えることはないんじゃないか?」

古泉「ふむ、涼宮さんが心の底からそんなことを望んでいるとは思えませんし、そうかもしれませんね」

みくる「そ、そうです! きっとそうですよ!」

キョン「楽観的かもしれませんが、俺はそう信じたい」


「キャアアアアアアア!!!!」


みくる「い、今、どこからか悲鳴が……」


37:SS速報:2009/11/21(土) 22:45:14.02 ID:dnStj8on0


古泉「下駄箱のほうから聞こえてきましたね」

キョン「行ってみよう! 朝比奈さん、平気ですか?」

みくる「ははははいい!! 大丈夫です!」



キョン「確かこのあたりから……」

阪中「ひ……ひっく……」

キョン「阪中! どうした! 大丈夫か!?」

みくる「に、逃げ遅れたんですか、阪中さん。まさかサメに……」

古泉「恐らくそうでしょう。ショックは受けていますが、幸い怪我はないようですね」

阪中「ひぐっ……ふぇぇ……く、国木田くんが……」

キョン「国木田? 国木田と一緒にいたのか? おい、国木田がどうしたんだ!」


阪中「サメに……食べられちゃった……」


38:SS速報:2009/11/21(土) 22:48:10.97 ID:dnStj8on0


キョン「な! た、食べられたって……」

みくる「は、はわ、はわわわわわ!!」

古泉「食べられた……どうやら、僕達は事態を軽く考えすぎていたようですね」

キョン「阪中、それは本当なのか?」

阪中「ぐす……う、うん……」

キョン「そうか……くそっ、なんてこった!! 国木田……」

古泉「おや? 失礼。電話が」ピッ

キョン「こんな時に誰からだよ」

古泉「校内にいる機関のエージェントからのようです。何かあったのでしょうか?」

『古泉!! 助けてくれ!!』

古泉「うわ! ど、どうかされたのですか!!」


40:SS速報:2009/11/21(土) 22:51:10.19 ID:dnStj8on0


『みんな! みんな喰われちまった!! あとは俺だけだ!!』

古泉「どうしたのです!! いったい何があったのですか!!」

『う、うわああ!! サメ! サメが!! 来るな来るな!! うぎゃあああああああ!!!!』


プツッ


古泉「……何てことだ」

キョン「古泉、どうかしたのか?」

古泉「どうやら……全滅してしまったようです。サメに食べられて」

キョン「なに! マジか!!」

古泉「生徒の避難誘導が終わってからはサメの捜索をしていただいていたのですが……まずいですね、これは」

みくる「たた、食べ、食べ食べ、食べべべ……」


42:SS速報:2009/11/21(土) 22:54:12.38 ID:dnStj8on0


古泉「朝比奈さん、阪中さんを学校の外まで連れて行ってあげてくれませんか?」

みくる「え? あ、はい、分かりました」

古泉「それから校内にはもう戻ってこないように。そろそろ機関の応援も到着する頃ですので、保護してもらえるでしょう」

みくる「そんな! あたしだって!」

古泉「申し訳ありませんが、そんなことを言ってられる事態ではありません。あのサメはかなり危険です」

古泉「それに、阪中さんを安全なところまでお連れするのも大事なことです。お願いします」

みくる「……分かりました」

古泉「あなたもです。外へ避難してください」

キョン「俺もか! というかお前はどうするんだよ?」

古泉「僕は……機関の一員として、あのサメを何とかしなくてはいけません。ここに残ります」

キョン「ふざけたこと言ってんじゃねえよ。ここは一旦撤退して、体勢を立て直すべきだろうが」

キョン「それに閉鎖空間でもないここでは、お前はただの一般人だ。できることは何もない」

古泉「…………分かりました。一旦避難しましょう」


43:SS速報:2009/11/21(土) 22:57:12.53 ID:dnStj8on0


みくる「阪中さん、大丈夫ですか? 歩けますか?」

阪中「は、はい、何とか」

みくる「では行きましょう」

古泉「それにしても、あなたに説得されるとは、ね」

キョン「どういう意味だよ。しかし、ま、機関の人達はしっかりと装備を整えてくるんだろう?」

キョン「サメにやられた人達はみんな丸腰だったんだ。武器さえあればサメなんか……」

みくる「ふぇ!!」ブヨン

キョン「どうかしましたか、朝比奈さん!?」

みくる「あ、えと、何か見えない壁みたいなものが……」

キョン「これは……以前ハルヒと一緒に閉じ込められた閉鎖空間と同じ……」ブヨンブヨン

古泉「下駄箱から外に壁が張られてしまってますね。おそらく校舎全体がこうなっているものと思われます」

キョン「逃がさないってわけか、ちくしょう!」


44:SS速報:2009/11/21(土) 23:00:11.00 ID:dnStj8on0


阪中「みんな……どうかしたの?」

キョン「あれ? 阪中は普通に外に出ているぞ?」

古泉「どうやら出入りできる人物を選べるようですね、この壁は」

キョン「何で俺たちは出られないんだよ!」

古泉「分かりません。しいて言えば、涼宮さんが望んでいるからとしか」

キョン「あの超絶ドS女!!」

みくる「でもあたし達の他に誰もいないってことは、先に避難した人達は通れたってことですよね?」

古泉「それがせめてもの救いですね。もっとも何人かは脱出前に食べられた可能性もありますが」

みくる「ひいいい!!」

キョン「脅すな、馬鹿。それでどうする?」

古泉「引き返すしかないですね。どこか安全なところを見つけましょう」


45:SS速報:2009/11/21(土) 23:03:10.69 ID:dnStj8on0


キョン「あー阪中、悪いが1人で先に行っててくれないか?」

阪中「え? で、でもキョンくん達は……?」

キョン「俺達はまだやらなきゃいけないことがあるんだ。心配しなくてもすぐに行くさ」

阪中「……でも危ないのね! 本当に大丈夫なの?」

キョン「ああ。あとそれと、サメについてはあまり言いふらさないでくれ。パニックになっちまうから」

阪中「分かったのね。その……気をつけてね」

キョン「おう。じゃあな」



キョン「さてと、移動するか」

みくる「あたし達、これからどうなるんでしょう?」

古泉「機関の応援があの壁を通り抜けられるかどうかですね。無理だったとしたらかなり厳しくなります」

キョン「そういうこと言うとその通りになりそうだから、やめてくれ……」


46:SS速報:2009/11/21(土) 23:06:11.80 ID:dnStj8on0


古泉「ここの倉庫はよさそうですね。他のところよりずっと扉が頑丈です」

キョン「ふう、これで一応一息つけるな。さっきから動きっぱなしだ」

みくる「あ、あの、それでこれからどうします?」

古泉「僕は他に逃げ遅れた人がいないか見回りにいきます。あと何か脱出のための手がかりを探しに」

キョン「大丈夫かよ古泉、もしあのサメに遭遇しちまったらどうするんだ? 対抗手段は何もないんだぞ」

キョン「下手に動き回るより、ここで大人しくしてたほうがいいんじゃないか?」

古泉「もし機関の応援が入って来れなかったら自力で何とかするしかありません。動けるうちに行動しないと」

キョン「そうか。なら…………って、あーーーー!!!!」

古泉「ど、どうされました?」

キョン「部室に谷口置きっぱなしだ……」

古泉「あ」

キョン「隅っこに置いてたから出る時忘れてたんだ。まいったな、お前1人じゃきついから俺もついて行くしかないな」

古泉「はあ、もう少しカッコいい言い訳でついて来てほしかったですよ」

キョン「うるせえ。ほら、とっとと行くぞ」


47:SS速報:2009/11/21(土) 23:09:10.73 ID:dnStj8on0


みくる「あの、あ、あたしは……」

古泉「朝比奈さんはここで待機していてください」

みくる「え、あ、そ、そうですか……」

古泉「別について来るなと言っているわけではありません。そこの窓から校門が見えるでしょう?」

みくる「え? あ、はい、見えますね」

古泉「機関の応援が到着したら、下駄箱まで行って事情を説明してください。これも大切な役割です」

キョン「携帯で連絡はできないのか?」

古泉「先程から通じなくなっています」

キョン「あの壁のせいか? でも機関の応援を呼んだ時は通じたんだろ?」

古泉「あの壁はそれ以降に張られたということでしょう。厄介なことになりました」

みくる「あ、あの! 分かりました。あたし頑張ります!!」

古泉「ここから下駄箱まではそんなに離れていませんので、襲われる確立は低いでしょう。しかし、念のため用心を」

みくる「うん、キョンくんも古泉くんも気をつけてね」

キョン「ええ、なるべく早く戻りますね」

古泉「では、行きましょう」


48:SS速報:2009/11/21(土) 23:12:14.82 ID:dnStj8on0


キョン「怖い……な」

古泉「僕だって怖いですよ」

キョン「急にメチャクチャ怖くなってきた。やっぱりあのサメがハッキリ危険だと分かったからか……」

キョン「さっきまでの俺はどうかしてたんだ。今は外に逃げられないし、谷口のためにもこうして動いているが……」

キョン「さっきまでの俺は自分の意志で校内に残る事を選んでいた。朝比奈さんもだ」」

キョン「普通なら何もできない一般人は真っ先に避難するだろう……俺は映画の主人公じゃないのに……」

古泉「あなたはこれまで、数々の不思議現象を体験してきましたし、命の危機も乗り越えてきました」

古泉「そのせいで、変な自信というか度胸がついてしまっていたのでしょう」

古泉「朝比奈さんの場合は、あれはかなり意地を張っていましたね。余程今までの自分に悩んでいたのでしょう」

キョン「怖えぇ、怖えよ……」

古泉「それが普通ですよ。何なら引き返しても構いませんよ。1人でも運ぶ事は可能ですし」

キョン「いや、お前を1人で行かせちまうのも何か怖い。無理をしそうなんでな」

古泉「そうですか」


50:SS速報:2009/11/21(土) 23:15:13.95 ID:dnStj8on0


キョン「怖えぇぇ……」

古泉「……」

キョン「怖い怖い……いきなり飛び出してきたりしないだろうな?」

古泉「大丈夫ですよ、落ち着いてください」

キョン「お前はよく落ち着いていられるな」

古泉「この状況で2人とも冷静さを失っては大変ですからね。僕だって泣きたいくらい怖いですよ」

キョン「そうか…………」






キョン「ヘックショーイ!!!!」

古泉「うぎゃわ゛!!!!」ピョーン


51:SS速報:2009/11/21(土) 23:18:07.76 ID:dnStj8on0


古泉「貴様正気か!! ショック死するかと思っただろうが糞野郎!!!!」

古泉「じゃなかった。こんな状況でクシャミなんてしないでくださいよ! 心臓止まるかと思いましたよ!」

キョン「す、すまん、どうしても我慢できなくてな……」

古泉「我々の居場所がサメに知られたらどうするんですか! もっと慎重に行動してください!」

キョン「そ、そんなに怒らなくても……」

古泉「こんなことなら1人で来ればよかったですよ! 怖いのはサメより人間だー!!」

キョン「落ち着け! 何かいろいろおかしくなってるぞ!」

古泉「はぁ、このシリアスな雰囲気をよくもここまでぶち壊しにできましたね。まったく……」

キョン「悪かった! 悪かったよ! 謝るからいいかげん天井から下りてこーい」

古泉「何か怖くて下りられなくなっちゃいましたよ。どうすればいいんですか、これー?」

キョン「あーもう」


54:SS速報:2009/11/21(土) 23:21:10.39 ID:dnStj8on0


古泉「ふう、ひどい目にあいました」

キョン「すまん」

古泉「もういいですよ。それより、少し気になったことがあるのですが」

キョン「あのサメのことか?」

古泉「ええ。先程の阪中さんを見つけた時のことなんですが」

キョン「……国木田が喰われちまったんだっけな」

古泉「あの時に下駄箱のあたりを調べてみたのですが……なかったのですよ」

キョン「なかった? 何がだ?」

古泉「血痕です」

キョン「血痕?」

古泉「ホオジロザメは無数に生えた大きく鋭い歯で獲物を噛み千切って捕食します」

古泉「ですが、現場には血痕が一滴も残されていなかった。これが少し気になってるんですよ」

キョン「普通のサメじゃないんだ。食べ方も普通じゃないってことじゃないか?」


55:SS速報:2009/11/21(土) 23:24:10.03 ID:dnStj8on0


古泉「ええ、そう言われればそうなんですが」

キョン「あまり気にしすぎてもしょうがないだろ。それよりもどうやって脱出するかを考えたほうがいいんじゃないか?」

古泉「敵の情報を知る事も重要ですよ。こんなことなら阪中さんにもっと詳しく話を聞いておけばよかったですね」

キョン「しょうがないだろう。ショックを受けててそれどころじゃなかったんだ」

古泉「そうですね……これはあくまで僕の推論にすぎないのですが……」

キョン「何だ? 言ってみろ」

古泉「希望的観測も含まれているのですが、あのサメに食べられた人達はひょっとして……」

キョン「ひょっとして? 何だよ、最後まで言っtきたきたきたきたきたきたきたきたきた!!!!!!」





サメ『ガオーー!!』ズオオオ!!


57:SS速報:2009/11/21(土) 23:27:12.54 ID:dnStj8on0


古泉「うわ! うわ! うわ!」

キョン「逃げるぞ! 古泉!!」


サメ『ガーオー!!』ズオオオッ!!


キョン「うわああ!! 速えぇぇ!!」

古泉「こ、このままではあっという間に追いつかれてしまいます!! あそこの教室へ!!」

キョン「わ、分かった!!」


ガラガラッ!! ピシャッ!!


キョン「し、しかし、こんなところに逃げ込んでどうするんだ!?」

古泉「~~!?」ガタゴトッ バタンッ

キョン「って、おおおい!! 自分1人だけ掃除用具入れに避難するな!!」


58:SS速報:2009/11/21(土) 23:30:10.47 ID:dnStj8on0


キョン「こら! 開けろ!!」ガンガン

古泉「怖いぃぃ!! 嫌です嫌です!!」

キョン「機関の一員としての責任はどうした!! お前仲間を見捨てる気か!!」

古泉「あなたも他の場所に隠れればいいでしょう!!」

キョン「どこにもねぇよ!! いいから開けろ!!」ガンガンガン

古泉「嫌だぁー!! 開けたら死ぬ!! 開けたら死ぬ!!」

キョン「さっきまでのカッコいいお前はどこに行った!! 覚えてろよコンニャロー!!」


ドォン!! ドォン!!  ズドォーーン!!!! バキバキバキィ・・・


サメ『グルルルル……』


キョン「ぎゃあああ!! きたあああ!!」


59:SS速報:2009/11/21(土) 23:33:08.41 ID:dnStj8on0


キョン(ど、どうする……どうする……?)


サメ『グウウ……グルルル』


キョン(窓から外へ……いやだめだ、下駄箱と同じように壁が張られてるはず)

キョン(死ぬのか……俺はこんなところで死ぬのか……)

キョン(せめて、もう1度だけ……朝比奈さんのバニー姿が見たかったなぁ……)

コツン

キョン(ん? 手に何かが……これは、消火器か)


サメ『グルル……グオオオ!!』


キョン「……」

キョン「嫌だ!! 死んでたまるか!! 諦めてたまるか!!」


60:SS速報:2009/11/21(土) 23:36:08.72 ID:dnStj8on0


サメ『グオオオオ!!』


キョン「うるせえ!! 追い詰められた一般人の底力を舐めるなよ!!」

キョン「喰らえぇ!! 消火器アタック!!」ブンッ!!


ゴンッ!!!


キョン「よっしゃ! 見事に頭に命中! どうだ!!」


サメ『グルオオオオ!!!!』


キョン「効くわけないよなそりゃ!!」


サメ『ガオオオオオオ!!!!』グオオオ!!

キョン「ぎゃあああ!! もうだめだーー!!!!」


61:SS速報:2009/11/21(土) 23:39:09.96 ID:dnStj8on0


キョン「~~!?」

サメ『……グルル』

キョン「ひぃっ!!」


サメ『グルル~』ユラ~リ


キョン「…………あ、あれ? どっか行っちまった……」

キョン「どういうことだ? 消火器アタックが効いていた? わけないよな」

古泉「ふう、どうやらもう安全みたいですね」ガチャ

キョン「死ねぇ!!」ゴンッ!!

古泉「いだぁ!! すすすみません!! 怖くてつい!!」

キョン「よくも俺を見殺しにしやがったな!! この! この!」

古泉「ちょ、ちょっと! それを言うなら部室で最初に襲われた時、あなただって僕を犠牲にしようとしたじゃないですか!!」

キョン「うるせえ!! この野郎!!」

古泉「何ですか!! この!!」


63:SS速報:2009/11/21(土) 23:42:08.23 ID:dnStj8on0


キョン「ぜえ、ぜえ、も、もうやめよう。今は争ってる場合じゃない」

古泉「はあ、はあ、そうですね。とりあえず、おあいこということでチャラにしましょう」

キョン「極限状態って怖いな……人間の本性が出てくる……」

古泉「またサメが戻ってくるかもしれません。話は後にして移動しましょう」

キョン「あ、ああ、そうだな」


古泉「ドアが見事に粉々ですね……恐ろしい破壊力です」

キョン「何とかできるのか、あんな化け物…………ん?」

古泉「どうかされましたか?」

キョン「いや、あそこの柱の影……やっぱり人だ! 誰か倒れてる!!」

古泉「本当ですね。行ってみましょう」


64:SS速報:2009/11/21(土) 23:45:09.46 ID:dnStj8on0


キョン「おい、大丈夫か!! って、え?」

長門「……んん」

キョン「長門!! ど、どうしたんだ!? しっかりしろ!!」

長門「う……平気。何でもない」

古泉「長門さん、どうしてあなたがここにいるのですか? 今までいったいどこにいたのですか?」

長門「涼宮ハルヒが発生させたあのサメを消滅させるべく、独自に行動していた。が、反撃され逃げられた」

キョン「長門でも駄目だったのか! どんだけ厄介なんだよ、あのサメは……」

長門「情報操作であのサメを消滅させようとしたが、強烈なプロテクトがかかっていて不可能だった」

キョン「な、ならどうすればいいんだ? 長門が無理なら俺達にだって無理だぞ!!」

長門「その方法をこれから探る。そのためにも情報が必要」

キョン「そうか、なら一緒に……」

長門「それはできない。わたしは単独で行動する」

キョン「え! 何でだよ!」


65:SS速報:2009/11/21(土) 23:48:09.91 ID:dnStj8on0


長門「まだしなければならないことがある。そのためにも単独で行動する必要がある」

キョン「しなければいけないことって何だよ?」

長門「それは言えない」

キョン「言えないって……ここはみんなで一緒に行動したほうが……」

古泉「長門さんがいてくれたほうが心強いですし、我々だけでは不安、というか怖いんですよ」

長門「すまない。しかしこれはどうしても必要なこと」

古泉「う……」

キョン「……分かった。長門がそこまで言うんだ。本当に重要なことなんだろう」

古泉「いいんですか? 確かに長門さんなら何とかしてくれそうですが……」

キョン「頼むぞ長門。だが、あまり無理はするなよ」

長門「了解した」

キョン「ところで長門よ……」


キョン「その頭のでっかいタンコブはどうしたんだ?」

長門「…………気にしないで」


67:SS速報:2009/11/21(土) 23:51:08.63 ID:dnStj8on0


キョン「一緒にいれないのは残念だが、長門が動いてくれているのは心強いな」

古泉「ええ。これまでは状況が悪化するばかりでしたが、ようやく希望が見えてきましたね」

キョン「ん? そういえば校舎の周りに張られている壁、あれを長門にどうにかしてもらえば逃げられたんじゃないか?」

古泉「あの壁はサメ自体をどうにかしないと消えないと思われます」

キョン「そうか……まあ俺達は俺達にできることをしよう。早く谷口を救出しないと」


「ワアアアアア!!!!」


古泉「ま、また悲鳴ですか……」

キョン「ああ、部室の方向じゃないから谷口ではないと思うが……」

古泉「まだ校舎内に人が残っていたようですね。行きましょう!!」

キョン「はあ、お次は何だ?」


69:SS速報:2009/11/21(土) 23:54:11.87 ID:dnStj8on0


サメ『グルオオオオ!!!!』

???「わあああ!! 来るな!! やめろおおお!!」


古泉「あそこです!!」

キョン「あれは……生徒会長!!」


会長「あ!! お、おいお前ら!! 助けろ! 早く俺を助けろ!!」


キョン「おいおいやばいぞ! 会長の目の前にサメが!!」

古泉「どうしてあなたがまだここに!! 避難したのではなかったのですか!!」


会長「書類整理に没頭してたんだ!! というか何だこのサメはー!!」

会長「いいからさっさと助けろ!! 早くしろと言ってるだろうこの役立たずども!!」


キョン「どうする古泉! 可愛い女の子なら命がけで助ける場面だが、残念ながら生徒会長だ!!」

古泉「そうですね、ここはじっくり慎重に作戦を……」


会長「お前ら覚えてろよーー!!!!」


73:SS速報:2009/11/21(土) 23:57:09.70 ID:dnStj8on0


サメ『グオオオオ!!!!』

会長「ぎゃああああ!!!」


ガボォッ!!!!


キョン「うわ!! 喰われた!!」

古泉「あ、あれは……」


会長「ひいいいいいいい!!!!」


ゴキュッ!! ゴキュッ!! ゴキュッ!!  ゴッックン!!!!


キョン「ま、丸呑み……だと……?」


サメ『ガウ~』ユラ~リ


古泉「あ、またどこかに行っちゃいましたね、あのサメ……」


76:SS速報:2009/11/22(日) 00:00:12.94 ID:6RVFxwgh0


キョン「なあ古泉、サメってあんな食い方したっけ?」

古泉「稀に勢いで飲み込んでしまうことはあるでしょうが、普通は歯で噛み千切るはずですね」

キョン「それが何であんな大蛇みたいに丸呑みにしてたんだ?」

古泉「僕に聞かれましても……普通じゃないからとしか言えませんよ」

キョン「あれはあれで嫌な喰われ方だけどな。生徒会長には悪い事しちまった、しばらく夢に見そうだ」

古泉「現場に血痕が残されていなかったわけが分かりましたよ。それにしても妙ですね」

キョン「まだ何かあるのか?」

古泉「校内の機関のエージェントは20人、他にも食べられた人も何人かいます」

古泉「そんな人数をさらに丸呑みですよ。いくら巨大とはいえ、そんなに胃袋に収まるとは思えないんですよ」

キョン「お腹が四次元空間になっているとか?」

古泉「あるいは超強力な胃液で瞬時にドロドロにされたという可能性も……」

キョン「怖いことを言うな!!」


78:SS速報:2009/11/22(日) 00:03:10.45 ID:dnStj8on0


キョン「要はあのサメは何でもありってことだろ? そんなに気にする事か?」

古泉「ええ。先程も言いかけたことですが、あのサメに食べられた人達はひょっとしたら死んでいないかもしれませんよ」

キョン「え? どういうことだ?」

古泉「あなたも言ったではないですか。あのサメの内部が四次元空間かもしれないと」

キョン「あ、ああ」

古泉「食べられた人達はその別の空間に収納、もしくは閉じ込められているのではないかと思うんです」

古泉「身体を傷つけることなく飲み込んでいた事からも、そう考えられます」

キョン「何か考えすぎのような気がするんだが……」

古泉「もちろん可能性はかなり低いです。ですが希望は捨てないほうがいいと思いますよ」

古泉「それに、涼宮さんが本気で人死にを望むとは思えないんです。僕はそう信じたい」

キョン「……それについては同感だ」

キョン「ようはあのサメをどうにかすれば、食べられた人達も戻ってくるかもしれないってことだな?」

古泉「こんな状況下です。とにかくプラスに考えて行動しましょう」


80:SS速報:2009/11/22(日) 00:06:11.79 ID:6RVFxwgh0


古泉「……こっちにはサメはいません。行きましょう」

キョン「静かにそ~っと出来るだけ急いでな。まったく、いい加減に開放されたい……」

古泉「今は行動あるのみです。長門さんも動いてますし信じましょう」

キョン「そういや朝比奈さんはどうしてるかな? 1人にしてしまったけど、大丈夫かな?」

古泉「もう機関の応援は到着しているはずですが……状況が気になりますね」


「・・・キョ・・・コ・・・・・・ク・・・ン」


キョン「ん? 今誰かの声が聞こえたような?」

古泉「そうですか? 僕には聞こえませんでしたが」

キョン「いや、確かに聞こえた。遠くのほうから…………って、あああ!!」


みくる「キョンく~ん!! 古泉く~ん!!」


キョン「朝比奈さん!!」


81:SS速報:2009/11/22(日) 00:09:11.78 ID:6RVFxwgh0


みくる「よかったぁ、やっと見つけましたぁ」タタッ


キョン「何で朝比奈さんがあんなところに?」

古泉「とりあえず合流しましょう。何かを伝えにきたのかもしれません」

キョン「そうだな……って、わーー!! 朝比奈さん後ろ後ろーー!!!!」


みくる「ふぇ? きゃああああ!!!!」


サメ『ガオオオオ!!!!』ズオオオ!!


古泉「朝比奈さんに向かってます!! まずい!!」

キョン「朝比奈さん!! 逃げてください!!」


みくる「あ……あ…………」


キョン「だめだ!! 恐怖で固まってる!!」


82:SS速報:2009/11/22(日) 00:12:12.32 ID:6RVFxwgh0


キョン「古泉!! 何とかあのサメを俺達の方に引き付けるんだ!!」

古泉「わ、分かりました!!」


みくる「た……助けて…………いやぁ……」


キョン「このサメ野郎!! こっちだ!! こっちに来い!!」ガンガンゴン!!


サメ『グワオオオオオオ!!!!』

みくる「ひ……ひ……いやああああああ!!!!」


キョン「おもいきり無視かよ!! ちくしょう!!」


古泉「こっちです!! ふんもーーーーっふ!!!!」


サメ『ギャオオオオオオオ!!!!』ズオオオオオオ!!!!


古泉「凄い勢いでこっち来た!!!!」


83:SS速報:2009/11/22(日) 00:15:09.87 ID:6RVFxwgh0


キョン「さ、サメが古泉の方に!! 逃げろーー古泉ーー!!」


古泉「うわわわわ!! うわーーー!!!!」


サメ『グオオオオオオ!!!!』ズオオオオ!!


古泉「はーー!! 行き止まりーー!!!!」


サメ『グルルル……』

古泉「ひぃ!!」


キョン「やばい!! 古泉ぃ!!」


古泉「し、死にたくない!! 助け……」

古泉「…………」


キョン「こ、古泉……?」


古泉「僕の事は構わないでください!! 今のうちに早く逃げてください!!」


84:SS速報:2009/11/22(日) 00:18:08.59 ID:6RVFxwgh0


キョン「こ、古泉……」


古泉「大丈夫です! 先程の推論が正しければ、今食べられたとしても誰かがサメを倒してくれれば僕は戻って来れます!」

古泉「すみません、僕はここまでです。後のことはよろしくお願いします!!」


キョン「古泉…………くそっ!! さっきまで俺を見捨て続けてたくせに、何でそんなこと言うんだよ!!」

キョン「古泉!! 諦めてんじゃねえよ!! 馬鹿野郎!!」


古泉「え……?」


キョン「くそ! くそ!! これじゃ俺も見捨てられねえじゃないか!! 絶対助けるからなちきしょー!!」

キョン「何か!! 何かぶつけるものは……」キョロキョロ

キョン「これは……本が積み上げてある!! よっしゃ、こいつを!!」ゴソゴソ


古泉「やめてください!! そんなことをしたらあなたが!!」


キョン「うるせえ!! いくぞー!!」


86:SS速報:2009/11/22(日) 00:21:11.46 ID:6RVFxwgh0


キョン「うりゃあ!!」ブンッ!!


ゴンッ!!

サメ『グルルルル……』


キョン「よーし、そうだ。こっちを向け!!」

キョン「この糞サメ野郎!! 友情に目覚めた凡人の底力を舐めるなよ!!」

キョン「喰らえ!! ハードカバーの乱れ投げ!!」ブンブンブンブンブン!!!!


ガンッ!! ガンッ!! ゴンッ!! ガンッ!! ゴゴンッ!!


キョン「本無くなった!! あとはダッシュで逃げる!! 古泉、今のうちにお前も逃げ……あれ?」


サメ『グウウウウ……』ユラ~リ


キョン「サメのほうが逃げていった……」


87:SS速報:2009/11/22(日) 00:24:10.38 ID:6RVFxwgh0


キョン「どうやら、助かったみたいだな」

古泉「……助かりました。本当にありがとうございます」

キョン「いや、俺も無我夢中だっただけだし……」

古泉「嬉しかったですよ。何か友情がどうとか叫んでいましたね」

キョン「言ってねえよ、そんなこと」

古泉「言ってました」

キョン「まあいい。しかし案外あのサメ弱くないか? そういえばさっきも消火器投げつけられただけで逃げてたし」

古泉「弱くはないと思いますよ。現に機関のエージェント達は全滅させられたわけですし」

みくる「きょ、キョンくん!! 古泉くん!! 大丈夫ですかぁ!!」

キョン「朝比奈さん……ええ、何とか無事ですよ」

みくる「よかったぁ……本当に食べられちゃうかと思いました……」

古泉「助かったのも嬉しかったですが、それ以上に得るものがありましたね。お互いに」

キョン「何か恥ずかしくなってきた!! やめてくれ!!」


88:SS速報:2009/11/22(日) 00:27:09.83 ID:6RVFxwgh0


キョン「そういえば朝比奈さん、何でここに?」

みくる「あ、そうです! えっと、機関の人達からの伝言を伝えにきたんです!」

古泉「伝言……ということは、やはり機関のメンバーもあの壁を通り抜ける事はできなかったんですね」

みくる「ええ、そうです。けど、皆さんの力を合わせて小さな穴を開ける事はできたんです!」

キョン「穴、ですか? ん? ここは閉鎖空間じゃないんだろ? ならどうしてそんな能力が使えたんだ?」

古泉「閉鎖空間の処理だけでなく、敵対勢力等に対抗するための能力も研究してるんですよ。その応用でしょう」

キョン「……それは宇宙人や未来人組織に対してのものか?」

古泉「それについてはまた後ほど。今はそれどころではありませんので。それで朝比奈さん、伝言とは?」

みくる「あ、えっと、その穴からこれを渡されたんです。これでサメを……と」スッ

キョン「これは……銃?」

古泉「これは麻酔銃ですね。機関特注のかなり強力なやつです」

みくる「あと、森さんから。『力になれずに申し訳ありません、無事を祈っています』だそうです」


91:SS速報:2009/11/22(日) 01:00:07.88 ID:6RVFxwgh0


キョン「しかし、麻酔銃か。本当に効くのか?」

キョン「言っちゃあ悪いんだが、もっと強力な武器はなかったのか? 一撃で吹っ飛ばせるような」

古泉「そんなもの素人に使いこなせるわけがないでしょう。僕だって銃火器の訓練はまだ受けていないんです」

古泉「それにこの麻酔銃はクジラを一発で眠らせる威力があります。下手な銃火器よりよほど有効ですよ」

古泉「さらに軽くて扱いやすいので、、朝比奈さんでも大丈夫です」

キョン「なるほどな、よく分かった。心強いな」

古泉「ちょうど3丁ありますね。ではお一人ずつ」

キョン「こいつで眠らせて、止めを刺す。よし! やってやるぜ!!」

キョン「…………あれ? そういえば朝比奈さん、さっき古泉がピンチの時になぜこれを使わなかったんですか?」

みくる「はう!! すすすすみませぇん!! びっくりして動けなくって……」

キョン「そ、そうですよね、仕方ないですよね……」

古泉「それにわざわざ届けに来なくても、我々が戻ってくるまで待っていてくだされば……」

みくる「……すみません。待ってるだけなのは嫌だったんです」

古泉「そうですか。おかげでここからは武器有りで進めますしね。ありがとうございます」


92:SS速報:2009/11/22(日) 01:04:11.79 ID:6RVFxwgh0


キョン「よし!! とにかく行こう!! いいかげん谷口のことが心配だ」

みくる「あ、あの、あたしも一緒に行きます!!」

古泉「そうですね。1人でまた倉庫に戻るより、一緒に行動したほうが安全でしょう」

キョン「武器も手に入ったし、何より散々サメに襲われながらもことごとく切り抜けてきたんだ」

古泉「そういえば毎回やられる直前まではいくのに、なぜいつもギリギリで助かるんでしょうね?」

キョン「そりゃあ俺が消火器やら本やらで反撃したから……」

古泉「あの巨体でそんなものが本気で効いているとは思えないんですよね……」

キョン「なら効いてはいなかったけどひるんだってことだろ。ははは!! サメなど恐るるに足らず!!」

キョン「何かどうとでもなるような気がしてきたぞ!! サメでも何でもかかって来いってんだ!!」

古泉「冷静になってください。そうやって慣れてきた頃の油断が一番怖いんですよ」

キョン「う……」

古泉「映画などでも、そうやって調子に乗った人はたいがい直後にやられるでしょう?」

キョン「わかった! わかったよ!! 気を引き締めなおせばいいんだろ!!」


93:SS速報:2009/11/22(日) 01:07:44.63 ID:XOKbrSkC0


いかな死亡フラグといえどもフラグクラッシャーキョンの前では無意味!



94:SS速報:2009/11/22(日) 01:08:10.08 ID:6RVFxwgh0


みくる「あ、あたしはまだ怖いですよぅ…………あ、あれ?」

キョン「どうしました、朝比奈さん?」

みくる「あの、あそこ……誰かがいるような……?」

古泉「サメが逃げていった方ですね…………あれは!?」


長門「う……」

キョン「長門!! 何でお前また倒れてるんだよ!?」

長門「何でもない……」

キョン「何でもないわけないだろ!! 大丈夫か?」

古泉「長門さん、先程こちらにサメが来たはずでしたが、見かけませんでしたか?」

長門「来た。が、突如スピードを上げて逃走したため、捕獲できなかった」

キョン「そうか、しかしやっぱりあのサメ、相当な強敵だな。長門がここまで手こずるとは」


95:SS速報:2009/11/22(日) 01:12:08.97 ID:6RVFxwgh0


長門「そろそろわたしは行く」スクッ

キョン「長門、やっぱり別行動なのか?」

長門「そう」

キョン「お前がしなければいけないこと、まだ教えてくれないのか?」

長門「すまない」

キョン「いや、いいんだ。いつもお前に頼ってばかりなんだ、今回は俺達が仕留めてやるさ」

長門「気をつけて」

キョン「ああ、お前もな。行こう、古泉、朝比奈さん」

古泉「ええ」

みくる「は、はい!」

キョン「あ~~、ところで長門よ……」



キョン「頭のその大量のタンコブは、いったいどうしたんだ?」

長門「…………ノーコメント」


97:SS速報:2009/11/22(日) 01:16:11.85 ID:6RVFxwgh0


キョン「はあ、やっと部室棟まで辿りついた。長かったなぁ……」

みくる「部室まであと少しですね」

古泉「ええ、頑張りましょう」

キョン「なあ古泉、よくあるパニック映画とかだとさ……」

古泉「なんですか、唐突に?」

キョン「いや、俺がさっき興奮してた時に、お前が映画を例えに出したからさ。思い浮かんだんだけどよ……」

キョン「そういう映画だと、大概生き残るのは主人公とヒロインだよな」

古泉「……」

キョン「いや、ヒロインが死んで男2人が生き残った映画もあったような……?」

みくる「ひっ!!」

古泉「それを言うなら、最後に主人公が犠牲になって他のみんなが助かった映画もありましたよ」

キョン「うっ……」

みくる「も、もうやめましょうよう……絶対みんな生きて帰れますよ」

キョン「すみません。何か変な事言っちゃって」


98:SS速報:2009/11/22(日) 01:20:09.02 ID:6RVFxwgh0


古泉「この状況ですからね。疲労も相当溜まっているでしょうし、仕方ないですよ」

みくる「が、頑張りましょうキョンくん! あたしも頑張りますから!!」

キョン「もちろん頑張ります。頑張りますが……」

古泉「どうしました?」

キョン「谷口を回収して倉庫に戻っても、この悪夢は終わらない」

キョン「機関の人達が入って来れない以上、俺達があのサメを倒さなくてはならない。俺達が……」

古泉「その通りです。てっきりすでに承知しているものと」

キョン「ああ、分かってたさ。けど急に不安になってきてな……」

みくる「げ、元気を出してくださいキョンくん。長門さんも動いてくれてますし、大丈夫ですよ!」

キョン「…………そうですよね。うん、よし!! いっちょ気合いいれt」


バキバキバッキィッ!!!! ドゴォンッ!!!!

サメ『グルオオオオオオオ!!!!』


キョン「ぎゃああああああ!! 床を突き破ってきやがったぁぁぁぁぁ!!!!」


101:SS速報:2009/11/22(日) 01:24:09.18 ID:6RVFxwgh0


古泉「うわああああああ!!!!」

みくる「はしゅっ!!!!」シュタタタタ


サメ『ガオオオオオオオ!!!!』


キョン「だあああああ!! ここ、これでも喰らえええええ!!!!」ブンッ!!


ガンッ


古泉「麻酔銃投げつけてどうするんですか!!」

キョン「ああああ!!! しまったぁぁぁ!!!!」


サメ『グルルルル』


キョン「ひぃっ!! にに逃げ……あ、あれ? 朝比奈さんは?」

古泉「もうとっくにいませんよ!!」







104:SS速報:2009/11/22(日) 01:28:08.90 ID:6RVFxwgh0


キョン「ど、ど、どどうしたら、どうしたら……」

古泉「僕がやるしかありませんね。一発で仕留めます!!」

キョン「は、外すなよ、古泉!!」

古泉「あんなデカい標的、外すわけが……」


サメ『グオオオオオオオ!!!!』ズォォォォォ!!!!


古泉「え? は、はや」


バクンッ!!!!


古泉「うわあああああああ!!!!」バタバタ

キョン「こ、ここ、古泉!!!!」


ゴキュッ!! ゴキュッ!! ゴキュッ!!  ゴックンッ!!!!


キョン「こ、古泉が喰われたぁ!!!!」


107:SS速報:2009/11/22(日) 01:32:10.72 ID:6RVFxwgh0


サメ『グルル、グルルルル』


キョン「やばい……逃げようにもこの通路は行き止まりだ……」

キョン「何か投げつける物!! 何もねぇー!!」

キョン「だめだ、何も打つ手がない……俺も喰われるのか、古泉みたいに……」

キョン「古泉…………くそっ!! よくも古泉を!!」


サメ『グワアアアアア!!!!』ポロッ


キョン「うわ!! あ、あれ? サメの口から何かが……」


コトン


キョン「あれは……麻酔銃!! 古泉のか? 歯に引っ掛かってたのか!!」

キョン「あれを……あれを使えばまだ望みは……」


108:SS速報:2009/11/22(日) 01:36:09.14 ID:6RVFxwgh0


キョン「し、しかし、麻酔銃はサメの目の前に……」

キョン「そ、そうだ! サメが突っ込んできたところを避けることが出来れば、その隙に銃を取れる!!」

キョン「あとはそれが出来るかだが…………出来る!! 俺は絶対に出来る!!」

キョン「朝倉のナイフだって避けれたんだ!! やってやる!! こい!!」


サメ『ガオオオオオオ!!!!』グアアアア!!!!


キョン「だああ!! きたああ!!」

キョン「くそ!! 避けろ避けろ避けろ避けろ避けろおぉぉぉ!!!!」


サメ『グオオオオオ!!!!』ガバァァ!!!!
キョン「だあっ!!!!」ババッ!!


キョン「よ、避けたあぁぁぁぁ!!!!」


111:SS速報:2009/11/22(日) 02:06:10.44 ID:6RVFxwgh0


キョン「どうだぁ!! やったぞ!!」


サメ『グオオオオオオ!!!!』グゥン!! ズオオオオ!!!!


キョン「って喜んでる場合じゃない!! 急旋回してきやがった!!」

キョン「は、早く銃を!! って速えぇ!!」

キョン「くそ!! 間に合え!! 間に合えぇぇぇ!!」ガバァ!!


パシッ!!


キョン「取った!! よし!!」


サメ『グワオオオオ!!!!』ズオオオオ!!!!


キョン「散々手こずらせてくれたな!! 喰らえ!!」


カチン


キョン「ふ、不発……だと……」


112:SS速報:2009/11/22(日) 02:12:08.59 ID:6RVFxwgh0


サメ『グルオオオオオオ!!!!』


キョン「終わった……短い人生だったな……」

キョン「あまりに短すぎて走馬灯も流れねえ、ちきしょう……」


サメ『グル……ガウウ……』フラフラ


キョン「……ん、何だ? サメの様子が……え?」


サメ『ガ…………ウ…………』ドズンッ!!!!


キョン「お、落ちた……死んだ……のか?」

キョン「でも、俺は何もしてないぞ? いったい何で……?」




みくる「ひ……ひっ……はうう……」ガタガタ


キョン「朝比奈さん!?」


113:SS速報:2009/11/22(日) 02:18:09.91 ID:6RVFxwgh0


みくる「はう……あううう…………きょ、キョンく~ん!」

キョン「朝比奈さ……ちょ! 銃口をこっちに向けないで!!」

みくる「へあう!! ごご、ごめんなさい!!」サッ

キョン「あ、いえ。ん? ということは、このサメ朝比奈さんが倒したんですか?」

みくる「あのそのえと……あ、あたし、いきなりサメが出てきてびっくりしちゃって……」

みくる「それで気がついたらまた逃げ出しちゃってて……無我夢中で……」

みくる「でもでも! 逃げちゃいけないって……キョンくんと古泉くんが危ないって思って……」

みくる「それでその、頑張って戻ってきたらキョンくんが追い詰められてて……キョンくんが死んじゃうって思って……」

みくる「そう思ったらもう無我夢中でこの鉄砲を撃ってました……あ、あの、あの、あたし…………」

みくる「ご、ごめんなさい!! あたし、また逃げちゃったりして!! あたし……あたし……」

キョン「あ、朝比奈さん、いいんですよ!! 朝比奈さんはこうして戻ってきてくれました!!」

キョン「それに俺の命を救ってくれた。本当にありがとうございます」


114:SS速報:2009/11/22(日) 02:24:10.19 ID:6RVFxwgh0


キョン「それにしてもお手柄ですね、朝比奈さん」

みくる「う、ううん、あたしはその、ただ必死だっただけで……」

キョン「麻酔銃もちゃんと効いてよかった。グッスリ眠ってますよ」

サメ『グウウ……グウ……』

キョン「まったく、散々苦労させてくれたな。どうやって止めを刺そうか?」

みくる「!!きょきょ、キョンくん! サメの様子が!?」

キョン「え? うお!! 何かサメが光ってる」

サメ『グゥゥゥゥ……』シュゥゥゥゥ

キョン「どんどん身体が小さくなって…………何だこれ? 人の形をしているような……?」

みくる「あ、ひ、光が収まってきましたよ」


シュゥゥゥ・・・・・・


長門「う……」


キョン「……………………はい?」


115:SS速報:2009/11/22(日) 02:30:09.95 ID:6RVFxwgh0


キョン「えっと、あれ? どういうことだ? 何でサメが長門に?」

長門「う……んん……」パチッ

みくる「あ、長門さん、大丈夫ですか!?」

長門「……平気」

キョン「長門、どうなってるんだ? お前はあのサメに喰われてたのか?」

長門「違う。わたし自身があのサメに変化していた」

キョン「なぜだ!? まさか誰かの陰謀で無理矢理変身させられていたのか!?」

長門「違う。わたしの意志」

キョン「……え? お前の意志? 何でだ!? 何でこんなことをしたんだ!?」

みくる「キョンくん! あれ!!」

キョン「こ、今度は何ですか朝比奈さん!?」


116:SS速報:2009/11/22(日) 02:36:10.10 ID:6RVFxwgh0


古泉「うう……」

国木田「うう~ん……」

キョン「古泉!! 国木田も!!」

みくる「あ、あっちにもいっぱい人が倒れています。機関の人達かな?」

キョン「サメに食べられた人達か。どうやら息はあるみたいだ。よかった、無事だったのか」

キョン「ん? 長門よ、お前がサメだったってことは、この人達もお前が?」

長門「そう。もう必要なくなったため開放した」

古泉「う……んん……は! こ、ここは!?」

みくる「あ、古泉くん、目が覚めましたか」

古泉「朝比奈さん!? え? ここは? あ! さ、サメは!?」

キョン「落ち着け古泉、もう全部終わったよ」

古泉「え? お、終わった?」

キョン「ああ、今から長門に事情を聞くところだ」

古泉「長門さんに?」

キョン「さあ長門、話してくれ。いったいどうしてこんなことをしたのか」


118:SS速報:2009/11/22(日) 02:42:09.36 ID:6RVFxwgh0


――――――――――

――――――

――

長門「…………以上が今回の行動の理由」

古泉「………………はい?」

みくる「あ、えっと、その……」

キョン「あ~~その、長門よ、いったん整理するぞ」

キョン「きっかけは一昨日の俺の家での映画鑑賞。そこでのハルヒの発言、だよな?」

長門「そう」

キョン「ハルヒがリアクションについてやたらと熱弁するもんだから、お前も興味を持ったと」

キョン「さらにその後のお笑いの番組で、今まで感じた事のない感情が芽生えた。で、いいんだよな?」

長門「そう」

キョン「ドッキリに引っ掛かった人間のリアクション、それが面白かったのか?」

長門「あの惨めなうろたえっぷり、あれを見た時、何かがわたしの中で目覚めた」

キョン「あーー……確かに面白いもんな。お前も心の中では爆笑してたのか?」


119:SS速報:2009/11/22(日) 02:48:12.33 ID:6RVFxwgh0


長門「あれをもっと見たいと思った。あのリアルなリアクションを」

長門「そう思うともう止まらなかった。帰りにお笑いのDVDを何本も借りて帰った」

キョン「お前の家、テレビなんてあったか?」

長門「情報操作」

キョン「あっそう……。しかし、宇宙人がお笑いに興味を持つとはな」

長門「そしてテレビで見るだけでは満足できなくなった。実際にこの目でリアクションを見たくなった」

キョン「それでサメに変身したってのか? しかし何でよりによってサメなんだ?」

長門「涼宮ハルヒがサメに遭遇した時のリアクションについて語っていたから」

キョン「何でお前自身がサメに変身する必要があった?」

長門「より近くでリアクションが見たかった」

キョン「それで、みんなのリアクションはどうだった?」

長門「面白いと感じた。満足」

キョン「『ユニーク』じゃなくて面白い、か。変わったなお前」


121:SS速報:2009/11/22(日) 02:54:11.35 ID:6RVFxwgh0


キョン「それで、この人達を食べたのは何でだ?」

長門「充分にリアクションを堪能した後、邪魔にならないようにわたし自身の内部に作った異空間に閉じ込めていた」

キョン「俺達をなかなか仕留めなかったのは?」

長門「身近な人間のリアクションが1番面白いと感じた」

キョン「さっきから随分と饒舌だな。そんなに面白かったか?」

長門「面白かった」

キョン「みんなに悪いとは思わなかったのか?」

長門「悪いとは思いながらもやめられなかった。やってはいけないというあの背徳感もまたたまらなかった」

キョン「長門よ」

長門「何?」


ゴンッ!!!!


123:SS速報:2009/11/22(日) 03:00:08.78 ID:6RVFxwgh0


キョン「~~~!?」

長門「わたしはなぜ殴られた?」

古泉「彼は右手を押さえてのた打ち回っていますので、代わりに僕が。駄目でしょう長門さん!!」

古泉「あなたは今回、いろんな人達に多大な迷惑を掛けたのですよ!! 分かっているのですか!!」

みくる「そ、そうですそうです!! とっても怖かったんですよ!!」

長門「……自分でも抑えられなかった。これほど強い欲求が湧いてきたのは初めてだった」

長門「……これが自律進化の可能性?」

キョン「可能性? じゃねええ!! お前少しは反省しろ!!」

古泉「おや、復活しましたか」

キョン「本当に死ぬかと思ったんだぞ!! ハッキリ言ってトラウマだよこの野郎!!」

キョン「他の人達もそうだ!! 何も知らない一般人はもっと怖かったはずだ!!」

キョン「分かってるのかお前!! いくら何でもやっていいことと悪いことがあるだろう!!!!」

長門「……すまない」

キョン「『すまない』じゃない!! 『ごめんなさい』だ!!」

長門「ごめんなさい……」


124:SS速報:2009/11/22(日) 03:06:10.51 ID:6RVFxwgh0


キョン「!!!!」ガミガミ

長門「……」

キョン「!!!!」ガミガミ

長門「……」ショボン

キョン「!!!!!!」ガミガミガミ

長門「……」ズーン・・・

古泉「あの、気持ちはわかりますが、もうその辺にしておいたほうが……」

みくる「そ、そうですよ。長門さん、かなり落ち込んできてますよ」 

キョン「いーや駄目です!! ここはちゃんと怒っておかないと!!」

キョン「長門!! お前にはいつも助けられている。それには本当に感謝している」

キョン「だが、だからといって今回の事を大目に見るわけにはいかない!! お前は大変なことをしたんだぞ!!」

長門「ごめん……なさい…………」


125:SS速報:2009/11/22(日) 03:12:13.30 ID:6RVFxwgh0


キョン「まったく。ほら、機関の人達に謝りにいくぞ」

キョン「あと、一般の生徒達の今回の事に関する記憶は消しておけよ。覚えててもしょうがない」

長門「……分かった」

古泉「そういえばもう校舎を覆っていた壁もないはずですから、機関の応援もそろそろここに来る頃ですね」

みくる「まだまだ後始末が大変そうですね……」

キョン「長門、お前罰として1ヶ月間、読書禁止な」

長門「!!!!」

キョン「あと空いている時間でいいから、校内の掃除をしろ。これも1ヶ月間!!」

長門「本……」

キョン「ちゃんと反省しろ!! 分かったな!!」

長門「……了解し…………はい」

古泉「ふう、何だかつまらない真相でしたが、みんな無事でよかったですね」

みくる「早く帰って、ゆっくり休みたいです……」


127:SS速報:2009/11/22(日) 03:18:11.99 ID:6RVFxwgh0


~翌日の放課後 部室~


古泉「昨日は大変でしたね、本当に」

キョン「まったくだ。長門、反省してるか?」

長門「本……本……」ブルブル

みくる「な、長門さん、何だか身体が震えてますけど……?」

キョン「たった1日で禁断症状が出るとはな。ま、自業自得だ、我慢しろ」

古泉「あれから長門さんの情報操作により、関係者以外の記憶は消し、校舎の破損も修復されました」

古泉「おかげで特に混乱は起こっていません。これで全てが終わりましたよ」

キョン「やれやれ。ところで長門、少し気になってたことがあるんだが」

長門「な……に……?」ブルブル

キョン「あのサメ、お前が変身していた割には脆くなかったか? 消火器や本ぶつけただけでダメージ受けてたし」

キョン「あとよく考えたら、お前に麻酔が効くなんて考えにくいんだが」

長門「サメのディテールに懲りすぎて大半のパワーを使ってしまったため、防御力が大幅にダウンした」

キョン「お前はアホか……」


128:SS速報:2009/11/22(日) 03:24:15.82 ID:6RVFxwgh0


ハルヒ「やっほー!! みんな揃ってるわね!!」バァン!!

みくる「あ、涼宮さん、こんにちは」

ハルヒ「あれ有希? 本を読んでないなんて珍しいわね。それに何でそんなに震えてるの?」

長門「気にしないで……」

ハルヒ「そう、有希がそう言うならまあいいわ!」

キョン「お前、昨日は団活ほったらかしてどこ行ってたんだよ?」

ハルヒ「そうそう! 昨日ね、部室に行こうとしてたら珍しい蝶を見つけたのよ!!」

キョン「珍しい蝶?」

ハルヒ「羽に『SOS』って模様があったのよ!! これは大発見だと思って追っかけたのよ!」

ハルヒ「けどなかなか捕まらなくてねー。そこらへんでDSしてたガキ共にも手伝わせて大捕獲作戦よ!!」

ハルヒ「そして遂に捕まえたわ!! 夢中になってていつの間にか知らない街に来てたけど、感動モノだったわ!」

ハルヒ「それなのに!! その『SOS』って模様、よく見たらマジックで書かれてたのよ!!」

ハルヒ「誰かがイタズラで書きやがったのよ!! せっかく苦労したのに! 腹立ってしょうがなかったわ!!」

キョン「お前もアホか……」


129:SS速報:2009/11/22(日) 03:30:09.97 ID:6RVFxwgh0


古泉「結局今回の事件、涼宮さんは一切関係なかったようです」ヒソヒソ

キョン「そうみたいだな。閉鎖空間は発生しなかったのか?」ヒソヒソ

古泉「大丈夫です。口ではああ言いながらも楽しんでいたようですね」ヒソヒソ

キョン「ま、よかったんじゃねえか? 大好きなドッキリを自分も体験できたんだから」ヒソヒソ


ハルヒ「それでまた映画でも観てストレス発散しようと思ってね、またいろいろ借りてきたの!」

キョン「え?」

古泉「はい?」

みくる「ふぇ?」

長門「本……」

ハルヒ「ほら! このワニが出てくるパニック映画なんて面白そうよ! またみんなで観ましょ!!」


キョン「やめてくれ!!」
古泉「やめてください!!」
みくる「やめてぇ!!」


おしまい


130:SS速報:2009/11/22(日) 03:31:30.26 ID:4nQU2fc8O


>>1



134:SS速報:2009/11/22(日) 03:41:08.85 ID:RUeBUV/tO


面白かったよ。乙



142:SS速報:2009/11/22(日) 08:30:54.46 ID:VFnv4TgZO



面白かったぜ




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