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シャープ新ヘルシオ発表。新型センサで冷凍・冷蔵・常温の混在でも最適調理 - Engadget Japanese


シャープがウォーターオーブン(過熱水蒸気オーブン)ヘルシオの2015年モデル4機種を発表しました。発売は7月4日、予想実売価格は6万7000円前後から。カラーリングはそれぞれレッド系とホワイト系の2色展開です。



最大の特徴は、最上位モデル『AX-XP200』に搭載された「まかせて調理」モード。これは冷凍や冷蔵、常温といった食材の状態、そして食材の量を問わずに、自動加熱を可能とした機能。なんと1つのお皿に冷凍と冷蔵、常温食材が混在していてもOKです。なお、XP200の予想実売価格は17万円前後。

シャープ ヘルシオ 2015年モデル

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49 枚




実際に製品発表会ではまかせて調理モードの実力を実体験すべく、「冷凍のえびとホタテ、冷蔵の豚バラブロック肉、常温のカボチャとナス、タマネギ、パプリカを一つの皿に並べ、同時に調理してミックスグリルを作る」というデモと、試食も開催されました。



実際の操作としては、本体に搭載されたタッチパネル液晶でまかせて調理のタブを選び、「網焼き 揚げる」「焼く」「炒める」「蒸す ゆでる」のボタンから、料理に適した加熱法を選ぶというものになります。

2種の温度センサーが連携し火の通りを調整



まかせて調理を技術的に見ると、シャープが初代ヘルシオから導入しているウォーターヒート技術に加え、調理前の庫内の食材温度を精密に測定する「赤外線ムーブセンサー」と、調理中の庫内温度を測定する「温度センサー」の連携により実現したモードとなります。



もともとヘルシオシリーズは初代機より、過熱水蒸気のみを使った調理法である「ウォーターヒート技術」を売りにしていましたが、実は過熱水蒸気の特性として、庫内で温度の低い食材を強く暖めるため、温度の異なる食材が混在した状況に強いというメリットがあります。

まかせて調理はこの特性を活かし、さらに加熱前と加熱中の食材の状態を詳細に測定し、従来機より厳密な温度制御を図ることで、食材の量や温度にかかわらず最適な加熱状態に導くというモードというわけです。



これを実現すべく、加熱前に食材の状態を詳細に解析する要となるキーパーツが赤外線ムーブセンサー。これは天面に搭載されており、庫内に入れられた時点での食材の場所や面積、温度をスキャンします。発表会では「画像として表現すると、サーモグラフィになるイメージです」との紹介がありました。



これに加えて、調理中にリアルタイムで動作する庫内の温度センサーが温度上昇率を監視。調理中はこの温度データから食材の量を推定し、加熱時間を調整。これにより、食材の量にかかわらず、調理しながらちょうど良い温度を保つという仕組みです。





発表会では、冷凍した鶏もも肉とパプリカをまかせて調理とオーブンで調理した比較例も紹介されましたが、まかせて調理ではパプリカの表面の焦げがなく、鶏肉も中まで火が回っている点をアピールしていました。

なおXP200は内部トレイが2段のタイプですが、まかせて調理では上段のみのトレイに対応します。また食材の総重量はおよそ1kgまでという制限があります。また後述しますが、冷凍食材と冷蔵食材を密着して天地に置く配置などもできません。

冷凍具材とカット野菜、麺を並べて焼きそば作り



発表会では、まかせて調理の利点を解説すべく、実際に省力効果の大きなレシピを紹介。中でも来場者から注目されたのが、トレイの底面に中華麺を置き、その上に冷凍豚肉や冷凍食品のシーフードミックス、さらに冷蔵のカット済み野菜ミックスを並べてミックス焼きそばを作るというパターン。

ちなみにソースは加熱前に薄めに掛け、加熱後に味の濃さを調整しつつ混ぜ合わせればよいとのこと。



これは料理が苦手なお父さんが休日のお昼に子供達と食べる、といった例として紹介されましたが、具だくさんの焼きそばは実際に作ると意外な手間が掛かる料理だけに、来場者から注目を集めていました。



この他に献立例としては、20cm以上はあろうかと思われる(火加減調整が難しそうな)大きなハンバーグとゆで卵、温野菜の同時調理、若鶏の手羽元から作るタンドリーチキンと冷凍ポテトの同時加熱にはじまり、鮭の西京焼き、バンバンジーなども紹介。また量を選ばない例としては、冷凍鶏唐揚げの加熱なども紹介。まかせて調理の幅の広さをアピールしていました。



なお、赤外線ムーブセンサーの動作は、左右方向への回転のみ。つまり天面から二次元的に検知をしているため、重なった食材に関しては感知精度が下がることになります。

しかし、上述した焼きそばの例では麺の上に冷凍の海鮮素材や肉を置いていますが、これは大丈夫かという疑問が出てきます。ここを解説担当者にぶつけたところ「確かに赤外線での温度測定は二次元的になりますが、過熱水蒸気の特性から、ある程度の温度がわかれば大丈夫です。ただし、たとえば厚みのある肉が2枚重なっており、1枚は冷蔵、1枚は冷凍という場合などは適切な加熱ができません」との回答を得ました。

さらに「問題になるのは温度測定の誤差よりも、むしろ過熱水蒸気による熱が通りにくくなる食材の並べ方です」とのコメントも。上述した冷凍と冷蔵肉を重ねる場合は、この点でも悪条件のためダメということでした。



なお、サンプルレシピのなかには、上述したタンドリーチキンや西京焼きなど、表面に焦げの付くレシピもありました。このあたりの焦げに対する火加減の調整について担当者に聞いてみましたが、「ウォーターオーブンの特性として比較的焦げに強いため、タレをべったりと付けるぐらいでなければ気にしなくて大丈夫です」との回答がありました。

技術的課題はセンサーの天面配置



なお、開発中の技術的な課題としては、なんといってもセンサーを天面に配置した点とのこと。実は電子レンジなどを含めても、従来から(当然ですが)天面にセンサーを配置しての温度測定は、適切な調理時間を演算するのに有利であることは判明していました。

しかし、天面は熱対流から温度が過熱しやすい箇所である点や、熱源となるヒーターや導波管(電子レンジでのマイクロウェーブ伝送管)が配置される箇所であることから、温度加熱の影響を受けにくく、小型で精度が確保でき、さらに量産レベルとなるセンサーの開発が難しかったとのコメント。

さらにウォーターオーブンの場合、熱を帯びた過熱水蒸気が庫内に充満することで食材が加熱される基本構造のため、調理中の密閉性が重要になります。この「調理中にセンサーが使う窓をいかに密閉するか」という難度も高かったとのこと。



結果として、「調理中にはセンサーが回転して天面側を向き、センサー照射側から見て背面に設けられた金属板のシールドで調理室を密閉する」というメカ機構を設計できたことで、実用化が可能になったとのことでした。

発表会では赤外線光原のかわりにオレンジLEDを配置したカットモデルが展示されていましたが、これは天面側を向いていました。これは光源の説明のためでもありますが、調理中の状態を示したものでもあるわけです。

発表会ではミックスグリルの試食も



発表会では、実際にまかせて調理で作ったミックスグリルの試食もふるまわれました。

早速食べてみましたが、仕上がりはウォーターオーブンで適切に加熱した状態そのもの。パプリカは香りが適切に残っており、甘みも感じられる仕上がり。タマネギは担当者から甘みに自信がある、と紹介されましたが、確かに甘さが多く残っていました。

かぼちゃも蒸したかのようにほっこりとした食感。えびとホタテも香りが高く、下手な解凍をしたときの水気の多さやパサパサ感はなし。豚バラ肉はチャーシューの味付けでしたが、柔らかく仕上がっていたのが印象的です。



メーカー公式のデモであるため、ウォーターオーブンが得意とする食材や味付け方法を選んでいる点はあるでしょうが、そこを差し引いてもちょっと驚く仕上がりでした。調理直後の状態も公開されましたが、ホタテや豚バラブロック肉表面の焦げ色なども美味しそうなのがポイントです。



このようにまかせて調理モードは、レシピやはかり(とレンジ側の時間設定)、さらに冷凍食材の解凍までも全自動で可能にするという意欲的な機能です。(当然ながら得意不得意はありますが)

シャープ側は「初代ヘルシオ発売以来の約10年間で、最も画期的な機能」とアピールしていましたが、そこまでの自信も納得できる驚き。

「適当な食材を放り込めば、それに適したレシピの料理を全自動で作ってくれる」という全自動調理機は人類の夢とも言えるものですが、実際の調理工程を見ていると、今回のヘルシオはその夢に一歩近づいたと表現してもオーバーではなさそうに感じました。



なお、同時発表された下位モデル3機種は、まかせて調理こそ搭載しませんが、熱風コンベクションオーブンの火力強化や、庫内スペースの拡大、液晶パネルの視認性向上など、着実な改良が施されています。このあたりは、公開された仕様比較表や公式サイトをご覧ください。
シャープ新ヘルシオ発表。新型センサで冷凍・冷蔵・常温の混在でも最適調理

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