転載元:勇者「ゴキブリ勇者」


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勇者「ゴキブリ勇者」【前編】【後編】【番外編】


440: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/20(水) 20:01:18.32 ID:XQ24C3WgO

ここで一旦終わりです。長い間ありがとうございました。

一応ですが、続きもあるので興味がある方はぜひ読んでください。

それと、おふざけで作った勇者達のプロフィールがあるのですが、読みたい方は言ってください。喜んでのせるんで。

あと、なにか質問があれば答えます。でも、そんなに作り込んでないので、答えられないかもしれません。

とにかく、本当にありがとうございました!




441: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/20(水) 20:21:17.20 ID:RK0/bSTyO

読みたい乙




442: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/20(水) 20:57:45.38 ID:/oYo05z30



続きもプロフィールも読みたいよー




443: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/20(水) 23:04:16.58 ID:H+eu58LMO

楽しかったよ乙!

読み返してみます。
改めてこれからも楽しみにしてます。




444: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/20(水) 23:42:49.28 ID:wm1k+TWzo


面白かった




445: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/21(木) 09:04:45.88 ID:KiiocZoNo

乙乙

最後までドキドキしてたよ!
勇者が幸せに慣れればいいなー

続きもプロフィールも読みたい
あと質問っていうか……スレタイが最後まで謎だったような?




446: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/21(木) 09:38:49.69 ID:V2IQJCboo

完結乙です
キャラが立っていたので読みやすいんだけど
ストーリー感や背景が判りにくくて面白いけどわからんっていう不思議な感じだった
リクエストとしては年表形式でストーリーの概要とかが見てみたいかな




447: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/21(木) 12:11:06.27 ID:SLdAxkM2O

>>441
>>442
>>443
>>444
ありがとうございます!
本当にこんなにレス頂いちゃって良いんでしょうか……泣きそうです……!

リクエストも頂けたので、プロフィールのせます!
でも、本当におふざけで作ったので雰囲気で読んでください。


>>445
ありがとうございます!
スレタイについては番外編があるので、それをのせようと思います。


>>446
ありがとうございます!
でも……年表無くしちゃったんです……。
一応、続きの方である程度の時系列はわかると思うので、よければ読んでみて下さい。
すいません。



それでは、プロフィールと番外編をのせようと思うのですが、番外編を先にのせます。
番外編の時間設定は、前編は二人が歴史学者と会ったばっかりの時で、後編は続編のさらに後って感じです。

番外編と続編はあまり関係ないです。多少はありますが。


では、再開します!




448: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/21(木) 12:13:53.10 ID:SLdAxkM2O



ー番外編・前編ー


歴史学者「自分を虫に例えるなら、なんだと思う?」

勇者「は?なんだよ突然」

歴史学者「いや、さっきアゲハ蝶のステンドグラスを見かけたんだよ。
なんて優雅なんだろう、まるで私のようだ、と思ってな」

勇者「勝手に言ってろバーカ」

歴史学者「なんだよ冷たいな。先生は答えてくれますよね?」

医者「うーん……虫に例えるとかぁ。なんて言うか、青虫は好きだよ」

歴史学者「えっ」

医者「そんな顔しないで……。生まれたてのやつ限定だから。
変な模様もなくて、ただ緑色で、結構可愛いんだよ」

歴史学者「うーん……青虫ねぇ……」

医者「……ほ、ほら、君も答えなよ。君だけ答えないのはズルいよ」

勇者「なんすかズルいって。俺は虫じゃなくて人間ですもん」

歴史学者「ノリが悪いな。じゃあ、私が考えてやろう。君は…………」

勇者「……ゴキブリ」

歴史学者「は?」

勇者「……俺はゴキブリだよ」




449: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/21(木) 12:15:26.28 ID:SLdAxkM2O

歴史学者「なんとまあ。ゴキブリが好きなのか?」

勇者「まぁな。空も飛べるし、黒いし、触覚もなんとも言えねぇし」

歴史学者「ふーん。でも、そんなこと言われると、なんだか叩き潰しづらくなるな」

勇者「いや、気にすんなよ。ゴキブリは叩かれてこそゴキブリだからな。
コソコソ人の気配伺って、メシも隠れながら食って、みんなに嫌われてさ」

歴史学者「なんだ、自分語りか?なにをいじけてんだ」

勇者「別に。俺はちょうちょ様のお友だちにはなれねぇってことだよ」

歴史学者「蝶だってもとは青虫だったんだぞ。先生と同じ最下層だ」

医者「最下層……」ガーン

勇者「そうか、なら俺の方が上だな。ゴキブリならその気になれば、青虫ぐらい食うだろ。
頭からバリバリと」

医者「……」ゾー

歴史学者「なにを怖いこと言ってんだ。やめろ」

勇者「……ま、そうなりそうになったら、容赦なく叩き潰して下さい。俺は気にしないんで」

歴史学者「全く、無駄な心配だよ。私はのらりくらりと逃げるからな。
蝶のように舞い、青虫を生け贄に捧げてやる」

医者「それだと俺がヤバイね。まぁでも、食べられても諦めるよ。
来世で人間になって、蝶とゴキブリを仲間にするから」

勇者「……先生は優しすぎますねー。じゃあ、俺も青虫を食べるのはやめます」

歴史学者「なら、私は誰を生け贄にすればいいんだ?」

勇者「知るかよ。まぁ、アゲハ蝶なんて食ったら頭悪くなりそうだしな。
やっぱりやめてやるよ」

歴史学者「ふざけるな。アゲハ蝶は栄養価が高いぞ。
頭が良くなるサプリにしてもいいぐらいだ」

勇者「ほらな。バカがうつる」

歴史学者「くーっ、むかつく」

医者「全く、変なケンカしないでよ。あ、食堂があるけど、どうする?」

歴史学者「えー、こんな話をしたあとに食事ですか?」

勇者「お前がふった話だろ。嫌なら外で待ってろ」

歴史学者「私は刺身定食がいいです!」

医者「はいはい。じゃ、入ろっか」


ーつづくー




450: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/21(木) 12:17:39.12 ID:SLdAxkM2O

ここからはプロフィールです。




451: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/21(木) 12:20:26.28 ID:SLdAxkM2O

歴史学者(本名・エリカ) 24才

服装
(最初は赤いジャージとスニーカー)
デニムのロングシャツ
白いスキニーパンツ
貝殻のネックレス
メガネ
大きなトートバッグ
白いスニーカー

好きな歌手
椎名林檎
ゆず
いきものがかり

好きな作家
ゆうきゆう
星新一

苦手な歌
軍歌
演歌
(母親が好きだったから)

好きな早口言葉
かえるぴょこぴょこ〜
(ぴょこぴょこっていう語感が好き)

信じてるもの
FSM教




医者(本名・コウイチ) 45才

服装
テーラードジャケット
白いタートルネック
ベージュのズボン
トートバッグ
ヘアバンド
腕時計

好きな歌手
サザンオールスターズ
安全地帯
BUMP OF CHICKEN
Oasis
(ノエルよりオアシスの方が好き)

苦手な歌
クラシック

好きな作家
東野圭吾
海堂尊

好きな早口言葉
生麦・生米・生卵
(早口言葉のボスって感じがするから)

好きなもの
青いふわふわのホコリキャッチャー
ハイビスカスのキーホルダー




452: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/21(木) 12:21:31.36 ID:SLdAxkM2O

勇者(本名・マコト) 13才

服装
ポケット付きのパーカー
ジーパン
ブラウンのエンジニアブーツ
ショルダーバッグ

好きな歌手
Noel Gallagher
(オアシスよりノエルの方が好き)

苦手な歌
ノエル以外のバラード

好きな本
星の王子さま
(新訳より古い方が好き)
さよならは霊界から
パコと魔法の絵本
人の心はどこまでわかるか

好きな早口言葉
東京特許許可局
(本当は実在しないことを知っている)

好きなマンガ
NARUTO。これより面白いマンガは無いと確信している。




453: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/21(木) 12:22:54.00 ID:SLdAxkM2O

魔王(本名・マサト) 13才

服装
(外に出るときは黒のロングコートと角と自作のお面)
Tシャツ
迷彩のフルジップパーカー
ジーパン
スニーカー

好きな歌手
乃木坂46
KANA-BOON
モー娘。(母の影響で)

苦手な歌
暗い曲

好きな作家
マンガしか読まない
好きな漫画家は中村光となもり

好きな早口言葉
隣の客はよく柿食う客だ
(柿が好きだから)

嫌いなもの






女・魔王の手下(本名・サヤカ) 25才

服装
(魔王が作ったお面をたまにつけたりする)
黒のVネック
赤いフレアスカート
黒のレザーのロングブーツ
黒のストッキング
ビジュー(?)のネックレス&ブレスレット

好きな歌手
赤い公園
東京事変
ゲスの極み乙女。

苦手な歌
アイドルの歌

好きな作家
宮部みゆき

好きな早口言葉
バスガス爆発ブス自爆
(爆って字はバランスよく上手く書けるから)




454: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/21(木) 12:24:08.88 ID:SLdAxkM2O

男・魔王の手下(本名・アキラ) 25才

服装
(魔王が作ったお面をたまにつけたりする。結構気に入っている)
黒のライダースブルゾン
豊天のTシャツ
黒いズボン
黒の編み上げブーツ
シルバーのネックレス

好きな歌手
大瀧詠一
ポルノグラフィティ
たま
keytalk
西野カナ

苦手な歌
なし

好きな作家
有川浩
筒井康隆
スティーブン・キング
金子みすゞ
あまんきみこ

好きな早口言葉
なし
(最後まで言えたことがないから)




455: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/21(木) 12:27:41.23 ID:SLdAxkM2O

これで終わりです。
書いたあとになんですが、読まなくても全く支障はありません。
でも、魔王側の名前を紹介できたので、満足です。

このあとは、書き終わり次第、続編をのせようと思います。
続編が終わったら、番外編の後編をのせます。


読んでくださってる方、本当にありがとうございます!




456: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/21(木) 13:03:24.41 ID:KiiocZoNo

おお、スレタイの意味が分かってスッキリした!

歴史学者の好きな作家ゆうきゆうに吹いた
や、イメージ合ってるけどもww

勇者と魔王は並んだら似てるっぽい

続編も楽しみにしてます乙乙




463: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/22(金) 10:43:22.91 ID:foDqRL5KO

ついにやった。世紀の瞬間を俺の目でとらえることが出来たのだ。
彼はたった今発見したホルモンを、どう発表するか考えていた。

きっと、大々的にもてはやされるだろう。
その確信だけは揺るがず、顔は自然とほころんだ。

そして彼は我が子を眺めるように、研究室の隅々を見渡した。
近々もっと大きな所で研究できるようになるだろう。

名残惜しそうにしながらも、彼には新たな可能性への希望があふれていた。

そんな彼が本当の子供を授かったのは、それから五年後のことだった。
あの夢見るような日々から、五年も経ったのだ。
彼の研究は、大発見からのち、少しも進歩していなかった。

幸運の真っ只中で彼は結婚もしていたが、妻に八つ当たりをする日々が続いていた。
そんな鬱々とした毎日に、光が差し込むように妊娠の知らせを受けた。

妻の不妊治療が効果を現したのか、うさんくさい宗教のお導きかは分からない。
怒鳴り声ばかり浴びせていた妻を見て、あふれたのは後悔の気持ちだった。
これから今までの分を取り返さなければならない。

だから、妻の顔にふっと影が差したのを、彼は疑いもせず見逃してしまっていた。




464: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/22(金) 10:44:41.60 ID:foDqRL5KO

娘はすくすくと成長した。
まだ彼女は二才で、父親が全力で遊んでやれる盛りだ。

そう何年も経たない内に、娘というものは父親から離れていくらしい。
そんなことは散々聞かされていたので、彼は精一杯娘と遊んだ。

遊びたい、今日も疲れてるけど遊んであげなきゃ、そうしなければならない、そうでなければ間違っている。

いつから遊ぶことが義務になったのだろう。
顔には出せない冷たい気持ちを押し退けて、彼は娘の世話を続けた。
しかし、そうしている内に、社会的な成功は遠ざかっている気がした。

そして実際に、大きなチャンスを奪い取られることになった。
彼が見つけたホルモンを使って、手柄をあげたやつがいるのだ。

動物から採取したホルモンを妊婦に投与し、胎児に驚くべき才能を授けたらしい。
聖典の中の勇者が、この世に産まれようとしていた。

しかし何者かが妊婦を奪い去り、勇者誕生は幻のものとなった。
そうでなくとも、無事に産めたかどうかは分からない。
この実験は妊婦に大きな負担を与えるものだった。
国も妊婦が誘拐されたのをもって、実験は行わないようお触れを出した。

誰もが、実験を行った研究者は破滅の道を辿ると思っていた。

だが、国は研究者に所長職を与えたのだ。
それが決まった日には皆が態度を一変させ、研究者にゴマをすった。
二才の娘の相手ばかりしていた彼には、胸を引き裂かれるような出来事だった。

あの研究者は非公式に次のプロジェクトが決まっているらしい。
こんどは十二才の女の子を捕まえて、ホルモンを注射するのだという。
その女の子の心配など、誰もすることはなかった。
親も進んで実験に参加させたらしい。

この一部始終をただ見ているだけだった彼は、以前から持ちかけられていた闇の誘いに乗った。

あのホルモンを、軍事的に利用したいと言われ続けていたのだ。
うさんくさい団体には嫌気が差していたが、詳しく聞くとバックに国がついているらしい。
もしかしたらまた、俺が日の目を見られるかもしれない。

その思いだけに頭は支配され、罪悪感を感じる隙間さえなかった。
裏道の研究に没頭している間、彼は幸せだった。

世の中の父親達よりよっぽど家族を気にかけている俺は、妻の文句に耳を傾ける必要もない。

そうして試作は繰り返され、全ての雑音を遮断するように、彼の部屋には資料と部品の山が積み上げられていった。
誰も彼に話しかけることはできなくなった。




465: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/22(金) 10:46:00.04 ID:foDqRL5KO

どこかの海沿いで、まじない師が逮捕された。
それは当事者以外は気にも留めない、いつも通りの事件の一つだった。
娘が母親を警察に売ったという、ちょっと目を引く見出しがついていても、彼は新聞を読もうとはしなかった。

それよりあの研究者の実験がどうなったのか、そればかりが頭から離れなかった。

実験は成功したのだろうか。
情報はあえて隠されているようで、実情が少しも見えなかった。

そんな秘密の被験者が脱走したと聞いたのは、翌年のことだった。
いち早く悲劇が訪れたのは被験者の女の子で、その時彼女は、すでに十六才になっていた。

ある研究者がホルモンの投与の量を間違えて、錯乱状態に陥った彼女は、夫婦で研究者だった二人を襲って逃げ出してしまった。

さらにおぼつかない足取りで、その夫婦の家に向かったのだ。
夫婦の家では仲の良い兄妹が親の帰りを待っていた。

今日は妹の誕生日だったので、兄は張り切って部屋を飾り付けていた。
口下手な兄はそうすることで、妹を喜ばせようとしていた。
そして飾りつけが終わった頃、明るいチャイムの音を聞き付けて、扉を開けた。

しかし、やって来たのは理不尽な知らせと、泣いている幼なじみだった。

彼女がなにかの実験のために連れ去られた時は、恋心を寄せていた兄は泣かないよう必死になっていた。
その日から親の仕事を疑うことも増え、彼の周りはギクシャクとした空気であることが多かった。

だが、つい何週間か前に、親とじっくり話す機会があった。
妹の誕生日プレゼントについて話始めたのが、自分の産まれた日まで話しはさかのぼり、自分は親に愛されていると知った。

親への不信感が少しずつ解消されて、今日は自分のためにも、妹を盛大に祝うはずだった。

そこに転がり込み、幼なじみは最大級の不幸を振り撒いた。

妹のためだったか、自分のためかは分からない。
彼は傘立ての裏に立ててあった竹馬を抜き取った。
これは幼稚園に通っていた頃、珍しく父が園に顔を出し、作ってくれたものだった。

言葉で表現できない思いを、竹馬に乗せて振りかぶった。
気がつくと幼なじみの姿は消えていた。
この事件は表沙汰にはならず、全てが影で処理された。

彼と妹にはわずかな同情が集まったが、それもすぐに忘れ去られた。
細々と暮らす兄妹の涙を、誰も見た者はいない。
その代わり、兄は以前より饒舌になった。

実の無いことをべらべらと話続け、誰かに止められても、中途半端な笑みを返すだけだった。

誰にも、彼自身でさえ自分の心の内は分からなくなった。




466: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/22(金) 10:47:12.95 ID:foDqRL5KO

次に悲劇が襲ったのは、娘を抱えた研究者である彼だった。
あの頃はまだ二才だった娘が、もう七才にまで成長した。
目は知性の光をたたえ、髪は強気な性格を現すように、張りがある焦げ茶だった。

そのどちらも自分に似たものではない。
最初から似ていないのか、自分が娘からかけ離れていったのか、よく分からなかった。
分からないことにしていた。

妻がついに口を割るまで、真相はいつも部品の山に隠していた。

しかし、今日は最悪な一日になった。
積み重なった資料を放り投げ、部品を蹴散らしてあの手袋を捜す。
自分の手に合うように作っていたのは、実験のためだけではなかったのだ。

それが証明されたその日の内に、彼は金を鞄に詰めるだけ詰めて姿を消した。
そして彼は、自分の記憶からもこの日のことを消した。
いつしか彼は感情の起伏が緩やかな、ただの村医者になっていた。

しかし、傷がうずくように残った苦手意識は、彼をたびたび悩ませた。
どうしても女性とうまく話すことが出来なくなった。
なぜか気がつくと自分は女性的になっていた。
きっと女性というベールが、彼の闇を覆い隠していた。

あの日に勇者と名乗る少年と出会うまでは。




467: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/22(金) 10:48:35.44 ID:foDqRL5KO

少年は王都のにおいを少しだけ運んできた。
少年は自分の過去も、名前さえも語らなかった。
まるでこのトクシュクの村に来たばかりの自分を見ているようで、少し歯がゆい。

だが、自分も未だに村人達に何も打ち明けてはいない。
思わず苦笑いが浮かんだ。
その表情にすら少年は怯えているようで、医者はすぐに表情を取り繕った。

そして温かい食事を作り、柔らかい洋服を取り揃え、いつまで続くか分からない共同生活を気長に過ごした。
少年はよほど辛い思いをしたのか、ほとんど口を開かなかった。
しかし、あることをきっかけに、ぽつりぽつりと話すようになった。

あるとき、少年からうっかり飛び出た発言に、医者は最大限に困った顔をしたのだ。
大げさな身ぶりは少年を安心させ、穏やかな笑いを誘った。
その時からもつれた糸がほどけだしたらしい。
半分は無理をしていたが、半分は心を開こうとしているようだった。

少年と話している間は、久しぶりに幸せなひとときになった。
少年もそう感じているらしく、この時間がいつまでも続けば良いと思うほどだった。

しかし、二人は旅に出ることになる。
少年が魔物を倒しにいくと言い出したからだ。
それは恐らく、これ以上迷惑はかけられないと言う代わりに取り付けられた理由だった。

村人に煙たがられながらも、少年の追っ手は村に目を光らせていた。
こんな状態がいつまでも続くのはよくないと思ったのだろう。

旅に出ようとする少年を引き留めて、俺は本当に少しだけ自分のことを話た。
魔物に復讐するという共通の目標を立て、俺達は自転車にまたがった。
外はまだ太陽が昇っておらず、肌寒い朝だった。




468: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/22(金) 10:49:53.60 ID:foDqRL5KO

そんな勇者と同じ年に産まれた少年がいた。
彼が魔王になると決めたのは、自殺した母の日記を見つけた時だった。

日記には自殺の理由が書かれていた。
息子の顔が父親に似てきたことが、耐えられなかったらしい。

まだ四才の彼に、重たい現実がのしかかる。
少しでも軽くしようと思い付いたのが、突拍子もない野望だった。

自分は魔王になって、この世界を滅ぼす。

それを叶えてくれそうな人間が、幸運にも彼の前に現れた。
地面に倒れていた女性はなぜか血まみれで、自分の助けを必要としていた。

彼は母親ゆずりの機転をきかして、彼女を命の危機から救った。
しかし、彼女の記憶まで取り戻すことは出来なかった。
それでも助けてもらっただけでありがたいと、女性は笑った。

そんなある日、彼女には不思議な力があることが分かった。
その力で魔王になるのを、手助けしてくれるという。
それからの数年は彼にとって素晴らしいものになった。

やりたいことはなんでも出来た。
万引きも、新しいものを開発することも、城下町を作ることも楽しかった。

だが、女性の方は少しずつ影が張り付くようになり、起きられない日が続くこともあった。
原因は分かっているがなにもできない。

延命治療を嫌がる彼女に、痛み止めだと今日も半分嘘をつく。
そんな毎日に、突然ある男が割り込んだ。

ずっと彼女を探していたと言うが、どうも怪しい。
名前や年齢をたずねても、実の無い話を延々と続け、なにも答えようとしなかった。

しかし、一つだけ男の方から言ってきた言葉があった。
「俺は彼女を愛する資格がない」と、どこかのポエムにでも出てきそうなことを、平気な顔で口走った。
俺はますます男を疑った。

だが、抵抗むなしく、男はするりと日常に入り込んできた。
なんてやつだと思いながら、少し楽しんでいる自分がいるのは最近のことだ。

一時期、彼女に怪我を負わせた犯人だと分かった時は、どこまでも罵った。
だが、今はこの男の方が自分より彼女にお似合いな気もしてくる。

二人を魔王という立場から見下ろすのも悪くないと、近頃は思うのだった。




469: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/22(金) 10:51:14.11 ID:foDqRL5KO

毎日を少しずつ楽しんでいる魔王のもとに、知り合いから手紙が届いた。
丁寧な滑り出しで書かれた文章は、要約すると「プスタ・テクルコを貸せ」と書いてあるようだった。
別にそれは構わないのだが、手紙の差出人に魔王は少し驚いた。

それはどこかで人助けをしているはずの、勇者の仲間からだった。
文字は落ち着きを払いすっきりとした印象だ。

そこから思い浮かべたのはあの医者の姿だったが、別に文字から連想しなくても名前がちゃんと書いてあった。

多分コウイチなんて名前だったと思う。
そう書いてあるのだし、そうなのだろう。

俺はあまり気にとめず、書かれていた日付を見た。
明日の午後にやって来るらしい。
勇者もやって来るといいなと思いながら、魔王は手紙をそこら辺に投げた。
もうすぐ昼食の時間だった。

台所から楽しげな二人の声が聞こえてくる。
俺はべーっと舌をだし、ソファに寝転んだ。
でも、運ばれてきたのは俺の大好物で、諦めてソファから起き上がった。
仕方ないから、これで買収されてやることにした。




470: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/22(金) 10:52:43.07 ID:foDqRL5KO

次の日の午後、手紙に書かれていた通り、勇者ご一行が現れた。
夏の日差しにやられたようで、三人とも黒い。
前に会ったときより、さらに背が高くなった勇者が俺に手をふった。

その姿はなんとなく旅を楽しんでいるようで、俺は意味もなく安心した。


「よ。ちょっと借りに来たぜ」

「一体誰が使うんだ?お前はもう無理だぞ」

「分かってるよ。今日は先生が使うんだ」

「ふーん」


後ろの方で医者が真剣な顔をして立っていた。
隣でだるんだるんに伸びているのは学者のヤローか。
そのアンバランスさが、勇者達が来たという実感につながっていた。


「まぁ、入れよ。なんか飲み物ぐらいは出してやる」


セミの声がいくつも重なって、城の中まで響く。
熱気も音も閉め出すために、俺は威勢よく扉を閉めた。


「一応聞くが、なんに使うんだ?」


勇者は目をそらす。医者が神妙な声で答えた。


「俺達が殺した人間を生き返らせたいんだ」

「へぇ」


俺はあまり深くは追求せず、装置までの道のりを先導する。
あの二人が死んだとき、ここを早歩きで勇者と歩いたのを思い出した。
あの頃と違い、今は緩やかな時が流れていた。


「さぁ、ついたぜ」


淡く光る装置は、雑然とした部屋のすみに置いてあった。
結局この装置を使ったのは俺と勇者だけだ。
カシマオーノの人間は、それなりに幸せに暮らしているらしく、勧めても使おうとしなかった。

お人好しな連中だと、俺は笑った。


「じゃあ、借りるよ」


医者が一歩進み出て、装置に手を伸ばす。
淡い光が一段と強くなった。




471: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/22(金) 10:53:55.57 ID:foDqRL5KO

時はさかのぼり、トクシュクの村で医者は頭を抱えていた。
今日もあの女の子が診療所に来るのだろう。
そう思うと、嬉しさと恐怖が沸き上がってきた。

空は今日も青く澄み渡っている。
気持ちの良いお日様がのぼる朝に、医者は酒に手を伸ばした。

こんな自分を信頼してくれるのは嬉しい。
だが、毎日顔を出されるのは辛かった。

もしも今日村で怪我人が出ても俺は役に立たないだろう。
相当アルコールが回ってきた頃、女の子が顔を出した。
俺は無駄にヘラヘラして、女の子の話を適当に聞いていた。

今年彼女は十九才になるらしい。
二十才までには、将来の夢を見つけたいと言っていた。
まだ幼さが残る顔で、彼女はコロコロと笑う。
俺は青空に思いを馳せて、なんとか時間をやり過ごした。

そんな俺を現実に引き戻すように、扉が激しい音をたてる。
村の女性が産気付いたという知らせだった。




472: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/22(金) 10:54:58.94 ID:foDqRL5KO

俺はずっと、隅で震えていることしか出来なかった。

見慣れた診療所を人が行き来して何かをしていたが、何をしているかはさっぱり分からない。
とことん役に立たないなと笑うしかなかった。

そんな俺の隣で、女の子が静かな声を出した。


「私、産婦人科の医者になって先生を助けます」


いつもの女の子らしい明るさをたたえたまま、彼女は凛とした空気をまとっていた。

その後、彼女がどんな風に人生を送って、なぜ精神科医になると決意したのか、詳しいことは分からない。
とにかく彼女の人生は、終わるべきではなかったのだ。

もし、やり直せたら。

医者は淡く光る装置にそっと触れた。
セミの鳴き声だけが、どこまでも響いていた。




473: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/22(金) 10:56:26.82 ID:foDqRL5KO

魔王城は一時的に落ち着きを失った。
白衣をまとった女性に、肌がピンク色の人達に、勇者と医者の二人はずっと頭を下げていた。

とりあえず言葉が通じる相手がいたので、通訳はいらないらしい。
魔王は、最近開発した翻訳機をそっと置いた。

怒鳴り声と泣き声と、湿度の高い空気が体にまとわりつく。
いつまでこの話し合いは続くのだろう。
魔王は椅子を持ってきて、背もたれを前に腰かけた。

部屋の中は混乱が渦巻いていたが、一時間もしない内に騒動は収まった。
皆諦めるしかないといった顔をしている。
白衣の女性に医者が平手打ちされたのも、少しだけ効果があったようだった。


「もう良いか?いい加減帰って欲しいんだけど」


行くあてがない奴にはカシマオーノを勧めて、俺は静かになった部屋に飲み物を運んだ。
暗い面持ちでオレンジジュースを飲む二人は、少しバカっぽく見えた。

もう一人、オレンジをソファの端で飲んでいる学者を、なんとなく見る。
前より服装も化粧も派手になり、若々しくなった印象だ。
その隣の医者は、ちらりと白髪が見えて、年相応に見える。

それが良い変化なのかどうかは、俺には分からなかった。


「俺達、旅をやめようと思うんだ」


唐突に、勇者が飲み干したコップの氷を見つめながら言った。




474: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/22(金) 10:57:57.65 ID:foDqRL5KO

まだ一年も経っていないのに、あの時から勇者の印象はだいぶ大人びた。
目には力強い決意が現れていて、考えを変える気はないようだ。
たずねて欲しそうだったので、俺は理由を聞いた。


「突然どうしたんだよ。
王様ぶっ飛ばすんじゃなかったのか?」


静かな予定調和を乱すことなく、勇者は穏やかに答えた。


「俺達は、この現実で生きていこうと思ってさ。
旅の途中で出会ったやつらも、みんな現実と向き合おうとしてたから。
ちょっと影響受けちまった」

「ふーん。具体的にどうすんだよ」

「どこかで働いて、どこかで暮らしていこうと思う。三人とも別々に」


決意を確かめるように、勇者は丁寧に話した。
いつか再会したときに、また笑って話せるように生きていく。
勇者は照れ隠しに笑った。


「じゃあ、元気でな」


三人の後ろ姿を見送って、俺はため息をついた。
わざわざ俺に宣言していくこともないのに、勇者達は思い思いに笑っていた。

俺もそろそろなにかを考えるべきなのかもしれない。
でも、うだるような暑さに思考を奪われて、俺はソファに転がった。

もう少しだけ、このままでいようと思った。




475: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/22(金) 11:00:22.05 ID:foDqRL5KO



ーーーーー


コンコン

歴史学者「はーい」ガチャ

勇者「よ、久しぶり」

歴史学者「なんだ、久しぶりだな。
来るなら連絡くれれば良かったのに」

勇者「そばまで来たから、ちょっと寄ろうと思っただけなんだよ。
すぐ帰るからさ」

歴史学者「そんなこと言うなよ。
今、コーヒーでも出すから」

勇者「あ、俺ブラックがいいな。最近飲めるようになったんだ」

歴史学者「へぇ、成長だな。私はもう、甘くないと飲めないよ」

勇者「ふーん。確かにちょっと太ったもんな」

歴史学者「なんだと!追い返すぞ、全く……」

カチャッ

歴史学者「お待たせ。それで今はどんな感じなんだ?」

勇者「まぁ、普通に暮らしてるよ。仕事も順調だし」

歴史学者「配送の仕事をしてるんだっけか。
君が馬車を操るようになるとは思わなかったよ」

勇者「はは、俺もたまに思うよ。なんか嘘みたいだなってさ」

歴史学者「私もだ。本当に色んなことがあったからな……。
今思い返すと、どれも感慨深いよ」

勇者「そうだな……」

歴史学者「……」チラッ

勇者「……なんだよ」

歴史学者「…………相談、乗ってくれないか」

勇者「相談?別にいいけど」

歴史学者「……あのな。まぁ、なんていうか……」

勇者「どうしたんだよ」

歴史学者「……」

勇者「なにをソワソワしてんだよ。気持ち悪いぞ」

歴史学者「……その。今、好きなやつがいるんだ」




476: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/22(金) 11:04:17.93 ID:foDqRL5KO

勇者「ま、マジで?」

歴史学者「……うん」

勇者「うはは……アハハハ!お前バカじゃねぇの?
なんで俺に相談すんだよ!」

歴史学者「し、仕方ないだろ!誰にも言えなかったんだから!」

勇者「まぁ、まぁ、面白いじゃん?
好きなやつが出来るなんてな」

歴史学者「……どうしたらいいと思う?」

勇者「うーん。とりあえず当たって砕けろよ」

歴史学者「他人事だと思って……。私は真剣に悩んでるんだぞ」

勇者「まぁ、まずはお茶にでも誘えばいいだろ。
あとは誕生日にプレゼントやるとか。
……聞かれても、当たり前のことしか言えないな」

歴史学者「うーん……その……。
私は過去があれだろ?どうしても悲観的に考えてしまうんだ」

勇者「だーいじょうぶだよ。もっと気楽に行こうぜ。
ダメだったらダメで、他のやつ探せばいいぐらいの感じでさ」

歴史学者「……そういう君は、彼女とかいるのか?」

勇者「いや、別にいないな」

歴史学者「ふーん……」

勇者「あ、悪い。俺そろそろ行かないと。じゃあな」

歴史学者「全く慌ただしいな。今度はいつ来れるんだ?」

勇者「まぁ、来ようとすればいつでも。だけど、そう頻繁には無理だな」

歴史学者「そうか……。君とラーメンでも食べに行きたかったんだが」

勇者「んー、じゃあ来週の日曜ならどうだ?
とりあえず空いてるし」

歴史学者「えっ?あ、ああ。
じゃあ、行こうか」

勇者「オッケー。それじゃ、またな」

歴史学者「ああ」

スタスタ




477: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/22(金) 11:06:36.88 ID:foDqRL5KO



ーーーーー


ピンポーン

医者「はーい」ガチャ

勇者「先生……うぅ……」グスッ

医者「ど、どうしたの!?」

勇者「アイツ……好きなやついるって……うぅ……」

医者「……まぁ、中に入りなよ。聞いてあげるから」




478: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/22(金) 11:07:39.67 ID:foDqRL5KO



ーーー


勇者「はぁ……俺どうしたらいいんだろう。
よりにもよって俺に相談するなんて……」

医者「ふふ。なんか楽しそうじゃない」

勇者「なに言ってんですか!なんにも楽しくないし……」

医者「ま、とりあえずラーメン食べに行きなよ。
その時に話も聞けばいいでしょ」

勇者「それしかないっすよねぇ……あーあ。
俺、なんか昔より弱くなりましたよね。
こんなことでくよくよして、バカみたいだ」

医者「それだけ人生を楽しんでるってことだよ。
いいなぁ、若さって」

勇者「……先生は最近はどうですか?」

医者「まぁ、それなりに幸せかな。
医者としての知識も身に付けられたし、なんとかやってるよ。
君は?」

勇者「俺もそれなりに楽しいです。なにより、色んな場所に行けるのがいいですね」

医者「そうか、それは良かった。
じゃあ、今日は泊まってく?」

勇者「あー、じゃあ良いですか?すいません」

医者「いやいや、なんか食べたいものがあったら言って」

勇者「えーっと、そろそろクッキーお願いしても良いですかね。
魔王が色々がんばったおかげで、平和になってきてるし」

医者「うん……そうだね。
じゃあ、久しぶりにクッキー焼こうかな」

勇者「あ。クッキー、アイツの分も焼いてくれませんか?
次会うときに持っていきますから」

医者「それなら君が焼いてみる?
作り方教えるから」

勇者「えー、俺に出来るかな……」

医者「大丈夫だよ。混ぜて焼くだけだし」

勇者「んー……。じゃあ、やってみます」

医者「よしきた。早速準備するから」

勇者「……」



きっとこれで間違っていなかった。

窓の外の綺麗な青空が、そう言ってくれている気がした。

これからもっと幸せになるとまでは、誰も保証してくれない。

でも俺は、それなりに幸せなだけでもいいかなと思った。



ー終わりー




479: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/22(金) 11:10:00.15 ID:foDqRL5KO

とりあえず終わりです。
あとは番外編の後編を残すだけです。
ちょっと寂しいですが、明日中にはのせようと思います。

読んでくださってる方、ありがとうございます!




480: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/22(金) 11:15:55.50 ID:jIykaaDjo

乙乙

くっ、ニヤニヤが止まらん!
後編も楽しみにしてます




482: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/23(土) 00:15:30.78 ID:7/d8w/CDO

乙!
もう終わっちゃうのか…





484: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/23(土) 12:52:53.98 ID:Hmhmq5VmO



ー番外編・後編ー



歴史学者「それで、君は今はなんの虫なんだ?」

勇者「ん?」

歴史学者「昔、話しただろ。自分を虫に例えるならなんの虫かって」

勇者「ああ……俺なんて言ったんだっけ?」

歴史学者「ゴキブリ」

勇者「ははは、頼むから忘れてくれ」

歴史学者「先生は青虫でしたよね?」

医者「うーん、まぁそうだけど……。今はモンシロチョウぐらいにはなれたかなぁ」

歴史学者「いいんじゃないですか?私はモンキチョウに転職しようと思うんですよ。
そして幸せを運びます」

勇者「幸せねぇ。誰に?」

歴史学者「君に」

勇者「ははっ、俺にかよ。そりゃ嬉しいけど……」

歴史学者「私は君が好きだ」

勇者「……!!」

歴史学者「私と付き合ってくれ」




485: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/23(土) 12:53:52.74 ID:Hmhmq5VmO

勇者「………………全く、おかしいと思ったんだよなー。突然、先生が俺達呼び出すなんてさ」

歴史学者「お答えは?」

勇者「そりゃ、俺だって……好きだよ」

歴史学者「そうか、じゃあよろしく」

勇者「お、おう」

医者「いやー、良かった良かった!俺泣いちゃう……」グスッ

勇者「な、なんで先生が泣くんですか。泣きたいのは俺ですよ」

歴史学者「なんでだ、失礼な」

勇者「いや、だって俺、レストラン予約したばっかりなんだよ。そこで告白しようと思ってて」

歴史学者「そうだったのか……」

勇者「まぁ、別にいいけどな。なんか幸せだし。俺も蝶になりたいよ」

医者「大丈夫、もうなってるよ。だって俺も幸せだもん……」グスッ

勇者「まだ泣いてるんですか。全く……ちょっと嬉しいですよ」

歴史学者「いやー、なんだか今さら照れてきた!ちょっと一人にさせてくれ」スタタタ

勇者「なんだよ、急に。はーあ」

医者「ホントに良かった……俺、君たちのこと大好きだよ」

勇者「じゃあ、先生も参加して三角関係になります?」

医者「えっ……考えてもいい?」

勇者「やめてください。本気で殴りますよ」

医者「君が言ったんだろ!物騒だな」

勇者「まー、俺も照れてるんですよ。察して下さい」

医者「いや、そんなことは分かってるよ。耳まで真っ赤だし」

勇者「……やっぱり、本気で殴りますね」

医者「ちょっとタンマ!やめて!謝るから!誰か助けて!」


ーおわりー




486: オータ ◆aTPuZgTcsQ 2015/05/23(土) 13:02:08.08 ID:Hmhmq5VmO

これで終わりです。
今まで本当にありがとうございました!ちょっと泣きそうです!

こんな内容を書いていいのか、すごく悩みながら書いていたのですが、皆さんが読んでくれたから、最後までのせることができました。

こんなに離れたくないスレは初めてです。なのでヤバイというか、かなり血迷ったことを言います。

私、一昨日にツイッターを始めたので、見かけたら声かけて下さい。
doradorayakiで検索すればオータというアカウントが出てくると思います。

すごくアホなことを言ってるのは分かっているのですが、ssを投稿するのは最後になりそうなので許してください。

とにかく本当にありがとうございました。
レスにとても救われました。ここまでハッピーエンドを書けたのも、多分皆さんのおかげだと思います。

ホントに本当にありがとうございました!




488: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/23(土) 18:46:17.61 ID:PyVDQGVxO

乙!!




489: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/23(土) 22:22:07.19 ID:wgV8/OmPO






490: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/24(日) 00:50:49.91 ID:jyUfMmWDO







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