地上を歩き、木に登り、鳥や魚を窒息させる、ウソみたいな魚が実在する。そしてこの魚は今、オーストラリアを目指し海を渡ってきているという。ジュラシックパークかよ!っと思わず突っ込みを入れたくなるほどだ。
その魚とは、パプアニューギニアで独自の進化を遂げたキノボリウオの一種である。ティラノサウルスには及ばないかもしれないが、キノボリウオはあえて捕食者に食べられることでその威力を発揮する。鳥や魚がキノボリウオを飲み込むと、エラが喉に引っ掛かって窒息させることができるのだ。
だが、それにも増して凄いのが、呼吸器官を有していることだ。このため数日、場合によっては数週間も陸上で生存することが可能となる。その間は胸ビレで動き回りことができる。また、淡水魚であるが、海水でも生きることができ、乾期には泥の中に潜って生存を図る。
Killer Perch fish threatens to make its way to Australia
キノボリウオは英名ではクライミング・パーチとなるが、これはこの魚が生きた状態で木の上にいたのを目撃したことに、由来している。だが実際には、鳥に捕まって木の上まで運ばれのを勘違いしたという説もある。
こんなにもユニークな生態を持つ魚だが、現在この種がオーストラリアのクイーンズランド州にある2島に侵入し、トレス海峡にまで生息域を広めていることに懸念が寄せられている。
ジェームズクック大学のネイサン・ウォルサム博士によれば、この種のキノボリウオはパプアニューギニアからの外来種で、鳥や魚の喉に引っ掛かり窒息させる特性などが、地域の生態系にとって脅威となる可能性がある。
「これまで発見されたのはボイグ島とサイバイ島の、パプアニューギニアのすぐ側の島だけでした。今のところ、2島以南では確認されていませんが、懸念しているのは、きちんと管理されないことです。このままでは簡単にトレス海峡を渡って、オーストラリア北部に侵入するでしょう」とウォルサム博士。
こう危惧されるのも、キノボリウオは水の外でも数日間は生きることができるうえ、漁船の底に簡単に引っ掛るため、遠くまで運ばれてしまう可能性があるからだ。こうしたことから、関連当局は、オーストラリア本土に到着する前にキノボリウオを確認し、いれば捨てるよう漁業者や旅行者に注意を促している。
オーストラリア農水産省のウェブサイトでは、キノボリウオには強い捕食性があり、「クイーンズランド州の水域環境に適応繁殖し、被害を与えるリスクが高い」と警告する。トレス海峡で適切に管理されなかった場合、同種が繁殖しつつあるオーストラリア北部は特に影響を受けるだろう。
このキノボリウオは、オレンジっぽい褐色あるいは緑っぽい暗褐色で、ところどころ暗い班があることが特徴だ。体長は10〜23cmほどだが、25cmまで成長することもある。
dailymail・karapaia・原文翻訳:hiroching
ちなみに日本で知られているキノボリウオは、中国南部から東南アジアに広く生息するもので、そこまで獰猛じゃなく雨天時などに地面を這い回る程度なのだそうだ。
さらにアジア産のキノボリウオは、食用とされているそうで、ベトナムでは米粉麺の料理の具・出汁として利用されているという。パプアニューギニア産となると南半球なので事情は異なるだろうから、食べられるのかどうかは不明である。
それにしても捕食者を窒息死させてしまうとは、すごい進化を遂げたものだ。アジア産のキノボリウオは木に登れなくても、パプアニューギニアタイプとなると、あるいはもしかしたら本当に登れるのかもしれないと思い始めてきた。
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コメント
1. 匿名処理班
食わなきゃいいだけかよw
2. 匿名処理班
短すぎる動画で不満だよォw 木登るまで撮影してくれよ!
3.
4. 匿名処理班
雷魚のモンスター映画はあるからな、時間の問題だ
5. 匿名処理班
アボリジニー「恐いなあ」
白人「本当だね」
有袋類「ぞっとする」
アボリジニー「ですよね」
6.
7. 匿名処理班
丸呑みしたら窒息するだけだから普通に食いちぎる分には影響無いのな。
8. 匿名処理班
御先祖様かな
9.
10.
11. 匿名処理班
すごいサカナがいたもんだ…
肺呼吸する魚は他にもいるけど、地上を移動して生き長らえるとは。まさに水陸両用。
12.
13. 匿名処理班
ソテーにすれば問題ないw
14. 匿名処理班
煮て食うべきか焼いて食うべきかそれが問題だな
15. 匿名処理班
コイツをモデルに機械兵器作ろうぜ
16. 匿名処理班
窒息させるけど自分も死ぬのか
進化の方向性間違えてないか
17. 匿名処理班
フライングならぬクライミングキラーか
18.
19. 匿名処理班
これがもっと進化したらどんな生き物になるかな
20. 匿名処理班
捕食者に食べられて窒息死させて…どうしたいんだろう?
自分より大きな鳥や魚を、食料にするためなら凄いと思うんだが。
ただうっかりよく食べられるから、逃げるために技を編み出したのなら、残念な感じがする。
21. 匿名処理班
窒息させるっていう特技じゃモンスター化させ辛そうだけどなw
22. 匿名処理班
外来生物の話題に触れていつもいつも思うことだけど、毒を持たない生き物だったら捕まえて食っちまえばいいじゃん。
ウチダザリガニは高級フレンチの食材だし、カミツキガメはアメリカ南部で郷土料理になってるんだから。
23. 匿名処理班
出汁の味が気になるなぁ。
24. 匿名処理班
なんにしろすごい魚なんだろうが、木に登るとかはちゃんと確認されてないんだろ?
勘違いの可能性があるんだろ?それを分かった上でのタイトルなら釣りみたいな形になるのでマズいんでないのか?
しかし生命力のある生物が生息範囲を広げるのは自然界の理なのに危惧するもなにもないって話よね、人間の業は深いねぇー
25. 匿名処理班
2025年 そして世界は木登り魚で満たされる・・・
26.
27. 匿名処理班
魚のくせに何やってんの
魚類の領分を守れよ!
28. 匿名処理班
おー
ヒレが足っぽく進化してるね
面白い
船の底に引っかかるのはともかく、
人為的でなく生物が自然に移動・進化することで生態系が変わるなら、それはそれで見守っても良いんじゃないかと思うんだなあ
29. 匿名処理班
伊藤潤二感ある
30. 匿名処理班
東南アジアでは晩のオカズやら魚醤の原料になってるんだし
ガンガン食って片づければいいんだよ
31. 匿名処理班
あっちの方の気候は二期で、乾期の池では酸欠になりやすいから、
こういう進化をしたそうだ。
ベタもこの仲間だね。
32. 匿名処理班
そこまでやってどうして手足を付けなかったんだぜ?
33. 匿名処理班
淡水海水に適応するだけでなく陸にまで上がれるとは万能すぎる…
全世界制覇してもおかしくないな
34. 匿名処理班
加熱処理すれば美味いのか
じゃあ問題ないじゃないか
35.
36. 匿名処理班
ハシビロコウとの一騎討ちを見てみたいな。
37. 匿名処理班
むしろ今までオーストラリアに侵入していなかったことの方が不思議だ。今までパプアニューギニアから出られなかったのはなぜだろうね?
38. 匿名処理班
揚げて南蛮漬けにして食いたい
39. 匿名処理班
ここだけの話、コイツ実はポセイドン族の先兵だかうわなにw(ry
40.