響「とある司令官と電の改二」
・独自解釈設定とかあるかも知れません
・書き溜めです
・タイトル詐欺だなんて知らない
・宜しければこちらもどうぞ
→暁「とある司令官と電のケッコン」
電「以上注意せよ、なのです!」
そう、目の前の人物に問い掛ける。
否、正確に言えば人物ではないか。
響「……、……」
睨み付けてみる。相手もまた、こちらを睨み付けてくる。
白銀の髪、幼い身体、水兵を彷彿とさせる服に帽子、そして……特Ⅲ型の証であるバッヂ。
普段はあまり見慣れないその姿は、確実に私そのものなのに。
記憶が渦を巻く。今にも崩壊しそうな自己を、何とか保とうとしながら。
私は、私だ。では、その私とは何だ?響なのか。それとも――
響「お前は、誰だ……?」
鏡の中の私が、薄く微笑んだ。
司令官「おっ、助かるよ響。よし、じゃあ午前の業務はここまでだな」
響「お茶を煎れよう。ロシアンティーで良いかな?」
司令官「任せるよ。……んー、うまい!」
響「司令官。美味しいと言ってくれるのは嬉しいんだけれど……勝手に食べ始めるのは感心しないな」
響「まぁ、いつもの事と言ってしまえばそれまでなんだけど」
司令官「ごめんごめん。響のピロシキは美味しいからついつい」モグモグ
響「全く、手を止めるつもりはないんだね……」ハァ
司令官「ありがとう。……良い香りだね、今日のは?」
響「薔薇のジャムさ。金剛さんから貰ったんだ」
司令官「へぇ、確かに金剛ならロシアンティーとかもたしなみそうだしな」
響「もっとも、金剛さんも司令官と同じで紅茶に入れてしまうみたいだけれどね」パクッ
響「ん……」コクン
司令官「どうも、先にジャムだけ口に入れる食感が慣れなくてな……。覚えてるだろ?」
響「ああ、最初にロシアンティーを振る舞ったときだね。気を遣って美味しいと言ってくれたけれど、表情が酷いことになっていたよ」クスクス
響「けれどほら、今なら飲めるかもしれないじゃないか?あの時とは味も違うしね」
司令官「……、……」パクッ
司令官「……」ズズッ
司令官「……人の本質ってのはそうそう変わらないよ」
響「みたいだね」クスクス
卯月「卯月でぇーっす!」扉バァーン
卯月「しれーかん、響ちゃん!午後から秘書艦を交代させて頂きまぁす!びしぃ♪」
司令官「おーおー。今日もうーちゃんは元気だねぇ」ナデナデ
卯月「えへへー、今日も司令官はと~っても素敵だぴょん?」
司令官「どうせ、嘘なんだろう?」
卯月「あれぇ、ばれちゃってるぴょん?」
司令官「全く……この、オオカミ少年めっ!」コチョコチョ
卯月「うーちゃんはウサギ少女だぴょ~ん!ぷっぷくぷぅ~!」バタバタ
響「相変わらず、賑やかなんだから……」
ジリリリリリリリリ
響「ん……はい、こちらブルネイ第八鎮守府、秘書艦響です」
響「はい……はい、少々お待ち下さいませ」
響「司令官。入電だよ、大本営からだ」
司令官「ひぃ!あっは、う、卯月タンマ!電話、電話でないとだからっ!」ゲラゲラ
卯月「むー、仕方ないぴょん」
司令官「ふぅ、ふー……助かった。あ、響、ありがとうな。後は卯月に任せて、自由にしてくれ」
響「ハラショー。じゃあ卯月、頼んだよ」
卯月「りょーかいっ!司令官の電話が終わったらぁ、うーちゃんにくすぐり攻撃を仕掛けたおろかさを再び味わわせるぴょん!」
響「ふふ、ほどほどにね」
卯月「ぴょん♪」
??「あら、響ちゃん?」
響「大鯨さん。こんにちは」
龍鳳「はい、こんにちは。今は大鯨じゃなくて、龍鳳ですけどね」クスッ
響「!すまない、そうだったね。うっかりしていた」
龍鳳「いえいえ、まだ改造されてから日も浅いですから。それに、改造されて名前が変わる艦も珍しいですからね」
響「……それも、そうだね。……龍鳳さんは、今から買い物にでも行くのかい?」
龍鳳「ああ、このバッグですか?実は潜水艦の子達と、軽空母の皆さん合同でお鍋をすることになって……買い出し係なんです」
響「一人で平気?良ければ、手伝うよ」
龍鳳「ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ?実はもう既に、イクちゃんと瑞鳳さんが向かっているんです」
響「そうか。三人もいるなら、確かに大丈夫そうだね」
龍鳳「もしよろしければ、響ちゃんも参加しますか?ヒトナナマルマルから、軽空母寮で行うんです」
響「ん……でも、潜水艦と軽空母の懇親会だろう?水入らずの方が良いだろうし、遠慮しておくよ」
龍鳳「そうですか……わかりました。また今度の機会に、是非やりましょうね」
響「スパスィーバ。それじゃあ、気をつけてね」テクテク
龍鳳「はいっ、行ってきます」
龍鳳(……)
龍鳳(名前が変わる艦といえば……そう言えば響ちゃん、もう練度も97なのに、どうして……)
響「……」テクテク
響(工廠か……)
響(最近はめっきり開発も建造も、行う機会が減ってしまったな)
響(装備もある程度整って、艦娘もそのほとんどが着任して。まぁ、当たり前と言えば当たり前なのかもしれない)
響(大本営から贈られた着任リスト……もとい図鑑も、だいぶ埋まっているし)
響(相変わらず、大和も武蔵もいないけど)
響(……どことなく、妖精さんたちも暇そうにしている)
響「……ん?あれは……」
電「」オロオロ
電「ふぁっ!?え、あ……響ちゃん……?」
響(目が赤い……頬に涙が伝った後も残っている……)
響「……なにか、あったんだね?」
電「っ……」
響(珍しいな……下唇を噛んで、目を逸らして……。電が、こんな表情を見せるときは――)
響「ほら、言ってごらん?大丈夫……大丈夫だからね」ナデナデ
電「ひび……きちゃん……ぐすっ、うぅ……」ポロポロ
響「……」ナデナデ
電「気付いたら、無くなっていて……どこかで、落としちゃったみたいで……」
電「第六駆逐隊の、おそろいの……っ、みんなの、仲良しの証なのにっ……それを、電は、電はっ、なくじて……っ」グスグス
響(ほら、やっぱり……悪いことをした訳じゃない。後ろめたさなんて感じる必要ないのに)
響「分かったよ。私も、探すのを手伝おう」
響「暁にも、雷にも、司令官にも……ナイショにしておくからね」シーッ
電「響ちゃん……」
響(特Ⅲ型バッヂ……第六駆逐隊の証、か)
響(電が、泣いてしまうのも無理はない)
響「ここにもないか……」
電「工廠、甘味所、この部屋……今日は出撃もしていないし、電が午前中に訪れた場所はあとは執務室位なのです……」
響「執務室か。今は、司令官と卯月がいるからね……。そこは最悪最後にして、他を当たってみる?」
電「でも、他に心当たりは……」
響「いつから、無いことに気付いたの?」
電「えっと、マルマルサンマルくらいなのです。装備の点検をしている最中に気付いて……」
響「じゃあ、午前中はあったんだね?」
電「……、そう言えば、ちゃんと意識していなかったのです。朝起きて、いつものように着替えて、その時は……うぅん」
響「……電。もしかしたら、場所が分かったかもしれない」
電「!本当ですか!?」
響「ああ。一先ず、行ってみよう」
電「お風呂……」
響「昨晩、お風呂に入ったとき。もしかしたら、ここで取れてしまったのかもしれない」
響「私はこっちの方から探してみるから、電は向こうの方から探してみて?」
電「は、はいなのです!」パタパタ
響「さて……やりますか」
響(しかし……特Ⅲ型バッヂ、か……)ゴソゴソ
響(私もあれをなくしてしまったら、相当に焦るだろうな)
響(あれは、第六駆逐隊のつながりを表す物)
響(そして、私にとって、あれは)
響(司令官の、信頼の証なんだから――)
――――――――
――――
司令官『やっと到着だな、我らが鎮守府に』
暁『はぁ……やっとお風呂に入れるのね、長かったぁ』
瑞鳳『どうせならこの船に入渠施設を付けられればいいのにって、つくづく感じるわ』
司令官『まぁこれはあくまで、僕が君たちの後を追って近場で指示を出すためってのと、
みんなを回収できるようにって作って貰った船だからね。あんまり色々設備を増やして
機動性が無くなっては本末転倒だし』
瑞鳳『分かってるわよ、本来なら無くて当然の物だものね』
響『私達が制圧した後の海域を進んでくるとはいえ、危険がない訳じゃない。
そんな中をこうして回収に来てくれる事には、いつも感謝しているよ司令官。スパスィーバ』
司令官『どう致しまして。さて、入渠が必要な暁、雷、瑞鳳、多摩はドックに向かうように』
雷『はーい!』
多摩『にゃー』
司令官『電は執務室へ……あと、響も執務室へ来てくれ』
響『私もかい?了解』
響『司令官、なんだい?』
司令官『おう。響も知っての通り、今回の出撃で君の練度が70に達した。これが何を意味するか分かるかい?』
電『♪』ニコニコ
響『練度70……。もしかして、大規模改装、とかかな……?』
司令官『ご名答!響は、ついに改二になれる練度に達したわけだ』
電『響ちゃん、おめでとうなのです!』
響『改二……改二、か。なんだろう、電や暁の方が練度は高いのに、私に改二の機会が訪れるなんて、その』
響『なんだかちょっと、むずかゆいな』テレッ
司令官(困ったように眉を下げながらもはにかむこの天使の表情よ)
響『けれど、そうか……私も、改二になる時が来たのか……』ポソッ
電(あれ、響ちゃん……今一瞬、何だか寂しそうな……)
電『響ちゃん改め、ヴェルちゃんなのです!』
響『ほぉ、二人ともよく知っているね。確かに私は、響からヴェールヌイになる』
響(そう、ヴェールヌイになってしまうんだ)
イキノコッテシマッタガユエニ
響『ヴェールヌイは、信頼できるという意味なんだ』
響(改造は嬉しいはずなのに、喜ぶべき事なのに)
ナヲカエタフシチョウハソノハ
コメント一覧
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- 2015年05月30日 22:24
- 鏡の前にたってお前は誰だを繰り返すとゲシュタルト崩壊するという話良くあるよな(笑)
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- 2015年05月30日 23:19
- 大変いい話でグッと来たが、これタイトル電の改二じゃなくて暁の改二じゃないか?
-
- 2015年05月30日 23:33
- 29日のアップデートは暁改二実装だから誤植、
暁の出番が少なく実質響改二の話だから二重の意味でね
-
- 2015年05月30日 23:34
- ※2
確かにきっかけは暁改二だけど話的に改二になることを望まれてない響と改二になることを望まれてる電(と思い込んでる)の嫉妬が主題だったからじゃね。
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