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急速に進化するロボット開発の現場だが、この度米マサチューセッツ工科大学(MIT)の科学者がチーター型ロボットを走らせながらハードルを飛び越えさせることに成功した。これは4足ロボットが自律的にランニングジャンプを成功させた初めての事例である。
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ランニングジャンプを実行するには、ロボットはまず、人間のランナーと同じく、走る経路を決めなければならない。次に障害物に近づきながら、その高さと距離を推測する。そして、ジャンプする最適な位置を測り、歩幅を調整したら、飛び越えるための力を行使する。さらに、障害物の高さに基づいて、無事着地するための力を適用し、元のペースに戻る。
トレッドミルと屋内トラックを使った実験では、チーターロボットは平均時速8kmで走りながら、高さ約46cmという、自分の半分ほどの高さの障害物を見事に飛び越えた。
MIT cheetah robot lands the running jump
「ランニングジャンプは実にダイナミックな行動です」と語るのは、MITの機械工学の助教授、金相培氏だ。「バランスとパワーを管理し、着地の衝撃にも対応できなければなりません。私たちのロボットは、こうした高度にダイナミックな行動に特化して設計されています」
金氏のチームは、6月に米国防高等研究計画局のロボティクス・チャレンジにおいて、チーターロボットによるランニングジャンプを披露し、7月には学会で自律システムの詳細に関する論文を発表する予定である。
見て、走って、ジャンプ
昨年9月、同チームは、チーターロボットが何にも繋がれずに走れることを実証した。金氏はこの機能について、カメラなどの視覚システムを搭載していなかったことから、”盲目”のパフォーマンスと呼んでいた。
だが、今回のロボットは、LIDARというレーザーの反射を利用して地形をマッピングする視覚システムを搭載しており、”見る”ことができる。研究チームが開発した3種類のアルゴリズムは、このLIDARのデータを利用して経路を計画する。視覚と経路計画システムはどちらもロボットに内蔵されており、自律コントロールが可能となっている。
最初のアルゴリズムは、ロボットに障害物を検出させ、その大きさと距離を推測させる。ここでは、視覚を単純化し、地面を直線として捉える手法がとられている。すべての障害物は、この直線からの逸脱として認識される。
こうしてロボットが障害物を検出すると、2番目のアルゴリズムが起動して、ロボットが障害物の側に行くまでのアプローチを調整する。アルゴリズムは障害物までの距離に基づき、これを無事にクリアするための最適なジャンプ地点を予測する。そして、ここから残りの歩幅を調整しつつ、加減速しながら目標のジャンプ地点まで進む。このアプローチ調整アルゴリズムは、一歩ごとに歩幅を最適化するが、それはわずか100ミリ秒と、半歩の間の出来事だ。
ロボットがジャンプ地点に到着すると、3番目のアルゴリズムが介入し、ジャンプの軌道を決定する。障害物の高さとロボットの速度に基づき、障害物を無事に飛び越えるためにモーターが発揮するパワーが決定される。これはロボットの通常の歩行に加えるパワーを増加させるもので、金氏によれば、本質的には「小さなジャンプの連続実施」なのだそうだ。
完璧は敵
面白いことに、アルゴリズムは最適な跳躍コントロールを実施するものではなく、むしろクリア可能なものであるにすぎない、と金氏は述べている。
「例えば、エネルギー効率などを最適化しようとすれば、ロボットに障害物をギリギリで飛び越えさせることになるでしょう。ですが、これは危険なやり方で、本当に最適な解を求めるために膨大な計算時間がかかってしまいます。走行時においては、より効率的な解を求めるために長い時間を費やしたくはありません。クリア可能なものが分かればそれでいいのです」と金氏。
つまり、これによってロボットが必要以上のジャンプをしてしまうこともあるが、それで問題ないということだ。最適解に固執してしまえば、走っている間に必要とされる迅速な判断ができなくなってしまう。
チーターロボットの跳躍実験は、まずトレッドミルで行われ、それからトラック上で実施された。トレッドミル上では、様々な高さの障害物が流された。だが、トレッドミルの長さは4mしかなかったため、中間を走るロボットはわずか1mのうちに障害物を検出し、ジャンプを計画しなければならなかった。それでも、数回の実験で70パーセントの成功率を叩きだしている。
これに比べると屋内トラックでの実験は、スペースと時間が多く取れる分はるかに簡単であり、90パーセントの成功率を記録した。
なお、研究チームの今後の課題は、草原などの柔らかい地形でランニングジャンプを成功させることだそうだ。
via:newsoffice・原文翻訳:hiroching
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コメント
1. 匿名処理班
すっげーーー
あとは右折、左折、
2. 匿名処理班
人に蹴られてたbigdogの頃が懐かしい
3.
4. 匿名処理班
もうアシモ超えたな
5. 匿名処理班
動きがリアルな人型ロボットはキモイけど動物型ロボットでも充分キモイな。
こんなもんが追いかけてきたらと思うと…
6. 匿名処理班
チーターというほどの走りにはなっていないぞ〜。
7. 匿名処理班
なんか見てて”がんばれ!”っていいたくなるな
8. 匿名処理班
6足なら分かるけど4足で、というのは凄いですね。
願わくば、軍用化されて人間狩りに使われない事を祈りたいです…
9. 匿名処理班
凄いところまで来たなぁ…
十数年後とかには人口皮膚でカモフラージュしたら自然の動物と区別つかなそう
10. 匿名処理班
すげぇΣ(゚д゚)
これ、あの蹴っ飛ばされても耐えてた健気なロボの進化形?
生き物の動きを機械で再現するって凄く難しいんだなと改めて思った。
自然ってすごい。
11. 匿名処理班
チーターというか生まれたての子牛のような
でもすげぇ!
12. 匿名処理班
本当にあと20年もしたらアンドロイドとか実現してそうだなあ
13. 匿名処理班
※6
君は産まれてすぐに歩けた?
ハイハイだって無理だったはずだが。
14. 匿名処理班
ドキっとはするが、可愛いか?
15. 匿名処理班
凄いの一言 応援したくなる 生きてないのに愛らしさを感じる。
16. 匿名処理班
ボストンダイナミクスかと思ったらMITか
17. 匿名処理班
ジャガー、イジェークト
18. 匿名処理班
四足歩行は二足よりは容易でしょう。 原始的な生き物ほど足が多いし。
それでも動物のメカニズムを機械で再現するのは大変な作業なんだな。
19. 匿名処理班
日本はどんどん置いていかれる
20. 匿名処理班
走り方がもう機械と思えない
こんな研究してたら毎日が楽しいだろうな〜
21. 匿名処理班
足の動きがチーターとは違うようだが。
どちらかといえばウサギじゃね?。
22. 匿名処理班
これ、大きくしたら乗れそうだな。
23. 匿名処理班
あぁ^〜ロボットがぴょんぴょんするんじゃぁ^〜
24. 匿名処理班
まだ若干のぎこちなさは残るものの、進歩は充分感じ取れる。
ロボットって何だかワクワクさせてくれるな。
25. 匿名処理班
最終目標は、中山大障害かな。
26. 匿名処理班
あかん映画チャッピー見た後なんで
なんか妙に感情移入してしまった・・・
がんばれチーター(;Д;)
27. 匿名処理班
カタカナのチーターは cheater かと思っていた私は心が汚れています、ごめんなさい
28. 匿名処理班
今でこそ駆けてる姿が可愛いもんだがこれに敵認識システムとマシンガン積むんだろ?
29. 匿名処理班
足が並行して固定されてない動きになったら完璧に動物っぽくなるな
30. 匿名処理班
この手のロボットに銃火器や赤外線モニタが装着されることを考えると震える
31. 匿名処理班
ロボットがおおよそってのを理解し始めてる
32. 匿名処理班
四つ足ロボレースまだー?
33. 匿名処理班
※19
日本はそれほど軍需開発とかして無いからね。
元々これは歩兵用ウェポン・キャリアとして研究されていたものだから。
34. 匿名処理班
燃料含めた重さが課題なのかな
早く首に相当するもの付けてあげて欲しいなあ
そしたらもっと可愛く感じるんじゃなかろうか
35. 匿名処理班
キャシャーンに出てたカッコイイ四足犬型?ロボ思い出した!
もっと前だとバビル2世か?
36. 匿名処理班
背筋を使えるようになると
もっと自然な動きになるな
37. 匿名処理班
拙い動きがなんか健気だな
38. 匿名処理班
可愛く思えるのはなんでなんだろw
足運びが本当の四足動物みたいになったら、一瞬動物かと勘違いするようになるかもしれない
走ったりジャンプしたりは凄いんだけど、てっこてっこと猫みたいな歩き方したらもっと可愛くなると思うんだ
ここで『かわいい』を望むあたりが日本人なんだろうかw
39. 匿名処理班
日本は四足歩行のロボットつくらないのかな
40. 匿名処理班
※8
"犬"と呼ばれる俊敏かつ厄介な兵器に対抗すべく
"骨"や"おすわり"が開発される事でしょう。
41. 匿名処理班
くそっ!負けてられん!!!
行けっアシモ!こっちは棒高跳びだ!!!!!
42.
43. 匿名処理班
こんなのがクレイモア纏って突っ込んできたらRPG撃ち損じるだろうな。
44. 匿名処理班
胴体にも柔軟性を持たせることができたらもっと自然な動きになるだろうね
45.
46. 匿名処理班
あともう少ししたら、
個人オーナー(飼い主?)が帰宅した時、家の奥から
ダッシュ+ジャンピング歓喜アタックを受けることになるのか…
47. 匿名処理班
コイツは初めて見た時からどうにも駄目だ。
見た目と動きのギャップがありすぎる。
48. 匿名処理班
あの蹴られても倒れない奴か?
遂に来る所まで来たな!やはりロボット工学はまだまだ行けるのか!
49. 匿名処理班
重量を軽量化させて仕上げないと、着地で足先が地面に突き刺さってヂ・エンドなんじゃ?