大淀「駆逐艦の子たちはわたしが守ります!」|エレファント速報:SSまとめブログ
大淀「駆逐艦の子たちはわたしが守ります!」
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- 2: ◆8sA8xtnAbg:2015/05/03(日) 23:12:30.17 ID:P4oYiMt7o
――――― ある日 提督執務室
大淀「それでは、明日の編成はこれで決定ということでよろしいですか? 」
提督「ああ、それで行こう。立案おつかれ」
大淀「次に兵装についてですが……」
提督「ああ、基本的には前回と同じだが、金剛の主砲を、明石が強化してくれた35.6cm連装砲に載せ替えて欲しい。試してみたいんだ」
大淀「承知しました。明石が来てくれた恩恵が早速ありそうですね」
提督「ああ、ありがたいことだよ」
はじめまして。軽巡洋艦 大淀です。前世では指揮統率用の船だったので、生まれ変わった今でも、提督の傍らで、参謀や秘書艦としてお仕事をさせて頂いています。
- 3: ◆8sA8xtnAbg:2015/05/03(日) 23:13:12.75 ID:P4oYiMt7o
提督「ああそうだ。昨夜ちょっと思いついたんだが、例の海域の編成を…………」
大淀「なるほど……。確かにそのほうが効果的ですね。早速、具体的な編成作業に入ります」
提督「面倒をかけるが、頼む。これで、少しでも被弾が減ればいいんだが……」
今話している相手が、わたしの上官たる提督です。ほとばしる才能!っていう感じの方ではありませんが、冷静に考え、計算し、少しでも戦いを有利にするための苦労を厭わない人です。悪くない……いえ、とても優れた指揮官です。
ただ……2つほど大きな問題を抱えていて……それがわたしの悩みの種なのです。
大淀「さて、作戦周りはこれでよろしいですね」
提督「ああ、後は遠征の帰り待ちかな」
- 4: ◆8sA8xtnAbg:2015/05/03(日) 23:14:04.92 ID:P4oYiMt7o
大淀「一段落ついたところで……提督? 」
提督「な、なんだ? (やばい空気だ) 」
大淀「午前中、わたしが不在の間、視察と称して、どこに行ってらしたのですか? 」(にっこり)
提督「あ、あっれー? どうして知ってるのかな~? 」
大淀「どうしてではありません。執務をサボって、どこに行ってらしたのですか? 」
提督「えーっと、あはは……工廠にちょっとね……」
大淀「やっぱりです! また何か無駄遣いしましたね? 」
提督「無駄遣いなんて……そんな……なぁ? ちゃんと開発の打ち合わせをな? 」
大淀「具体的にお話して頂けますか? 」(にっこり)
提督「えっとだな……、烈風が足りないからほしいよなーって思ってて」
大淀「はい、制空は大事ですから」
提督「でな、このレシピなら烈風と三式弾を同時に狙えるんじゃないか? ってのを思いついたから、その相談にな」
大淀「提督はお仕事熱心ですね。それで、どうされたんですか? 」
提督「えっとだな……明石と夕張も、それは良いんじゃないか!って言うんで……じゃあ、実験してみるか!って……」
提督(100回ほど回してきた)←小声
- 5: ◆8sA8xtnAbg:2015/05/03(日) 23:15:12.46 ID:P4oYiMt7o
これです! これが悩みの種その1 提督の無駄遣い病です!
今は大規模な作戦に向けて資源を備蓄するってあれほど約束したのに……!
大淀「…………100回……ですって……? 」(ゴゴゴゴゴゴゴ)
提督(怖い!怖い!なんか擬音が見える!)
提督「い、いやぁ、そのくらい回さないと、良いレシピか判断つかないからなー……。でも、ほら、烈風4と三式弾3が出来たぞ。なかなかの確率だよな! 」
大淀「装備があっても、備蓄がないと出撃できません! 何のために苦労して遠征を……あああ、こんなに目減りして……」
提督「いやぁ……ほんとごめんな。ついつい勢いで」
大淀「いいえ、提督。謝る必要はありません。必要な開発だったのでしょうし、成果もあったようですから」(にっこり)
提督(え、笑顔がこえぇぇ)
提督「あ……うん、そうだな」
大淀「その代わり、1ヶ月分の前借りだった、ということで、今月は開発・建造は、デイリー以外一切禁止です! よろしいですね? 」
提督「えー……」
大淀「えー、じゃありません! このままでは作戦に支障が出ます! 」
提督「そうだよなぁ。わかった、そうしよう」
大淀「明石と夕張にもクギを刺してきます。遠征艦隊が帰ってくるはずですから、提督はお留守番をお願いします」
提督「了解。あ、でもな、俺がレシピの話を持ち込んだのが原因だから、明石と夕張を責めるのは無しだぞ」
大淀「きっかけはそうかもしれませんが、どうせ3人でノリノリで開発回してたのでしょう? かばうのは結構ですが、締めるところはしっかり締めさせていただきますっ! 」
- 6: ◆8sA8xtnAbg:2015/05/03(日) 23:16:31.32 ID:P4oYiMt7o
――――― 鎮守府 工廠
無駄遣いの原因は、提督の開発好き。元々、レシピを工夫して、開発や建造を行なうのが大好きだったのですが……。2ヶ月前、工作艦の明石。兵装実験軽巡の夕張が同時に着任して……。この二人が提督に輪をかけた開発好き! 三人集まってはすぐに開発開発で、当鎮守府の備蓄は、あっという間に危機的状況になりました。
大淀「本当に困ったものですね……。明石が楽しそうなのは嬉しいけれど」
明石とは元々友人です。明石はここに着任してから、以前よりずっと楽しそうで、友人としてはとても嬉しいのですが……。わたしの立場では、備蓄をおいそれと減らすわけには参りません。
大淀「明石、居ますか? 」
明石「あ、やばいっ! やっぱり叱られる~ 」
夕張「ま、当然だよね。さすがにやり過ぎたもん」
大淀「はぁ……わかってるならどうしてやるんですか……」
明石「い、いやぁ……ほら、あと1回だけ、あと1回だけ!って」
夕張「100回くらいはやらないと、データとしては意味ないしさー」
大淀「はいはい。では、十分に気も済んだでしょうから、今月はもうデイリー以外の開発・建造は禁止です」
明石「ええー! そんなぁ。退屈しちゃいますよ~ 」
夕張「そうだそうだ―! 」
大淀「では、何故そうする必要があるか、1からきっちり説明しましょうか? 」(にっこり)
夕張「あ、いえ。開発禁止了解デス」(ぶるぶる)
明石「そっか、大規模作戦が近いから倹約モードでした。今日はほんとに使いすぎちゃったよね。反省します……」
大淀「はぁ……。提督にももうお話済みですから。開発が必要なのはわかりますし、研究も大切ですが、備蓄も本当に大切なんですから、今後はちゃんと相談してくださいね」
明石・夕張「はぁーい」
- 7: ◆8sA8xtnAbg:2015/05/03(日) 23:17:13.65 ID:P4oYiMt7o
――――― 少し後 鎮守府 廊下
大淀「遠征は東京急行と北方鼠で……ぶつぶつ……」
大規模な作戦の際は、大量の物資を消費します。作戦の内示があってから作戦発動までの間に、必要なだけの備蓄ができるかどうか? これが参謀の腕の見せ所です……。何とか頑張って取り返さないといけません……。
大淀「まだ時間はあるから慌てることはないのですが……。提督もそのぐらいわかっておられますし……。でも、余裕を持って計画するのが大事なはずですから……ぶつぶつ……」
???「きゃぁぁぁぁ」
悲鳴!! 執務室の方からです……ま、まさか……!!
???(たったったったっ)
ドスン ←大淀にぶつかった
綾波「きゃっ」
大淀「きゃぁ。綾波、そんなに慌ててどうしました!? 」
綾波「あ、大淀さん! あ、あの……綾波、びっくりしてしまって……」
- 8: ◆8sA8xtnAbg:2015/05/03(日) 23:18:09.36 ID:P4oYiMt7o
提督(たったったったったっ)
提督「綾波、ここに居たか。すまん、突然でびっくりさせた。ごめん、この通り(ぺこり)」
大淀「て、提督! あなたは、とうとう……」
綾波「い、いえ。その、綾波こそ大きな声出してしまって……。突然でびっくりしちゃいましたけど……その……嫌じゃなかったので……」
提督「そ、そうか……良かった……。ほんと、ごめんな、どうしても我慢できなくて……」
て、提督……本当に……ついにやってしまったのですか……?
大淀「いけませんっ。いたいけな駆逐艦に手を出すなんて! 綾波が許しても、この大淀が許しませんっ! 」
綾波「大淀さん、ほんとに良いんです。……考えてみたら、ほっぺたつんってしてもらえるのって、なんだか仲良しで素敵です……。なのに、頭に血が登ってしまったみたいで……」
大淀「…………ほっぺたつん? 」
提督「いやぁ。綾波のほっぺた、やわらかそうだなーって前から思ってたんだよ。でな、さっき、遠征大成功のご褒美に頭撫でてたら、どうしてもほっぺをつんしたくなって……つい、な」
大淀「…………」
綾波「その……綾波のほっぺで良ければいつでも、つんってして良いですよ……もう大丈夫ですから」
提督「あはは、じゃあ次からは、ちゃんと予告してからさせてもらうな。ありがとう、綾波」
なでなで
綾波「はい……その……次の機会、待ってます……(もじもじ)」
大淀「……………………」
- 9: ◆8sA8xtnAbg:2015/05/03(日) 23:19:16.21 ID:P4oYiMt7o
――――― 少し後 提督執務室
大淀「…………わたしはついに、提督が憲兵さんのお世話になる日が来たかと思いました……」
提督「失礼な! 俺はそんなことはしないぞっ」
大淀「日々、ひたすら駆逐艦を可愛がっている提督が言っても、説得力ありません」
……そう、これが悩みの種その2です。提督が駆逐艦の子たちを可愛がりすぎていて……そのうち憲兵さんのお世話になってしまうのではないかと不安で仕方がありません。
提督「艦娘とはいえ、皆まだ子どもの年齢だからなぁ。大人がちゃんと愛情をもって接しないとだろ? 」
大淀「はぁ……提督らしいですけど……」
提督は女を甘く見過ぎです……。小さくてもれっきとした女の子。彼女たちがどう思っているかはまた別の話なのです……。
大淀「油断していて、そのうち間違いを起こさないで下さいね! 」
提督「そんなことないから大丈夫だよ。まったく、この件に関しては、大淀は心配しすぎだなぁ」
大淀「でしたら、少しは自重して下さいっ」
駆逐艦の子たちは……この大淀が守ります!
『…………でも、今思うと、可愛がられている駆逐艦の子たちに嫉妬してたのかなぁ』
- 15: ◆8sA8xtnAbg:2015/05/04(月) 20:30:06.74 ID:n57FNvGuo
――――― 1か月半後 提督執務室
大淀「提督、今日はカレーをご用意しました 」
提督「おお、ありがとう。秘書に旗艦、参謀までやらせてるのに、食事まで用意してもらって、いつもありがとな」
大淀「いいえ、これがわたしのお仕事ですから」(にこ)
提督は、わたしの仕事を高く評価してくれます。わたしは当然のことをしているだけなのですが、いつだって恐縮されてお礼を言われて……少しくすぐったいです。
提督「作戦も無事完遂。事前の資源備蓄から編成作業。そして、最前線への出撃と、大淀は大活躍だったな。ほんと、助かったよ」(もぐもぐ)
大淀「いえ……それが大淀の努めですから(にこにこ)」
- 16: ◆8sA8xtnAbg:2015/05/04(月) 20:30:58.41 ID:n57FNvGuo
提督「とはいえ、気は抜けないな。次の大規模作戦が早速決まったようだし」
大淀「わたしも噂は聞きました。戦いは終わりませんね……」
提督「そうだな……。まぁ、誰も失わないことが大事だ。その上で、戦果と作戦成功を目指していこう。当面は、練度上げと装備の充実とかかな」
大淀「そうは言っても、あまり無駄遣いなさらないで下さいね。また備蓄で苦労してしまいますよ」
提督「あーあ。正直言えば、ゆるーく練度を上げつつ、好きな開発に邁進する生活を送りたいんだけどなぁ」
大淀「くすっ。本音ですね。でもダメですよ。しっかりお仕事してくださらないと」
提督「そうだな、そういうのは深海棲艦の脅威が無くなってから、ゆっくりやるかぁ」
提督は、本質-