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[PR] 電子工作部活動報告 Day2:新たな健康ガジェットが誕生! 「お地蔵シャッター」「ドSコーチ」など

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健康ガジェットを作る、Engadget 電子工作部 konashiハッカソン。エンジニア・デザイナー・プランナーなど、もの作りに興味のある18人が集まり、5月9日と5月23日に行われました。Day1の5月9日のリポートに引き続き、後半、Day2の模様をお届けします。会場はDay1同様、DMM.com AKIBAです。

ゴールは、ドコモ・ヘルスケアの「WM(わたしムーヴ)」プラットフォームを活用した健康ガジェットを作ること。飽きないで使い続けてもらう工夫や、わたしムーヴならではの特性を活かすことが重要になってきます。

Day1ではアイデアソンの発表まで行いました。その後、Day2までの間は基本的にチームで、オンライン・オフラインで作業を進めていきます。プレゼンの際の反応や講師陣からのコメントは大きなヒントです。作りたい健康ガジェットの方向性、モノとしてどう落としこむのか、そしてあと2週間でどこまで作り込めるのか、ディスカッションしながら実装を進めていきます。

まだまだ、どんなものができあがるのか見えません。いったい、どうなるでしょうか?
残された時間・制作に使える時間は限られています。

 

Day1終了からDay2まで、自主性で進める2週間!

Facebookグループで活発に議論を進めるチーム、自宅作業の進捗を報告しコミュニケーションを積極的に行うチーム、一方Facebookグループ上ではあまり動きが見えてこないチームも...。今回、スマホとBLEで通信するためのkonashiが壊れてしまったというチームもありました。

Day1から1週間後の週末には、運営スタッフから「この土日をフルに有効活用しましょう!」というアナウンスもありました。


モノは完成するのか?

5月23日のDay2は、朝10時から鷹木編集長の挨拶でハッカソン開始です。とにかくコードを書く人、半田ゴテを握る人、アプリのUIやプレゼン資料を作る人...。みなさん、すっかり"作るモード"です。カッターなどの工具や半田ゴテなどのツール類は、会場のDMM.com AKIBAのシェアスペースに常備されているものを借りたり、また、場所柄足りないパーツはすぐに買い出しにいくなど、おのおの作業を進めていきます。

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技術サポートはDay1同様、松村礼央さんです。

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お昼を過ぎ、徐々に最終形が見え始めてきました。しかし、実際はここから、です。ハードウェアとソフトウェアがうまく通信して、想定どおりの動作をするかチェックをしながら、進めていきます。

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残り1時間を切ってくると、そろそろ会場は切羽詰まった空気でいっぱいに。動作の最終チェック、プレゼンの演出を確認したりするチームも出てきます。

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特にLED系のパーツにおいて注意が必要なことの1つに、何色かわかるようにしておくこと。DチームのLEDの色合わせは、ギリギリ間に合いました。

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定刻の17時にハッカソンは終了。4チームともここまで無事にプロジェクトを進めてきました。あとはデモでうまく動いてもらいたいところ。

ですが、大丈夫でしょうか?

 

4チームが考える健康ガジェット【ハッカソン編】

IAMASの小林茂さん、ユカイ工学の青木俊介さんが合流し、いよいよプレゼンタイムです。

Aチーム:お地蔵シャッター

Aチームが作ったガジェットは「(健康になりたいけど)ムーヴバンドが続かない」というところに着目し、歩くきっかけや持ち続ける理由になってくれるというもの。コンセプトは「ムーヴバンドを持って外に出よう」。

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街中を目的もなしになかなか歩かないものです。でも、ふとした街角にお地蔵さんがいて、ムーヴバンドを付けた手でお地蔵さんの頭をなでると「パシャ」っとシャッターが押され、記念撮影することができたらどうでしょう? そうすれば一人でも街歩きが楽しくなるのではないかという、発見・冒険につながるガジェットです。撮影した写真はクラウドに送られ、登録済みのスマホで取得することができます。観光地でのセルフィーへの活用も考えられそうです。ちなみに、お地蔵さんはシャッターの際に「オーホホッホ」と笑います。

Aチームは、アイデアソンの提案(持ち歩く動機になるような、すれ違い通信アプリ)から大きく変更された印象です。実はアイデアソンのときに「すれ違い通信系のアプリはデバイスが普及していないと」というコメントがありました。それを受け、デバイスを普及させることが最初のハードルになるなら、たとえば自治体などを巻き込むソリューションとして提示し、街なかに数多く配置することでまず最初の問題を解決しようとグループ内で再検討をしたそうです。
また、この「なでる」という動作は、実は接触する必要はないが近づくことを自然に促したかったからだそうです。BLE通信の作り込みはまだこれからという状況ですが、将来的にはセルフィー(お地蔵さん)側が近づいたムーヴバンドを検出してシャッターを押す、シャッターのタイミングもハンドリングできる形にしたいとのこと。

松村:観光地に提案するソリューションとして、観光地側のメリットが見出しにくいかもしれない。使うコンテンツを「出会い」に限定しなくても、たとえばスポーツや身体を動かしているときにシーンを想定してもいいのでは? 個人的に、動機付けとして自分を客観視した映像を見ることができるとうれしいです。

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新山:おもしろいと思ったのは、ムーヴバンド側がキーになって何かアクションを起こすという仕組みになっている点です。松村さんが言うように、運動中とか、もっとムーヴバンドのメリットが活かせるともっといいのかな。もう1つ思ったのが、観光名所やおもしろいものを教えてあげることができてもいい。

青木:見た目のインパクトがすごくある。セルフィーを介した出会いもありそうですね。

小林:いま、いろいろ混じってしまっている感じで、いくつかに分けたほうがすっきりするかなという気がしないでもないです。また、いまはデモなので想定するシーンで動作ができていますが、実際に外に設置したらどうなるか。思ったよりも人が殺到したときにどうさばくのか。たとえば、人気のスポットでは激しい運動をしないと撮影されないとか。何らかのハードルを設けるというのもある。ムーヴ側からのデータを使って、◯◯な人は◯◯というように結びつけることも可能だと思います。

松村:ベストなソリューションは心霊スポットめぐりかもしれないですね。それなら、その場でセルフィーで撮影する意味がある(笑)。

Bチーム:どこどこポシェットチーム

Bチームは、アイデアソン時は「ひきこもり支援」でしたが、その後リサーチを進めていくとひきこもりの原因はかなり複合的なものでそう簡単にちょっとしたガジェットで解決できるものではないとわかったことから、方向を変えました。今回制作したガジェットは、そもそもひきこもりにならないように、子どもの成長を見守ろうというもの。
共働きの両親であれば、一人で過ごす子どもが気になります。子どもの動きを察知するガジェットでそうしたところを解決します。コンセプトは「できたね共有」です。たとえば、ゴミを捨てるというイベントが発生すると、それを褒めてあげる。子どもはやはり親に褒められたいので、実はここが重要だったりします。

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Bチーム、ガジェットの連携までの作り込みはされていませんでしたが、アプリ画面を用いての機能の紹介がありました。子ども部屋でお片付けをすると、遠くにいるパパ・ママ、おじいちゃん、おばあちゃんが、(スマホさえあれば)それを共有できます。ガジェットは子どもが普段から身につけるもの。形も、対象の子どもの年齢や性別でも異なるものを考え、イヤホンホルダーであったり、ハンカチポシェットが提示されました。

青木:テーマはいいなと思います。実装の詳細を考えると、Bluetoothだけだとなかなか難しいのかも。全部の部屋にビーコン的なものを置くというのも。そのあたりは検討の余地はあるのかなと。ドコモさんのドコっち、そちらのアプリだとかなり親和性が高いと思います。

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小林:世界観が統一されているのをすごく感じます。可視化と見守りというキーワードはちょっと自分はそうじゃないだろうと思ってしまうんですが、本当に見守りがいいのか、と。ここは意見が真っ二つに別れるところだと思うんですが。この場合だと、そういうシステムがあってログが取れますというものなので、セキュリティシステムがやっていることに近いと思います。「ゴミをゴミ箱に捨てられた」ということがトリガーとして有効なのであれば、それをトリガーに何かのアクションを返してあげるという感じのインタラクションがあってもおもしろいのかなと思います。単に、見守りというと広い意味になってしまうので、どういうことなら自分たちとしてもしっくり来るか考えていくとさらにおもしろい、納得のいくものになると思います。

新山:前回の発表で「プラスなことを考えてもらえたらうれしい」とコメントしたんですが、今回の「子どもを健全に育てる」というコンセプトになったこと、とてもいいなと思います。ゴミを捨てるだけじゃなく、手を洗う、オモチャを片付ける、といろいろなストーリーを組み合わせると幅の広いソリューション、おもしろい提案になるんじゃなかなと思います。

松村:可視化には僕もけっこう否定的で...。コンテキストの可視化で不思議なのは、どれも経過時間が短いのではないかと。スパンの短いコンテキストの共有はあまり意味がないかなと思うんです。もっと長いロングスパンで見たときに、今日はこんな1日だったというのを共有するのはいいと思うんですが。この子にとってどんな一日だったかの指標が提案できているとすごくいいなと思います。それがゴミ箱だけに紐付いていなくてもいい。いいことが起こったのか、悪いことが起こったのか、わかるだけでもいい。そのあたり、ヒアリングしてみるといいのでは?

Cチーム:ドSコーチ

Cチームはアイデアソンからのアイデア(健康遊具的なオモチャ)のままプロトタイプを作り込みました。プレゼンは「定期的に運動していますか?」という問いかけで始まりました。一般的に健康を気にする人は、健康的で豊かな老後を送りたいというモチベーションで運動します。しかし、健康診断の結果にちょっとがっかりしてしまう人たちというのはそうではないのはないか。「運動しましょう」なんて優しい言葉ではしないのだと。ここでCチームのメンバーは「ひょっとしたら罵られたら運動をするのではないか?」という仮説を立てました。

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モノはkonashiが仕込まれたグローブです。iPhoneアプリ「ドSコーチ」を起動しkonashiとペアリングし、パンチングの動作を行います。正しい位置でパンチングします。そのパンチングの動作に応じて、ドSコーチが音声で教示してくれるというもの。ぼっち環境で潜在的にドMを目覚めさせ、定期的な運動への行動変容を起こす健康ガジェット、です。現状わたしムーヴおよびムーヴバンドとの連携は取れていないが、今後、「ドSコーチ」を用いた運動、その日の睡眠の計測など、連携の方向性を探っていきたいとのこと。

小林:ドMを目覚めさせるというのがすごい。人を変えちゃおうというのは、えげつなくてすごくいいと思います。前回もコメントしたと思いますが、どういうコメントをどういうタイミングで出すとより効果的か、というのは考えるとおもしろいのかなと思います。もっと知見が必要になると思いますが。やっていくうちにどんどんエスカレートする、反応に応じてパーソナライズされると、やめられないガジェットになりそうですよね。そこに成功しそうなビジネスモデルがありそう。

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新山:音と光、そういう仕組が盛り込めるともっとおもしろくなりそう。罵られるというコンセプトがおもしろいので、もっと展開していって欲しいです。

松村:行動変容を起こす条件として、まず「生理的欲求を満たす」ことが必要なんですね。このデバイスの何が生理的欲求に紐付いているかはっきりさせたほうがいいと思います。それを踏まえて、ですが。ドSで喜ぶというとドS側のツールなのではないかという気がします。相手がやられればやられるほど快感が増す、それが生理的欲求になるというのは理にかなっているかなと思います。倫理的な問題もあると思うんですが、そこもクリアして、生理的な欲求との関連性がきちんと説明できるものであれば、すごくいいなと思います。

青木:サンドバックからグローブになったんですね。サンドバックの形が行動変容を起こするんじゃないかと思っていましたが。ストレス解消にもなりつつ、運動にもなると。検討してもらえれば。

今回、デモ・体験用としてグローブ側にしたとのこと(またサンドバック側にセンサーを仕込むには制御不能になる可能性もあるため)。

Dチーム:健健歩(けんけんぽ)

Dチームもアイデアソンからのアイデア(健康遊具的なオモチャ)のまま、プロトタイプを作り込んでいます。「ケンケンポ好きな男の子が冷蔵庫を開けたとき」というシーンから広がったアイデアです。大人が子どものときを思い出してみようというコンセプト。いま「わたしムーヴ」に通信可能なデバイスは十数個だがもっといろいろなデバイスがつながるようにしたいという課題に対し提案するものです。

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遊び方は、床に置かれた輪っかを的に「ケンケン」します。輪っかに足が入るとLEDが光ります。文章で書くとちっともおもしろくないのですが、不思議なことに、これは、子どもの頃を思い出して実際に跳ねてみるととてもおもしろいんです。
夜、外が暗くなってからでも遊べる、室内でも友達を呼んだり、ちょっとしたパーティでの趣向にも使えるガジェットです。もちろん、ただ遊ぶだけではなく、ムーヴバンドを起動し「けんけんぽ」を体験することで「最近の活動」として運動を取得することができたり、スマホ連動でドレミの音を出すことができます。音の連動はデモではうまくいきませんでしたが、出した音を録音できる機能もあるそうです。

松村:音との動機はおもしろいですし、ログとして録れるのがいいですね。モジュールをもっとつなげていくと機能などが変化していくというようになるとおもしろくなりそうですね。光と音の手数が決まっているスポーツ、遊びと親和性が高いですね。ボルダリングとかツイスターゲームとか。

新山:実際やってみて、光るだけでも楽しかったです。スキップとかケンケンパっておとなになるとやらないんですが、やることでワクワクしたりする。ドコモ・ヘルスケアが目指すのは「単に病気ではない」というところではなく「元気になる」というところなので、そういうところを視野に入れたガジェットを将来つなげていくというのは、改めてありだなと思いました。

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小林:最初に聞いたときにドレミが鳴るというよりもメロディのパターンが切り替わるでもいいのかなと一瞬思ったんですが、でも、ドからレに跳ぶのは簡単だけど、ドからソに跳ぶのは大変ですよね。「キラキラ星」とか、簡単な曲だけど、このガジェットで自分の身体で鳴らそうとするとすごく大変なんだと。逆に、そういうおもしろさが出るのかなと。そういう展開がありそうなので、ぜひ音を鳴らしてアイデアを広げていってほしい。
あとは、自分だけでやってみて終わるのではなく、ある特定の場所でやるとそこでしか得られないポイントが取得でき、自分の仲間に何かを送ることができるとか、コミュニケーションにも使える感じになっていくという展開もあるのかなと思いました。

青木:この手のものは前からあると思うんですが、みんなで使う形になっているのは少ない。これは、持ち運んでさまざまな場所で使える、誰でも遊べるというイメージですよね? そこがいいですね。数が多いともっとおもしろくなると思いますが、商品として想定したときの値段が気になります。子どもと遊ぶオモチャはたいてい1万円以下。1周がすべてLEDではなくて、LEDは1つでいいかもしれない。そういうところでコストを削減するというのも考えられそう。


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無事4チームのプレゼンが終わり、すばらしいことにデモもほぼ滞りなく!
みなさん、おつかれさまでした。作品はEngadget 例大祭にて展示も行われます。来場者の方の反応がいまから楽しみですね。

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QOL、健康に関するガジェットというといっけん地味な印象ですが、結果は真逆でした。参加者のそれぞれがとらえるQOLにおける課題が実にさまざまで、新しい発見もあり、プレゼンやデモ、講師陣とのディスカッションも非常に濃密に行われ、とても興味深いハッカソンとなりました。


大内孝子(おおうち・たかこ):フリーライター/エディター。主に技術系の書籍を中心に企画・編集に携わる。2013年よりフリーランスで活動をはじめる。IT関連の技術・トピックから、デバイス、ツールキット、デジタルファブまで幅広く執筆活動を行う。makezine.jpにてハードウェアスタートアップ関連のインタビューを、livedoorニュースにてニュースコラムを好評連載中。著書に『ハッカソンの作り方』(BNN新社)がある。